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腸管気腫性嚢胞症は職業性疾患でもある/宿題もいいものだ

過去何回か標題の疾患については取り上げましたが、今週のNEJMのIMAGES IN CLINICAL MEDICINEに載っておりましたので、復習の意味もかねてアップします↓


Pneumatosis Cystoides Intestinalis

Yuusaku Sugihara, M.D., Ph.D., and Hiroyuki Okada, M.D., Ph.D.

N Engl J Med 2017; 377:2266December 7, 2017

http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMicm1701357

この疾患いろいろな名称がついており、混乱いたします。UpToDateをみてみると↓

Pneumatosis intestinalis (PI) refers to the presence of gas within the wall of the small or large intestine. Intramural gas can also affect the stomach, but this condition is referred to as gastric pneumatosis . Since its first description, PI has appeared in the literature under many names, including pneumatosis cystoides intestinalis, intramural gas, pneumatosis coli, pseudolipomatosis, intestinal emphysema, bullous emphysema of the intestine, and lymphopneumatosis

これに対する日本語訳もいろいろあるようです。腸管壁気腫症とか腸管嚢腫様気腫症とか腸壁気腫とか、いろいろ。初学者には混乱してしまいます。

そもそもどんな病気かというと↓

http://www.okayama-u.ac.jp/user/byouri/pathology-1/Back_number_7.html

(余談ですが、上記サイトの最後に「画像診断の発達と伴に診断例が増えているものの、急性腹症の鑑別疾患として重要で、致死的な経過を取る可能性があるが、依然として認知度は高くないので、留意が必要である。」と書かれていますが、いったいこの記事がいつ書かれたものなのか記述されていないので、現在でも認知度が低いかどうか、分かりませんね・・・教訓・・・ネットの記事には日付をつけましょう)

もう一度UpToDateの引用ですが↓

PI is an incidental finding associated with a benign etiology, whereas in others, it portends a life-threatening intra-abdominal condition.

つまり、軽症から重症までいろいろあるということです。ちょっと今日ネットで調べてみたら、自然に治りますというような記事がありましたが、上記のように予後は千差万別なので、楽観しない方がよいと思います。

https://lala-clinic.jp/article.php/20150917003333128

上のサイトは、「楽観的」な記事です。大腸内視鏡の写真はきれいですが... 

なお、過去何回かこの疾患をとりあげたのは、職業性疾患ということもあるからです↓

職業性腸管嚢腫様気腫症の疫学的 特徴

http://joh.sanei.or.jp/pdf/J57/J57_2_03.pdf

なので、この疾患を見たときは、必ず職業歴を聴いてくださいね。

 

以下日記

・忙しくバタバタしていたのと、最近22時に睡魔が襲ってきて、簡単に寝てしまうので、12月に入ってブログがアップできておりませんでした。さみしい思いをした皆様、ゴミンナサイ。(←そんな人おらんわっ!) 凡例:「←」は突っ込み。

・で、いつものように過去を振り返ります。(かなり忘れたけど)

・12/1(金)は午前外来。午後いろいろ事務的な作業をして、18時~19時半まで、水島で行われている3ヶ月に1回の4病院合同でしている感染対策の会議に出席。ミニレクチャーで、「風邪のようなもの」についての講義が面白かったです。ただ、風邪の鑑別疾患の中に金属熱が入ってなかったので、それも鑑別に入れて欲しいと発言しておきました。

・12/2(土)は、京都橘大学で90分3コマの講義。この日から腎・尿路系のお話です。この講義に臨むに当たって結構腎炎の復習をいたしました。その後岡山市で、大学院関係「有志」で忘年会。2次会までいったので、帰りは午前様になってしまいました。

