心電図でケブネル現象/宮島でひいたおみくじは凶
ECG-Induced Koebner Phenomenon
N Engl J Med 2017; 377:2180 Nov. 30, 2017
http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMicm1706993
・ケブネル現象とは、『医学書院医学大辞典第2版』の説明では↓
ケブネル現象 Koebner phenomenon、Köbner phenomenon
[同義語]ケブネル徴候 Koebner(Köbner) sign,同形反応 isomorphic response
皮膚疾患において外的刺激を受けた部位に疾患固有の病巣が出現する現象。乾癬において初めて報告された(1876)。乾癬のほか扁平苔癬,光沢苔癬,エリテマトーデス,白斑,ケロイド,サルコイドーシスなど,主に経過の長い炎症性疾患や自己免疫性疾患にみられる。誘因には動物咬傷,熱傷,凍傷,日光,掻破,摩擦,圧迫,剥離,外科的切開,BCG注射,紫外線・放射線治療,瘢痕などがある。発生病態は,外的刺激によって炎症性サイトカインや細胞接着因子の活性化が起こり疾患固有の生物学的反応が惹起されると推測されている。(Heinrich Köbner,1838-1904,皮膚科,独,原音に近い表記はケブナー)
・心電図とって、こういう現象がみられたら、上記にあるような疾患を思い浮かべないといけませんね。
cf. 乾癬について
皮膚科Q&A 乾癬
https://www.dermatol.or.jp/qa/qa14/
以下日記
・ここ1週間ブログをアップしておりませんでした。もう、大分忘れたのですが、過去を振り返ってみます。
・11/24(金)午前中は外来。午後は産業医面談2件して、その後CPAPの勉強会。その後体調が悪くなったDr.の代わりにちょっとだけ夜間診療。午前中に、「オレがやるわ」と宣言したら、お昼頃に看護師さんたちが「お礼」と言って、私にアンコのお菓子類(まるで、「おかんき」の帰りにもらって帰る、お菓子類の詰め合わせ)をくれました。まだ、夜間診終わってないのに...ちょうど外来師長が外に会議に出ているので連絡とって買ってきてもらったみたいです・・・看護師さんのやさしい心遣いに涙と鼻水がながれてしまいました。
・11/25(土)は、11/23(木)がお休みだったため、臨時の水島協同病院での産業医学科外来。水島コンビナートで働く労働者の「長時間労働者への医師による面接指導」が1件入っていました。私が産業医学科を始めた1990年ころは、絶対に水島コンビナートの労働者が来ることがなかったのですが、最近はチョクチョクこられます。驚きなのは会社が当科に行きなさい指導していること。水島コンビナートの中がどうなっているのか知りたいところです。それは、さておき臨時で土曜日働いたので、看護師さんおすすめのお店にお昼ご飯食べに行ったら、すでにランチが売り切れてお店が閉まっていました。しゃーないから、ビックリドンキーまで行ってランチして、倉敷駅まで送ってもらって、ロフトでお買い物。念願だった最近発売のジェットストリーム0.38mm芯を購入。→岡山へ。16時から17時半まで会議、その後懇親会でした。
・11/26(日)家族の誰かが言い出したのか忘れましたが、紅葉をみたいという意見より家族4人(次女は他の用事で不参加)で宮島まで行ってきました。朝10時半頃付きましたが、結構な人でした。悲しいことに紅葉は終わりかけていましたが、宮島を散策(?)して、おいしいもの食べて、良かったです。ロープウェイにものろうと思いましたが、なんと大人一人往復1800円、小市民な私たちは乗るのを諦めました。標題にあるように、おみくじひいて凶がでましたが、私は全然気にしません。逆にめったに凶なんてひかないので、ラッキーと思ったりして。帰りは、紙屋町のそごう、アクアでショッピング。まあ、私は紀伊国屋とロフトしか行っていませんが。で、夜はお好み焼き食べて帰りました。
・11/27(月)の午前中は大学院で勉強。午後は玉島協同病院で外来。帰宅して勉強していましたが、22時前に眠くて眠くて...しかし、寝付けず、蛇の生殺しみたいな状態でした。
