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顔面の接触性皮膚炎を疑った場合上大静脈症候群も鑑別診断に/2.5人称とエンパシー

標題の上大静脈症候群とは『医学書院医学大辞典第2版』によると↓


上大静脈症候群 superior vena cava syndrome

上大静脈の閉塞や有意狭窄によって生じる上半身の静脈圧の上昇で,頭部,顔面,上肢,頸部および上半身のうっ血を来す症候群。1757年ハンター(Hunter W)によって初めて報告されたが,近年肺癌発生頻度の増加とともに本症候群の罹患頻度も増加している。原因として肺癌(特に右上葉に発生したもの),縦隔腫瘍,縦隔炎,胸部大動脈瘤,血栓性静脈炎,ベーチェット病などが挙げられる。最も頻度の高い右肺癌では,右傍気管支リンパ節や前縦隔リンパ節への転移で生じ,肺癌の約15%に認められる。本症候群では,脳静脈圧上昇により抗利尿ホルモン(バソプレシン)の分泌が促進され,水分,Naの排泄障害がみられ,脳脊髄循環にも悪影響を与える。


・また、外傷性というのもあるようで↓(私、今まで知りませんでした)


外傷性上大静脈症候群 traumatic superior vena cava syndrome

機械に挟まれたり重いものの下敷きになったりして胸部を強く圧迫され,上大静脈の閉塞や狭窄により上半身の静脈圧の上昇を生じ,そのために頭部,顔面,上肢,頸部および上半身のうっ血を来す症候群。眼球結膜,眼瞼結膜,顔面の溢血点が特徴的である。胸部圧迫が短時間であれば予後は良いが,長時間に及ぶと心停止を発症し重篤となる


・そして、初診時上大静脈症候群を接触性皮膚炎を疑ったという報告↓


接触皮膚炎を疑った上大静脈症候群の1例
田蒔舞子、他。


日臨皮会誌:36(3)、383-387、2019




【抄録】

68歳,女性.初診約1ヶ月前から両眼瞼の腫脹を認め,顔面の発赤腫脹も生じ始めたため,当科へ紹介受診した.顔面は全体に腫脹しびまん性の紅斑を呈し,両手には鱗屑を付着する紅斑を認めた.草むしりなどの雑用という職歴から接触皮膚炎を疑い,ステロイド外用剤と抗ヒスタミン薬を処方した.1週間後の再診時,顔面の腫脹は著明に増悪し,両側頚静脈が怒張していた.上大静脈症候群を疑って,造影CTを施行したところ,縦隔に5cm大の腫瘤を認め,腫瘤は上大静脈に浸潤し,上大静脈内腔は高度に狭窄していた.また多発肺転移を疑う結節が散見された.縦隔腫瘍に伴う上大静脈症候群と診断した.直ちに放射線治療を行い,顔面の腫脹は改善した.解剖学的に生検が困難だったためカルボプラチンとパクリタキセルの化学療法を行い,腫瘍縮小後,縦隔腫瘍切除術を施行した.組織検査より乳癌の縦隔転移と診断した.その後,縦隔で再発し,初診から7ヶ月後に永眠した.顔面の腫脹に頚部,上肢などの表在静脈の怒張を伴った場合は,上大静脈症候群を考え,確定診断のために造影CTを行う必要がある.上大静脈症候群の原因が縦隔腫瘍の場合,オンコロジック・エマージェンシーとして急死の可能性もあり,放射線治療を始めとした早急な対応が必要である.上大静脈症候群は,皮膚科を受診する可能性も稀ながらあり,念頭になければほとんど診断は不可能であるため,皮膚科領域でも忘れてはならない病態であると考え報告する.

本文より、皮膚科が当初上大静脈症候群をどのような疾患と診断していたか↓

調べ得た限りでは本邦皮膚科からの上大静脈症候群の報告例は自験例を含め41例と決して多くない.このうち初診から明らかに上大静脈症候群疑われたのは 8 例のみで,多くは皮膚筋炎,血管性浮腫,アレルギー反応,薬疹などと診断されていた。

そして↓ということです

顔面,頚部,上肢の持続性の腫脹,紅斑をみた場合,本症を念頭におき,頚静脈や前胸部の表在静脈の怒張を確認することは本症の診断に至る上で重要

・私も瞼や顔が腫れぼったいと訴えられたら頸静脈や前胸部を見るようにしましょう。

以下日記

・本日2/6(土)は、6時20分起床。朝食後8時過ぎから10時半くらいまでアスベストについてお勉強。その後庭の草抜きして昼食。その後ちょっとたまっていたしんぶん赤旗日曜版を読んでおりましたが、やっぱりいろいろ面白い。私が好きなのは色んな人のインタビューやエッセイ。その中でいろいろ参考になる名言がでております。柳田邦男氏の「いのちに2.5人称の視点」、千住博氏(松本幸四郎さんからの孫引きですが)「好きだから悩む。目標もできるんだね。」、ブレイディみかこ氏の「エンパシーとは、自分と違う立場の人や、まったく賛成できない人のことでも、どんな心情なのか、想像してみること」。ホンマ、自分はエンパシーたりんわ。

・夕方配偶者と倉敷市にある香洛園に焼き肉食べに行きました。久々に(かな)カルビ食べて旨かった。しかし、夜中に腹具合がわるくなるかも。で、お風呂に入りたいのですが、お腹がいっぱいで動けないので、このブログ書いています。もうちょっとお腹がおさまるまで、「アカニチ」(赤旗日曜版)読みます。

 


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