外来のコツと心得(レジュメ)/ペンネーム横道?
・本日夕方研修医+αの方々に↓のような題名で1時間強の講義をしました。実際は↓のレジュメは使わずパワーポイントをつかい、その配付資料を配ったので実際には本日の内容と多少異なりますが、骨格は変わりません。ご参考になれば...
外来の診療で大切なこと、コツ、私がやっていること Ver. 2.0
Take Home Message
• 者さんは、要望と不安をもってくる。それに誠実に応えること。
• 診断は、鑑別診断・合併症、併存症を必ず考える。
• 予想される経過を考え、説明する。
• 外来を楽しく:癒やし癒やされる関係
• 自分の身を守る
0.主に一般外来の初診、定期診察のお話
1.基本的な立場と心得
*医療は患者さんと医療者の共同の営み(協同作業、Partnership)
そのためには、目標の一致と情報の共有が必要
その情報は患者さんが理解できるものでないといけない
*疾病を生活と労働の場でとらえる(「生活と労働の視点から疾病をとらえる」)
→疾病を生活と労働と共にとらえる
・患者さんは、要望と不安をもってくる
要望がはっきりしないこともある・・・診療の中で明確にする
「主訴」と真の受診動機は異なることがある
→最後に二つの門をあける:注文と質問・・・ドアノブ・コメントを避ける
・患者さんの受診目的と医師の診療の目的が食い違うことがある
目標の明確化・共有
また、その目標が経過と共に変わってくることがある
・誠実に・・・この対応は果たして誠実か?と自問する
・情報格差があるのが当たり前だが...
本やWebsiteでよく調べられている人もいる
中には、医師をテストしている人もいる
・録音されているつもりで話す
・こちらは、そういうつもりはなくても、「お医者様」: 話しづらい・訊きづらい
ユーモアを持って。バリアーをできるだけ低くする。
Cf. 権威勾配
・自分の身(肉体的にも精神的にも)をまもる
危険を感じたら逃げる、そのために逃げ道を作っておく
同僚、上司に相談を
2.診療の最初
・立って挨拶、視線をあわせる
cf. ユマニチュード四つの柱
①見る ②話す ③触れる ④立つ
・笑顔・・・口角をあげる練習、鏡を見る
・ピー助、パー子に挨拶しない。ピー助、パー子とばかり話さない。
・最初は患者さんの話を途中で遮らない。
2‘.外来の二つのモード
・問題解決モード
・ナラティブモード
cf. ナラティブベースドメディシン(「健康を決める力」より)
ナラティブに基づいた医療。英語Narrative-Based Medicineの頭文字をとってNBMともいう。病気になった理由、経緯、病気そのものについて現在どのように考えているかなどの物語から、患者が抱える問題を全人的(身体的、精神・心理的、社会的)に把握し解決方法を模索する臨床手法を指す。患者との対話と信頼関係を重視し、サイエンスとしての医学と人間同士の触れあいのギャップを埋めることが期待されている。
https://www.healthliteracy.jp/yougo/nagyo/narrative_based_medicine.html
3.診断
・患者さんの訴えは、その通り書く・・・患者さんの「健康問題物語」(患者側の解釈モデル)を知る
・よく3C(common, critical, curable)と言われるが...
