外来の診療で大切なこと、コツ、私がやっていること ver2.0/山形日記1
外来の診療で大切なこと、コツ、私がやっていること ver2.0
0.講義の視点
・医療は「共同の営み」
・患者さんの満足、安心・安全、権利・尊厳の尊重
・スタッフとの協業
・外来を楽しむ
・自分の身を守る
1.心得
・患者さんは、要望と不安をもってくる
要望がはっきりしないこともある・・・診療の中で明確にする
「主訴」と真の受診動機は異なることがある
→最後に二つの門をあける:注文と質問・・・ドアノブ・コメントを避ける
・誠実に・・・この対応は果たして誠実か?と自問する
・患者さんの受診目的と医師の診療の目的が食い違うことがある
目標の明確化・共有
・情報格差があるのが当たり前だが...
but本やWebsiteでよく調べられている人もいる
中には、医師をテストしている人もいる
・録音されているつもりで話す
・患者さんのバックには家族・stakeholderがいることを認識しておく
患者さんと医師だけで決めてしまってよいのか?ex. ACP
・こちらは、そういうつもりはなくても、「お医者様」:話づらい・訊きづらい
ユーモアを持って。バリアーをできるだけ低くする。
・SDH(健康の社会的決定要因)への観点を持つ
・クレームは期待の裏返し(苦情を宝に)
・残念ながら暴力・暴言をふるう患者も少数ながらいる→逃げる
2.診療の最初
・立って挨拶
・目・視線をあわせる(「そっちの方を向く」のではない)
・ピー子に挨拶しない。ピー子とばかり話さない
・笑顔・・・口角をあげる練習、鏡を見る
・最初、話を途中で遮らない
3.診断
・患者さんの訴えは、その通り書く・・・患者さんの「健康問題物語」(患者側の解釈モデル)を知る
・よく3C(common, critical, curable)といわれるが...
私は、CCOもしくはCCEとしてほしい O: occupational E: Environmental
最近の流れではEがよいかも。SDH: Social Determinants of Healthが重視されてきている。
・最初にcriticalな疾患を考え、除外しておくと後の診療が楽
・鑑別診断は、必ず挙げる。その癖をつける。絶対決め打ちしない。それがたとえ風邪だとしても。
・よく使われるのがVINDICATE!!!P
V:Vascular:血管系、I:Infection:感染症、N:Neoplasm:新生物(良性、悪性)、
D:Degeneration:変性疾患、I:Intoxication:薬物・毒物中毒、C:Congenital:先天性、
A:Autoimmune:自己免疫/膠原病、T:Trauma:外傷、E:Endocrine/Metabolic:内分泌代謝系、I:Iatrogenic:医原性、I:Inheritance:遺伝性、I:Idiopathic:特発性(原因不明)、P:Psychogenic:精神・心因性
・わたしは、MEDIC TO VAN, 最近では V DOT CINEMA SPとしています。
VINDICATEでは、Occupational, Environmentalがない
・・・職歴をしっかり書いてほしい。その場合『のど自慢的職業表現』はNG。
SはSystemicで、全身性疾患の部分症ではないかと考える
・鑑別診断のみでなく合併症も考える。
・見通しや今後起こることを患者さんに伝えておく。(特にどれくらいで症状が改善するか)薬の副作用も。あらかじめ言っておくのと言わないのは雲泥の差。
4.検査
・定期検査はあらかじめ「次、採血しましょうね」とお知らせしておく
・検査の費用も説明できればベター
・検査するとき、その検査結果で自分の行動が変わるかどうか考える
・データは必ず確認する。データがでるのが後日の場合、メモや電カルの活用
・必要なデータは、自分から聞きに行く
・検体の間違い、人間違い、記載間違い等あることに気を付ける
・慢性疾患は、あらかじめ計画を立てておく。全身管理を心掛ける。
5.その他
・必要な能力:コミュニケーション アサーション その他ノンテクニカルスキル
・自分一人で外来をしているわけではない。看護師、事務、検査、放射線、リハ等スタッフに感謝。and 自分一人で抱え込まない。重要なことは一人で決めない。一度で決めない。
・古いPから新しいP:PaternalismからPartnership:患者さんに医療は共同作業と認識していただく
cf. 最近libertarian paternalism という言葉もあるが
・身(メンタルも)を守ることも大事(ごく一部だが、ひどい人もいる)
・SDHに目をむける:Do something
