魚骨も泳ぐ/意味ないじゃん、ドッグズノーズもどき
河田 直海, 山元 英資, 浦岡 未央, 田村 周太, 友松 宗史, 梅岡 達生
症例は83歳,男性.発熱と右腰背部膨隆を主訴に内科に入院,CTで腰背部の筋内膿瘍が疑われ外科に紹介された.穿刺排膿と抗菌薬による保存的治療で軽快したが,抗菌薬投与終了3週間後に再燃し,経皮ドレナージを行った.CTを見直すと膿瘍内に魚骨が疑われ,外科に転科し腰椎麻酔下で魚骨摘出術を行った.術後経過は順調であった.下部消化管内視鏡で上行結腸に多数の憩室,肝彎曲部に中央にポリープ様隆起を伴う限局した粘膜浮腫があり,誤飲した魚骨が結腸から後腹膜に穿通,さらに胸腰筋膜下まで迷入し膿瘍を形成したと考えられた.魚骨が消化管外に穿通した報告例は散見されるが,後腹膜から背筋に至った報告はまれと思われたので報告した.
・↑の論文の消化管外の魚骨に関する表は興味不快ですね。その他へーっと思ったことは2点↓
①Hendersonらは,胃に達した異物の80%は何事もなく消化管を通過するが,20%は閉塞・穿孔・出血の原因になり,異物が細長い金属や動物の骨の場合や,腸管に癒着や病変がある場合にそのリスクが上がると述べている
・・・わたしゃ、9割以上が何事も無く排泄されると思っておりました。まあ、飲み込んだ物によって、この数字はかわってくると思いますが。
②骨存在の診断は最近のCTの性能から難しくないが,細い骨の横断像となった場合には見逃す可能性もある.本症例では魚骨が膿瘍の底に丁度体軸と並行に位置していたため,初診時のCTではアーチファクトと考えてしまった.
・・・確かにそういうこともあるなぁと思いました。
・最後に、膿瘍をみたら何か異物はないかと考える癖をつけないといけませんね。
以下日記
・本日8/31(火)は、6時起床。朝勉(Modern Epidemiology読む)後出勤。(当然猫たちに餌はやっております)病棟よって午前外来。午後は病棟ちょっと寄って書類の作成と職員健診の胸部レントゲン読影。15時20分過ぎに病院出て中央町の薬局寄ってリアップ買って金光の本屋さんに注文していた本受け取って16時帰宅です。一服して18時までロスマンのModern Epidemiology読みました。その後猫たちに餌やってから入浴、夕食。アルコールをいただきました。まずはベルギービール1本、その後ノンアルコールビールにジンをいれてドッグズノーズもどきカクテルを飲んで、現在ヘロヘロでございます。そもそもノンアルコールビールにジンいれたら、ノンアルの意味ないじゃん。でも、ビールがもうなかったので、仕方ないし、少しでもアルコールが少なくてよいかな...私の小さい冷蔵庫の中にはあと朝日スタウトと缶麦酒1本しかありません。木曜日にはベルギービールが届くはずです。ああ、おいしい麦酒がのみたーーーいっ!・・・おいしい麦酒とは仲の良い友達と飲む麦酒です。
・今日こそ早く寝ます。21時には布団に入ってゴルゴ13をKindleで読みながらねます。しかしKindleが顔の上に落ちるとかなり痛いです。
土いじり、ピアスで破傷風/ゴミ出しで汗だく、つゆだく、ドナルドダック
[同義語]テタヌス