・11/28(火)は、1日大学院で勉強。前日の睡眠不足のため、夕方のcritical appraisalの時は、ちょっとウトウトしてしまいました。
・11/29(水)は午前外来、午後カンファレンス、夜間診療。そして当直でした。0時までは落ち着いていて、今度の土曜日の講義の準備(私が講師でする方)ができました。
・11/30(木)夜中は、2回起こされ、今朝は7時前に起こされて少し病棟の対応。そして、午前中外来でした。午後は、薬の学習会、その後労安、その後病棟師長さん達と人工呼吸の観察項目、アラームについての話し合い。その後書類作成でした。さすがにしんどいので18時前に帰宅。早めの夕食で、録画の「月曜から夜ふかし」をみました。で、夕食食べすぎて苦しくて何もできないので、このブログを書いております。このブログ書き終えたら入浴して、ちょっと勉強して22時ころには寝たいと思っております。
・明日は午前外来、午後はちょっと時間が空くのですが18時から水島で会議に出ます。年ですので、最近は夜の会議はつらい。来年からの働き方を考えないといけません。
苺状歯肉炎/丸亀訪問
Strawberry Gingivitis in Granulomatosis with Polyangiitis
N Engl J Med 2017; 377:2073 Nov 23, 2017
http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMicm1706987
本文中にあるように、まれな病変だけど、こういう変化があれば、多発血管炎性肉芽腫症(granulomatosis with polyangiitis: GPA・・・むかしWegener肉芽腫症といっていたもの)を考えればよろしいみたいですね。
ちなみに、Strawberry Gingivitisという言葉は『医学書院医学大辞典第2版』『南山堂医学大辞典第19版』には出ていません。医中誌でさがすと一件のみ苺状歯肉炎ということでヒットしました。これは、多分顆粒状歯肉炎garanular gingivitisと同じものではないかと思います。(違っていたらごめんなさい)医中誌で探すと3件ヒットしましたが、みんな同じ著者のものでした↓
顆 粒 状 歯 肉 炎 を初 発 症 状 とす るWegener肉 芽 腫 症 の 病 態 の 転 帰 お よ び そ の発 症 機構 に 関 す る免 疫 学 的 考 察
日本歯周病学会会誌 34巻4号 1992年12月
https://www.jstage.jst.go.jp/article/perio1968/34/4/34_4_916/_pdf
要旨: 日本歯科大学歯学部附属病院歯周病科および口腔外科 において経験 した, 極めて希な特異的歯肉炎が初 発症状 と考 えられる全般性Wegener肉 芽腫症 (Wegener's Granulomatosis) の症例 (43歳 男性) に関し, 特 に 発症初期における歯周組織の状態, 病態の推移に関 して報告すると共に, 免疫学的見地からその発症機構 につい て考察を加 えた。 本症例で特徴的なのは, (1) 顆粒状歯肉炎が全ての病的変化 に先だち, それが初発症状である と考 えられたこ と, (2) 電撃的かつ激烈な歯肉お よび口腔粘膜の壊死の進行, (3) 病変の進行に伴 う急速 な歯牙の脱落, (4) 急激 な 全身の臓器への肉芽腫性病変および血管炎の波及, (5) T細 胞 の比率の減少, B細 胞の比率の上昇, (6) NK細 胞 の比率の上昇等であった。 以上のことより, 本症例の発症の背景因子 として歯周疾患があ り, 未知 の因子の介在 により自己免疫系が賦活 された ことで急速かつ高度な歯周組織破壊が進 み, 局所から全身に血管炎および壊死性 肉芽腫性病変が波及 し, 死の転帰をとったもの と考 えられた。
以下日記
・本日11/23(木)は勤労感謝の日。とくにdutyがありませんでした。で、本日は丸亀の猪熊弦一郎現代美術館=MIMOCAへ一人で行ってきました↓
『戦時下の画業』というテーマの展示でした。私、芸術と権力との関係にちょっと興味があるので、観てきました。たまたま本日は、開館26周年記念で入館料無料でした。おまけにショップでいくらか買うとクジがひけました。4等だったのですが、なんとTシャツがあたりました↓
