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ANCA関連血管炎性中耳炎/どうにも終わらない。

・鑑別診断を考える場合、その臓器に起こった疾患が、その臓器だけのものか、全身性疾患の一部なのかということを常に考える必要があるのですが、なかなか実際に診療をしているとそういう風に頭が行きません。中耳炎も、全身性疾患のひとつだったりするようです。↓のような症例報告がありました。


Otitis Media with ANCA-associated Vasculitis: A New Concept and the Associated Criteria


【Abstract】 A previously healthy 77-year-old Japanese man presented with a 2-week history of daily fevers peaking at 38°C, chills, hearing loss, and almost 10 kg of unintentional weight loss over 2 months. Pure tone audiometry showed mixed conductive-sensorineural hearing loss: right, 63.6 dB, left, 80.0 dB. Blood tests after admission showed a high myeloperoxidase-antineutrophil cytoplasmic antibody (MPO-ANCA) level (>300 U/mL), so we suspected ANCA-related vasculitis. The Japanese Otorhinolaryngology Society has recently been advocating the concept of otitis media with ANCA-associated vasculitis (OMAAV). Our case met the criteria proposed, leading to our diagnosis.


・簡単に解説された日本語の文献がありました↓


全身性疾患と関連する耳鼻咽喉科疾患 ―ANCA 関連血管炎性中耳炎(OMAAV)―




・私は、鑑別診断を考える場合 V dot Cinema SPをあたまに浮かべるようにしています。最後のSPのSはsystemicのSで、全身性疾患を考えよということですが、最初に書きましたように、なかなかうまくいきません。もう、医師人生がおわるというのに...まあ、それも自分の能力の限界でしょう。と、言ってしまったら患者さんに申し訳ございません。精進、精進。



以下日記

・12/14にブログをアップしてからとんでおります。例によって過去を振り返ります。

・12/15(金)は、午前中外来。午後から産業医面談2件。その後事務作業。本来金曜日の午後は仕事の契約には含まれていなくfreeのはずですが、産業医面談は、なかなか他の日にちでとれないのでボランティア的に金曜日にすることが、結構あります。「日本的」ですよね。あまり、褒められたことではないのでちょっと、超勤つけましょうかね。

・12/16(土)は京都橘大学で90分講義3コマ。そのあと新倉敷まで戻って、某ホテルで病院の忘年会。実行委員の人たちのおかげで楽しく過ごせました。2次会にも誘われましたが、体力的にきついのでお断りしましたが、カラオケ行きたかったな。

・12/17(日)の本日は9時前起床。朝食後1時間半くらい勉強。modern epiemiologyという教科書のcase control studyのところを読みましたが、英語をよむのは1時間が限度と再認識いたしました。その後は、自分の部屋のかたづけ、家の掃除です。たまってた資源ごみ(段ボールとかペットボトル、缶、瓶)を市役所にもっていって、その後天満屋でお買い物。で、帰宅してすぐ配偶者と「すし丸」へ遅い昼食。その後もひたすらお片付け。しかーし、ジェンジェン片付きません。果たして我が家はきれいになって正月を迎えられるでしょうか?

・入浴後夕食。辛ラーメン鍋で、ビール飲んで、ウイスキー飲んで、その後このブログを書いております。もうちょとだけウイスキー飲んだら寝ます。明日は、午前大学で勉強、午後外来です。

・私をカラオケに連れてって。

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若者の大腿骨頸部疲労骨折/レントゲン読影講義(入門編)