私は、CCOもしくはCCEとしてほしい O: occupational E: Environmental
最近の流れではEがよいかも。SDH: Social Determinants of Healthが重視されてきている。
・最初にcriticalな疾患を考え、除外しておくと後の診療が楽
・鑑別診断は、必ず挙げる。その癖をつける。絶対決め打ちしない。それがたとえ風邪だとしても。
・よく使われるのがVINDICATE!!!P
V: Vascular:血管系、I: Infection:感染症、N: Neoplasm:新生物(良性、悪性)、
D: Degeneration:変性疾患、I: Intoxication:薬物・毒物中毒、C: Congenital:先天性、
A: Autoimmune:自己免疫/膠原病、T: Trauma:外傷、E: Endocrine/Metabolic:内分泌代謝系、
I: Iatrogenic:医原性、I: Inheritance:遺伝性、I: Idiopathic:特発性(原因不明)、
P: Psychogenic:精神・心因性
・わたしは、MEDIC TO VAN, 最近では V DOT CINEMA SPとしています。
∵ VINDICATEでは、Occupational, Environmentalがないので(文献によっては、EにEnvironmentalをいれているのもありました)
SはSystemicで、全身性疾患の部分症ではないかと考える
・鑑別診断のみでなく合併症も考える。
・見通しや今後起こることを患者さんに伝えておく。(特にどれくらいで症状が改善するか)薬の副作用も。あらかじめ言っておくのと言わないのは雲泥の差。
4.検査
・定期検査はあらかじめ「次、採血しましょうね」とお知らせしておく。
・検査の費用も説明できればベター
・検査するとき、その検査結果で自分の行動が変わるかどうか考える。
・データは必ず確認する。データがでるのが後日の場合、メモや電カルの活用。
・必要なデータは、自分から聞きに行く。
・検体の間違い、人間違い、記載間違い等あることに気を付ける。
・慢性疾患は、あらかじめ計画を立てておく。全身管理を心掛ける。
5.その他
・必要な能力:コミュニケーション、アサーション。
・自分一人で外来をしているわけではない。看護師、事務等スタッフに感謝。
・古いPから新しいP:PaternalismからPartnership
・のど自慢的職業表現はNG
・あらかじめ受診することが分かっている患者(ex. 定期受診、紹介状があらかじめ送付されている)は事前準備をしておく。
【参考文献】
・『研修医になったら必ず読んでください。〜診療の基本と必須手技、臨床的思考法からプレゼン術まで』 岸本 暢将 (著), 岡田 正人 (著), 徳田 安春 (著)。 2014/2/25
・『白衣のポケットの中―医師のプロフェッショナリズムを考える』
宮崎 仁 (著), 尾藤 誠司 (著), 大生 定義 (著)。2009/4/1
・『患者は何でも知っている (EBMライブラリー)』
J.A.ミュア・グレイ (著), 斉尾 武郎 (翻訳), 丁 元鎮 栗原 千絵子 平田 智子。– 2004/7/23
・『新・医者にかかる10箇条 あなたが“いのちの主人公・からだの責任者”』
ささえあい医療人権センター COML
・『ユマニチュード入門』 本田 美和子 (著), ロゼット マレスコッティ (著),
イヴ ジネスト (著) 医学書院。2014/6/9
以下日記
久々にブログアップするので過去を振り返ります。
・4/5(火)は、6時半に起きて一瞬のみ朝勉して出勤。午前外来、午後は回診をささっと終わらせて14時過ぎに病院を出ました。帰り道、現在使っているノートパソコンが壊れかけているので、ヤマダデンキ、エディオン、ケーズデンキによってノートパソコンを見て回りましたが、買ってはいません。帰宅は色々事務作業。夜は学位審査と研修医への講義準備。
・4/6(水)は、6時起床。朝勉して出勤。午前外来、午後は発熱外来、回診、カンファレンス、夜間診療。19時前に帰宅し、やはり自分の発表と講義の準備。ロジクールに頼んでいた無線のキーボードをセッティングしました。(現在の有線のキーボードの線が切れそうなので)いまそれでこのブログをかいておりますが、キータッチは良い感じですが、キーの配置にまだ慣れておらず、やや使いにくい感じです。
・4/7(木)は、6時17分起床。ちょっとだけ朝勉して出勤。午前外来、午後カンファレンスと回診。17時過ぎに病院出て、17時39分帰宅。ネコたちに餌やって入浴、夕食。以下同上。(何か変な表現)
・本日4/8(金)は6時起床。本日の講義のパワーポイントを仕上げて出勤。午前外来、午後回診、病状説明、カンファレンス、会議、そして研修医+αへの講義。ちょっと時間超過。いつも横道にそれてしまって話が長くなってしまう傾向があるので、私のペンネームを横道にしましょうかね。その後ちょっとだけ病棟よって18時23分帰宅。ネコたちに餌をやってお風呂入ってこのブログを書いております。もうちょっとしたら夕食。本日はアルコールをいただこうと思っています。