SSブログ

じん肺の歴史と今後の課題/今日もセッセとワクチンを打つ

最近、じん肺の歴史を本当にきちっと確認していこうと思っていたところ、↓のような論文を見つけました。概観するのに参考になります。ただ、この論文内の著者達の言説に全て同意するわけではございません。


じん肺の歴史と今後の課題

大塚 義紀,木村 清延

日職災医誌,681992052020


要旨:じん肺は最も古い職業病とされ,古代ヒポクラテスの時代から記録され,日本でも江戸時代から「よろけ」「烟毒」「疲れ大工」と呼ばれ認識されてきた.その後ダイナマイトの使用や削岩機の導入により,大量粉じんの発生とともにじん肺の発症が増え,さらに広く認識されるようになった.19世紀の病理解剖の発展や20世紀からのレントゲン写真の導入により客観的なじん肺の診断が可能になった.この頃ようやくじん肺の概念が確立される.さらに国際的にもILO(国際労働機関)の発足,労働運動の高まりや組合の発達に伴い,労働災害に対する補償が英国をはじめとして各国で徐々に整えられた.本邦でも種々の法制度が成立したが,じん肺に対する補償は第2次世界大戦後に制定された労働基準法以降である.補償も「扶助」から「災害補償」となり,労働者の権利として認められるようになった.1955年には「けい肺等特別保護法」1960には「じん肺法(旧)」と「労災保険法」が制定され,本格的な補償が始まった.また,「けい肺」「じん肺」と名称が変わり,珪酸粉じん以外の鉱物性粉じんによるじん肺も対象となった.1977年にじん肺法は改正され,結核が合併症の一つとなり,結核を除いた形で純粋にじん肺の重症度に応じて管理区分が定められた.この時のじん肺の診断方法が今日に至る.その後,2003年には肺がんも合併症の一つと認定された.しかしながら,現在でも新規じん肺有所見者が100名ほど認定されるなど,電動ファン付きマスクの導入や普及が期待される.さらに近年新たな物質(インジウムなど)によるじん肺も散見され,新しい物質による職業性肺疾患の診断法の確立,CT画像のじん肺診断における利用やじん肺診査会へのCR用ディスプレイの導入が今日の課題となっている。

この論文最後の「じん肺患者やご家族の方々,診療や法律制定にかかわった全ての先人達の努力や業績に感謝申し上げる」というのには、まったく同感ですが、論文中に患者さん・家族、労働組合、弁護士さん、市民団体等のとりくみがほとんど出てきません。それは、まあ、時間・紙数の関係で仕方ないでしょう。そちらの観点からかいた歴史もいるでしょう。また、この論文は「今後の課題」とありますが、現在の課題もあります。(テクノロジーの進歩や法令の改正を待たなくても良いという意味)法令をきちんと企業と労働基準監督署・基準局がまもるということ。(いくら制度がすぐれていてもそれが正しく運用されなければいけません)お医者さんがきちんと診断できると言うこと。また、「8.これからの課題」の最初に個人保護具のことがかかれていますが、労働衛生の大原則、発生源を断つということです。サンドブラストなんかつかわせないということですね。


・これから、わたしもボチボチ歴史を検証していきます。


以下日記

・本日11/12(木)は、6時起床。すこしだけ朝勉して出勤。午前外来、午後インフルエンザワクチン接種と回診。例年以上にワクチン接種に来られている感じ、それも遠方からも。新型インフルエンザがはやった時を思い出しますね。17時過ぎには病院出て、COOPで買い物して帰宅。入浴、夕食、論文ちょっとかいて、このブログ書いています。これから寝転んで本読みながら眠りたいと思います。

nice!(1)  コメント(0) 

nice! 1

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。