栄養型の破傷風菌が産生する強力な神経毒(テタノスパスミンtetanospasmin)によって起こる非伝染性の疾患である。土壌や塵など環境中に広く,またヒトや動物の消化管にも存在する破傷風菌の芽胞(写真は平板培養した破傷風菌をグラム染色し,光学顕微鏡で撮影。1500倍。提供:中村信一)が,外傷,骨折,火傷,凍傷,褥瘡,咬傷などの各種創部,種々の感染症や各種術後の創部などから侵入し,発芽し,栄養型となる。トキソイド接種をしていないヒトに,ふつう3日から3週間の潜伏期で発症する。診断は臨床的に行う。治療の基本は,神経結合毒素が代謝されるまでの間の適切な支持療法,抗毒素による未結合毒素の中和,創部の適切な処置の3つである。感染後免疫は成立しない。
臨床神経学61 巻 (2021) 8 号
梅本 大地, 柴田 曜, 森 仁, 進藤 克郎
破傷風は土壌に存在する破傷風菌が体内に侵入することで発症する感染症である.当院が診断した破傷風11症例について先行外傷や治療経過など臨床経過について検討した.発症時の平均年齢は68歳であり,7例で集中治療管理を要した.先行外傷には明らかに汚染を伴う例もあれば,非常に軽微あるいはない例もあり,先行外傷の程度と重症度に相関はなかった.初診医が破傷風と疑えたのは11例のうち4例のみであり,開口障害や頸部の筋緊張亢進など典型的な症状を呈していても外傷が軽微,またはない場合には見逃される傾向にあった.破傷風を疑う際には生活歴に至るまでの病歴聴取および適切な神経診察を行い診断・治療を行う必要がある.
・遠ーい、私の学生時代の記憶では破傷風は古い釘を踏んでしまったような深い傷でおこると習ったような気がします。その後医者になって擦過傷のような傷でも発症したというレポートがあったので、それも気をつけるようにしました。↑のレポートの一覧表をみると、必ずしも深い傷ではありませんね。何か土がつくような傷なら気をつけないと。なので「土いじり」・・・家庭菜園は要注意ですね。
・それにしても、土もいじらないのにピアスの穴で破傷風になるとはどういう事でしょうね。なんせ怪我があったら破傷風と考えないといけないのかしら。
以下おなじみ短小日記
・本日8/30(月)は6時起床。まず朝勉してから朝食。その後猫たちに餌やりに行って燃えるゴミをだしてきたら汗だく、シャワーを浴びました。で午前中はZOOMで因果推論の学習会。午後から出勤し病棟回診、夜間診療、その後健診の胸部レントゲンの読影と書類の整理。帰宅は20時7分でした。ちょうどパスタがゆであがったということで、まずは夕食。お腹がいっぱいでお風呂は入れないのでちょっと勉強してこのブログを書いております。これからお風呂入ってそのあとRothmanのModern Epidemiologyをすこし読んで寝たいと思います。
優れた英語論文は読みやすい
緩和ケア・コミュニケーションのエビデンス ああいうとこういうはなぜ違うのか?
- 作者: 森田達也
- 出版社/メーカー: 医学書院
- 発売日: 2021/06/21
- メディア: 単行本
Masanori Mori, Tatsuya Morita
冠動脈解離/猫捕獲失敗、まあ結果オーライ?
カンジョウドウミャクカイリ
[英]coronary artery dissection
石灰化病変などで脆弱な冠状動脈で,内膜に生じた亀裂から血液が冠状動脈壁内に流入し,中膜が二層に解離した状態をいう。心臓カテーテルやPTCA中にカテーテルやガイドワイヤーの物理的刺激により起こることがある。心筋梗塞の原因となり,ステント留置や冠状動脈バイパス手術が必要となる場合もある。
緩和ケア・コミュニケーションのエビデンス ああいうとこういうはなぜ違うのか?
