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FYMI: DPP-4阻害薬で首下がり症候群/プチプチ筋注うちまくり

大分以前に首下がり症候群について検索したことあるのですが、ようわかりませんでした。私の持っている三つ医学辞典にも首下がり症候群というのはなくて「首下がり」というのが載っておりました。↓のような説明ですが、ちょっとちがうなーと以前思った記憶があります。


『医学書院医学大辞典第2版』では↓


首下がり
クビサガリ
[英]kubisagari

1894~1897年,東京帝国大学の三浦謹之助が東北地方に地方病として発症した多数例について記載した病態である。断続的な頭部の前屈徴候が主症状のほか,眼瞼下垂,複視,舌や口唇の運動麻痺,体幹・四肢の不完全麻痺を来す。首の下垂の病因は深部頸筋の筋力低下として説明された。三浦は首下がり病はジェルリエ病と同一疾患であると記載したが,両者ともに原因不明のままほぼ消滅した。首下がりを来す疾患は,筋緊張性ジストロフィー,慢性多発・皮膚筋炎,ミトコンドリア筋症など骨格筋疾患に多く,神経原性疾患では筋萎縮性側索硬化症を代表とする。パーキンソン症候群に属する疾患では,頸筋の固縮やジストニアによっても首下がりが発症する。

↑は、英語の病名ががローマ字で日本語そのまんまなんですね。


ジェルリエ病
ジェルリエビョウ
[英]Gerlier disease
[同義語]麻痺性めまい paralytic vertigo(仏vertige paralysant)

スイスアルペン地方に多発し,わが国では青森県,岩手県,福島県などの農村にみられる夏期の疫病で,ジェルリエ(Felix Gerlier,1840-1914,医師,スイス)によって初めて記載された。症状は頭痛,頸部痛,視力障害,めまい,眼瞼下垂,頸部および背部筋の一過性不全麻痺を主とするが,意識,知覚などは障害されない。原因は不明であるが,過労,炭水化物の過食が誘因となる場合がある。ウシやウマと接触したヒトに起こることから,ブルセラ症の一種ではないかとの考えもある。この疾患は現在ヨーロッパでは報告がないが,日本ではなお記載がある。予後は良好である



・で、どうもスッキリしないのですが、↓の論文に定義が曖昧と書かれていたので、自分がスッキリしなかったのもしゃあないなあと納得


首下がり症候群(Dropped  head  syndrome:  DHS)は何らかの原因により体幹に対して頭部が異常に前屈した状態が持続する「首下がり」を呈する疾患群であるが,定義と解釈に議論があり,研究する際には用語を適切に運用する必要がある


臨床神経生理学 45(4): 190―197,2017「首下がり症候群」への筋電図によるアプローチ
~体幹部の筋電図検査の重要性について~
関 口 兼 司






・で、本日のお題、DPP4阻害薬と首下がり症候群についての論文↓


Dipeptidyl peptidase(DPP)-4阻害薬の関与が疑われた首下がり症候群の1例


大田 貴弘, 吉田 亘佑, 鈴木 康博, 黒田 健司, 木村 隆


臨床神経学 61 巻 (2021) 5 号




要旨

薬剤性の首下がりの原因にはDipeptidyl peptidase(DPP)-4阻害薬が含まれるが実際の報告は少なく,またMRI所見の経時的変化を示した報告はない.症例は63歳男性.2019年2月からシタグリプチン50 mg/日内服が開始された.2020年1月中旬から首下がりが出現し4月上旬に精査入院された.頸部伸展筋の筋力低下(MMT 3)を認め,MRIで後頸部筋群にSTIR高信号を認めた.シタグリプチンの関与を疑い入院後中止とし,入院10日目には姿勢は正中位に改善した.中止1か月後のMRIでは後頸部筋群のSTIR高信号は淡くなっていた.DPP-4阻害薬開始後に首下がりを生じた場合は,同薬の関与を疑い内服中止を検討すべきである.

・私が時々処方するDDP4阻害薬の一つであるジャヌビアの添付文書見ましたが、首下がり症候群の記載は無いようでした↓

https://pins.japic.or.jp/pdf/newPINS/00061993.pdf

・ただ、ネットでみてみると原因としてDPP4阻害薬をあげているのがありました↓

 

首下がり症候群とは(原因・症状経過・診断検査・治療法など)

梅林 猛

 

https://mdf.or.jp/neckdown/

 

・オマケ↓

臨床神経学 早期公開


Parkinson disease and its look a like―鑑別のための神経症候


下 泰司, 服部 信孝

https://www.jstage.jst.go.jp/article/clinicalneurol/advpub/0/advpub_cn-001459/_pdf/-char/ja

抄録

 

パーキンソン病(Parkinson’s disease,以下PDと略記)を診断する際には,様々な手法で他の疾患を除外する必要があるが,臨床症状からだけでは鑑別が困難であることが知られており,画像検査や,薬物に対する反応を見ることでようやく診断がつくことが多い.しかし,近年,特に,PD,進行性核上性麻痺,多系統萎縮症の鑑別に役立つさまざまな神経症候が報告されてきている.丁寧に神経学的診察を行うことで,これらの症候を観察すれば,ある程度疾患の鑑別が可能である.現在は画像診断も発展しており,さらに今後AIを用いた診断も検討されているが,今後も系統的な神経学的診察が,これらの疾患を診断するうえでは重要である.

 

以下日記

・本日9/18(土)は5時5分起床。それなりに朝勉(social epidemiology)できました。8時頃病院へ行って回診。9時過ぎから12時前までコロナワクチンの接種。どなたも副反応がでず安心しました。本の数分患者さんと接するわけですが色んな人がひとおもしろい。ついてくれた看護師さんも気の置けない人なので楽しく仕事ができました。ワクチン接種終了後もちょっと仕事して13時頃病院を出て帰り道、金光町の「ふるいち」によって肉ぶっかけうどん食べて13時38分帰宅。ちょっとだけ勉強してお昼寝。それから夕方までおもにsocial epidemiology読んでいました。猫たちに餌をやりに行って入浴、夕食。録画の『孤独のグルメ』と『月曜から夜ふかし』をアルコールを飲みながらみてしまいました。で、このブログを書いております。もうちょっと勉強してから寝ます。明日は日直。休日当番医で医師2人体制。もし患者さんが少なければ昼から帰っていいと言われているので、患者さんが少ないことを切に望む物であります。インシャラーメンダブツ。

 




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