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肝疾患と誤診されていた収縮性心膜炎/社会疫学DAY1

・標題の収縮性心膜炎とは、『医学書院医学大辞典第2版』によると↓


収縮性心膜炎
constrictive pericarditis


心膜に線維性肥厚と癒着を来し,心臓拡張期の血流充満が障害される病態。心膜に石灰化を伴うことも多い。ふつう急性心膜炎後に起こり大半は特発性である。診断上の特徴は,末梢静脈や頸静脈の怒張,クスマウル徴候,胸水,腹水,肝腫大,浮腫,心膜ノック音,QRSの低電位差,胸部X線による心膜石灰化像,心膜エコー強度の増大,心カテーテル検査で両側心室の拡張期圧・右房圧・肺動脈楔入圧の上昇と等値,心室拡張圧曲線の平方根記号型(square root型ともdip and plateau型とも呼ばれる)波形があり,右房圧曲線はx谷とy谷とが急峻となりM型やW型となる。治療は外科的に心膜切除術が行われる。

・上記説明にもあるように腹水もたまることがあります。で、肝疾患と間違われることがあるようで、その注意喚起のレポート↓



Constrictive Pericarditis as a Long-term Undetermined Etiology of Ascites and Edema


Intern Med 57: 1487-1491, 2018


Constrictive pericarditis (CP) is defined as impedance to diastolic filling caused by a fibrotic pericardium. The diagnosis of CP is a clinical challenge and requires a high index of clinical suspicion. The signs and symptoms of CP include fatigue, edema, ascites, and liver dysfunction. These can be mistakenly diagnosed as primary liver disease. We present the case of a 69-year-old woman with a 7-year history of leg edema and a 2-year history of ascites who was initially diagnosed with cryptogenic liver cirrhosis and was finally diagnosed with CP.


・本文中にこの患者さん、最初に循環器医の診察も受けているということで、何で見逃されたか不思議なところですが、まあ、後出しじゃんけん、後医は名医ということにしておきましょう。

・ちょっと本文の抜粋。まず、discussionの最初のところ↓

The common manifestations, in cases of severe CP, include ascites (37%), hepatomegaly (53%), pleural effusion (35%), and peripheral edema (76%) (3). These often lead to the misdiagnosis of chronic liver disease


そして、最後↓

Physicians should be aware of this condition when they encounter patients with chronic edema, ascites, or liver dysfunction of unknown etiology and should evaluate the jugular vein and echocardiography results with a high index of suspicion for CP.

・くれぐれも心しておきます。(と、書きながらすぐ忘れてしまうのですが...



以下日記

・今日から3日間、ハーバード大学公衆衛生大学院(と、訳してよいかは自信なし)のイチロー・カワチ先生の集中講義。一応病院の方は休みをとっております。

・本日11/19(月)は、5時10分起床。7時前に病院に行って重症の患者さんを診て、岡大医学部へ。8時40分に滑り込みセーフ(と言う表現は今でも使うのか?)17時くらいまで集中講義でした。本日のお題はSocial Network and Social SupportとNeighborhood influences on Healthというもの。何度聞いても面白いし、勉強になります。(絶対1回じゃあ身に付きませんからね)

・帰宅は19時45分頃。先ほどお風呂入って、夕食ができるまでこのブログを書いております。夕食とったら簡単な事務作業のみしてさっさと寝ます。明日も5時起き。これが習慣になったら良いんですけどね。

・そういえば本日は電車のなかで↓の本が読み切れました。


ヒトラー演説 - 熱狂の真実 (中公新書)

ヒトラー演説 - 熱狂の真実 (中公新書)

  • 作者: 高田 博行
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2014/06/24
  • メディア: 新書


枝葉末節の話ですが、ヒトラーってオペラ歌手から発声法や演説の動作をまなんでいたんですね。その史実から『わが教え子、ヒトラー』という映画ができたんですね。その映画あるのは知っていたけど、まだ観ていませんでした。機会を見つけてみていましょう。


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