珪肺ブルース、職業病パンデミック/1日引きこもり
・仕事から疲れて帰ってくると、もうコリャー、ビールを飲まないとやっとれんわと思うことしばしば。その時いつも思うのは「今日の~、仕事は~つらかった、後は焼酎をあおるだけ」という山谷ブルースの一節です。と、言ってもどれだけの人が、この歌を知っているのでしょうか?↓をご参照ください。
吉幾三がうたっているやつ↓
・山谷と言えば、熱心な読者の皆さんは覚えておいででしょうが、以前↓のような本をご紹介しました。
山谷でホスピスやってます。 (じっぴコンパクト新書) (じっぴコンパクト 52)
- 作者: 山本 雅基
- 出版社/メーカー: 実業之日本社
- 発売日: 2010/01/15
- メディア: 新書
・それはさておき(今までが前置きです:長いっ!さすが昭和のオッサン)
今日はじん肺と関節リウマチに関する論文を書いていたのですが、たまたま↓のような記事を見つけました。"silicosis blues"訳せば「珪肺ブルース」ですね。この解説の中で、アメリカで珪肺が多発したことが書かれています。そういえば、遠い昔そのような話を読んだことがあるなぁと思い出しました。私が読んだのは↓の記事。
ココで、
White became aware of The ‘Hawks Nest Tunnel Disaster’, one of America’s worst industrial catastrophes. Workers involved in hydroelectric schemes during the 1930s constructed a tunnel and dam near Hawks Nest, West Virginia, the discovery of rock containing a high silica content leading to the workers being asked to mine it for use in the electro-processing steel industry. A failure to provide dust control measures and suitable respiratory protection resulted in unprotected exposure to high levels of airborne silica and pulmonary disease among the largely black, migrant workforce—including the development of acute silicosis. A congressional hearing in 1936—the year White wrote ‘Silicosis Blues’—put the likely death toll at 476, although some consider that a substantial underestimate —and how many more developed chronic silicosis and associated pathologies in later years is unknown. Following the congressional hearing, a House of Representatives Subcommittee report in 1936 was damning:
と書かれています。上をDeepLで訳したのが↓(特にあえて、私は文章には手を入れていません。どの程度翻訳の力があるかご確認ください)
ホワイトは、アメリカ最悪の産業大惨事のひとつである「ホークスネスト・トンネル災害」を知った。1930年代に水力発電計画に携わっていた労働者たちが、ウェストバージニア州ホークスネスト近郊にトンネルとダムを建設した際、シリカを多く含む岩石が発見されたため、労働者たちは電気加工鉄鋼業で使用するための採掘を依頼された。防塵対策と適切な呼吸保護具が提供されなかったため、高濃度の空気中シリカに無防備にさらされ、主に黒人の出稼ぎ労働者の間で肺疾患が発生した。ホワイトが「珪肺症のブルース」を執筆した1936年の議会公聴会では、死亡者数は476人とされたが、これはかなり過小評価であるとの見方もある。議会公聴会の後、1936年の下院小委員会の報告書はひどいものだった:
↓がその歌
・上の文章ではcatastropheと書かれていますが、珪肺の多発ですね。標題に職業病パンデミック?と「?」と付けたのは、そういう言葉使いが妥当なのかと思ってつけました。なんで、「?」をつけた標題を付けたかというと、つい先日昔の職業病の多発(スペインのバルセロナで「流行った」気管支喘息)の文献をしったからです↓
Identification and partial characterization of the soybean-dust allergens involved in the Barcelona asthma epidemic.
J Allergy Clin Immunol. 1990 Apr;85(4):778-84. doi: 10.1016/0091-6749(90)90198-d.
