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全人的医療って何?/一番の親不孝は何か

ずーーーーーーっと以前から「全人的医療って何?」と思っておりました。今日はちょっと時間と心に余裕があったので、関連する文献をちょっと読んでみました↓



巻頭言
全人的医療の歴史と展望
全人的医療 17巻(2018)1号
永田勝太郎
https://www.jstage.jst.go.jp/article/ifcm/17/1/17_1/_article/-char/ja
抄録

 

「心身医学は,全人的医療に展開しなくてならない」は,米国のシカゴ大学教授で,心身医学の先人フランツ・アレキサンダーや我が国の池見酉次郎(九州大学教授)に共通の展望である.全人的医療や患者中心医療は,耳あたりのよいことばであるがゆえ,多くの大学や病院がミッションとして掲げているが,実践している医療施設は少ない.我が国には,橋田邦彦が戦前から全機的医療を唱えたように,多くの蓄積がある.一方,総合診療医の育成が叫ばれている.総合診療医は,まず全人的医療が実践できなくてはならない.以下の要件が必須になる.教育・研究・実践のための大学院大学の設置が望まれる.

1. パソジェネシス,サルトジェネシスの相互主体的鼎立

2. 患者の生活者としての理解(intrapersonal communication)

3. 誕生から死までの連続性の中での患者理解

4. 機能的病態(機能性身体症候群:FSS)の積極的診断・治療

5. 器質的病態の早期診断,専門医療への紹介,副作用低減のための補法の適応

6. 致死的病態へのケア

7. チーム医療のリーダーシップ

8. 医師―患者関係の構築(interpersonal communication)

9. 患者の行動変容のための患者教育

10. 臨床研究

11. 自己研鑽:健康哲学・医療哲学・死生学・医療倫理学

 

↑にあげられている要件で特に2には共感します。他の項目も共感できるものもありますが、ちょっと理解できないものもあります。(サルトジェネシスなんてなんのことやら)。本文を読んでみると巻頭言だからしかたないのか、議論が荒いなぁという気がしました。

・あたらしい診療理念

患者中心の全人的医療(医療教育情報センター)

http://www.c-mei.jp/BackNum/056r.htm

↑のサイトの説明の中で最初に紹介した永田勝太郎氏の名前がでてきます。

・中山書店の『全人的医療入門』のサンプル↓

https://www.nakayamashoten.jp/sample/pdf/978-4-521-73702-7.pdf

・わかりやすいと思ったのは↓

全人的医療学コース(関西医科大学)

http://www.kmu.ac.jp/target/2671t8000000i92h-att/a1463368999028.pdf

 

全人的医療とは「病気・疾患」ばかりに注目するのではなく、「病を抱えた人」「病を抱えて生きて生活している人」として患者さんを捉えるという「医師がとるべき態度」のことをいう。我々医師は、癌や潰瘍といった病名に目を奪われ、病を得て苦悩している人を忘れがちであり、そういったことの無いように、古くから医療者に対して強調されてきた医療者の基本となる態度である。したがって全人医療的態度はすべての医師がすべての患者に対してとるべきであり、特定の医師や特定の患者に適用されるべきものではないのである。

で、いつも利用する『医学書院医学大辞典第2版』の説明↓
全人的医療  holistic medical care

近年,研究至上主義的な医療の諸側面への反省をもとに,病〈やまい〉に苦しむ人間に対する医療を模索するさまざまなアプローチのうちの1つ。心身医学の領域からのbio-psycho-social(ethicalを加えることもある)モデルもその1つ。これは患者の健康問題をbiological(生物学的),psychological(心理的),social(社会的),ethical(倫理的)な諸側面から多面的に検討して解決しようとするものである。日本の池見酉次郎,米国のエンゲル(Engel GL)らがいち早くこの概念を提唱した。

・ちょっと違う観点の話ですが、面白いとおもった記事↓(全文は日経メディカルに登録していないと読めませんが)

尾藤誠司の「ヒポクラテスによろしく」

「全人的な医師」はチーム医療の中ではうっとうしい

https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/blog/bito/201411/539364.html

・あと内科学会の専門医部会のサイト

全人的医療ワーキンググループ ~医療におけるアートを考える~

https://www.naika.or.jp/fjcp_top/zenjin-wg/

・結局上で引用した「全人的医療コース」(関西医科大学)の説明の「病気・疾患」ばかりに注目するのではなく、「病を抱えた人」「病を抱えて生きて生活している人」として患者さんを捉える、というしごく当たり前と私には思えることなのでしょうね。(それが当たり前に行われていないから、このような言葉がつかわれだしたのでしょうね)

・ところで、全日本民主医療機関連合会の綱領の中に「生活と労働から疾病をとらえ」とあります

https://www.min-iren.gr.jp/?p=20933

・若かりし頃からこの言葉は好きでしたし、できるだけ実践しようと心がけてきました。しかし、かんがえてみるに「疾病をとらえる」(診断→治療する)のであって「患者さんそのものをみる」わけではないのですよね。最近「生活と労働と共に患者さんを捉える」とか「生活と労働を背負った患者さんをみる」というようなニュアンスがよいのではないかなと思ったりもしておりますが、うまい表現がまだ思いついておりません。

以下日記

・本日4/2(火)は、6時起床。ちょっとACPの勉強をして出勤。午前外来、午後回診、時間外受診対応、通所リハビリカンファレンス、病棟の学習会(DNARとACP)といろいろ忙しかったのですが、17時半ころには病院を出て18時過ぎには帰宅しました。お風呂入って夕食、アルコールをちょっと飲んでこのブログを書いております。

・きょうは私の母親が亡くなって5年目。母親を思い出すたびに、ああすればよかったこうすればよかったと後悔ばかり。本当に親不孝でした。唯一?親孝行だったのは、母親より先に死ななかったこと。母親は常々「一番の親不孝は親より先に死ぬこと」と言っておりました。子供を3人持ったいま、本当にそうだと思っております。今、親御さんが存命の方々は、「もし親御さんがなくなったら・・・」ということをイメージして後悔内容に親孝行をしてくださいね。

 


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