内容は文章力がないのでなかなか説明できません。興味深かったのは、「〇〇方面鉄道建設」というもの。なんじゃ、この〇〇は?と思いましたが、これは、伏字のようなものですね。彼は、軍部の命令で戦意高揚のため絵をかきにビルマにいっていて、あの有名な泰緬鉄道の建設現場を描いたのですが、軍部より作戦上場所が明確になってはいけないので、名前をかえろというような指示がきて(これは、その指示の文書が展示されておりました)、○○としたようです。ひょっとしたら、ささやかの抵抗だったのでしょうか?(これは、私の推測です)一緒に展示されていた佐藤敬という画家の文章も興味深かったです。
・話は前後して、丸亀には10時前についたのですが、当然うどんを食べるため、綿谷というお店へ。かけうどん小たのんで、アゲと生卵、アジフライで450円。おなか一杯になって美術館へいきました。美術館行った後は、丸亀城へ。途中通った商店街がほぼシャッター街のようでちょっと悲しかったです。丸亀城は、坂がきつかった。200円で天守閣を見て、それから駅の方へもどって、「一鶴」へ。最初お昼ご飯もうどんをたべるつもりでしたが、FACEBOOKで友達が「一鶴本店ははずせんやろ!」という強いお勧めで、予定変更し一鶴へ。幸い並ばずに入れましたが、残念ながら喫煙席でした。まあ、我慢して、ひなどりとノンアルコールビールを頼みました。これが、本当にアルコールならよかったのですが...一人ではいるものどうかなと思っていましたが、結構おひとりさまの人もおられましたね。今度行くときは、だれか友達誘っていこう。
・一鶴で食事後は、ひたすら帰宅です。家に着いたのは15時半過ぎ。あとはひたすら原稿の作成と講義の準備をしました。
・では、これからちょっと事務作業をして、早めに寝ます。明日は、午前外来、午後産業医面談2件とCPAPの勉強会。早く帰ってこれるはずですが...
波乗りする人の耳/エキサイティングな講義
ガイジドウキョウサクショウ
[英]external auditory canal stenosis
外耳道が先天性・後天性の原因により,骨性・軟骨性・膜性に狭窄した状態。先天性では第一鰓溝から生じて,軟骨外耳道になる一次性外耳道と,外耳道上皮板から生じ骨性外耳道になる二次性外耳道が交通する過程で生じる。後天性では,炎症,外傷,手術後変形で生じることが多い。サーファーズイヤ(surfer's ear)は外耳道外骨腫により生じた外耳道狭窄症である。特に先天性外耳道狭窄症には外耳道真殊腫が合併していることが多いので注意する必要がある。
「サーファーズイヤー(外耳道外骨腫)の手術経験」
頭頸部外科 27(1):11~16 2017
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjshns/27/1/27_11/_pdf
研修医への外来講義:検査について/イチロー・カワチ先生の社会疫学講義
・先日、私が研修医へ外来診療についての心構えやコツ、注意すべきことについてレクチャーして、その内容を紹介してきました。今日は、その最後で、外来での検査について。
4.検査
・定期検査はあらかじめ「次、採血しましょうね」とお知らせしておく
*定期的に受診されれている患者さんには1年間の検査スケージュールをつくっておき、診察終了時次回どのような検査をするつもりか、あらかじめ断っておきましょう。患者さんのスケジュールのこともあるし、心構え、懐具合のこともあるので、極力検査は事前にお知らせしておく。
本来、年間スケジュールを書いたものをお渡ししておけば良いのですが、それはまだできていません・・・来年の課題かな。
・検査の費用も説明できればベター
*どれくらいの、費用がかかるかあらかじめお知らせしておくのがベター。医療機関の支払いって、寿司屋の「時価」みたいなところがありますからね。
これも、年間計画をたてたら、実際これくらいの費用がかかりますよとあらかじめ言えればよいのですが、まだ、そこまで至っていません。
・検査するとき、その検査結果で自分の行動が変わるかどうか考える
*時々、いっぱい検査をするDr.を見かけますが、その検査結果をみて、自分の行動(治療方針や説明の仕方等)が変わるかどうか確認してみる。何も変わらなければ、ほとんど検査をする意義はありませんね。(「ほとんど」と書いたのは、いろんな規則や法律にのっとって検査しないといけない場合もあるので)