・運動が必ずしも健康によいとは限りません。そんなのスポーツ医学を学んだものなら常識でしょうが、↓のような症例報告がありました。


陸上部の高校生に発症した両側大腿骨頚部疲労骨折の一例

整形外科と災害外科 66巻(2017)3号



若年者の両側大腿骨頚部疲労骨折は稀である.陸上部の高校生に発症した両側大腿骨頸部疲労骨折の一例を経験したので報告する.症例は陸上部の16歳男性で,駅伝を走った後から左股関節痛が出現し,1ヶ月後当科を受診した.単純X線で左大腿骨頚部下方に骨硬化像,MRI検査で大腿骨頚部に骨折線を認めたため,左大腿骨頚部疲労骨折(compression type)と診断した.保存療法を行い,6ヶ月後に競技復帰を許可した.しかし,1ヶ月後,陸上部の合宿中に明らかな外傷なく右股関節痛が出現した.単純X線で右大腿骨頚部下方に骨硬化像を認め,MRI検査で右大腿骨頚部疲労骨折(compression type)と診断した.同様に保存療法とし8週後よりジョギングを許可した.大腿骨頚部疲労骨折は,その発見の遅れや管理によっては転位や偽関節など重大な結果を招くことがあり,早期診断と適切な治療が必要である.


・私にとっての臨床的な教訓は、「X線検査は症状発現後2週間以後に陽性になる」ということでした。また、スポーツする人本人、コーチは、上記抄録の最後に書かれているようなことがおこりえるので、痛くても「根性」で運動をつづける/つづけさせるという態度は改めましょう。


以下日記(ちょっとだけよ)

・今日は5時44分起床。朝勉が小指頭大できました。出勤して午前外来。それなりの忙しさ。午後職場巡視後労働安全衛生委員会。その後研修医に胸部レントゲン読影の講義。(異教事務と看護師さん二人にも聴いてもらいました)その後業者さんとCPAPの話。そして、事務作業して、早めに病院を出て、18時過ぎ帰宅です。お風呂入って、夕食。なんか番組名わかりませんが、マツコと有吉のトーク番組???を食べながら観ておりました。(主に高級ホテルの話)その後、このブログを書いております。まだ、20時まわったところ。これから土曜日の講義に備えて勉強します。22時には寝たいですね。

・↓に本日の講義のレジュメを貼り付けておきます。研修医が来るたびにバージョンアップする予定です。


胸部単純(平面)レントゲンの読み方(入門編) ver.1.2

 

1. 獲得目標

   異常を発見できる

   適切な表現で異常(or 異常なし)を伝えられる

2.異常とは

  ①本来見えるべきものが見えていない・・・レントゲン解剖が重要

  ②本来見えないものが見えている

3.読影の注意

   ・目についた異常のみに目を奪われず、ルーチーンに全てを見る

    ・・・目についた異常影は一番最後にみる

4.具体的な読影方法

①名前、性別、年齢、撮影日時の確認

②撮影体位と正面性の確認

③軟部陰影

④骨陰影

⑤胸膜、横隔膜(肺の輪郭)、横隔膜下

⑥心、大血管

⑦気管・気管支

⑧肺血管

⑨肺野

⑩見落としやすいところをもう一度

(モニターで見るときは、ポジネガ反転と虫メガネの使用)

⑪全体を遠くから見る

⑫以前のフィルムと比較する cf. 「入院時の写真しか見てない症候群」

   比較三原則:同じ人、同じ体位、古いものと新しいもの

*見逃しそうなところ

   肺尖部

胸鎖関節周辺

   気管分岐部

   肺門部

   心陰影の裏

   横隔膜下

5.気を付けておきたいこと

・病変の場はどこか、どのような病理学的変化が起こっているか考える

・なんでもかんでもCT撮ればよいわけではないし、CT撮れない状況もある

・観察者内変動、観察者間変動がある

6.言葉

①場所の表現

・肺尖部、上肺野、中肺野、下肺野、肺門部

・縦郭側、肋骨横隔膜角、胸膜直下

*上葉、中葉、下葉は意識して読影すればよいと思うが、無理に使わなくてよいと私は思う。(あくまで読影初心者の場合)

ちなみに、上葉=上肺野、中葉=中肺野、下葉=下肺野ではない。

慣れてきたら肺葉、肺区域を読影しましょう。

②陰影の表現

・結節影、円形陰影

・浸潤影、air bronchogram

・粒状影、網状影、線状影、すりガラス陰影、不整型陰影

・索状影、不正形陰影

・濃度上昇、透過性亢進

tramline 気管支拡張

・胸膜プラーク(胸膜肥厚斑)

