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浣腸で直腸穿孔したらSegmental Absence of Intestinal Musculatureも考えよ/書類憐れみの令

以前浣腸で直腸穿孔の話を書いたことがありますが、それは直接浣腸のカテーテルによる穿孔でしたが、そうでない場合もあるみたいで...↓のようなレポートがありました。


浣腸を契機に直腸穿孔を生じたSegmental Absence of Intestinal Musculature


瀬尾 雄樹, 田中 優衣, 青木 輝, 西 雄介, 杉浦 清昭, 岸田 憲弘, 田中 求, 伊藤 康博, 戸倉 英之, 清水 和彦, 高橋 孝行


日本腹部救急医学会雑誌 41(4):229~232,2021




【抄録】Segmental absence of intestinal musculature(以下,SAIM)は,腸管の部分的な固有筋層の欠損であり,成人での報告はまれである。今回われわれは,浣腸後に直腸穿孔を生じ,緊急手術を施行したSAIMの1例を経験した。症例は89歳,女性。腹痛で近医を受診し,便秘症として浣腸を施行された。帰宅後に腹痛が悪化し当院へ救急搬送された。腹部所見では腹部全体に圧痛,反跳痛を認めた。腹部造影CT検査で直腸穿孔が疑われ,緊急手術を施行した。開腹所見では,腹腔内に多量の混濁腹水と直腸右壁の穿孔を認めた。穿孔部を含む直腸を切除し,ハルトマン手術,洗浄ドレナージ術を施行した。病理組織学的所見では直腸の穿孔部周囲に憩室を伴わない固有筋層の欠損を認め,外力に伴う筋層組織の断裂とは異なる所見であった。部分的な固有筋層欠損部に浣腸後の腸管内圧の上昇が重なり,穿孔を生じたと考えられた。
・Segmental absence of intestinal musculatureの正式な日本語訳はなさそうですね。医中誌で検索したら「限局性固有筋層欠損症」という言葉がでてきましたが、このもとの論文は英語でした。この日本語訳でよいと思うのですが、私が調べた範囲では英語のままこの言葉が使われていました。何でだろう?(と、両腕を胸の前でうごかす)
・本文を読んでいると、この疾患の誘因としてバリウムによる造影や長期の便秘というものがありました。私は、バリウムの検査は勧めておりませんが、まだ日本全国(?)で行われているようで要注意ですね。また、便秘はやっぱりいけませんな。あと、論文で紹介された症例は、浣腸後6時間後に腹痛が悪化したとあり浣腸との時間差があるのは要注意ですね。
以下日記
・昨日2/2(水)はお疲れモードで6時半起床。朝勉せず出勤。午前外来、午後回診、カンファレンス、夜間診療、その後も病棟寄ったり書類書いたりして8時過ぎ帰宅。お風呂入って夕食。勉強はせず事務的な作業していたら23時過ぎておりました。
・本日2/3(木)は6時起床。ちょっと朝勉(心不全について)して、燃えるゴミ出した後水島へ。午前中産業医学科外来、お昼古狸庵でカレーうどん食べて午後から手話通訳者さんの頸肩腕障害の2次健診。その後玉島へ戻ってお仕事し帰宅は19時34分でした。ネコたちに餌をやり、お風呂入って夕食摂って、勉強してこのブログを書いております。22時には寝たいと思います。
昨日、本日とで大分たまっている書類が処理できたので良かったです。しかし参ったと言うまで処理しても処理しても書類用のトレーに次から次へと書類が置かれていく椀子蕎麦状態。こんな医師労働にお情けをかけて、「書類憐れみの令」を政府のトップの方は出して欲しい