・データは必ず確認する。データがでるのが後日の場合、メモや電カルの活用
*時々、研修医に「データは?」ときいたとき、「まだです」という答えが返ってくることがあります。大体どれくらいの時間で検査結果がでるか、ちゃんと勉強しておき、その時間がたってもデータがでてないときは、検査室に問い合わせるということが必要です。受け身になっていては、いけません。
また、データが後日出る場合、そのデータを確認することを忘れたりするので、メモとか電子カルテの「予約」のところに「データチェック」と記入して、見逃しの内容にすること・・・時々、新聞でデータを見逃していたという記事がでておりますが、決してそのようなことがないように注意。
・必要なデータは、自分から聞きに行く
*すでに、このことは書きました。
・検体の間違い、人間違い、記載間違い等あることに気を付ける
*書いてる通りで、必ず名前を確認すること。また、今までの情報と新たなデータがとっても矛盾するときは、検体の取り違え等も考えないといけません。
・慢性疾患は、あらかじめ計画を立てておく。全身管理を心掛ける。
*高血圧のみ、気管支喘息のみで患者さんが受診していても、全身管理に気を付けること。健診・人間ドック等をうけているかどうか確認。
以下日記
・11/20(月)~22(水)までは、岡大医学部で、ハーバード大学のイチロー・カワチ先生の社会疫学の集中講義です。これは、ハーバードのMPH(master of public health)で行っている講義と同じものだそうで、居ながらにしてハーバード大学の講義が聴けるのは、とてもラッキーです。
・11/20(月)は講義のあと、イチロー先生の好きな日本酒の試飲会。最初1時間以上のレクチャー後4種類の日本酒の試飲。本当に試飲のみ。その後美女二人と夕食に行きました。で、帰宅は22時半くらい。即寝です。
・11/21(火)も1日講義。イチロー先生は、研究結果をみるとき必ず考慮すべきもの二つ:因果の逆転と交絡。私、何回も当てられて、繰り返し同じことを答えました。私は、わかっていましたが、私の後輩達も、これで覚えたでしょう。
講義後はイオン岡山によって、それから高島屋の地下で美女とたこ焼きたべてから、帰宅です。かえって、本日宿題がでたので、それを考えて、入浴。軽い夕食です。
・それでは、明日社会疫学集中講義の最終日です。それに備えて早く寝ます。
・写真は、ごくごくごくわずかですが私が翻訳にかかわった「社会疫学」の本。本日、イチロー先生にサインをいただきました。
すりガラス(状)結節を呈してモルトリンパ腫/2日続けて生演奏
肝鎌状間膜徴候?/禁酒期間終了
Falciform Ligament Sign
N Engl J Med 2017; 377:e28November 16, 2017
研修医への外来講義詳解:診断/気持ちよく診療
3.診断
・患者さんの訴えは、その通り書く・・・患者さんの「健康問題物語」(患者側の解釈モデル)を知る
*患者さんが、「風邪をひきました」と外来に来た場合、「風邪かどうかは医者が診断する」とおこるDr.がいます。患者さんが診断名をいうと不愉快になるお医者さんはいるみたいですね。確かに全然的外れなことを言ってはる患者さんもいます。ただ、それは、なんと非科学的、医学に反したことをいっている患者だと決めつけるのではなく、「ああ、この患者さんは自分の病気をこうとらえているのだな」と受け止めるべきです。難しい言葉で言うと疾病の解釈モデルとなります。それを簡単な言葉で言うと「健康問題物語」・・・この言葉は、↓の本からの引用です。
外来でのコミュニケーション技法―診療に生かしたい問診・面接のコツ (junior新書)
- 作者: 飯島 克巳
- 出版社/メーカー: 日本医事新報社
- 発売日: 2006/03
- メディア: 新書
外来でのコミュニケーション技法―診療に生かしたい問診・面接のコツ
- 作者: 飯島 克巳
- 出版社/メーカー: 日本医事新報社
- 発売日: 1995/07
- メディア: 単行本
・よく3C(common, critical, curable)といわれるが...