・過膨張、容積減少

・含気量低下、含気量上昇

・気管・縦隔シフト

・シルエットサイン

pericardial fat pad

7.報告

・所見を述べてから、診断名をいう

 


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口蓋垂血種とマルティン症候群/来年2月13日はユマニチュード

・標題の口蓋垂血種とは、のどちんこにチマメができた状態とでも言いましょうか?↓のようなレポートがありました。


Uvula Hematoma


Intern Med 56: 3269, 2017 




↑の論文が引用していた論文が↓


Bleeding complication with dual antiplatelet therapy: spontaneous uvula hematoma







・抗血小板薬を飲んでいると起こりやすい???みたいですが、とくに何も薬をつかっていなくても起こるようです。多くの場合は自然に吸収されていくようですが、↑の二つの論文をみると3~4週間は治るのにかかりそうですね。

・これに関連して「マルティン症候群」というのがあるそうです。『医学書院医学大辞典第2版』によると↓


マルティン症候群

[英]Martin syndrome

[同義語]口蓋垂卒中 apoplexia uvulae,口蓋垂血腫 staphylohematoma



口蓋垂血腫からの出血。口蓋垂に血腫ができ,そこから出血すると,喀血のようになる。(A. Martin,独) Martin A: Über das Staphylohämatoma. Neue Med Chir Ztg, 225-227, 1846


↑の説明で同義語に「口蓋垂血種」となっていますが、ちょっと違うのではないでしょうか?



・何はともあれ、このような患者さんがきたら、飲んでいる薬や出血傾向はチェックして、とくになりもなければ、経過観察ということでしょう。で、患者さんへの説明には、3,4週間したら治りますと言えばよいのではないでしょうか?(間違っていれば、ご指摘ください)



以下日記


・何度もこのブログに書いておりますが、わたくし22時になったら「超おねむ」になって、なかなかブログ書かけません。で、どうしてもブログの記事がとびとびになってしまいます。で、いつものように過去を振り返ります。


・12/11(月)は、午前中は大学院で勉強。現在確率・統計の歴史のようなものを学んでおります。

↓の写真は、教えてくださっている先生のまとめ。(今後も改定ありとのこと)


統計の哲学.jpg


・充実した勉強後、午後は病院に戻って外来でした。外来予約数は少なかったのですが、空いた時間に胸部レントゲンのダブルチェックをしてかなり時間は取られました。

・12/12(火)は、1日大学院で勉強。朝JRが遅れて、寒い駅で20分くらいたっておりました。遅刻して学習会へ参加。お昼はちょっと空き時間ができたので念願の散髪。その後お勉強です。お昼の教室研究会で、以前教授にユマニチュードの講演会をしてほしいと言っていたら、来年2月13日火曜日19時より岡大医学部のJホールでしてくださることになりました。創始者(と言うのか?)のイブ・ジネスト氏が来られるそうです。(もしかしたらロゼット・マレスコッティ氏?)実はこの日は1日岡大医学部で学生にたいしてユマニチュードの実習があるそうです。(岡大医学部見直したぜ)

19時からの参加は、学外者でも良いみたいなので、皆さんこの日は予定を開けておいてください。

・本日12/13(水)は、午前外来、午後カンファレンス、夜間診療でした。今日は、比較的スムースに進んでラッキーでした。帰宅は20時15分くらいだったでしょうか。まず、お風呂入ってから夕食。録画の「マツコの知らない世界」で宝石の話を観ました。私は、ほとんど宝石には興味がござんせんが、宝石の採掘や加工の現場の映像がちょっとみれたのは良かったです。その後、事務作業をして、このブログを書いております。すでに22時をまわって、私のカラータイマーも点滅しておりますので、これから歯磨きして眠ります。

・明日は、午前中外来、午後から職場巡視、労働安全衛生委員会、研修医への胸部レントゲン講義、CPAP学習と盛りだくさんです。でも、今日よりは早く帰れます。(昔はそれからムービックス倉敷へ映画観に行く元気がありましたが、今はもうそんな元気はありましぇん)



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アスファルト舗装労働者の呼吸器疾患/髪の毛以外はかわっていないかな

運転していて道路工事しているところをよく見かけますが、アスファルトの工事って、見るからに健康に悪そうだなと思うのは私だけでしょうか?↓のような論文がありました。(イランの労働者の話です)


Respiratory Symptoms and Lung Functional Impairments Associated with Occupational Exposure to Asphalt Fumes


The International Journal of Occupational and Environmental Medicine


Vol 6, No 2 April (2015)


file:///C:/Users/michibata/Downloads/473-2629-2-PB.pdf


Abstract 


Background: Controversy exists as to the potential of asphalt fumes to induce respiratory symptoms and lung functional impairments.

