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虫垂子宮内膜症、膀胱子宮内膜症/ようわからんペナルティー

子宮内膜症とは、『医学書院医学大辞典第2版』によると↓


子宮内膜様組織が本来の正常な位置,すなわち子宮腔内面以外の組織や臓器などに異所性に存在し,増生するために生じた病態をいう。以前は発生部位により,内性子宮内膜症(あるいは子宮腺筋症)および外性子宮内膜症と呼称していた。しかし,両者の発生機序や病態が異なることから,日本産科婦人科学会の子宮内膜症取扱い規約(1994年)では,内性および外性という言葉を除き,従来の内性子宮内膜症を子宮腺筋症と呼称した。そして外性子宮内膜症を単に子宮内膜症と称し,これを子宮内膜および類似組織が子宮内膜層および子宮筋層以外の骨盤内臓器で増殖する疾患と定義した。したがって,単に子宮内膜症といえば,骨盤内に病巣が存在する骨盤内子宮内膜症を意味する。そして骨盤腔以外に発生した子宮内膜症については,発生部位の臓器名をはじめにつけて表現する。子宮内膜症は一般には進行性病変であり,卵巣からの性ステロイドホルモンによって発育が促進される。


・わたしは、二人、肺(or 気管支)子宮内膜症で喀血した患者さんを経験しており、子宮内膜症にはちょっと興味をもっておりました。また、最近大学の講義で婦人科疾患を教えたとき勉強しましたが、直腸、直腸膣中隔にも発生すると勉強しましたが、虫垂にも発生するとは認識しておりませんでした。(しかーし、『病気がみえる vol.9 婦人科・乳腺外科』に子宮内膜症のところを見直してみると「希少部位子宮内膜症」という項に虫垂も載っておりました。)


病気がみえる vol.9: 婦人科・乳腺外科

病気がみえる vol.9: 婦人科・乳腺外科

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: メディックメディア
  • 発売日: 2013/03/23
  • メディア: 単行本


というわけで、とてもまれな事例の報告↓


 

虫垂腫瘍との鑑別が困難であった虫垂子宮内膜症の 1 例


【抄録】若年女性の虫垂腫瘤に対して単孔式腹腔鏡下虫垂切除術を施行し,術後の病理組織学的検査で虫垂子宮内膜症の診断を得た1例を経験したので報告する.症例は43歳の女性で,T細胞性急性リンパ性白血病に対する化学療法中にCTで虫垂腫瘤を指摘された.神経内分泌腫瘍の可能性も否定できなかったが,腫瘍径は小さく,転移を示唆するリンパ節もなかったことから,診断的治療として単孔式腹腔鏡下虫垂切除術を施行し,術後の病理組織学的検査で虫垂子宮内膜症と診断された.虫垂に生じる腫瘍性病変の中では子宮内膜症の頻度は低く,子宮内膜症はさまざまな症状を呈し,月経周期との関連性がない場合もあるため診断に苦慮することも少なくない.女性における虫垂腫瘍の場合には,女性特有の疾患として虫垂子宮内膜症も鑑別疾患に挙げる必要があると考えられた.
 
・上記抄録の最後に虫垂腫瘍の鑑別診断に子宮内膜症も挙げる必要があると書かれておりますが、どれだけの医師がその疾患を思い浮かべるでしょうね?
・先に書きました『病気がみえる』には、膀胱・尿管といったところにもできると書いております。その一例が↓
腹腔鏡下手術を施行した膀胱子宮内膜症 診断と治療のポイント
日医大医会誌 2010; 6(3)
【Abstract】(本文は日本語です)
 A 33-year-old woman was referred to us by the department of urology because of cyclic bladder pain during menstruation. Cystoscopy showed a 3.5-cm-diameter tumor in the bladder mucosa, and a biopsy showed chronic cystitis. Transvaginal ultrasound and pelvic magnetic resonance imaging revealed a left endometrial ovarian cyst. Although a biopsy did not prove bladder endometriosis, we diagnosed bladder endometriosis on the basis of the characteristic clinical findings. Laparoscopic partial cystectomy for bladder endometriosis and left ovarian endometrial cyst resection were performed. The bladder was closed in one layer using Z sutures with #3-0 polyglactin 910. Indigo carmine dye was then used to check for any leakage. The procedure lasted 4 hours, and the estimated blood loss was 10 mL. There were no technique problems or complications. The Foley catheter was removed after 7 days. The symptoms had resolved by 4 weeks after surgery, and the patient was released to routine follow-up. The patient had complete resolution of bladder symptoms and cyclic pelvic pain and was delighted with the absence of pain and the cosmetic result.  
・何はともあれ、月経時に何か症状があれば、子宮内膜症を思い浮かべるようにしないといけませんね。
以下日記
2/19(月)は、午前中大学院で勉強。午後から病院で外来。予約の患者数はおおかったものの診療はわりとスムーズにすすみました。18時ころには外来は終わりましたが、胸部レントゲンのダブルチェックがあり、特に現在職員健診が始まっており、その分数も増えており、帰宅は19時45分でした。あとは、風呂入って夕食摂って、ちょっと労災関係の書類をかいてねました。
本日2/20(火)の午前は、先日に引き続き労災関係の書類の作成と研修医への講義の準備。お昼過ぎて大学へ。途中散髪屋さんで久々に散髪して、すっきり。その後大学院の講義(論文の書き方)、Critical Appraisalに参加。帰宅は19時半でした。お風呂入って夕食。ちょっとオリンピックをみましたが、リレーをみていて目が回るというか、人がいっぱいすべっていて、何が何やらようわからん状態でした。おまけに試合が終わっても「物言い」がついてビデオ判定みたいで、順位がなかなかきまらない。で、何が悪かったかわからないのにペナルティー。せめて、どういう理由でペナルティーが課せられたのか解説してよ。
・その後、このブログを書いております。もう疲れたのでさっさと寝ます。(日本酒を一口呑もうかという誘惑にもかられましたが、木曜日が自分の健診なのでやめておこうと自制しました)
・明日はもっとも嫌いな水曜日。午前外来、午後カンファレンス、夜間診療です。早くインフルエンザの流行が終焉してほしい。

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