*診断学のに本に上記のように疾患の鑑別診断をする場合、common=一般的によくある疾患、critical=見逃したら大変な結果となる疾患(ex. 心筋梗塞とか癌)、curable=治せる疾患を考えよとよくと書かれています。私は最初の二つは良いのですが、最後のcurableというのがどうも納得がいきません。治せなくても「緩和」はできるはずですから。ただ、最初に3Cを提唱した人がだれかわからず、元文献にあたっていないので、どういうつもりでcurableと書かれたかわかりません。そのうち、それをみつけて読んでみたいと思っています。
私は、CCOもしくはCCEとしてほしい O: occupational E: Environmental
*3Cがだめならどうする?私は、3Cの最後のcurableをかえて、CCOもしくはCCEとしてほしいと思っています。Oはoccupational、Eはenvirnmentalです。日常診療では、どうしても職業性疾患が見逃されやすいからです。別にこれは私が行っているのではなくアメリカのIOMという研究機関が言っているし、ハリソンの内科学書にもかいているし、アメリカの国会でも取り上げられています。
最近の流れではEがよいかも。SDH: Social Determinants of Healthが重視されてきている。
*上記のように最近では、SDHとかSES:socioeconomic statusが疾病に深く関係しているという認識が広まりつつあるので、Environmental・・・ここでは自然環境のみでなく社会環境も考える(当然職業も)を疾病の鑑別診断にいれるのがよろしいのではないでしょうか。
・最初にcriticalな疾患を考え、除外しておくと後の診療が楽
*上記は書いた通り。最初に見落としたら重大な疾患を頭に浮かべ、それを除外して、ゆっくりと他の疾患を考えていくという外来の流れがよろしいでしょう。(重篤な疾患を除外するために、何でも検査いっぱいせよと言っているわけではございません)
・鑑別診断は、必ず挙げる。その癖をつける。絶対決め打ちしない。それがたとえ風邪だとしても。
*これもそのとおりで、ありふれた疾患と思っても必ず鑑別診断、もしくは合併症をひねりだして考えましょうということです。教科書にも書いていますが、風邪だとおもっていたら肝炎だったり、胃炎と思っていたら心筋梗塞だったり...
・よく使われるのがVINDICATE!!!P
V:Vascular:血管系、I:Infection:感染症、N:Neoplasm:新生物(良性、悪性)、
D:Degeneration:変性疾患、I:Intoxication:薬物・毒物中毒、C:Congenital:先天性、
A:Autoimmune:自己免疫/膠原病、T:Trauma:外傷、E:Endocrine/Metabolic:内分泌代謝系、I:Iatrogenic:医原性、I:Inheritance:遺伝性、I:Idiopathic:特発性(原因不明)、P:Psychogenic:精神・心因性
*上記は教科書によく引用されている鑑別診断の挙げ方ですが、私は、これには不満です。前述のように職業性や環境性疾患が考慮されていません。故に、↓のような鑑別診断の「リスト」(?)を作っています。
・わたしは、MEDIC TO VAN, 最近では V DOT CINEMA SPとしています。
VIDICATEでは、Occupational, Environmentalがない
SはSystemicで、全身性疾患の部分症ではないかと考える
・鑑別診断のみでなく合併症も考える。
・見通しや今後起こることを患者さんに伝えておく。(特にどれくらいで症状が改善するか)薬の副作用も。あらかじめ言っておくのと言わないのは雲泥の差。
*できるだけ、疾患の目途というものを患者さんに話しておかないと、患者さんは、勝手に薬飲んだらすぐ治るものと思ってしまいます。例えば、嗄声なんかは、薬飲んで1,2日でなおることはめったにないことを言っておかないと。また、インフルエンザも抗ウイルス剤飲んでもそんなにすぐは熱は下がらない。肺炎は治療期間は、これくらい等々見通しをお話ししておくことが大切です。(なかなか、わたしもできておりません)
また、副作用は当然すべてを説明できませんが、よくあるものと重篤なものは説明しておくべきです。最近は、院外処方なので、薬剤師さんがよく説明してくれますが、逆にそれをきいて(もしくは薬の説明書きを読んで)不安になって薬飲まないということもあります。やはり、処方する医師が対面で説明するのが「いまのところ」は一番よいみたいに思います。(異論があるかもしれませんが)
以下日記
・本日11/11(土)は5時半前に起床。朝勉ができました。朝一で二つの訃報のメールをみて、気分がどんより。誰かにこの胸のモヤモヤをはなしたい気分になりました。そこで、ふと思ったのは、胸のモヤモヤを話したいなと思った人が、「友達」なんだなと。
