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肝臓の中に脾臓ができる/気分はアグネスチャン

以前このブログで書いたような書かなかったような、多分書いたと思われる脾臓が変なところに「再生」したお話・・・脾症splenosisという病気があります.私の手元の『医学書院医学大辞典第2版』『南山堂医学大辞典第20版』には載っておらず『ステッドマン医学大辞典改定第6版』に以下の様に簡単な説明がありました.


splenosis 脾症(脾臓破裂の結果、脾臓組織が腹部内に着床し、続いて増殖する状態)


ただ、ちょっと文献調べてみますと、端緒は脾臓破裂のみではなく、手術の場合もあり、また腹部無いでは無く胸部や皮下にも「着床」するみたいで、もうちょっと広く捉えないといけないみたいです.


で、↓のような論文がありました.


肝細胞癌との鑑別診断に苦慮した肝内脾症の一例
杉島 涼音, 他.
 肝臓 63 巻 10 号 456―462(2022)
【抄録】
症例は70歳代女性.X-33年に脾臓摘出術と輸血を受けた.HCV抗体陽性およびCTで肝S2に20 mm大の腫瘤を指摘され紹介となった.腫瘤は超音波検査で低エコーとなり,dynamic CTで早期濃染を示すが門脈相にて欠損像を認めず,EOB-MRIで肝細胞相は低信号を示した.画像所見は肝細胞癌としては非典型的であったが,HCV陽性のため肝細胞癌を否定できず腫瘤生検を施行した.病理組織では白脾髄,赤脾髄を認め脾臓組織に矛盾しない所見で,SPIO-MRIにてSPIOの取り込みによる信号低下を認め,肝内脾症(intrahepatic splenosis)と診断した.Splenosisは脾臓摘出や脾損傷後に生じる良性疾患だが,特に慢性肝炎や肝硬変など発癌リスクがある場合に肝細胞癌との鑑別が困難となる.脾臓摘出術や脾損傷の既往を持つ症例では本疾患を念頭に置く必要がある.
・↑の論文の考察で詳しくsplenosisについて書かれていました↓
  Splenosis は脾組織の異所性自家移植片である.脾損傷や脾摘出後に脾組織が腹腔内に散布着床することで生じ,脾破裂患者の 16-67% に脾症を認めるとされる.脾損傷あるいは脾摘出後の 5-32 年で生じ,個数は単発のものから 400 個と多発するものまで様々で,大きさは数 mm から 7 cm と報告されている.好発部位としては小腸の漿膜表面,腸間膜,横隔膜の下面,および骨盤内であり,本例のように肝臓に発生することは稀
であり,1939 から 2019 年の間に PubMed で症例報告されているのは 59 例である.腹腔内でなく肝内に自家移植される機序としては,脾損傷や脾摘出時に経門脈的に脾細胞が肝内に入り,肝臓に局所的な低酸素部位があれば,同部で脾臓の赤血球前駆細胞が生着/増殖することなどが考えられている.通常は無症状であるが,サイズが大きい場合などに腹痛,消化管出血,腸閉塞といった症状が出現する場合がある.
・既往歴から、この鑑別診断を思い浮かべる.大事でしょうが、難しいですね.
以下日記
・本日12/12(月)は、6時半起床.午前中は有給休暇をとって10時までは、"Causal Inference: What If"の勉強.あっという間に時間が過ぎます.その後農協、郵便局へ行っていろいろ手続き.家の外に出たついでに里庄町の丸亀製麺で釜揚げ大とイカの天ぷらの昼食.午後から出勤して回診、夜間診療.帰宅は、19時47分.ネコたちに餌やって、入浴、夕食.田沢湖ビールを1本のみ飲みました.その後勉強してこのブログを書いております.あとひとつ論文読んでからねます.
・ところで、先週木曜日から弾性ストッキングを着用しだしたのですが、結構楽です.ちょっと歩いても左脚が痛くて跛行していたのが、大分痛みが楽で跛行もほとんどなくなりました.でも、今日夜間診療終了近くになって下腿が痛み出しました.やっぱり長く脚をおろしておくといけません.当分(or 一生)毎日弾性ストッキングです.気分はアグネスチャン・・・このジョークを病院で言いたいのですが、どれだけの人に通じるか怖くてまだ行っておりません.恐ろしいギャップの差を感じるでしょう.
*ギャップの差ってジョークで書いてるのですよ.


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