小網脂肪織炎による腹痛/昨日のblog記事が消失してガックシ
[同義語]脂肪組織炎
脂肪組織に生じる炎症の総称。急性および慢性炎症がある。脂肪組織小葉間の結合組織性隔壁を冒す場合と,脂肪細胞自体を冒す場合がある。代表例としては結節性紅斑がある。炎症によって組織の崩壊が起こると,マクロファージが出現して脂肪を貪食し泡沫細胞が形成される。病因としては,溶連菌,結核菌,真菌などの各種感染症,薬物投与,サルコイドーシス,炎症性大腸疾患などが挙げられている。
・今回のレポートは脂肪織炎が小網に起こったというもの。小網とは↓
肝門と胃の小彎および十二指腸上部との間に張る膜。発生の過程で胃がその長軸の周りに90゜回転し,前胃間膜の後下部が前額位をとったもの。この膜の後ろには,もともと腹腔右半に属した部分が胃の変位につれて左方に伸びて形成された,右に開き左に行き詰まりの網嚢がある。小網は網嚢の入口の前縁をなす右端部の肝十二指腸間膜,それよりも左の小彎と連絡する広い部分の肝胃間膜,および左端の肝の下面から離れて横隔膜と連なる胃横隔間膜の3部に分けられる。
21歳の男性.主訴は心窩部痛,発熱.触診で心窩部圧痛,反跳痛,筋性防御を,血液検査で白血球・CRP上昇を認めた.内視鏡とX線造影で胃小彎側の圧排を,超音波とCTで胃小彎と肝の間に腫瘤様ならびに炎症性変化を認めた.腹腔鏡では肝と胃の癒着が強固であった.脂肪織炎報告例との共通点も鑑み,小網脂肪織炎と診断,保存的治療で軽快した.小網を主座とした脂肪織炎とその特徴的画像についての最初の報告例と考えられた.
・このレポートは2007年ですが、著者らによるとこれが最初の小網脂肪織炎の報告だそうです。考察にありますが、「急性腹症」として手術されることもあり、できれば術前に診断できるようになれば望ましいですね。
・上記医中誌の検索をすると腹膜悪性中皮腫の論文もひっかかりました。脂肪織炎と中皮腫の鑑別が問題になっていました。故に、何時も言うようですが、職業歴の調子は忘れずに。(ただ、ちらっとみただけですが、検索で中皮腫としてひっかかった論文にはアスベスト暴露歴なしと書かれていました)
以下日記
・9/3(木)は、6時起床。早めに家を出て早朝回診後午前外来。午後会議、病状説明、回診、書類、挙売るレントゲン読影でした。帰ってシャワー、夕食後翌日の胸部レントゲンの講義の準備。
・9/4(金)は、6時起床。朝勉一瞬して出勤。午前外来、午後会議、回診、夕方レントゲン読影のレクチャー。あと18時から19時30分ネットで感染関係の会議。帰りにTHE BIGで買い物して20時半前に帰宅です。お風呂入って夕食。そしてblogを書いたのですが、どうもBLOGのソフトがおかしかったようでアップロードできず。(虐待の話を書いたのですが、ほとんど原文が残っておらず、ガックシ手足よつんば状態です)
・9/5(土)は7時4分起床。1日掃除と勉強でした。現在↓の本を読んでおります。どうも多変量解析を理解するには行列・ベクトルの基礎知識が必要ですね。思うに疫学を学ぶ場合基本的な素養として確率・確率分布、行列・ベクトルの知識が必要ですね。で、確率分布で何が必要かというと最低限、正規分布、二項分布、ポアソン分布でしょうか。
- 作者: 朝野 熙彦
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2018/05/10
- メディア: 文庫