【Abstract】
*英語の後の日本語は、PubMedXというソフト(と言うのか?)で、訳されたもの。訳がおかしいところありますが、その能力をみてもらうため、そのまま貼り付けました。
Asthma epidemics in Barcelona, Spain, have been attributed to dust generated by the unloading of soybeans in the harbor. Sera of four different groups of 10 subjects in each group were studied: (1) patients attending an emergency room in Barcelona for an asthma attack on epidemic days, group A, (2) patients attending an emergency room for an attack on nonepidemic days, group B, (3) patients with asthma from other cities, group C, and (4) patients without asthma from Barcelona matched by age and sex with group A, group D. All subjects in group A had IgE to allergens in extracts of various soybean samples. In contrast, only one of the 10 subjects in each of groups B and C and none of those subjects in group D had IgE to uncleaned bean and hull extracts. Radioimmunoassay demonstrated that in sera from patients with asthma during an asthma outbreak reacted primarily to soybean hull and dust extracts. Sodium dodecyl sulfate-polyacrylamide and gel electrophoresis thin-layer isoelectrofocusing demonstrated protein bands of 97.4 to less than 14.4 kd and isoelectric point between 6 and 3.5. By Western blot and thin layer isoelectrofocusing/blotted radioimmunoisoelectrofocusing, IgE of patients with asthma during an asthma outbreak reacted weakly to two protein bands of molecular weight ranging from 42 to 21 kd, strongly to glycoprotein bands with molecular weight less than 14.4 kd, and isoelectric point less than 6, which appeared to be the major allergens.
抽象的な
スペインのバルセロナで喘息が流行したのは、港での大豆の荷下ろし時に発生する粉塵が原因だと考えられている。各グループ 10 人の被験者からなる 4 つの異なるグループの血清を研究しました: (1) 流行日に喘息発作のためバルセロナの救急治療室に来院した患者、グループ A、(2) 非流行日に喘息発作のために救急治療室に来院した患者、グループ B、(3) 他の都市の喘息患者、グループ C、および (4) バルセロナの喘息のない患者は、グループ A、グループ D と年齢および性別が一致しました。グループ A の被験者は全員、さまざまな抽出物中のアレルゲンに対する IgE を持っていました。大豆のサンプル。対照的に、グループ B および C の各 10 人の被験者のうち 1 人だけが、未洗浄の豆と皮の抽出物に対する IgE を持った被験者はグループ D にはいませんでした。ラジオイムノアッセイにより、喘息発生時の喘息患者の血清は主に大豆皮と粉塵抽出物に反応することが実証されました。ドデシル硫酸ナトリウム - ポリアクリルアミドおよびゲル電気泳動薄層等電点電気泳動により、97.4 kd ~ 14.4 kd 未満のタンパク質バンドおよび 6 ~ 3.5 の等電点が実証されました。ウェスタンブロットおよび薄層等電点電気泳動/ブロット放射性免疫等電点電気泳動により、喘息発症中の喘息患者の IgE は、分子量 42 ~ 21 kd の範囲の 2 つのタンパク質バンドには弱く反応し、分子量 14.4 kd 未満の糖タンパク質バンドには強く反応し、等電点ポイントは6未満であり、これが主要なアレルゲンであると考えられます。
スペインのバルセロナで喘息が流行したのは、港での大豆の荷下ろし時に発生する粉塵が原因だと考えられている。各グループ 10 人の被験者からなる 4 つの異なるグループの血清を研究しました: (1) 流行日に喘息発作のためバルセロナの救急治療室に来院した患者、グループ A、(2) 非流行日に喘息発作のために救急治療室に来院した患者、グループ B、(3) 他の都市の喘息患者、グループ C、および (4) バルセロナの喘息のない患者は、グループ A、グループ D と年齢および性別が一致しました。グループ A の被験者は全員、さまざまな抽出物中のアレルゲンに対する IgE を持っていました。大豆のサンプル。対照的に、グループ B および C の各 10 人の被験者のうち 1 人だけが、未洗浄の豆と皮の抽出物に対する IgE を持った被験者はグループ D にはいませんでした。ラジオイムノアッセイにより、喘息発生時の喘息患者の血清は主に大豆皮と粉塵抽出物に反応することが実証されました。ドデシル硫酸ナトリウム - ポリアクリルアミドおよびゲル電気泳動薄層等電点電気泳動により、97.4 kd ~ 14.4 kd 未満のタンパク質バンドおよび 6 ~ 3.5 の等電点が実証されました。ウェスタンブロットおよび薄層等電点電気泳動/ブロット放射性免疫等電点電気泳動により、喘息発症中の喘息患者の IgE は、分子量 42 ~ 21 kd の範囲の 2 つのタンパク質バンドには弱く反応し、分子量 14.4 kd 未満の糖タンパク質バンドには強く反応し、等電点ポイントは6未満であり、これが主要なアレルゲンであると考えられます。
・同様の文献↓
Community Outbreaks of Asthma Associated with Inhalation of Soybean Dust
Josep M. Antó, M.D., Jordi Sunyer, M.D., Robert Rodriguez-Roisin, M.D., Maria Suarez-Cervera, Ph.D., Luis Vazquez, Ph.D., and the Toxicoepidemiological Committee
【Abstract】
Since 1981, 26 outbreaks of asthma have been detected in the city of Barcelona. The geographic clustering of cases close to the harbor led us to consider the harbor as the probable source of the outbreaks. We therefore studied the association between the unloading of 26 products from ships in the harbor and outbreaks of asthma in 1985 and 1986.
