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アニサキスでアナフィラキシー/やっぱCAはエエワ、でも症例対照研究は難しい

・有名人がアニサキスのための腹痛で苦しんだというブログ、SNS発信があり、結構名前は知られてきているのではないでしょうか?しかし、アニサキスでアナフィラキシーになるということはあまりしられていないのでは?

まず、アナフィラキシーとは『医学書院医学大辞典第2版』によると↓


アナフィラキシー anaphylaxis
[同義語]アナフィラキシー反応 anaphylactic reaction

特定の物質によって惹起されるIgE抗体を介したⅠ型アレルギー反応(即時型アレルギー反応)で生じる重篤な病態をいう。全身性に発症するので全身アナフィラキシーと呼ばれるが,同じ反応でも局所に限局している場合は局所アナフィラキシーという。抗生物質,造影剤,異種抗血清,ホルモン,非ステロイド性抗炎症薬,吸入アレルゲンワクチン,ハチ毒,蛇毒,エビやカニなどの食物,運動,ラテックス(天然ゴム)などが原因となる。抗原に対するIgE抗体が産生され抗原の再侵入によって活性化された肥満細胞,好塩基球が,ヒスタミン,ロイコトリエンなどのケミカル・メディエーターを遊離し生じる。アナフィラキシーに類似するがIgE抗体を介さない反応にアナフィラキシー様反応(anaphylactoid reaction)がある。症状は口内異常感,喉頭部狭窄感,悪心,耳鳴り,尿意,便意などに続き全身性蕁麻疹,循環不全,気道狭窄が起こる。さらに血圧低下,チアノーゼ,意識障害に陥ればアナフィラキシー・ショック(anaphylactic shock)となる。ショック状態には気道・血管確保とともにエピネフリン1000倍液0.1~0.3mLを皮下注射し,ヒドロコルチゾンを静注する。最近では携帯用エピネフリン自己注射キットが使用できる。


・そんでもって、普通アナフィラキシーというのは原因物質と接触して短時間(数分~30分)くらいで、おこるのですが、もっと長い時間がかかって起こるものもあり遅発性(遅発型)アナフィラキシーといわれています。ただ、遅延性or遅発性ということばではなく、遅延型or遅延性という言葉がつかわれていることがあります。(ex. 後でご紹介する日本語の文献)私が思うに遅延型よりも遅発型というのが良いのではないかと思います。なぜなら、遅延型アレルギー(Ⅳ型アレルギー)というのは、抗原刺激から24時間から72時間たって起こるものですが、以下ご紹介する事例は、もっと長い時間がたっているからです。

・前置きが長くなりましたが、↓のような症例報告がありました。


Anaphylaxis Induced by Anisakis


Intern Med 58: 2121, 2019




この患者さんは、発疹、かゆみ、呼吸困難という症状が受診していますが、2日前に生の鰹を食べて腹痛をおこしていました。(よう、二日もがまんしたなと思います)アニサキスによるアナフィラキシーだったのですが、食べてから2日して症状が出ていますね。

・もう一つ症例報告、↓の患者さんは、しめ鯖をたべて4日後に発症されております。


アニサキスによる遅発性アナフィラキシーの1例(A case of late–onset anaphylaxis caused by Anisakis)

日本救急医学会雑誌  Vol 28, Issue 6, June 2017

要旨

41歳の女性が受診4日前の夕食にしめサバを摂取し,受診当日の朝に呼吸困難感を自覚し全身に皮疹を認めたため救急外来を受診した。来院時,頻脈と頻呼吸に加え,喘鳴と全身の膨疹を認めたことからアナフィラキシーと診断した。薬剤投与で症状は軽快したが,入院当初の病歴からはアレルゲンが同定できず,経過観察目的に入院とした。入院後は症状の再燃はなく経過していたが,入院当日の夕食摂取後に膨疹と湿性咳漱を認め,再度アドレナリンの投与を要した。その後,一旦症状は消退したものの,同日深夜に誘因なく全身の膨疹が再増悪したため,抗ヒスタミン薬の内服を開始し軽快した。しかし,その後も膨疹は誘因なく増悪と緩解を繰り返しながら,やがて消退傾向となった。第6病日に血清アニサキス特異的IgE高値が判明し,第7病日に上部消化管内視鏡にて胃壁に虫体を確認した。以上から,一連の症状は,来院4日前に摂取したサバが原因となったアニサキスによるアレルギー反応と診断した。過去の報告と比較して,本症例ではアナフィラキシーを起こすまでの期間が,アレルゲン摂取後4日と長時間経過していた点が特徴的だった。原因不明のアナフィラキシーでは,詳細な病歴を遡って聴取することが大切である。また,アレルギー症状を繰り返す場合には,アニサキスアレルギーを念頭に置き検査を行うことと,適切な患者指導をする必要がある。

・この本文を読んでみますと、なかなかアニサキスによるアナフィラキシーの診断は難しいみたいですね。食事の内容は少なくても4,5日は問診しないといけないみたいですね。

 

以下日記

・昨日7/15(月)は、仕事はお休み朝から昼まで、ずっと論文作成。合間に掃除。次第に掃除の時間が長くなり午後は汗だくになりながら掃除がメインとなりました。シャワー浴びて短時間昼寝。16時半頃に家出て、資源ゴミさして病院へ。17時30分から当直でした。幸い病棟は落ち着いておりましたが、外来にちょくちょく受診。22時に寝たかったのが、0時過ぎに就寝でした。

・7/16(火)は、夜中、明け方とコールあり、睡眠が断片化されました。起きたのは6時前。シャワーあびえて、朝食とって、病棟の回診。そして午前回診。午後一で今日入院された患者さんの輸血を開始、あとは診療部長に頼んで14時ころ病院出て大学へ。(途中市役所によって期日前投票)16時から15時過ぎCA:critical appraisalでした。本日とりあげられた参考文献に↓の様なものがあり、参考になしました。

What Do Case-Control Studies Estimate? Survey of Methods and Assumptions in Published Case-Control Research

American Journal of Epidemiology, Volume 168, Issue 9, 1 November 2008, Pages 1073–1081

Abstract

To evaluate strategies used to select cases and controls and how reported odds ratios are interpreted, the authors examined 150 case-control studies published in leading general medicine, epidemiology, and clinical specialist journals from 2001 to 2007. Most of the studies (125/150; 83%) were based on incident cases; among these, the source population was mostly dynamic (102/125; 82%). A minority (23/125; 18%) sampled from a fixed cohort. Among studies with incident cases, 105 (84%) could interpret the odds ratio as a rate ratio. Fifty-seven (46% of 125) required the source population to be stable for such interpretation, while the remaining 48 (38% of 125) did not need any assumptions because of matching on time or concurrent sampling. Another 17 (14% of 125) studies with incident cases could interpret the odds ratio as a risk ratio, with 16 of them requiring the rare disease assumption for this interpretation. The rare disease assumption was discussed in 4 studies but was not relevant to any of them. No investigators mentioned the need for a stable population. The authors conclude that in current case-control research, a stable exposure distribution is much more frequently needed to interpret odds ratios than the rare disease assumption. At present, investigators conducting case-control studies rarely discuss what their odds ratios estimate.

・なかなかcase-control studyは難しい。もっと性根入れて勉強しないといけないと思った次第。

・その後はおとなしく帰宅(後輩とカレーの店に行く約束していましたが、急にこれなくなって、会食はお流れ)。お風呂入って、夕食とって寝ました。

 



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