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遅発性外傷性気胸/昔の激務が今に応えているのか?

・ある暴露(ex. 打撲)をうけてすぐではなく時間がたってから発症する病気として有名なものは、慢性硬膜下血腫でしょう。『医学書院医学大辞典第2版』によると


慢性硬膜下血腫 chronic subdural hematoma

急性硬膜下血腫とは全く違う病態で,硬膜下に被膜を有する血腫。乳児期と高齢の男性に好発する。成人では酒飲みの男性に多い。軽微な頭部外傷後3週間から2~3か月で発症するが,外傷歴が明らかでない場合もある。外傷により少量の硬膜下血腫が起こり,血液,フィブリン,およびそれらの分解産物に対して硬膜を含む間葉組織が炎症反応を起こし,血管透過性の高い被膜を硬膜内面に作る。また硬膜下水腫など貯留液が硬膜下腔に長時間残存することが発生因子となり,硬膜側の外膜とくも膜側の内膜に囲まれた血腫を形成する。被膜からの微量な出血,滲出または漏出が持続的ないし間欠的に起こり,血腫が増大し脳を圧迫する。CT上での血腫の濃度差は,含有血液量によって異なる。その主な症状は頭痛,嘔吐,片麻痺,うっ血乳頭,意識障害などであるが,高齢者では認知症症状を呈することがある。脳は損傷されていないため,血腫が消失すれば予後は良好である。手術的には1~2個の穿頭術と血腫腔ドレナージが施行される。



・上の説明では、頭部外傷後3週間から2,3ヶ月とかかれていますが、その期間はいろいろで「2週間から」とかかれていたり、「1,2ヶ月後」とかかれていたり...お年寄りが転倒して頭を打って外来受診した場合、「今は良くても数週間から数ヶ月後に調子がおかしくなることがあります」と説明します。で、胸を打ってこられて胸部レントゲンで異常が無くても、後日気胸が起こる可能性がありますと説明がいるみたいですね。↓のようなレポートがありました。



鈍的外傷による遅発性外傷性気胸の検討
橋高弘忠、他。
日本外傷学会雑誌 33巻(2019)4号
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjast/33/4/33_373/_article/-char/ja
【抄録】 【目的】遅発性外傷性気胸症例を検証する. 【方法】 "初診時CTで認められず, 入院後の画像検査で初めて判明した外傷性気胸" を "遅発性外傷性気胸" と定義し, 入院加療を行った胸部外傷475例を後方視的に検証した. 【結果】外傷性気胸159例中5例が遅発性外傷性気胸に該当した. 全例が気胸側に上中位肋骨の複数骨折を合併し, 鎖骨骨折は3例 (60%) に認めた. 遅発性外傷性気胸の診断日は第2病日が4例 (80%), 第3病日が1例 (20%) で, 診断後, 緊急ドレナージを3例に施行, 残り2例中1例は待機的手術に際してドレナージを行った. ドレーン留置期間は6 (3-11) 日で, 非ドレナージ症例も増悪なく経過し, 全例が生存退院した. 【考察】遅発性外傷性気胸の頻度は低いが, 緊急ドレナージを要することもあるため, 複数本の上中位肋骨骨折や鎖骨骨折合併例では注意深く経過観察する必要がある.
・これで、ほんのちょっと外来の診療の説明に膨らみができたかな。
以下ちょっとだけ日記
・本日5/13(水)は、5時50分起床。朝勉ちょっとして出勤です。始業前に病棟よってから午前外来。午後から回診、カンファレンス、そして夜間診療。大きなことが無く18時半に終わりました。それからちょっと病棟よって帰宅です。何かエロー早く19時9分帰宅。お風呂入って夕食摂って、このブログ書いております。
・つくづく思うのは、月曜日当直して翌日も働き、午後から大学の勉強会に参加するのはかなりしんどい。早く寝ても水曜日は疲れが残っており、それで夜間診療をするのはとてもしんどい。多分(木)(金)ですこし疲れがとれるのでしょうが、また月曜日当直だと考えると本当に憂鬱。健康的な生活リズムが築けません。昔はもっと激しく働いておりましたが、今考えるとようやっていたと思います。やっぱり若かったのね。ただ、昔メチャクチャ働いたことが今に応えているという気がするのでした。

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