SARS-CoV-2による16歳の心筋炎/宿直と宿直「明け」外来でダミッジ
心筋自体に炎症が生じた病態。ウイルス,細菌,真菌,寄生虫,スピロヘータ,リケッチアなどの感染や,薬物,化学物質によって生じる。また血管炎などの全身疾患の経過中に生じる。急性の場合,かぜ症状や消化器症状に続発して,動悸,呼吸困難などの心不全症状にて発症することが多い。心電図上,ST-T異常や各種の不整脈を認めることが多い。病理学的には,心筋細胞の融解,間質浮腫,円形細胞浸潤,壊死巣形成などがみられる。
・そしてCOVID-19の原因であるSARS-CoV-2というウイルスは心筋炎を起こすと言われています。心筋炎が16歳の若者におこったというレポートがTHE LANCETにありました↓
頸肩腕障害、(職業性)上肢障害
・昨日手話通訳者さんの健康問題について講演をしましたが、手話通訳者業界でそれなりにしられている職業性疾患は、頸肩腕障害、略して頸腕です。職業性の頸肩腕障害の定義・病態は↓
http://www.fujita-hu.ac.jp/~deppub/keiwan/teigi/index.html
↑の中でかかれている定義が↓
頸肩腕障害は、作業態様に関わる負荷が上肢系の筋骨格系組織に作用することにより生ずる機能的または器質的障害である。
・うーん、わかったようなわからないような。↓の通達の方がもうちょっと具体的かな?
・頸肩腕障害と似たような言葉(と言っても行政で使っている言葉で誤解が生じそうですが)に「上肢障害」というのがあります。(ネットで検索すると、職業に直接関係ないような項目もいっぱい出てきます。)正確には↓の通達の第1の1にかかれているような疾患です。(↓は抜粋です)
上肢作業に基づく疾病の業務上外の認定基準について
(平成9年2月3日)
(基発第65号)
(都道府県労働基準局長あて労働省労働基準局長通知)
第1 認定基準
1 対象とする疾病
本認定基準が対象とする疾病は、上肢等に過度の負担のかかる業務によって、後頭部、頸部、肩甲帯、上腕、前腕、手及び指に発生した運動器の障害(以下「上肢障害」という。)である。
上肢障害の診断名は多様なものとなることが考えられるが、代表的なものを例示すれば、上腕骨外(内)上顆炎、肘部管症候群、回外(内)筋症候群、手関節炎、腱炎、腱鞘炎、手根管症候群、書痙、書痙様症状、頸肩腕症候群などがある。
第2 認定要件の運用基準
1 「上肢等に負担のかかる作業」とは、次のいずれかに該当する上肢等を過度に使用する必要のある作業をいう。
(1) 上肢の反復動作の多い作業
(2) 上肢を上げた状態で行う作業
(3) 頸部、肩の動きが少なく、姿勢が拘束される作業
(4) 上肢等の特定の部位に負担のかかる状態で行う作業
・それで、上のことを説明したリーフレットが↓で、これが結構わかりやすいかも。
『上肢障害の労災認定』
・↑のリーフレットの中の「上肢の反復動作の多い作業」の中に「手話通訳」がはいっています。この言葉がはいるまでに、どれだけの人の犠牲と、努力、運動があったことでしょう。歴史を知る人は感慨深いでしょうし、知らない人は「フーン」でしょうね。
現在宿直中。以下日記は略。明日以降のおたのしみに。
手話通訳者さんの健康問題で訴えたこと/燃え尽きました
比較的若い人の房室ブロックは筋強直性ジストロフィーも考えよ/昨日アウト、今日セーフ
[同義語]シュタイネルト病 Steinert disease,萎縮性筋強直症
筋が一度収縮した後,弛緩に時間を要する筋強直を主症状とする全身性の疾患。常染色体優性遺伝をとり,遺伝子座は第19染色体長腕(19q13)にある(DM1)。遺伝子産物は未知のプロテインキナーゼでミオトニンキナーゼ(myotonin kinase)と呼ばれている。この酵素と病気の発症との関係はまだ明らかでない。本遺伝子の3′側の非翻訳領域には3塩基CTGの繰り返し配列があり,正常ではその繰り返しは30以下である。本症では3塩基繰り返しが50以上あり,時に数千に及ぶ。この繰り返し配列の数と症状の重症度はある程度相関する。この繰り返し配列のメッセンジャーRNAが毒性をもち種々の蛋白のスプライシングを阻害し,多くの臓器に障害を来すと考えられている。また3塩基繰り返しの数は世代を経るに従い増加し,発症も早く,症状も重くなる(表現促進anticipation)。本症は筋強直や筋力低下の筋症状のほか,脱毛,白内障,内分泌異常(不妊,インポテンス),心伝導障害,消化器症状,知的能力低下などの中枢神経症状を伴う。稀に本症の母から生まれた子が,新生児期から人工呼吸器を必要とする重症な筋力低下,知的発達遅滞を示すことがあり,それは先天性筋強直性ジストロフィー(congenital myotonic dystrophy)と呼ばれる。3塩基繰り返し配列は数千以上に及ぶ。本症に対する根本治療はないが,筋強直が強い場合にはプロカインアミド,フェニトイン,カルバマゼピンなどが使用される。常染色体優性遺伝をとり,第3染色体(3q21)に遺伝子座があり近位筋が主に侵されるproximal myotonic myopathy(PROMM)(DM2)も筋強直を主症状とするが,症状はDM1より多彩である。