・12/3(日)は、8時半に起きて夕方まで自分の勉強と講義の準備。夕方にイオン倉敷に行って、『ブレードランナー 2049』観てきました。163分もあるので、頻尿の私はちゃんとみれるのか心配しておりましたが、あることをしており、無事に最後まで見終わることができました。今回の収穫は、主人公の「彼女」がとっても素敵でした。アナ・デ・アルマスという女優さんみたいですが、可愛くて目の保養になりました。でも、すぐ名前忘れるでしょうが↓

http://eiga.com/person/84101/

映画後、ちょっとお買い物して、閉店間近のしまなみ寿司で、夕食とって帰宅です。

・12/4(月) は、午前中疫学でつかう統計学の勉強。この日から↓の本の解説を読み出しましたが、確率論の歴史がわかっておもしろいです

フィッシャーの本.jpg

確率論の流派.jpg

 ・その日の午後は、病院で外来。そして、帰宅して翌日の宿題をしようとしましたが、眠くて眠くて早く寝てしまいました。

・12/5(火)は、1日大学院の日ですが、この日は矢野晴美先生のトラベル・メディスンの特別講義。本来MPHのコースなのですが、大学院生の私も参加させてもらいました。事前に宿題が出ていたのですが、講義の数日前から取り組んで四苦八苦しました。しかし、これによって真面目に勉強したので、面白かったです。もともと私、トラベル・メディスンに興味があったわけではないのですが、big nameの矢野先生がこられるので、この機会を逃してはいけないと思い聴講しました。

矢野先生のブログ↓

http://blog.goo.ne.jp/hgomi1

(12/7の記事の上から二つ目の集合写真で、矢野先生の右隣二人目が私です。まるで、大学教員のように偉そうに前列に座っておりますが、大学院生です。)

その日の夜も18時半~20時まで高齢者特論ということで、矢野先生の講義がありましたが、とても勉強になりました。

ちなみに、矢野先生の宿題は↓

 

1.      Pre-travel consultation

Case 1

39歳男性。既往歴なし。ケニアへ国際協力で渡航予定である。

10日間、工場で精密機械の技術指導を行うという。渡航準備のため渡航外来を受診した。外来担当者として、包括的なアドバイスをせよ。 

 

Post-travel clinic

Case 2 

37歳の日本人男性。医師

インドネシアのジャカルタに滞在した。

帰国後2日後から発熱38.5℃あるため、受診した。

1)      この患者に質問すべきことは?

2)      考慮すべき鑑別診断は?

3)      具体的な対応は? 

 

Traveler’s diarrhea

Case 3

18歳の女性. 旅行の添乗員でブラジルに1週間滞在した。帰国後から発熱、悪寒、腹痛が生じ、水様下痢があった。

1)        旅行者下痢症の代表的な原因微生物を挙げよ。

2)        旅行者下痢症の標準的な治療と注意点は?

3)        抗菌薬が適応になるのはどういう場合か。

4)        推奨抗菌薬について、種類、具体的処方、投与期間を述べよ。

5)        下痢が遷延する場合に考慮すべき鑑別診断は?

6)        旅行者下痢症の診療で、最新エビデンスは?

 

Principles of vaccines

トラベルクリニックで接種する、下記の代表的なワクチンにつき

1)      A型肝炎

国内製品 エームゲン

輸入製品 ハブリックス またはツインリクス

   投与方法、投与間隔(必要なブースター)につき調べよ。

 

2)      腸チフスワクチン

a)        生ワクチン

b)        不活化ワクチン

 

3)      下記の3種類の破傷風トキソイドの適応者、接種時期について述べよ。

DPT

Td

Tdap 

 

 

上記宿題をするのが、なかなかしんどかった訳ですが、かなり真面目に勉強したと思います。自分はやっぱり何か課題を与えられないとちゃんとしないということを再認識いたしました。

 

・12/6(水)は、午前中外来、午後カンファレンス、夜間診療でした。幸い大きな事無く夜間診療は終了。20時半前には帰宅できました。夕食食べながら、「月曜から夜ふかし」の録画を観て大笑いしておりました。

・12/7(木)本日午前は水島で産業医学科外来。なんと、また、水島コンビナートから長時間労働に関する面接の依頼あり。(今日は予約を取ってもらっただけ)いったい、どこのどなたが当科を紹介してくれるのでしょうね。午後からは玉島へもどって、まずは、産業医面談2件。その後健診の判定。そして19時半から当直です。それなりにコールがありますが、現在このブログがかけております。0時過ぎたら寝ることにします。

・明日は、午前中外来。午後からはフリーになる予定。(もうちょっと若ければ映画を観に行くでしょうが、しんどいのですぐ帰宅するでしょう・・・そうそう、散髪しないと)

 


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