・朝勉後福山へ。午前中城北診療所で外来。今日来られた患者さん達の雰囲気(とでもひょうげんすべきでしょうか?)がよくて、気持ちよく診療ができました。診療後歩いて福山駅へ。買い物して、ラーメンの昼食とって帰宅です。すでに、15時半。眠気が異常にあったので、遅めの昼寝。目が覚めてから来週の講義の準備をひたすら。それからお風呂入って夕食とって、このブログを書いております。これが書き終わったら、もうちょっとだけ勉強して、机の上を片付けて、寝ます。
・明日は午前中一気にある原稿を書き上げ、午後はそば打ちクラブ。帰ってきて、また講義の準備をするでしょう。ああ、映画観に行きたい。とくにブレードランナー。しかしこれは、上映時間がながい。おしっこ我慢できないぞ。
研修への講義(外来診療)詳解(と、言うほどでもないが)/乱数模様はじめました
・先日「地域研修」に来られている研修医に外来に関するレクチャーをしたことは書きました。その時使ったレジュメをお示ししましたが、本日は詳解(というほどでもないが)いたします。
2.診療の最初
・立って挨拶、視線をあわせる(必要ならバニーガールのように膝を立ててしゃがむ)
*診察室に患者さんが入ってこられたら、立って挨拶をする。帰られる時の座って挨拶をしましょう。・・・私が若かりし頃は、患者さんが入られた立ってら最敬礼をされるのに私は座ったまま、診療がおわったらまた最敬礼されるのに私は座ったままという状況がありました。他のDr.が何かの会話で、本来立って挨拶すべきだよねというのを小耳にはさんで、じゃあ、本来すべきことをやろうと、診療の前後で立って挨拶するようにしました。当初は、何故か抵抗感がありましたが、今は全く自然にできます。当初の「抵抗感」は私が「お医者様」という意識をもっていたからでしょうか...研修医の先生には、せめて1回は立って挨拶したらどうでしょうかと「推奨」しました。
あと、視線を合わせることですが、これは診察室の挨拶のみでなく、すべての診察の場面で気を付けたいこと。極力上から見下ろすのではなく、視線をあわせること。これは、あのオスラーがやっていたことですね。突然、バニーガールがでてきましたが、わかるでしょうか?解説は簡単に。昔(今も?)パブ何かでバニーガールのウエイトレスさんがいて、客のテーブルで水割り何か作る時、膝をついて作っていたから。わかります???
余談ですが、自分の態度を検証するとき、これは「誠実か?」と自問するのと、「私は何様?お医者様?」と自問することがあります。
・笑顔・・・口角をあげる練習、鏡を見る
*むすっとした医者はダメですよね。常に口角をあげる練習を。私は、人とすれ違って難しそうな顔をしているのをみると反面教師にして口角を挙げるようにしています。ちなみに、診察室の机の上には小さい鏡をおいて、自分の顔が引きつってないか確認しています。・・・・この話を看護師さんにするまでは、私をナルシストと思っていた人がいたとか、いないとか...
・ピー子に挨拶しない。ピー子とばかりはなさない
*ピー子とは、電子カルテ用のパソコン-PCのことです。挨拶するのもパソコンにして、会話もパソコンにしているDr.が全国津々浦々にいらっしゃると思いますが、患者さんの顔を見ましょう。
・最初、話を途中で遮らない
*よく診療についてのテキストに引用されていますが、患者さんが入ってきて話し始めてそれを医者がどれくらいの時間で遮るか調べた論文があります。時間はうろ覚えですが、1分たたずに話を遮っているそうです。私は、とりあえず1分は遮らないよに努めています。
その他、レジュメに書きませんでしたが、新患さんが診察室にはいってこられたら、こちらが名乗るのは当然ですが、患者さんの名前も確認しましょう。お呼びした患者さんとちがく人が入ってくることがあります。実際わたしも1回経験しました。医療事故につながるものです。
・さて、この講義をきいて、研修医のDr.は立ってあいさつしてくれるでしょうかね?
以下日記
・最近、何故か疲労感が強い。昨日なんか自分の白目を見て黄疸きてないか確認しました。仕事から帰ってきたら、勉強する気になりません。しかし、ダラダラはしております。で、つい最近、乱数模様(仮題)始めました。単なる方眼紙の人ます人マスに色を塗るだけです。縦と横の目盛りに数字を付けて、乱数を発生させて、その数字にあったところに色を塗るという遊びです。乱数による偶然の色合いがどのようになるのだろうと思って始めました。まだ、途中経過ですが、写真を載せておきます。
さて、いつものように過去を振り返ります。
・11/8(水)は午前外来、午後カンファレンス、夜間診療。20時過ぎには病院を出ることができました。帰ってきたら疲労困憊。食事して、お風呂入って、あとはダラダラ(上記のような乱数模様で遊んでおりました)いつもなら、風呂上りにノンアル飲むのですが、最近睡眠の質が極めて悪いので、ひょっとしたらノンアルも悪さしているのかなと思って、断っております。
・11/9(木)午前中は、水島で産業医学科外来。いっときなりを潜めていた職員さんの針刺し事故が増えています。Why?