[同義語]AVブロック AV block
房室ブロックは心房から心室への伝導が途絶または伝導遅延している病態と定義される。したがって,房室伝導系(房室接合部,ヒス束,左脚と右脚の両者)の器質的障害によるものを意味するばかりでなく,副交感神経過緊張などによる機能的伝導遅延も含まれる。洞調律時の心電図でⅠ度,Ⅱ度,Ⅲ度房室ブロックに分類され,Ⅱ度房室ブロックはさらにウェンケバッハ型(モビッツⅠ型)とモビッツⅡ型に分けられる。心房と心室の伝導比が3:1以下のものを高度房室ブロックと呼ぶ。また障害部位で房室結節内ブロック(AHブロック),ヒス束内ブロック(HHブロック),ヒス束下ブロック(HVブロック)の3つに分類される。房室ブロックは発作時の心電図で診断される。正確なブロック障害部位の診断にはヒス束心電図の記録が必要である。
・で、標題のようなことを主張している論文が↓
We encountered a 42-year-old woman with a history of diabetes mellitus and cataracts presenting with repeated syncope whose electrocardiogram showed advanced atrioventricular block. On admission, we excluded major potential differential diagnoses as causes of an atrioventricular block but did not suspect myotonic dystrophy, which was eventually diagnosed by chance based on a suspected weakness of the respiratory muscles followed by a detailed neurological physical examination. Myotonic dystrophy should be suspected as a differential diagnosis when relatively young patients present with conductance disorder
SSP: 自己炎症性疾患/もっと時間と○○を
- 作者: 國松 淳和
- 出版社/メーカー: 医学書院
- 発売日: 2020/04/13
- メディア: 単行本
rt-PAで口舌血管浮腫/眠い
2019 年 3 月
日本脳卒中学会 脳卒中医療向上・社会保険委員会 静注血栓溶解療法指針改訂部会
蕎麦屋の手根管症候群/二度泣いた
手関節レベルでの正中神経の絞扼性神経障害である。手根管は手根骨群と屈筋支帯(臨床的には横手根靭帯:transverse carpal ligamentと呼ぶ)とからなるが,解剖学的要因すなわち手根管狭窄が発症の一要素と考えられている。臨床症状として手指のしびれ感,母指の運動障害が最も頻度が高い。橈側3本半(母指・示指・中指・環指橈側)の知覚障害,母指球橈側の筋萎縮,ファーレン徴候,逆ファーレン徴候などの典型的症状が揃えば臨床診断は容易であるが,非定型的症状で発症する場合もあり,電気診断により確定診断を行う。手の過度使用,妊娠,出産などを契機として発症することがある。長期人工透析によるものはアミロイド沈着による手根管狭窄(靭帯・腱・腱鞘などに沈着する)が原因と考えられている。
FYI:雇用された手話通訳者の労働と健康についての実態調査報告書 2015年10月調査/ああ、抜くのをがまんできない
(審議のまとめ)
平成29年7月
広域通信制高等学校の質の確保・向上に関する調査研究協力者会議
- 出版社/メーカー: 双葉社
- 発売日: 2020/03/12
- メディア: コミック
蚊に刺されてひどい水疱→EVウイルス感染を考える/高齢の患者さんに点滴をするのが意味が無いことは無い
Impressive bullous reaction to mosquito bites
Sara Mai, et al.
