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溝徴候?好酸球性筋膜炎のはなし/饅頭誤嚥?

日頃聞きなれない病名ですが、標題にある好酸球性筋膜炎とか筋膜炎脂肪織炎症候群という病気があるそうです。現在前者は後者に含まれていると考えられているようです。


『医学書院医学大辞典第2版』には以下のような説明があります。


好酸球性筋膜炎 [英]eosinophilic fasciitis [同義語]シュルマン症候群[2] Shulman syndrome,好酸球増加を伴うびまん性筋膜炎 diffuse fasciitis with eosinophilia


強皮症類似疾患。1975年シュルマン(Shulman LE)が報告,病理組織学的には,筋膜は肥厚し,著明な好酸球の浸潤を認める。病因は不明であるが,免疫学的因子の関与が示唆されている。中年に好発,男性にやや多い。激しい運動の後に,両側性に手,前腕,足の痛みと腫脹を生じた後,同部が強皮症様に硬化(オレンジ皮様徴候 orange peel sign)し,近傍関節の運動制限と拘縮を伴うのが典型的経過である。末梢血好酸球増加,高γグロブリン血症,および筋膜,筋まで含めた皮膚生検での筋膜肥厚,好酸球浸潤により確定診断する。通常レイノー現象と内臓病変のないのが強皮症と異なる点で,また副腎皮質ステロイド薬全身投与に対する反応は良好であり,自然寛解もある。


(今日の治療指針2017年版には「好酸球性筋膜炎は1974年にShulmanにより高γグロブリン血症と好酸球増多を伴うびまん性好酸球性筋膜炎として報告されたが,症例の蓄積に伴い病変が筋膜のみに限局しないこと,好酸球増多が必発ではないことなどから,最近は病理学的に皮下脂肪組織,筋膜,筋の炎症性細胞浸潤と膠原線維の増生を特徴とする疾患として筋膜炎-脂肪織炎症候群(Fasciitis panniculitis syndrome)の1つとしてとらえることが提唱されている.」とかかれています)


 


上記『医学書院医学大辞典第2版』の記述の中には皮膚の所見にorange peel signしか書かれていませんが、もう一つgroove signというのもあるそうで、今回のお題がそれです。(日本語の訳はないみたいなので、私が勝手に「溝徴候」とセンスなく訳してみました。gooveの意味は、水路とか「わだち」というのもあるので、水路徴候やわだち徴候でもよい???かもしれませんが。それはさておき、2年前のLancetにその写真が載っておりました↓


Groove sign in eosinophilic fasciitis

The Lancet Volume 384, No. 9956, p1774, 15 November 2014


http://www.thelancet.com/article/S0140-6736(14)60526-2/abstract


 


参考までに、皮膚科学会の「好酸球性筋膜炎 診断基準・重症度分類・診療ガイドライン」のサイトを張り付けておきます↓(この中にorange peel signとgroove signの写真が載っています)


https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/guideline/kousankyu.pdf


もう一つ、case reportも張りつけておきます。(この中で、簡単に疾患概念が述べられています)


皮下組織から筋組織にかけての線維化による胸郭運動制限のため,換気不全を来した筋膜炎-脂肪織炎症候群(Fasciitis Panniculitis Syndrome)(FPS)の一症例


日本臨床免疫学会会誌 24巻(2001)1号


https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsci1978/24/1/24_1_36/_pdf/-char/ja


【抄録】症例は72歳女性.1986年,頚~胸部の強皮症様皮膚所見,筋萎縮,血清CK値上昇のため他科にて筋生検施行し,多発性筋炎と診断された.ステロイド治療にて血清CK値は低下したが皮膚所見,筋萎縮はその後も進行し大胸筋,傍脊柱筋,大腿筋部に及んだ. 1997年,呼吸筋萎縮,胸郭運動制限による換気不全のためCO<sub>2</sub>ナルコーシスとなり入院中に呼吸停止した.皮膚から筋組織にかけての生検組織所見では著明な筋線維の萎縮,皮下脂肪組織の葉間結合織と筋膜の線維化肥厚,慢性炎症を認め,筋膜炎-脂肪織炎症候群(Fasciitis Panniculitis Syndrome: FPS)と診断された.シメチジン,メトトレキサートの追加併用により皮膚,筋症状, MRI画像所見の改善が得られ,人工呼吸器管理より離脱し退院となった. FPSは好酸球性筋膜炎を包括する病理組織学的概念でNaschitzらにより提唱された.本症例のごとく重篤な経過をたどる場合もあり,早期診断治療が重要であると考え報告する.


・この疾患で私が興味を引くのは、その発症が過度な運動や労作、外傷後に起こることがあるということです。過重な肉体労働や労働中の怪我によりこの疾患が発生したら、業務起因性疾患とならないでしょうかね?


 


以下日記


・昨日は当直中に0時まえに悠長にブログを書いておりました。当直室の床に就いたのが本日の午前1時ころ、寝た方思ったら、2時、3時、4時とこまめに起こされて、最終的には、7時半に起床です。そして9時前から外来開始。終了は13時ころだったでしょうか?


・外来途中ちょっと患者さんが途切れた時、おなかがすいたので「饅頭怖い」と言ったら、ついてくれていた看護師さん(=結構私のオヤジギャグを「理解」してくれている昭和の女)が、「のどつまらせたんですか?」と真顔で返答。まあ、饅頭を誤嚥して死ぬ思いをして、トラウマになって怖がるというストリーはあるでしょうが、「ちがうがなーっ!」。外来が終わってたまたま通りがかった最近就職された看護師さん(昭和の女よりも若い)に、「僕が饅頭怖いと言ったらどうしますか?」ときいたら「お饅頭もってきます」という正しい回答。それを聞いていた「昭和の女」は「エーッ、何でーっ」と叫んでおりました。(一部記憶があいまいであり、誇張表現があるかもしれません)・・・このやり取りがわからない人は、日本の文化をしっかり学びましょうね。


・本来金曜日の午後は、私の嘱託契約では働かない日です。しかし、ボランティアでいろいろやっております。でも、今日はさすがに疲れて、帰宅です。14時過ぎに帰宅。それからひたすら机の上の片づけ、書類の整理をしておりました。現在23時を過ぎております。これを書き終えたら、歯磨きして寝ることにします。今日はぐっすり眠れるでしょうね。


・明日は、午前中福山の診療所で外来。それが終わったら大阪へまいります。