【参考文献】
・『研修医になったら必ず読んでください。〜診療の基本と必須手技、臨床的思考法からプレゼン術まで』 2014/2/25
岸本 暢将 (著), 岡田 正人 (著), 徳田 安春 (著)
・『白衣のポケットの中―医師のプロフェッショナリズムを考える 2009/4/1
宮崎 仁 (著), 尾藤 誠司 (著), 大生 定義 (著)』
・患者は何でも知っている (EBMライブラリー) – 2004/7/23
J.A.ミュア・グレイ (著), 斉尾 武郎 (翻訳), 丁 元鎮 栗原 千絵子 平田 智子
・『新・医者にかかる10箇条 あなたが“いのちの主人公・からだの責任者”』
ささえあい医療人権センター COML
・ACPについて
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000173561.pdf
・『医師のためのベストアドバイス BEST ADVICE カナダ家庭医協会
訳:日本HPHネットワーク 健康の社会的決定要因』
file:///C:/Users/michibata/Downloads/111b44c95f42e0e7cae4d6ef2c11995e-1.pdf
・CanMEDS 2015 hysician Competency Framework
file:///C:/Users/michibata/Downloads/canmeds-full-framework-e,0.pdf
以下日記
・本日3/7(水)は5時半に起きて小指頭大の朝勉。それから出勤です。午前中外来。反吐が出るくらい濃厚。かなりの時間患者さんにまっていただきましたが、苦情はあまりなし。ありがたいことです。おひとりだけ「まちました」と不快感を表現されておりました。まあ、残念ですが、仕方ありません。患者さん皆さんが、「先生、大変ですね」とか、「先生、お昼も食べず、おなかすかれたでしょう」と言ってくださるわけではありません。午後はカンファレンス、雇い入れ時健診。そして夜間診療。今日は先日とうって変わってゆっくりと診療できました。一番うれしかったのは、先週来られた咳が治らないという小学生。夜中せき込み、呼吸困難で目が覚めていたということでしたが。受診日から咳がとまってよく眠れるようになったと。やった~っと心から叫びました。ちゃんと薬訊いたか、副作用が出なかったか心配しておりましたが、ホッとしました。
・帰宅は20時過ぎ。お風呂入って昨日のカレー食べながら録画の「マツコの知らない世界」で、吉永小百合がゲストでした。私は全然サユリスト(死語と思っていましたが、番組で使われていた)ではないですが、やっぱりかわいくて美人ですねぇ。で、その後上のレジュメを書いて、このブログをかいております。
・昨日、振動病交流集会というもので山形にいってきたというお話を書きましたが、もうちょっと詳しく書いてみます。
・3/4(日)の午前中に上記集会がおわり、午後からはフリー。昼食は取らず会場だったかんぽの宿酒田からあるいて酒田市立美術館へ↓
http://www.sakata-art-museum.jp/
・そこでは主に彫刻家の高橋剛と画家の國領經郎の作品が展示されておりました。高橋剛というひとは、全然知りませんでしたが、その作品を見ると心地よさを感じました。私はあまり彫刻には関心がなくて、見ても特に体の奥から何らかの感覚がわいてくることはほとんどなかった(絵では時々経験します)のですが、今回作品をみて気持ちよく感じました。國領經郎というひとの絵は、何かマグリットを連想しました↓
http://www.sakata-art-museum.jp/f_shuzo.html
(上のページの絵よりも、違う絵の方がマグリットを連想させたのですが)
「國領經郎 マグリット」とグーグルでいれてみたら、同じような感想を持たれた人がおられましたね↓
https://blog.goo.ne.jp/shysweeper/e/9372f5756abf8925120678151e4e18b8
・美術館を出る前に、高橋剛の作品の写真がついたクリアファイルを購入したら、美術館員さんから、「剛さんすきですか?」と訊かれました。最初「剛さん、って誰?」と思いましたが、高橋剛のことですね。美術館では剛さんと慕われているのでしょうか?で、私は、全然知らなかった人ですが、「作品を見ていいなーと思いました。」と応えたら「パンフレットがありますが、いりますか?」と訊かれたので、当然返事はイエス。で、無料で「没後10年高橋剛彫刻展」の図録(パンフレット)をいただきました。
・その後、歩いて土門拳記念館へ行ったのですが、続きは後日。