BMJ Case Rep 2019;12:e232791. doi:10.1136/bcr-2019-232791
https://casereports.bmj.com/content/12/11/e232791
・このレポートのlearning pointは
his benign condition can sometime be the first manifestation of Epstein-Barr virus-associated natural killer/T lymphoproliferative diseases. Therefore, long-time follow-up is essential for these patients.
と言うことです。で、下の様なガイドラインがあるのを知りました↓
慢性活動性EBウイルス感染症とその類縁疾患の診療ガイドライン2016
監修 日本小児感染症学会
↑のアドレスはわかりませんが、検索エンジンにいれるとすぐヒットすると思います。その中に「蚊刺過敏症」という項目があります。まあ、読んでみてください。蚊に刺されるってジカ熱やデング熱のみでなく、こんな病態も考えないといけないのですね。
以下日記
・本日6/19(金)は、6時27分起床。一瞬だけ朝勉して出勤です。午前外来。開業医さんから肺気腫の患者さんの紹介があり長引きました。かなり呼吸困難が強いかたでした。で、肺気腫は治らないといわれていたとのこと。こういうことはじん肺の患者さんでも経験します。病理的な変化は治らなくても呼吸困難や咳と言った自覚症状は改善する可能性は高いということをお話ししました。ある意味こういう患者さんの治療は燃えます。で、つい熱が入って一方的に病気や治療方法の説明をしていまいます。鶴亀鶴亀、じゃなかった、反省、反省、スタンハンセン。
・午後からは、回診。夕方高齢の患者さんのご家族に病状説明。施設に入所されていて脱水で入院。そして、少し改善して退院。しかし、また同様なことがおこるでしょうと。高齢の人が活気がなくなり、食事がとれなくなるとそれが寿命だと対応しています医師・医療従事者がすくなからずいるみたいです。で、点滴なんか百害あって一利無しみたいに説明して、絶対点滴をしないDr.もいるみたいです。でも、点滴が効果あるかないかは一定やってみないと分からないものです。実際本日退院された高齢の患者さんも点滴をしてしっかりされました。私の4年前に死亡した母親もそうでした。活気がなくなり食事がとれなくなったときに少し点滴すると元気が出て食事をとれるようになりました。私は、高齢の患者さんに点滴をするのが意味が無いとか無駄だとか断言する医療従事者に疑問を感じます。
・本日17時過ぎに病院を出て帰りにダイソーとTHE BIGによって帰宅。お風呂入って、夕食。その時久々に赤ワインおよびそれをキティーにして飲みました。その後ジンバック、で今はマーテル飲みながらこのブログを書いております。久々のアルコールで気持ちは良いです。残念なのは麦酒がなかったこと。昨日通販で父の日セールでビールの通販があったので注文しています。届くのは日曜日の夜。それを楽しみにしましょう。悲しいのは父の日のギフトセットを自分で注文して自分に送ること。我が家の辞書には母の日、父の日とい文字はない。
・よっぱらって書いているので誤字脱字は笑って許して。