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心嚢液貯留の鑑別診断に心膜中皮腫を/1時間間違える

心膜腔に異常に液体がたまることを心膜水貯留、心嚢水貯留、心嚢水腫、心膜水腫といろんな呼び方があるみたいですね。私は通常心嚢水と言っておりますが。『医学書院医学大辞典第2版』の説明は↓


心膜水腫 hydropericardium
[同義語]水心膜,心嚢水腫

何らかの原因で心嚢液が過剰に貯留した状態。正常な心嚢液は20~50mLであるが200mLを越える心嚢液の貯留が起こると,心室の拡張期充満が障害されて心タンポナーデを呈する。心嚢液の貯留が緩徐であれば症状が出現しない場合もある。うっ血性心不全や腎疾患に続発するもの,心膜の炎症や代謝性のものなど原因は多岐にわたる。胸部X線上心陰影の拡大を認め,心電図上低電位,T波の平坦化がみられ,心エコー法で心外膜と壁側心膜の間にエコーフリースペースを認める。少量の心嚢液では特に症状の出現をみることはなく,原疾患の治療と利尿剤の投与が行われる。治療抵抗性のものや心タンポナーデを来したものでは心膜穿刺や心嚢ドレナージを行う。


↑の説明で原因疾患に悪性腫瘍が載っておりませんが、それでも心嚢水はたまります。で、悪性腫瘍のひとつに中皮腫があるわけです。クボタショックという言葉が風化してきていると思いますが、予測では今後アスベスト関連疾患の肺癌、中皮腫が増えるとされていますので、当然心膜中皮腫も増えるのではないかと考えます。↓の様なレポートがありました。


急速に心膜肥厚の進行を認めた原発性悪性心膜中皮腫の1例


関 雄太,他


心臓 Vol . 52 No . 7(2020)




抄録

 

 症例は81歳女性.食思不振を主訴に近医を受診し胸部CT検査で多量の心膜液貯留を認めたため当院を紹介受診した.心嚢穿刺を行い,血性混濁液を得たが確定診断に至らなかった.悪性リンパ腫等を鑑別にあげ施行したPET-CT検査では心膜,肺門リンパ節,左胸膜に集積を認めた.骨髄穿刺・生検,気管支鏡下肺門リンパ節生検では有意な所見を得られなかった.右心不全が出現しコントロールが不良となった.経胸壁心エコー図では左室後壁側の心膜を中心に著明な肥厚を認め,さらに心筋との癒着を疑う所見を認めた.心臓血管外科により心膜生検・心膜剝皮術を試みられるも,心臓を取り巻くように腫瘍塊を認め,心筋へ直接浸潤していたため心膜剝皮は断念した.生検の結果より悪性心膜中皮腫の診断となった.全身管理を継続するも徐々に心不全が増悪し死に至った.初診時は多量の心膜液と壁側心膜側に腫瘤陰影を認めるものの心膜肥厚所見は認めなかった.心嚢ドレナージ後は心膜肥厚が急速に進行し,局所から全周性へと進展していった.希少であるものの早期診断が求められる悪性心膜中皮腫の経過を追うことができた1例であり,臨床的重要性が高いと考え報告する.

・最初に書きましたように心嚢水の鑑別診断には、アスベスト曝露を。今後増えていくはずなので。

 

以下短小日記

・本日8/22(日)は、6時22分起床。朝食を挟んで朝勉。9時20分家を出て動物病院へ預けている猫を迎えに行くつもりだったのですが、熱心に勉強していたせいか10時20分家をでることに。家を出るまで9時20分だと思い込んでおりました。で、無事猫ちゃんを迎えて、途中ちょっとだけ寄り道して帰宅。一服後昼食。その後お勉強。宿直に備えて1時間お昼寝。そして17時半から病院で宿直です。ちょっと不穏の患者さんがおられて、往生しましたが、今は病棟から連絡ないので落ち着いておられるみたいですね。これから宿直室で寝ます。どうか、真夜中に起こされませんように。インシャラーメンダブツ。おなすびやさい。



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