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遺伝と行動/なかなか仕事がきついです

過去何回か生活習慣病という言葉というか概念というか、現場での「理解」というか用い方に問題があるというようなことを書いたと思います。そもそも「生活習慣病」という言葉は、誰がどういうつもりで提起したのか知っている医療従事者は少ないと思います。過去何度も(?)ご紹介しましたが、↓です。


生活習慣に着目した疾病対策の基本的方向性について(意見具申)


公衆衛生審議会(平成8年12月18日)




↑の中に載っている図が↓



生活習慣病.png


わかりやすいと言えば、わかりやすいのですが、「外部要因」「遺伝要因」「生活習慣要因」と独立に描かれていますが、それぞれ色んな矢印が書けるはずです。ひとつには「遺伝要因」から「生活習慣要因」、つまり遺伝子が行動を決めるということ。↓のような文献がありました。


遺伝と行動


行動医学研究26 巻 (2021) 1 号


西垣 昌和




【要約】ヒトゲノムプロジェクトの完了や、次世代シーケンサーの登場に代表される、ゲノム科学の発展は、遺伝要因と形質・表現型との関連の探求に大きなパラダイムシフトをもたらした。従来は、双子研究に代表されるような、理論上の遺伝的一致率と、形質の類似性を観察することによって、遺伝要因の影響の強さを推定する手法が盛んにおこなわれてきた。そこから、様々な遺伝子とその機能が明らかになるにつれて、ある遺伝子の遺伝子型を特定し、表現型との関連を直接検討するような候補遺伝子アプローチが始まった。そして現在では、遺伝子を限定せずに、網羅的に解析されたゲノム情報にもとづいて、表現型との関連を探求する手法が全盛である。そのような網羅的な手法の登場は、従来はメンデル遺伝病の一つの原因遺伝子を探ることを中心に展開されてきた研究領域を拡大し、多因子疾患や行動のような様々な因子の関与が考えられる複雑な形質まで対象とするようになった。これらのパラダイムシフトによって、今後様々な形質と遺伝要因との関連が明らかになってくることが想定される。それらの研究の成果をいかに社会に還元していくかが、ポストゲノム時代のゲノム科学研究において重要なテーマである。


・今日の議論とは別ですが、↑の論文の最後に倫理的な問題が書かれています↓どんな社会になっていくのか怖い気がします。


遺伝と行動の関係が明らかになったとして、それがどのように社会に還元されるのだろうか。医療や、健康に関する行動であれば、PGS によってリスクを層別化して、医学的・保健的介入の強度や内容を変えるといった臨床応用が浮かぶ。では、
その他の行動はどうであろうか。例えば、冒頭で述べたモノアミンオキシダーゼ A 遺伝子 MAOAは、攻撃的な行動や反社会的な行動との関連を示した報告が数多くなされており、“criminal gene”とさえ呼ばれている。その他にも、同様の行動と関連が報告されている遺伝子は複数ある。もし、それらの遺伝子情報を用いた PGS を算出することが可能になったとして、高いスコアが得られた場合には、その個人に対しどのような対応を取るのだろうか?たとえ実際に攻撃的あるいは反社会的な行動をとっていなくても、それらの行動をとる「ハイリスク」という烙印を押し、個人の意思に反して監視下に置くことは許されない。ゲノム情報をもとにした差別などあってはならないことは言うまでもない。だからといって、その情報を放置しておくことは社会に対しての善行といえるだろうか。そこには倫理的なジレンマが生じる。


以下日記

・本日1/24(月)は6時19分起床。朝勉、朝食、ゴミ出しして午前中はZOOMで因果推論の勉強会でした。午後から出勤。そうそう入院患者さんの状態悪化。なんとか対応して夜間診療。それが終わって帰れるかなと思ったら別の患者さんの病状悪化。帰宅は21時過ぎとなりました。で、お風呂入って夕食。その後コーヒーをいれてテーブルに運んでいたら、ふらついてこぼしてしまいました。下肢に麻痺が来ているのかちょっとびびりましたが、そうではないみたいです。今日の昼食もなかなか思い出せなかったし、何か体に変調が来ているのかしら。その後ちょっとだけ勉強してこのブログを書いております。そろそろ寝ます。明日夕方大学院のcritical appraisalですが、この調子(仕事が多い)なら参加は難しそう。

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