Objective: To examine the respiratory effects, if any, of occupational inhalation exposure to asphalt fumes.

Methods: In this cross-sectional study, 74 asphalt workers and 110 unexposed employees were investigated. The prevalence of respiratory symptoms among subjects was investigated by a standard questionnaire. Additionally, the parameters of pulmonary function were measured both, prior to exposure and at the end of work-shift. Furthermore, to assess the extent to which workers were exposed to asphalt fumes, total particulate and the benzene-soluble fraction were measured in different worksites.

Results: The mean levels of exposure to total particulate and benzene-soluble fraction in asphalt fumes were estimated to be 0.9 (SD 0.2) and 0.3 (SD 0.1) mg/m3, respectively. Mean values of FEV1, both prior to the exposure (89.58% [SD 18.69%] predicted value) and at the end of shift (85.38% [SD 19.4%]), were significantly (p<0.05) smaller than those of the comparison subjects (93.88% [SD 13.93%]). Similarly, pre-shift (87.05 [SD 8.57]) and postexposure (89.95 [SD 6.85]) FEV1/FVC ratio were both significantly (p<0.01) lower than those of the unexposed employees (107.56 [SD 9.64]). Moreover, the prevalence of respiratory symptoms such as cough and wheezing in exposed employees were 41% and 42%, respectively. The corresponding values for comparison subjects were 10.0% and 3.6%, respectively (p<0.001). The pattern of changes in parameters of lung function in asphalt workers was consistent with that of chronic obstructive lung disease.

Conclusion: Significant decrements in the parameters of pulmonary function as well as, a significant increase in the prevalence of respiratory symptoms in asphalt paving workers compared to their unexposed counterparts provided evidence in favor of a significant association between exposure to asphalt fumes and lung function impairments.

咳、痰、喘鳴という自覚症状のみでなく、明らかに肺機能の違いも出ているみたいで、これは、しっかり予防しないといけない問題と感じました。ただ、論文の問題としてSelection biasや統計的な処理(多重検定、多変量解析の問題)等があると思いました。(精読していませんが)

 

以下日記

・昨日12/9(土)は6時35分起床。特に朝勉はせず、朝食摂って身支度してJR鴨方駅まで25分くらいで歩いていきました。そこから福山へ。午前中城北診療所で診療。15年以上ぶりに以前一緒に働いていた看護師さんとお会いしましたが、「先生、全然変わってない。一目見て分かった。こんなに変わってない人も珍しい」といわれました。多分私がかもしだすオーラは全然変わっていないのでしょう。でもね、髪の毛は減っているのよ。アナタは、私を後ろからみなかっただけ。

・診療が終わって新大阪へ。ホテルにチェックインして、箕面ビール1本飲みながら講義(する方)の準備と大学院の宿題をしておりました。ビールを飲んだのが間違いで、眠くて1時間ばかり遅に昼寝。目が覚めて、再び作業。19時前くらいに友達からlineがきて新大阪駅であって夕食。食事をしたところは居酒屋であまりおいしいお酒がなかったのが残念。

・友人と別れた後はhotelでU-NEXTで『ダイバージェント』という映画を観ておりましたが、たびたび途中で動画が動かなくなり、眠たくなるので最後まで見られず寝てしまいました。