- 作者: 森田達也
- 出版社/メーカー: 医学書院
- 発売日: 2021/06/21
- メディア: 単行本
Modern Epidemiology (English Edition)
- 出版社/メーカー: Wolters Kluwer Health
- 発売日: 2020/12/11
- メディア: Kindle版
オピオイドによる痒み/早く帰れたので早く寝たい
[英]opioid
[同義語]麻薬様物質
[1]ケシの未成熟果実から抽出されるアヘンの主要薬理成分モルヒネに類似した鎮痛作用と麻薬性を有する物質の総称。アヘン誘導体を示すオピエートより広い概念として内因性物質を含めて使われる。脳内に存在するエンドルフィン,エンケファリンなどのモルヒネ様ペプチドはオピオイドペプチドと呼ばれ,それらが結合して生理作用を発揮する受容体をオピオイド受容体と呼ぶ。 [2]モルヒネは優れた鎮痛薬であるが依存性(麻薬性)をもつため,依存性のないモルヒネ様作用をもつ麻薬性鎮痛薬として合成された。それらの作用は結合するオピオイド受容体のサブタイプによって決まる。全身麻酔で使用されるフェンタニルはモルヒネの100倍の力価がある。
今町 憲貴
オピオイドによる副作用で最も多いものの一つが痒みである.オピオイドによる痒みは,脊髄くも膜下麻酔を用いた帝王切開術を受けた患者で最も発生率が高く,抗ヒスタミン薬では改善しない.オピオイドによる痒みは,脊髄後角でのガストリン放出ペプチド受容体(GRPR)シグナル伝達の活性化を介して生じることが報告されている.最近の基礎研究では,κオピオイド受容体(KOR)の活性化により,GRPRを介した痒みが軽減されることが示唆されている.臨床でもKOR作動薬は,オピオイドによる痒みの対策として有用であることが明らかとなってきた.痒みの機序に基づいたオピオイドによる痒みの予防と治療については,さらなる研究が必要である.
・↑で引用されている皮膚瘙痒症診療ガイドライン2020はfreeでみることができます↓
https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/guideline/souyouGL2020.pdf
あっという間に以下超短小日記
・本日8/27(金)は、6時20分起床。朝勉せず出勤。病棟よって午前外来、午後回診と会議と書類作成。17時15分に病院出て帰宅。猫たちに餌やって入浴して夕食。アルコールをいただきました。ちょっと勉強してこのブログを書いております。これからちょっとだけ勉強して、今日こそは22時までには寝たいと思います。で、明日は早起きして朝勉後ネコを獣医さんのところに連れて行く予定です。
MRIで難聴/病院からの電話が憂鬱
鈴木 英佑, 綾仁 悠介, 萩森 伸一, 菊岡 祐介, 尾﨑 昭子, 稲中 優子, 乾 崇樹, 河田 了
現代医療ではMRIは不可欠な検査であり,日々多数施行されている.しかしMRIが生じる騒音に対しては,十分注意が向けられているとは言い難い.今回我々はMRIの騒音に起因した急性音響性難聴を3例経験し,うち2例は不可逆であった.3例とも3.0テスラのMRIを用いており,騒音対策はイヤーマフもしくは耳栓の不完全な単独装用であった.MRI検査による聴覚障害を来たさないためには,防護策の徹底が必要である.画像診断上支障がなければ,騒音の小さな1.5テスラのMRI検査を用いることも対策の一つである.また耳栓とイヤーマフの両者を確実に装用することが重要であると考える.
