バッカク怖い/やはり人との交流が良い
(1) 既往の外傷に起因するもの(火傷及び凍傷を含む。)
(2) 振動業務以外の原因に基づくレイノー症候群(レイノー病、血清蛋白異常及び血糖異常)
(3) 胸郭出口症候群(前斜角筋症候群、過外転症候群、肋鎖症候群及び頸肋症候群)
(4) 中毒等による末梢神経及び血管の障害(麦角、鉛、砒素、塩化ビニルモノマー等)
(5) 脈なし病、閉塞性血栓性血管炎(バージャー病)、糖尿病等による血管の障害
(6) 関節リウマチ、強皮症等の膠原病
(7) 痛風
(8) 結核性等の慢性関節炎
(9) 頸椎の退行性変化に基づく神経炎及び血管の障害
(10) その他特殊な筋神経系の疾病(筋萎縮性側索硬化症、脊髄性進行性筋萎縮症、進行性神経性筋萎縮症等)
・振動障害疑いの患者さんが受診された場合、最初に上記疾患を鑑別するため診療していくわけです。で、上の(4)の「中毒」の中に麦角(ばっかく)が挙げられています。麦角とは『医学書院医学大辞典第2版』によると↓
麦角 バッカクergot
麦角菌(Claviceps purpurea)がライ麦その他のイネ科植物の花底部に寄生して形成した菌核のこと。エルゴメトリン,エルゴタミンなど,数多くの麦角アルカロイドを含む。チンキ剤,流エキス剤は生薬として,分娩時の陣痛促進や子宮収縮止血剤として用いられた。
で、麦角から抽出したものが麦角アルカロイド↓
麦角アルカロイド ergot alkaloid
ライ麦やその他のイネ科植物の花底部に寄生した麦角菌の菌核に含まれるアルカロイド。1875年にタンレー(Tanret C)によって抽出されたエルゴチニンが最初のものである。1918年にストール(Stoll A)によってエルゴタミンが単一結晶体として初めて抽出された。1934年にはヤコブズとクレイグ(Jacobs & Craig)によって,麦角アルカロイドに共通する基本骨格としてリゼルグ酸が発見された。リゼルグ酸の誘導体は,C(8)カルボキシル基(-COOH)がアミド(-CO-NH2)の形になっているアミン型と,ポリペプチド型の高分子の側鎖をもったペプチド型に大別できる。アミン型は加水分解によりアミンを生じ,ペプチド型はアミノ酸を生じるのでアミノ酸型アルカロイドとも称されている。エルゴメトリンは代表的なアミン型アルカロイドであり,その誘導体のマレイン酸メチルエルゴメトリンは子宮収縮作用を有し,子宮出血の治療に用いられている。強力な幻覚剤であるリゼルグ酸ジエチルアミド(LSD25)もアミン型アルカロイド誘導体である。エルゴタミン,エルゴトキシンは代表的なペプチド型アルカロイドで,その誘導体のメシル酸ジヒドロエルゴタミンは静脈系に選択的に持続的な収縮作用を示し,起立性低血圧や片頭痛治療に,ブロモクリプチンは高プロラクチン血症治療に用いられている。
・で、これが薬として使われており、そのうちの一つが酒石酸エルゴタミンで、頭痛薬として使われています。それによって下肢動脈の閉塞がきたというレポートが↓
Burning Pain in the Legs
N Engl J Med 2020; 383:e18 July 23, 2020
Aravind Reghukumar, M.D.,and Reshma Benson, M.B., B.S.
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