・本日12/10(日)は、8時半起床。ホテルチェックアウトしてコメダ珈琲店へ。私の好きな小倉餡をつけるトースト。それから新大阪丸ビルで「振動問題研究会」というものに参加。(主に振動病についての研究会で、研究者、臨床医、労働組合等が参加)結構いろいろ(ちょっとマニアックな)お話が聴けました。ちょっとこれから調べてみようと思うのは、野球のキャッチャー。ボールを受けることによって小指側の指の血管の狭小化がおこるという話。振動と何がかんけいするんやという疑問もあるでしょうが、「打撃(shock)」という問題です。(キャッチャーやのになんで打撃やねんというツッコミもあろうかと思いますが)仕事をするのに振動工具(メーカーさんに言わせれば動力工具)というのがありますが、打撃工具というのもあるんです。例えば、ピストルのような釘打ち機。これは、引き金を引くと釘がとびでるのですが、その時に手にショックを感じます。振動と違って、一瞬でおわります。ただ、それを繰り返いしているとショックを何回も受けることになります。なので、振動病とにたような状態になるのです。そのショックとの関係でキャッチャーの話が出たのです。

・研究会は予想より早く終わったので、大阪駅まで行ってグランフロントの紀伊国屋と伊東屋へ行って買い物。15時ころに新大阪駅のアルデでおそい昼食とおみやげのチルド豚まん購入し帰宅です。

・帰宅は18時前。上記研究会のあと、振動障害の本を出版する話となり、私にコラムを書けという話が出たので、帰宅してすぐ二つコラムを書きました。その流れでこのブログを書いております。(ほとんど昨日下書きをしております)これからお風呂入って、夕食。その時はビールをいただきたいと思います。


溝徴候?好酸球性筋膜炎のはなし/饅頭誤嚥?

日頃聞きなれない病名ですが、標題にある好酸球性筋膜炎とか筋膜炎脂肪織炎症候群という病気があるそうです。現在前者は後者に含まれていると考えられているようです。


『医学書院医学大辞典第2版』には以下のような説明があります。


好酸球性筋膜炎 [英]eosinophilic fasciitis [同義語]シュルマン症候群[2] Shulman syndrome,好酸球増加を伴うびまん性筋膜炎 diffuse fasciitis with eosinophilia


強皮症類似疾患。1975年シュルマン(Shulman LE)が報告,病理組織学的には,筋膜は肥厚し,著明な好酸球の浸潤を認める。病因は不明であるが,免疫学的因子の関与が示唆されている。中年に好発,男性にやや多い。激しい運動の後に,両側性に手,前腕,足の痛みと腫脹を生じた後,同部が強皮症様に硬化(オレンジ皮様徴候 orange peel sign)し,近傍関節の運動制限と拘縮を伴うのが典型的経過である。末梢血好酸球増加,高γグロブリン血症,および筋膜,筋まで含めた皮膚生検での筋膜肥厚,好酸球浸潤により確定診断する。通常レイノー現象と内臓病変のないのが強皮症と異なる点で,また副腎皮質ステロイド薬全身投与に対する反応は良好であり,自然寛解もある。


(今日の治療指針2017年版には「好酸球性筋膜炎は1974年にShulmanにより高γグロブリン血症と好酸球増多を伴うびまん性好酸球性筋膜炎として報告されたが,症例の蓄積に伴い病変が筋膜のみに限局しないこと,好酸球増多が必発ではないことなどから,最近は病理学的に皮下脂肪組織,筋膜,筋の炎症性細胞浸潤と膠原線維の増生を特徴とする疾患として筋膜炎-脂肪織炎症候群(Fasciitis panniculitis syndrome)の1つとしてとらえることが提唱されている.」とかかれています)


 


上記『医学書院医学大辞典第2版』の記述の中には皮膚の所見にorange peel signしか書かれていませんが、もう一つgroove signというのもあるそうで、今回のお題がそれです。(日本語の訳はないみたいなので、私が勝手に「溝徴候」とセンスなく訳してみました。gooveの意味は、水路とか「わだち」というのもあるので、水路徴候やわだち徴候でもよい???かもしれませんが。それはさておき、2年前のLancetにその写真が載っておりました↓


Groove sign in eosinophilic fasciitis

The Lancet Volume 384, No. 9956, p1774, 15 November 2014


http://www.thelancet.com/article/S0140-6736(14)60526-2/abstract


 