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新型コロナウイルス感染で網状皮斑/なんせ忙しい

網状皮斑とは『医学書院医学大辞典第2版』によると↓


網状皮斑
モウジョウヒハン
[ラ]livedo reticularis
[同義語]細網状皮膚 ラcutis reticularis,リベド livedo

皮膚の末梢循環障害による一症状で,紫紅色の網状の斑をみる。両側下肢に好発するが,時に上肢,体幹にもみられる。臨床症状から①大理石様皮膚,②細網状皮斑,③樹枝状皮斑の3つに分けられる。大理石様皮膚は小児や若い女性にしばしばみられ,冷たい外気に触れた際に生じ,暖めると消退する一過性の網の目状紅斑で,生理的現象といえる。細網状皮斑と樹枝状皮斑は持続性のもので,血管の器質的変化によりみられ,血管炎,膠原病,代謝性疾患,循環器疾患などの動脈壁の病変,血管の閉塞性変化などにより出現するが,基礎疾患の認められない場合もある。潰瘍を来すこともあり,全身症状との関連に注目しながら皮膚の小動脈の変化を検索する。なお,先天性にみられるものに先天性血管拡張性大理石様皮斑(ラcutis marmorata telangiectatica congenita)がある。これは網の目状紅斑と細小血管拡張があり,種々の奇形を合併する疾患である。また,抗リン脂質抗体症候群では静脈血栓症,動脈血栓症,習慣流産,血小板減などがみられ,動脈血栓による網状皮斑や皮膚潰瘍を伴う。さらに,潰瘍を伴う網状皮斑があり,血管炎や血漿蛋白異常,夏季潰瘍,リベド血管炎などの鑑別が必要である。


・もう少し詳しく(かな?)、『今日の皮膚疾患治療指針 第4版』では


網状皮斑は主として下肢にみられる網の目状ないし分枝状に配列する紫紅色斑であり,真皮深層~脂肪織の小静脈あるいは小動脈の循環不全によって,末梢の真皮小血管(細動脈,細静脈,毛細血管)にうっ血と血管拡張が生じることに起因する。その形状は皮表からみた小動脈,小静脈の分布を表し,小動脈病変では分枝状となり,小静脈病変では閉鎖性網工となる。
●網状皮斑は臨床形態をとらえて,①網の目が一様で閉鎖性であり,暖気によって完全に消退し,基礎疾患なく生理的に生じる大理石様皮膚(cutis marmorata),②同様に閉鎖性網工であるが暖気によって消失せず,寒冷時に増悪することを繰り返しながら長時間持続する網状皮斑(livedo reticularis),③網工の環を閉じず分枝状であり,外気に影響されず持続的に存在する分枝状皮斑(livedo racemosa)の3型に分類される。
●病理組織学的に,大理石様皮膚では器質的変化はなく小血管の拡張を認めるのみであり,一方網状皮斑では真皮・脂肪織境界部に位置する小静脈の血栓や内膜増殖など閉塞性変化を,そして分枝状皮斑では小動脈の壊死性血管炎や内膜の増殖,あるいは塞栓・血栓による閉塞性変化を認める。このように網状皮斑と分枝状皮斑は発生機序に明らかな相違点があるが,時に同領域に混在することがあり,病因的にも共通する部分が多いため,最近は両者を区別せず網状皮斑と一括する考えが一般的となっている。しかし,厳密な視診によって罹患血管の同定,障害程度の推測が可能であることもしばしば経験することから,皮膚科医は可能な限り両者を鑑別する姿勢が望まれる。



・で、標題にあるSARS-CoV-2感染によって網状皮斑が出現したというレポート↓


Livedo Reticularis Associated with COVID-19


Toshinori Sahara and Kazuhisa Yokota


Intern Med 61: 441, 2022




・本文中でFreeman et al. reported that livedo reticularis-like lesions were observed in 3.5% of all cutaneous manifestations with COVID-19とlikeがついているのですが、livedo reticularisとどう違うのか詳しく書かれていないのは残念です。いずれにしろCOVID-19を疑ったら皮膚もしっかり観察しないといけないですね。でも、感染対策のためそこまでしっかりみることもないかもしれません。(少なくとも当院では)


以下日記

・昨日1/31(月)は、夜中2時過ぎに患者さんのことで電話がありました。病院には行かず電話指示で終わり、また寝ました。朝は6時46分起床。朝食、ゴミ出してちょっと自習して9時から因果推論の勉強会。午後から出勤し回診。お二人病状が悪い方がいてご家族とそれぞれ面談して病状説明。その合間に回診。16時から夜間診療。終了後病棟へ寄りましたが、お一人病状悪化し20時半前にお看取りしました。22時にお見送りして22時半帰宅。お風呂入って遅い夕食摂って寝ました。

・本日2/1は6時30分起床。朝勉せず出勤。病棟よって午前外来。午後も回診。重症の方もいるし、そもそも持ち患者さんが多くてなかなか仕事が終わりません。本来なら16時から大学院のCRITICAL APPRAISALですが、それへの参加は諦めてひたすら仕事。そのおかげ(?)で、17時半過ぎに帰宅できました。ネコたちに餌やってお風呂入って夕食です。焼き肉だったのでアルコールは飲まないでおこうと思ったのですが、つい飲んでしまいました。で、ちょっと勉強してこのブログ書いております。21時になったら寝にいこうと思います。

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