研修医への講義:外来の診療で大切なこと、コツ、私がやっていること/2日連続ダブルヘッダーは疲れます
・10/29に「研修医への外来診療講義メモ/地域で高齢化を体感する」という標題でブログを書きました。→ http://newoem.blog.so-net.ne.jp/2017-10-29
本日研修医と医局事務、外来看護師さん3名に↓のようなレジュメを使って、講義をしました。ディスカッションの中で、認知症の患者さんへの対応やご家族への対応についてまとめられていなかったと気づかされました。また、ユマニチュードは絶対入れておくべき言葉、また、「通知表」をつくるというのも認識させられました。ちなみに、通知表とは看護師さんが言われた言葉で、年に1回病状や治療、検査をまとめたものを患者さん・ご家族にお渡しするということです。私、来年は、患者さんに検査計画をお渡ししたいと考えておりましたが、通知表つくりも考えたいと思います。余談ですが、外来は、いろいろ工夫ができて面白いですね。↓に本日のレジュメを貼り付けておきます。10/29より、ちょっと内容が増えています。
外来の診療で大切なこと、コツ、私がやっていること
1.心得
・患者さんは、要望と不安をもってくる
要望がはっきりしないこともある・・・診療の中で明確にする
「主訴」と真の受診動機は異なることがある
→最後に二つの門をあける:注文と質問・・・ドアノブ・コメントを避ける
・誠実に・・・この対応は果たして誠実か?と自問する
・患者さんの受診目的と医師の診療の目的が食い違うことがある
目標の明確化・共有
・情報格差があるのが当たり前だが...
本やWebsiteでよく調べられている人もいる
中には、医師をテストしている人もいる
・録音されているつもりではなす
・こちらは、そういうつもりはなくても、「お医者様」:話ずらい・訊きづらい
ユーモアを持って。バリアーをできるだけ低くする。
2.診療の最初
・立って挨拶、視線をあわせる
・笑顔・・・口角をあげる練習、鏡を見る
・ピー子に挨拶しない。ピー子とばかりはなさない
・最初、話を途中で遮らない
3.診断
・患者さんの訴えは、その通り書く・・・患者さんの「健康問題物語」(患者側の解釈モデル)を知る
・よく3C(common, critical, curable)といわれるが...
私は、CCOもしくはCCEとしてほしい O: occupational E: Environmental
最近の流れではEがよいかも。SDH: Social Determinants of Healthが重視されてきている。
・最初にcriticalな疾患を考え、除外しておくと後の診療が楽
・鑑別診断は、必ず挙げる。その癖をつける。絶対決め打ちしない。それがたとえ風邪だとしても。
・よく使われるのがVINDICATE!!!P
V:Vascular:血管系、I:Infection:感染症、N:Neoplasm:新生物(良性、悪性)、
D:Degeneration:変性疾患、I:Intoxication:薬物・毒物中毒、C:Congenital:先天性、
A:Autoimmune:自己免疫/膠原病、T:Trauma:外傷、E:Endocrine/Metabolic:内分泌代謝系、I:Iatrogenic:医原性、I:Inheritance:遺伝性、I:Idiopathic:特発性(原因不明)、P:Psychogenic:精神・心因性
・わたしは、MEDIC TO VAN, 最近では V DOT CINEMA SPとしています。
VIDICATEでは、Occupational, Environmentalがない
SはSystemicで、全身性疾患の部分症ではないかと考える
・鑑別診断のみでなく合併症も考える。
・見通しや今後起こることを患者さんに伝えておく。(特にどれくらいで症状が改善するか)薬の副作用も。あらかじめ言っておくのと言わないのは雲泥の差。
4.検査
・定期検査はあらかじめ「次、採血しましょうね」とお知らせしておく
・検査の費用も説明できればベター
・検査するとき、その検査結果で自分の行動が変わるかどうか考える
・データは必ず確認する。データがでるのが後日の場合、メモや電カルの活用
・必要なデータは、自分から聞きに行く
・検体の間違い、人間違い、記載間違い等あることに気を付ける
・慢性疾患は、あらかじめ計画を立てておく。全身管理を心掛ける。
5.その他
・必要な能力:コミュニケーション アサーション
・自分一人で外来をしているわけではない。看護師、事務等スタッフに感謝。
・古いPから新しいP:PaternalismからPartnership
・のど自慢的職業表現はNG
・身(メンタルも)を守ることも大事(・ごく一部だが、ひどい人もいる)
【参考文献】
・『研修医になったら必ず読んでください。〜診療の基本と必須手技、臨床的思考法からプレゼン術まで』 2014/2/25
岸本 暢将 (著), 岡田 正人 (著), 徳田 安春 (著)
・『白衣のポケットの中―医師のプロフェッショナリズムを考える 2009/4/1
宮崎 仁 (著), 尾藤 誠司 (著), 大生 定義 (著)』
・患者は何でも知っている (EBMライブラリー) – 2004/7/23
J.A.ミュア・グレイ (著), 斉尾 武郎 (翻訳), 丁 元鎮 栗原 千絵子 平田 智子
・『新・医者にかかる10箇条 あなたが“いのちの主人公・からだの責任者”』
ささえあい医療人権センター COML
以下超々短小日記
・今日は6時起床。ほんのちょっとだけ朝勉して出勤です。午前中外来。午後は上記講義。その後事務作業。16時から19時半まで、お休みのDr.の代わりに外来。昨日に引き続き午前も外来して、夜間診療もして、結構疲れました。20時過ぎに帰宅して、お風呂入って夕食。夕食は、親子どんぶりのはずだったのに、なぜか鍋。(我が家ではよくあることです)つかれきったので、ビール2本と現在ウイスキー飲みながらこのブログを書いております。これを書き上げて、ウイスキーのみ終わったらサッサとねます。明日は、自分の研究のためのデータ入力をしようと思っていましたが、さすがに疲労がたまってきて、それはやめて、簡単な事務作業や部屋の整理整頓、家の片づけ、庭の草刈り等「家事」をしたいと思っています。気力があれば「ブレードランナー 2049」観に行きたいです。
講義の中で新しい気づきを得てアップデート、まさに「教えて然る後に困しむを知る」ですね。さすがです。
今回のレジメを見直していて、「検査の費用も含めて」というところと「慢性疾患の治療計画・全身管理」のところは考えさせられます。
在宅酸素にしても、経済的負担を気にされるかたが以前より増えている感じがします。
看護師としては、医事課・相談員に助言をもらいながら点数計算しながら負担軽減を考える日々でして。
こうしたところは本当にSDHだと思います。
慢性疾患を抱えるということは、本当に生活再編を余儀なくされるということ。その生活を見つめた看護を実践したいものです。
by おおさわ (2017-11-03 06:30)