お昼は古狸庵でざるとろうどん。それから玉島へ戻って、産業医面談2件。その後書類や読影等で18時に病院を出ました。夜は、前日と同様だるくて、ダラダラ、乱数模様。
・本日11/10(金)は午前中外来。3診体制でみんな予約がいっぱいで、どんだけ大変かなと思いましたが、案外スムースに運び安心。この裏には事務、看護師さんのご努力があったと思います。シェーシェ。午後は、北海道、四国、九州からそれぞれ1名ずつ労働組合の幹部の方がこられ、振動病への取り組みについて1時間半ばかり懇談しました。その後ちょっと書類を整理して、病院を出ました。かえりコーナンで猫のエサや刈り払い機の燃料購入して帰宅。それからひたすら来週土曜日の講義の準備。つかれて入浴し、このブログを書いております。これから夕食。その後また講義の準備して、早く寝ます。明日は、福山の診療所で外来です。雨降ってほしくないな。∵駅から診療所まであるいていくから。
外来心得(研修医への講義より)/最近中途覚醒多し
・11/3のブログに「研修医への講義:外来の診療で大切なこと、コツ、私がやっていること/2日連続ダブルヘッダーは疲れます」というのを書きました。ちょっと、そのまとめの意味と今後へのバージョンアップを兼ねて、ちょっと「解説」(と言うかメモ)してみたいと思います。とりあえず、レジュメの「心得」を貼り付けておきます。レジュメ全文は↓のページをご参照ください。(*印のついた文章が「補足・説明」です)
http://newoem.blog.so-net.ne.jp/2017-11-02講義がやっていること/2日連続ダブルヘッダーは疲れます
1.心得
・患者さんは、要望と不安をもってくる
*患者さんは、当然不快な症状を取ってほしい、病気の原因を明らかにしてほしい、健康診断をしてほしい、旅行に行っても大丈夫と言ってほしい等々いろんな要求・要望をもって医療機関(以後病院とします)にやってきます。ただ、要望を持ってくるのみではなく、その裏にはいろんな不安をもってこられます。そもそも病因なんてめったに行ったことがないので、それだけで不安。悪い病気だったらどうしよう、仕事を休まないといけないのか?、費用はどれだけかかる?痛い検査や処置があるのか?医者は怖い。待ち時間がながい、入院が必要か?大きな病院にいかないといけなかったらどうしよう...等々。それらを明確に口に出して医療従事者(以下医師、看護師等で代表)に言われる患者さんは、あまりいません。その不安をいってもらったり、察知する努力・工夫が必要。
要望がはっきりしないこともある・・・診療の中で明確にする
*自分ではどうしたらよいのか途方にくれて病院を受診されることもあります。真の要求demandを診察中に明確にしないといけません。
「主訴」と真の受診動機は異なることがある
*受付で言われた主訴、例えば「咳」と本当に相談したいことは違ったりします。(エイズが心配)。言いやすいような雰囲気を作ることと下記のような工夫が必要です。
→最後に二つの門をあける:注文と質問・・・ドアノブ・コメントを避ける
*ドアノブコメントとは、診療が終わって(と、こちらが思っている)患者さんがドアノブに手をして、「実は・・・」と本当の受診理由を話し始めることを言います。なかなか、患者さんは話を切り出せないのです。ただ、こちらも診療が終わったと思っているところに、ドアノブコメントをされるとガクッときます。そうならないために、診療を終える前に、「何か質問、注文はありませんか?」と訊くようにすれば、ドアノブコメントが少なくなるでしょう。質問と注文の二つの「モン=門」をあけておくという表現は、私は大分以前に柏木哲夫先生の本で学びました。
・誠実に・・・この対応は果たして誠実か?と自問する
*患者さんへの対応で、適当にあしらっていないか?、この対応で本当に良いのかと自問するとき、「自分のこの態度・行動は誠実か?」と自問することを私は心掛けています。
・患者さんの受診目的と医師の診療の目的が食い違うことがある
*患者さんは、症状をとってもらいたいだけなのに、医師はしっかり検査しようとする。患者さんは喘息発作を治してほしくて、治ったらそれで治療はおしまいと思っているが、医師は症状がなくても長期的に薬を使う必要があると考えている・・・・お互い考えていること・治療の目標が食い違っていることがあります。故に↓にかいたとおり。
目標の明確化・共有
・情報格差があるのが当たり前だが...