・こういうことは医師もさることながら放射線技師さんもしっかり認識しておいてもらわないといけませんね。(↑の本文中の騒音対策に関するアンケート調査の結果にちょっとビックリ)
以下日記
・本日8/26(木)は、6時起床。朝勉していたら病院から電話。えっ、患者さんの急変かとドキッとしましたが、そうではなく安心しましたが、違う件で憂鬱=入院患者さんが療養のルール違反。退院を勧めなければいけないみたいでした。懲戒解雇より軽い諭旨解雇というのがあるように強制退院では無く「諭旨退院」みたいにすすめないといけません。(私は、強制退院という言葉は好きではありません)憂鬱な気持ちで病院へ行ってその患者さんとお話をして退院の話。割と素直にきいてくれました。その後外来。午後から公害健康被害認定審査会。夕方戻ってきて回診、書類。帰宅は18時16分。お風呂入って夕食とって、19時30分から21時過ぎまでZOOMでソーシャルキャピタル研究会。その後一服してこのブログを書いております。大分眠くなってきましたが、あとちょっとだけ勉強して寝ます。
・それにしても、病院からの電話って、まず良いことはありませんね。まあ、あたりまえですが。あえてあるとしたら、宿直かわってあげますよという電話でしょうか。そんなん、記憶する限りではなかったけど。・・・・この組織からはやく足抜けして宿直の苦行から抜け出したいと思っている昨今、というよりず~~~っと前から。
インフォームドコンセントにおける同意の前には患者の理解の確認が必要/久々のダブルブッキングに気づいて冷汗
2時間待たせ、疲れた1日
ありがたいがちょっと残念な『かかりつけ医のためのBPSDに対応する向精神薬使用ガイドライン(第2版)』/宿直明けでヘロヘロ
心嚢液貯留の鑑別診断に心膜中皮腫を/1時間間違える
[同義語]水心膜,心嚢水腫
何らかの原因で心嚢液が過剰に貯留した状態。正常な心嚢液は20~50mLであるが200mLを越える心嚢液の貯留が起こると,心室の拡張期充満が障害されて心タンポナーデを呈する。心嚢液の貯留が緩徐であれば症状が出現しない場合もある。うっ血性心不全や腎疾患に続発するもの,心膜の炎症や代謝性のものなど原因は多岐にわたる。胸部X線上心陰影の拡大を認め,心電図上低電位,T波の平坦化がみられ,心エコー法で心外膜と壁側心膜の間にエコーフリースペースを認める。少量の心嚢液では特に症状の出現をみることはなく,原疾患の治療と利尿剤の投与が行われる。治療抵抗性のものや心タンポナーデを来したものでは心膜穿刺や心嚢ドレナージを行う。
症例は81歳女性.食思不振を主訴に近医を受診し胸部CT検査で多量の心膜液貯留を認めたため当院を紹介受診した.心嚢穿刺を行い,血性混濁液を得たが確定診断に至らなかった.悪性リンパ腫等を鑑別にあげ施行したPET-CT検査では心膜,肺門リンパ節,左胸膜に集積を認めた.骨髄穿刺・生検,気管支鏡下肺門リンパ節生検では有意な所見を得られなかった.右心不全が出現しコントロールが不良となった.経胸壁心エコー図では左室後壁側の心膜を中心に著明な肥厚を認め,さらに心筋との癒着を疑う所見を認めた.心臓血管外科により心膜生検・心膜剝皮術を試みられるも,心臓を取り巻くように腫瘍塊を認め,心筋へ直接浸潤していたため心膜剝皮は断念した.生検の結果より悪性心膜中皮腫の診断となった.全身管理を継続するも徐々に心不全が増悪し死に至った.初診時は多量の心膜液と壁側心膜側に腫瘤陰影を認めるものの心膜肥厚所見は認めなかった.心嚢ドレナージ後は心膜肥厚が急速に進行し,局所から全周性へと進展していった.希少であるものの早期診断が求められる悪性心膜中皮腫の経過を追うことができた1例であり,臨床的重要性が高いと考え報告する.
・最初に書きましたように心嚢水の鑑別診断には、アスベスト曝露を。今後増えていくはずなので。
以下短小日記
・本日8/22(日)は、6時22分起床。朝食を挟んで朝勉。9時20分家を出て動物病院へ預けている猫を迎えに行くつもりだったのですが、熱心に勉強していたせいか10時20分家をでることに。家を出るまで9時20分だと思い込んでおりました。で、無事猫ちゃんを迎えて、途中ちょっとだけ寄り道して帰宅。一服後昼食。その後お勉強。宿直に備えて1時間お昼寝。そして17時半から病院で宿直です。ちょっと不穏の患者さんがおられて、往生しましたが、今は病棟から連絡ないので落ち着いておられるみたいですね。これから宿直室で寝ます。どうか、真夜中に起こされませんように。インシャラーメンダブツ。おなすびやさい。