All 13 asthma-epidemic days in these two years coincided with the unloading of soybeans (lower 95 percent confidence limit of the risk ratio, 7.2). Of the remaining 25 products, only the unloading of wheat was related to the epidemics of asthma, although when adjusted for the unloading of soybeans the relation was not statistically significant. High-pressure areas and mild southeasterly to southwesterly winds, which favored the movement of air from the harbor to the city, were registered on all epidemic days. Particles of starch and episperm cells that were recovered from air samplers placed in the city had morphologic characteristics identical to those of soybean particles. Furthermore, the lack of bag filters at the top of one of the harbor silos into which soybeans were unloaded allowed the release of soybean dust into the air.
We conclude that these outbreaks of asthma in Barcelona were caused by the inhalation of soybean dust released during the unloading of soybeans at the city harbor. (N Engl J Med 1989; 320:1097–102.)
以下DeepLで訳したもの(修正せずにそのまま貼り付けてます)
要旨
1981年以来、バルセロナ市では26件の喘息の集団発生が検出されている。症例が港の近くに地理的に集まっていることから、港が集団発生の原因である可能性が高いと考えられた。そこで、1985年と1986年に港で行われた船舶からの26製品の荷揚げと喘息の発生との関連を調査した。
この2年間で喘息が流行した13日はすべて大豆の荷揚げと一致していた(リスク比の95%信頼下限、7.2)。残りの25品目のうち、小麦の荷下ろしのみが喘息の流行と関連していたが、大豆の荷下ろしで調整すると統計的に有意な関係は見られなかった。高気圧と穏やかな南東風から南西風は、港から市街地への空気の移動を促し、すべての流行日に記録された。市内に設置されたエアサンプラーから回収されたデンプンおよび胚乳細胞の粒子は、大豆の粒子と同じ形態学的特徴を持っていた。さらに、大豆が荷揚げされる港のサイロの1つの上部にバグフィルターがなかったため、大豆の粉塵が空気中に放出された。
我々は、バルセロナで発生したこれらの喘息は、市内の港で大豆の荷揚げ中に放出された大豆粉塵の吸入が原因であると結論づけた。(N Engl J Med 1989; 320:1097-102).
DeepL.com(無料版)で翻訳しました。
・ちょっと、ちょくちょく職業病の多発を探してみたいと思います。すぐ思い出すのは、大阪の印刷工場でおこった胆管癌の多発ですね↓
緊急特集 職業性胆管癌
・あと、パンデミックと言って間違いないのは石綿の健康被害でしょうね。今後も、ボチボチこのような事例を見つけては、ご紹介していこうと思います。
以下今日だけの日記
・本日6月22日(土)はお休み。6時半過ぎにベッドから抜け出して朝食後10時くらいまで、じん肺と関節リウマチに関する論文作成。その後読書や掃除。お昼に本日義理の姉夫婦がお土産に持ってきてくれてた倉吉の缶麦酒をいただきました。その後も事務作業してお昼寝。その後『医療安全概論2024』のe-ラーニングのvideoを視聴。ネコたちに餌やりに言って入浴、夕食。その後このブログを書いております。これからChatGPT関係の本を眠くなるまで読みます。
・明日も休みの予定午前中は論文作成かもしくは「浅口まるごと産業祭」に行くかも知れません。午後は「松元ヒロ ソロライブ」に行きます。
2024-06-22 21:23
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