参考までに、皮膚科学会の「好酸球性筋膜炎 診断基準・重症度分類・診療ガイドライン」のサイトを張り付けておきます↓(この中にorange peel signとgroove signの写真が載っています)


https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/guideline/kousankyu.pdf


もう一つ、case reportも張りつけておきます。(この中で、簡単に疾患概念が述べられています)


皮下組織から筋組織にかけての線維化による胸郭運動制限のため,換気不全を来した筋膜炎-脂肪織炎症候群(Fasciitis Panniculitis Syndrome)(FPS)の一症例


日本臨床免疫学会会誌 24巻(2001)1号


https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsci1978/24/1/24_1_36/_pdf/-char/ja


【抄録】症例は72歳女性.1986年,頚~胸部の強皮症様皮膚所見,筋萎縮,血清CK値上昇のため他科にて筋生検施行し,多発性筋炎と診断された.ステロイド治療にて血清CK値は低下したが皮膚所見,筋萎縮はその後も進行し大胸筋,傍脊柱筋,大腿筋部に及んだ. 1997年,呼吸筋萎縮,胸郭運動制限による換気不全のためCO<sub>2</sub>ナルコーシスとなり入院中に呼吸停止した.皮膚から筋組織にかけての生検組織所見では著明な筋線維の萎縮,皮下脂肪組織の葉間結合織と筋膜の線維化肥厚,慢性炎症を認め,筋膜炎-脂肪織炎症候群(Fasciitis Panniculitis Syndrome: FPS)と診断された.シメチジン,メトトレキサートの追加併用により皮膚,筋症状, MRI画像所見の改善が得られ,人工呼吸器管理より離脱し退院となった. FPSは好酸球性筋膜炎を包括する病理組織学的概念でNaschitzらにより提唱された.本症例のごとく重篤な経過をたどる場合もあり,早期診断治療が重要であると考え報告する.


・この疾患で私が興味を引くのは、その発症が過度な運動や労作、外傷後に起こることがあるということです。過重な肉体労働や労働中の怪我によりこの疾患が発生したら、業務起因性疾患とならないでしょうかね?


 


以下日記


・昨日は当直中に0時まえに悠長にブログを書いておりました。当直室の床に就いたのが本日の午前1時ころ、寝た方思ったら、2時、3時、4時とこまめに起こされて、最終的には、7時半に起床です。そして9時前から外来開始。終了は13時ころだったでしょうか?


・外来途中ちょっと患者さんが途切れた時、おなかがすいたので「饅頭怖い」と言ったら、ついてくれていた看護師さん(=結構私のオヤジギャグを「理解」してくれている昭和の女)が、「のどつまらせたんですか?」と真顔で返答。まあ、饅頭を誤嚥して死ぬ思いをして、トラウマになって怖がるというストリーはあるでしょうが、「ちがうがなーっ!」。外来が終わってたまたま通りがかった最近就職された看護師さん(昭和の女よりも若い)に、「僕が饅頭怖いと言ったらどうしますか?」ときいたら「お饅頭もってきます」という正しい回答。それを聞いていた「昭和の女」は「エーッ、何でーっ」と叫んでおりました。(一部記憶があいまいであり、誇張表現があるかもしれません)・・・このやり取りがわからない人は、日本の文化をしっかり学びましょうね。


・本来金曜日の午後は、私の嘱託契約では働かない日です。しかし、ボランティアでいろいろやっております。でも、今日はさすがに疲れて、帰宅です。14時過ぎに帰宅。それからひたすら机の上の片づけ、書類の整理をしておりました。現在23時を過ぎております。これを書き終えたら、歯磨きして寝ることにします。今日はぐっすり眠れるでしょうね。


・明日は、午前中福山の診療所で外来。それが終わったら大阪へまいります。


腸管気腫性嚢胞症は職業性疾患でもある/宿題もいいものだ

過去何回か標題の疾患については取り上げましたが、今週のNEJMのIMAGES IN CLINICAL MEDICINEに載っておりましたので、復習の意味もかねてアップします↓


Pneumatosis Cystoides Intestinalis

Yuusaku Sugihara, M.D., Ph.D., and Hiroyuki Okada, M.D., Ph.D.

