SSブログ

若者の大腿骨頸部疲労骨折/レントゲン読影講義(入門編)

・運動が必ずしも健康によいとは限りません。そんなのスポーツ医学を学んだものなら常識でしょうが、↓のような症例報告がありました。


陸上部の高校生に発症した両側大腿骨頚部疲労骨折の一例

整形外科と災害外科 66巻(2017)3号



若年者の両側大腿骨頚部疲労骨折は稀である.陸上部の高校生に発症した両側大腿骨頸部疲労骨折の一例を経験したので報告する.症例は陸上部の16歳男性で,駅伝を走った後から左股関節痛が出現し,1ヶ月後当科を受診した.単純X線で左大腿骨頚部下方に骨硬化像,MRI検査で大腿骨頚部に骨折線を認めたため,左大腿骨頚部疲労骨折(compression type)と診断した.保存療法を行い,6ヶ月後に競技復帰を許可した.しかし,1ヶ月後,陸上部の合宿中に明らかな外傷なく右股関節痛が出現した.単純X線で右大腿骨頚部下方に骨硬化像を認め,MRI検査で右大腿骨頚部疲労骨折(compression type)と診断した.同様に保存療法とし8週後よりジョギングを許可した.大腿骨頚部疲労骨折は,その発見の遅れや管理によっては転位や偽関節など重大な結果を招くことがあり,早期診断と適切な治療が必要である.


・私にとっての臨床的な教訓は、「X線検査は症状発現後2週間以後に陽性になる」ということでした。また、スポーツする人本人、コーチは、上記抄録の最後に書かれているようなことがおこりえるので、痛くても「根性」で運動をつづける/つづけさせるという態度は改めましょう。


以下日記(ちょっとだけよ)

・今日は5時44分起床。朝勉が小指頭大できました。出勤して午前外来。それなりの忙しさ。午後職場巡視後労働安全衛生委員会。その後研修医に胸部レントゲン読影の講義。(異教事務と看護師さん二人にも聴いてもらいました)その後業者さんとCPAPの話。そして、事務作業して、早めに病院を出て、18時過ぎ帰宅です。お風呂入って、夕食。なんか番組名わかりませんが、マツコと有吉のトーク番組???を食べながら観ておりました。(主に高級ホテルの話)その後、このブログを書いております。まだ、20時まわったところ。これから土曜日の講義に備えて勉強します。22時には寝たいですね。

・↓に本日の講義のレジュメを貼り付けておきます。研修医が来るたびにバージョンアップする予定です。


胸部単純(平面)レントゲンの読み方(入門編) ver.1.2

 

1. 獲得目標

   異常を発見できる

   適切な表現で異常(or 異常なし)を伝えられる

2.異常とは

  ①本来見えるべきものが見えていない・・・レントゲン解剖が重要

  ②本来見えないものが見えている

3.読影の注意

   ・目についた異常のみに目を奪われず、ルーチーンに全てを見る

    ・・・目についた異常影は一番最後にみる

4.具体的な読影方法

①名前、性別、年齢、撮影日時の確認

②撮影体位と正面性の確認

③軟部陰影

④骨陰影

⑤胸膜、横隔膜(肺の輪郭)、横隔膜下

⑥心、大血管

⑦気管・気管支

⑧肺血管

⑨肺野

⑩見落としやすいところをもう一度

(モニターで見るときは、ポジネガ反転と虫メガネの使用)

⑪全体を遠くから見る

⑫以前のフィルムと比較する cf. 「入院時の写真しか見てない症候群」

   比較三原則:同じ人、同じ体位、古いものと新しいもの

*見逃しそうなところ

   肺尖部

胸鎖関節周辺

   気管分岐部

   肺門部

   心陰影の裏

   横隔膜下

5.気を付けておきたいこと

・病変の場はどこか、どのような病理学的変化が起こっているか考える

・なんでもかんでもCT撮ればよいわけではないし、CT撮れない状況もある

・観察者内変動、観察者間変動がある

6.言葉

①場所の表現

・肺尖部、上肺野、中肺野、下肺野、肺門部

・縦郭側、肋骨横隔膜角、胸膜直下

*上葉、中葉、下葉は意識して読影すればよいと思うが、無理に使わなくてよいと私は思う。(あくまで読影初心者の場合)

ちなみに、上葉=上肺野、中葉=中肺野、下葉=下肺野ではない。

慣れてきたら肺葉、肺区域を読影しましょう。

②陰影の表現

・結節影、円形陰影

・浸潤影、air bronchogram

・粒状影、網状影、線状影、すりガラス陰影、不整型陰影

・索状影、不正形陰影

・濃度上昇、透過性亢進

tramline 気管支拡張

・胸膜プラーク(胸膜肥厚斑)

・過膨張、容積減少

・含気量低下、含気量上昇

・気管・縦隔シフト

・シルエットサイン

pericardial fat pad

7.報告

・所見を述べてから、診断名をいう

 


nice!(0)  コメント(0)