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喘息症状のないアレルギー性気管支肺アスペルギルス症/ACPの定義には患者側からと医療者側からの二種類がある

標題のアレルギー性気管支肺アスペルギルス症(ABPA)とは『医学書院医学大辞典第2版』によると↓


アレルギー性気管支肺アスペルギルス症 allergic bronchopulmonary aspergillosis;ABPA

気管支内にアスペルギルスが腐生し,アスペルギルス抗原に対するアレルギー反応で気管支喘息発作と肺浸潤を繰り返す疾患。アスペルギルスに対するⅠ型およびⅢ型アレルギー反応が関与している。診断基準としては,①喘息症状,②反復する肺浸潤影,③末梢血好酸球の増多,④アスペルギルスに対するIgE抗体陽性,⑤アスペルギルスに対するIgG抗体陽性,⑥血清中IgE高値,⑦中心気管支拡張の7項目のうち,①~④は必須であり,⑤~⑦のうち少なくとも2項目を満たす場合とされている。治療は,副腎皮質ステロイド薬の投与が有効である。最近,抗真菌薬との併用が治療効果を増すことが示されている。アスペルギルス以外の真菌でも類似の病態が認められることもあり,広くアレルギー性気管支肺真菌症(allergic bronchopulmonary mycosis)の名称がある。

↑の説明では、喘息症状は診断に必須と言うことですが、喘息症状のない「ABPA」も「ある」ということで症例報告と新しい診断のクライテリアが報告されていました。(新しい診断のクライテリアは現在投稿中と言うことです)



Clinical Manifestations of Allergic Bronchopulmonary Aspergillosis without Major Features of Asthma Diagnosed by the New Criteria in Japan
Yuki Kurihara, et al.
Internal Medicine 60巻(2021)8号
https://www.jstage.jst.go.jp/article/internalmedicine/60/8/60_6072-20/_article/-char/ja
Abstract】Allergic bronchopulmonary aspergillosis (ABPA) is a severe form of asthma in which structural airway destruction occurs due to a hypersensitivity reaction to fungi. A 25-year-old man without any major features of asthma had lung infiltration with dilatation of the central bronchus, high-attenuation mucus with histological eosinophilic invasion, fungi detected on cultures, and positive Aspergillus-specific immunoglobulin E (IgE) and precipitating antibody of Aspergillus, with a significant elevation of blood eosinophils and slightly increased total IgE. He recovered rapidly with systemic corticosteroid therapy without recurrence over 1-year follow-up and an increased forced expiratory volume in one second, which supported the possibility of ABPA without any major features of asthma.
・何年か前も同様に喘息症状のない「ABPA」のcase reportを読んだことありますが、その時点(現時点でも)ABPAとは言えないわけで、今回提案されている診断基準がひろく認められたらABPAといっていいことになりますね。
・全く余談ですが、このinternal medicineはまだ出版されていない論文もForthcomingとして引用して良いんですね。おおそれながら、ほんまにそれで良いんかなと思ってしまいます。
以下日記
・本日4/16(金)は5時40分起床、朝勉して朝食摂って出勤。午前外来、午後回診、産業医面談、病棟での学習会:DNARとACP。帰宅は18時過ぎでした。お風呂入って夕食。久々にアルコールを摂取いたしました。まずは、独歩。それからトマトジュース+テキーラ、その後トマトジュース+ジンというブラディー・マリーもどきを飲みながらこのブログを書いております。今日は、サッサと21時台には寝たいと思っておりますが、それまでちょっと調べ物。ただ、覚醒しておれるか?
・今日のDNARとACPの学習会で、ある看護師さんがスッキリしたと言ってくださいました。(DNAR、ACPについては最期のリンクを張っております)以前いた病院の病棟勤務時、DNARオーダーが出されていた患者さんに抗生剤が投与されたとのこと。次の勤務時同僚(上司?)から、何故抗生剤が投与されたのかと責められたとのこと。これは、DNARを「何も治療をしない」という誤った解釈からなされたもの。それ以来モヤモヤしていたことが今日の学習会(DNARとは何も治療しないということではなく、心肺蘇生のみをしないということで、心臓が止まっていない限り透析でも抗生剤投与でも鎮痛処置でもする)でスッキリしたと言ってくださいました。まだ、日本全国こういう誤解が多いのではないでしょう。
DNARについて↓
↑の本文中の「患者ないし代理者へのinformed consent」という文は「へ」が余分であり「患者ないし代理者のinformed consent」が正しいと思います。
・ところで、今回学習会の準備をしていて気がついたこと。ACPの定義はいろいろありますが、患者側からみた定義と医療者側からみた定義があると言うことです。医療者側からみた定義とは、↑の東京都医師会の説明にあるように「患者さんの意思決定を支援するプロセス」とあり、主語が医療・ケアチーム。患者側からみた定義とは厚労省の「人生の最終段階の医療・ケアについて、本人が家族・医療・ケアチームと事前に繰り返し話し合うプロセス。」
のように主語が「本人」となっております。あまり、こういうことについて書かれてはいないのでは?(単に私の見落とし、勉強不足かもしれませんが)
・やっぱ、人に教えるという立場で勉強するといろいろ覚えたり気がついたりするものですね。

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