N Engl J Med 2017; 377:2266December 7, 2017

http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMicm1701357

この疾患いろいろな名称がついており、混乱いたします。UpToDateをみてみると↓

Pneumatosis intestinalis (PI) refers to the presence of gas within the wall of the small or large intestine. Intramural gas can also affect the stomach, but this condition is referred to as gastric pneumatosis . Since its first description, PI has appeared in the literature under many names, including pneumatosis cystoides intestinalis, intramural gas, pneumatosis coli, pseudolipomatosis, intestinal emphysema, bullous emphysema of the intestine, and lymphopneumatosis

これに対する日本語訳もいろいろあるようです。腸管壁気腫症とか腸管嚢腫様気腫症とか腸壁気腫とか、いろいろ。初学者には混乱してしまいます。

そもそもどんな病気かというと↓

http://www.okayama-u.ac.jp/user/byouri/pathology-1/Back_number_7.html

(余談ですが、上記サイトの最後に「画像診断の発達と伴に診断例が増えているものの、急性腹症の鑑別疾患として重要で、致死的な経過を取る可能性があるが、依然として認知度は高くないので、留意が必要である。」と書かれていますが、いったいこの記事がいつ書かれたものなのか記述されていないので、現在でも認知度が低いかどうか、分かりませんね・・・教訓・・・ネットの記事には日付をつけましょう)

もう一度UpToDateの引用ですが↓

PI is an incidental finding associated with a benign etiology, whereas in others, it portends a life-threatening intra-abdominal condition.

つまり、軽症から重症までいろいろあるということです。ちょっと今日ネットで調べてみたら、自然に治りますというような記事がありましたが、上記のように予後は千差万別なので、楽観しない方がよいと思います。

https://lala-clinic.jp/article.php/20150917003333128

上のサイトは、「楽観的」な記事です。大腸内視鏡の写真はきれいですが... 

なお、過去何回かこの疾患をとりあげたのは、職業性疾患ということもあるからです↓

職業性腸管嚢腫様気腫症の疫学的 特徴

http://joh.sanei.or.jp/pdf/J57/J57_2_03.pdf

なので、この疾患を見たときは、必ず職業歴を聴いてくださいね。

 

以下日記

・忙しくバタバタしていたのと、最近22時に睡魔が襲ってきて、簡単に寝てしまうので、12月に入ってブログがアップできておりませんでした。さみしい思いをした皆様、ゴミンナサイ。(←そんな人おらんわっ!) 凡例:「←」は突っ込み。

・で、いつものように過去を振り返ります。(かなり忘れたけど)

・12/1(金)は午前外来。午後いろいろ事務的な作業をして、18時~19時半まで、水島で行われている3ヶ月に1回の4病院合同でしている感染対策の会議に出席。ミニレクチャーで、「風邪のようなもの」についての講義が面白かったです。ただ、風邪の鑑別疾患の中に金属熱が入ってなかったので、それも鑑別に入れて欲しいと発言しておきました。

・12/2(土)は、京都橘大学で90分3コマの講義。この日から腎・尿路系のお話です。この講義に臨むに当たって結構腎炎の復習をいたしました。その後岡山市で、大学院関係「有志」で忘年会。2次会までいったので、帰りは午前様になってしまいました。

・12/3(日)は、8時半に起きて夕方まで自分の勉強と講義の準備。夕方にイオン倉敷に行って、『ブレードランナー 2049』観てきました。163分もあるので、頻尿の私はちゃんとみれるのか心配しておりましたが、あることをしており、無事に最後まで見終わることができました。今回の収穫は、主人公の「彼女」がとっても素敵でした。アナ・デ・アルマスという女優さんみたいですが、可愛くて目の保養になりました。でも、すぐ名前忘れるでしょうが↓