本やWebsiteでよく調べられている人もいる
*患者さんは千差万別。何も医学知識がない人もいれば、医者以上にある領域の疾患の知識を持っている人もいます。医師は、その知識が妥当かどうか評価する、特にどのような基準・物差しでその知識を評価しているかを説明できないといけません。これは、過去何回かこのブログでとりあげた、Critical Appraisal: CAだと思います。医師と医師以外の人との違いはこのCAだと私は現在考えています。
中には、医師をテストしている人もいる
*いろいろ病状を説明した後、「インターネットで調べた通りだ」とおっしゃる患者さんもいますね。ちょっとムカッときますけど、医師を値踏みしたい気持ちもわからないわけではありません。
・録音されているつもりではなす
*ときに診療を録音される人がいます。(私はそのような経験はあるいませんというか、あったかもしれませんが、気が付いていません)たとえ録音がインターネットで全世界に流されても、恥ずかしくない(言葉使い、説明責任が果たせる)ようにしましょう。カルテ記載も一緒です。すぐカルテ開示を求められても大丈夫なように記載を。(患者さんが読んで、誤解・不快を感じるような表現は避ける)
こちらは、そういうつもりはなくても、「お医者様」:話ずらい・訊きづらい
*こちらは全然権威者・威張っているつもりはなくても、世間一般多くの人は、お医者様とおもって話づらい、聴きづらいと思っています。極力話しやすい雰囲気で。患者さんと共通の話題=趣味や郷里のこと、ペット等がもてたらバリアーは下がると思います。
ユーモアを持って。バリアーをできるだけ低くする。
*病院の場で笑い・ユーモアは「禁」と思っている人がおられるかもしれませんが、そんなことはありません。・・・ただし、喘息のコントロールが悪い人はあまり笑かしてはいけません。私過去何回か、喘息患者さんを笑わせてせき込み、発作を起こさせたことがあります。(反省)
以上のようなことを考えて、自分が診療したり、研修医に話したりしています。ご意見あれば、コメントをよろしく。
以下日記
・昨日11/6(月)は、6時に起きて朝勉して、大学へ。午前中疫学でつかう統計学の勉強。午後から玉島に「戻って」外来。患者さんの予約は少なかったのですが、何故か外来看護師さんがとても少なく、かなり診察は「セルフサービス」。診察後予約も自分でとって、会計の書類を会計まであるいて持って行って。インフルエンザワクチンも、ひとりでうって、うったところにテープを張って、書類にサインして。診察室と会計まで何回も往復して結構あるきましたぞ。まあ、そういう日もあるかな。でも、なんで昨日はあんなに看護師さんがいなかったの???
・本日11/7(火)5時半起床。朝勉して大学へ。1日勉強でした。特に高齢者特論の講義は、外来で診療をするのにいろいろ示唆をいただきました。ex.外来でこられた高齢者の方の栄養の評価を栄養士さんにしてもらおうかなと思いました。(栄養士さんには通常糖尿病や脂質異常症の患者さんへの栄養指導をしてもらっていますが、高齢者の全体的な食事・栄養の評価をしてもらっても良いと思いました)
・帰宅は割と早くて19時20分。まず、食事。録画の『月曜から夜ふかし』観て、このブログを書いております。これからお風呂入って、さっさと寝ます。何故か最近、中途覚醒が多く、熟睡できません。アルコール飲んだ日は、仕方ないと思いますが、飲んでいない日もそんな感じ。ひょっとしたらノンアルコール飲料もアルコールと同様睡眠の質を悪くするのではないかと仮説を持ったりして。ということで、本日はほとんど毎日飲んでいるノンアルコール飲料も飲まないつもりです。果たして、熟睡できるか?