http://eiga.com/person/84101/

映画後、ちょっとお買い物して、閉店間近のしまなみ寿司で、夕食とって帰宅です。

・12/4(月) は、午前中疫学でつかう統計学の勉強。この日から↓の本の解説を読み出しましたが、確率論の歴史がわかっておもしろいです

フィッシャーの本.jpg

確率論の流派.jpg

 ・その日の午後は、病院で外来。そして、帰宅して翌日の宿題をしようとしましたが、眠くて眠くて早く寝てしまいました。

・12/5(火)は、1日大学院の日ですが、この日は矢野晴美先生のトラベル・メディスンの特別講義。本来MPHのコースなのですが、大学院生の私も参加させてもらいました。事前に宿題が出ていたのですが、講義の数日前から取り組んで四苦八苦しました。しかし、これによって真面目に勉強したので、面白かったです。もともと私、トラベル・メディスンに興味があったわけではないのですが、big nameの矢野先生がこられるので、この機会を逃してはいけないと思い聴講しました。

矢野先生のブログ↓

http://blog.goo.ne.jp/hgomi1

(12/7の記事の上から二つ目の集合写真で、矢野先生の右隣二人目が私です。まるで、大学教員のように偉そうに前列に座っておりますが、大学院生です。)

その日の夜も18時半~20時まで高齢者特論ということで、矢野先生の講義がありましたが、とても勉強になりました。

ちなみに、矢野先生の宿題は↓

 

1.      Pre-travel consultation

Case 1

39歳男性。既往歴なし。ケニアへ国際協力で渡航予定である。

10日間、工場で精密機械の技術指導を行うという。渡航準備のため渡航外来を受診した。外来担当者として、包括的なアドバイスをせよ。 

 

Post-travel clinic

Case 2 

37歳の日本人男性。医師

インドネシアのジャカルタに滞在した。

帰国後2日後から発熱38.5℃あるため、受診した。

1)      この患者に質問すべきことは?

2)      考慮すべき鑑別診断は?

3)      具体的な対応は? 

 

Traveler’s diarrhea

Case 3

18歳の女性. 旅行の添乗員でブラジルに1週間滞在した。帰国後から発熱、悪寒、腹痛が生じ、水様下痢があった。

1)        旅行者下痢症の代表的な原因微生物を挙げよ。

2)        旅行者下痢症の標準的な治療と注意点は?

3)        抗菌薬が適応になるのはどういう場合か。

4)        推奨抗菌薬について、種類、具体的処方、投与期間を述べよ。

5)        下痢が遷延する場合に考慮すべき鑑別診断は?

6)        旅行者下痢症の診療で、最新エビデンスは?

 

Principles of vaccines

トラベルクリニックで接種する、下記の代表的なワクチンにつき

1)      A型肝炎

国内製品 エームゲン

輸入製品 ハブリックス またはツインリクス

   投与方法、投与間隔(必要なブースター)につき調べよ。

 

2)      腸チフスワクチン

a)        生ワクチン

b)        不活化ワクチン

 

3)      下記の3種類の破傷風トキソイドの適応者、接種時期について述べよ。

DPT

Td

Tdap 

 

 

上記宿題をするのが、なかなかしんどかった訳ですが、かなり真面目に勉強したと思います。自分はやっぱり何か課題を与えられないとちゃんとしないということを再認識いたしました。

 

・12/6(水)は、午前中外来、午後カンファレンス、夜間診療でした。幸い大きな事無く夜間診療は終了。20時半前には帰宅できました。夕食食べながら、「月曜から夜ふかし」の録画を観て大笑いしておりました。

・12/7(木)本日午前は水島で産業医学科外来。なんと、また、水島コンビナートから長時間労働に関する面接の依頼あり。(今日は予約を取ってもらっただけ)いったい、どこのどなたが当科を紹介してくれるのでしょうね。午後からは玉島へもどって、まずは、産業医面談2件。その後健診の判定。そして19時半から当直です。それなりにコールがありますが、現在このブログがかけております。0時過ぎたら寝ることにします。

・明日は、午前中外来。午後からはフリーになる予定。(もうちょっと若ければ映画を観に行くでしょうが、しんどいのですぐ帰宅するでしょう・・・そうそう、散髪しないと)

 


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