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オスグッド-シュラッター病/医学論文の読み方ver.2.0

今週のNEJMのimages in clinical medicineみていたら、標題の疾患がありました。ウーン、聞いたことあるがなんの病気だったかなとみてみたら、「ああ、そうそう」でした↓


Osgood–Schlatter Disease

March 15, 2018 N Engl J Med 2018; 378:e15



・『医学書院医学大辞典第2版』の説明は↓


オスグッド-シュラッター病

[英]Osgood-Schlatter disease

[同義語]脛骨粗面骨端症 osteochondrosis of tibial tuberosity

 

小学校高学年から中学生にかけての骨成長期に,膝関節の前面痛を訴える代表的な骨端症。膝蓋腱の付着部である脛骨粗面の骨端核は10~15歳で出現するが,急激な骨成長が起きるこの時期に,大腿四頭筋・膝蓋腱などの膝伸展機構は相対的に過緊張状態となり,脛骨粗面には強い牽引力がかかる。さらに使いすぎにより繰り返しの牽引力が膝蓋腱を通して脛骨粗面に加わって発生すると考えられている。脛骨粗面(脛骨結節)は膨隆し,圧痛,運動痛がみられる。ジャンプやキックで症状は増悪する。素因としてX脚やO脚,軸(アライメント)異常が考えられるがはっきりしていない。大腿四頭筋の相対的な拘縮により尻上がり現象が陽性となる。X線像では脛骨粗面の乱れ,骨端核の分離や遊離像などがみられる。治療はスポーツ活動の適切な制限も必要だがストレッチングが主となる。膝蓋腱上にバンドを処方することもある。予防,再発防止のためにも大腿四頭筋のストレッチングは重要である。予後は良好であるが,時に成人の難治例には骨片摘出術などが行われる。(Robert Bayley Osgood,1873-1956,整形外科,米。Carl Schlatter,1864-1934,外科,スイス)

 

 

・私は、めったに若者の患者さんは診ませんんが、もし膝の痛みを訴えてきたら、この疾患を思い浮かべないと...

 

以下日記

・昨日3/14(水)は、イチロー・カワチ先生の集中講義最終日。Framing effects & loss aversionとInter-temporal choice and self-controlというもの。私の能力では、簡潔にご紹介できないので、興味ある方は自力で勉強してください。

・講義後は、イチロー先生と私を含む学生二人、私の所属する教室の講師の先生、社会疫学の出版社の編集の方の5人で、お食事。私の全然知らないワインを飲みながら懇親会。イチロー先生と講師の先生はとってもグルメでついていけません。でも(と言っていいのか?)、イチロー先生は、世界の山ちゃんも好きだとおっしゃっておりました。イチロー先生の以前の講義の中にsix degreesというのがあったのですが、まさにそれを実感(本でしか知らない雲の上のような人であるイチロー先生と会食している)しておりました。近藤克則教授は以前から知っていたので、あとマーモット先生にあったら社会疫学の大御所にあえたことになるのかな?まだまだ、私の知らない大御所がおられるでしょうけど...

・その日は、配偶者が「家出」している最中なので無理に帰宅しないのでいいので、岡山(市)に泊まりました。

・本日3/15(木)は6時にホテルで起きて、朝風呂入って、JRで鴨方へ。駅近くの駐車場に車を置いていたのでそれで、水島へ。午前中は産業医学科外来。いつも見ている患者さんで、犬に咬まれた方がこられたので、破傷風トキソイド、免疫グロブリンの注射をしたのですが、その準備にとっても手間と時間がかかりました。(薬を使うための書類と患者さんに同意書をかいていただく)患者さんには、申し訳なかったです。

・午後は玉島へ戻って事務作業と研修医へ論文の読み方の講義。下へそのレジュメを貼り付けておきます。(図表は略)

 

医学論文の読み方  ver.2.0

 

・何のために論文を読むか・・・日常診療に役立たすため

cf.  ・EBMの5つのステップ

step 1:疑問(問題)の定式化
step 2
:情報収集
step 3:情報の批判的吟味
step 4
:情報の患者への適用
step 5
step 1step 4のフィードバック 

・医学論文の種類

    仮説探索(生成)型研究、仮説検証型研究 

・研究デザイン

 症例研究、症例集積研究、横断研究、症例対照研究、コホート研究、 無作為化比較試験、メタ解析

 ・疫学研究におけるバイアス

   selection bias

measurement (information) bias

confounding

 

cf. 臨床推論におけるバイアス

徳田安春先生の講演「明日から役立つ臨床推論」より)

https://career.m3.com/kenshunavi/know-how/event/clinical-reasoning001-002

Anchoring Bias 最初に考えた診断に固執して考えを改めない。これはありがちなバイアス。

Availability Bias 最近遭遇した類似症例と同じ疾患を考えてしまう。インフルエンザシーズンは、熱で来た患者さんが皆インフルエンザに見えてしまうなどが挙げられます。

Confirmation Bias 自分の仮説に適合したデータは受け入れるけれど、不適合なデータを無視してしまうというバイアス。

Hassle Bias 自分が最も楽に処理できるような仮説のみを考える。早く家に帰りたい時に患者さんを診ると、何だか軽症に見えてしまう。金曜日の夕方などは特に要チェック。 

Overconfidence Bias 前医や指導医の意見に盲目的に従ってしまうというバイアス。指導医や前医も、間違えることはあります。「後医は名医」という言葉にもある通り、後医の方がたくさん情報を得られる立場な分、前医よりも正しい情報を判断できる環境にあるのですから、前医の判断に対して客観的にダブルチェックしようという姿勢は忘れずに持っておきましょう。

Rule Bias 通常は正しいルールであっても、過信するとそれにミスリードされてしまうというバイアス。数々の経験則に裏打ちされているクリニカルパールが、どんな時にでも100%正解であるわけではありません。クリニカルパールを活用するときも、「例外がある」ことを常に意識しておきましょう。

・一般的な医学論文の構成

    Introduction (background)

    Materials and methods

    Results

    Conclusion

 

CA: Critical Appraisal →別紙フォーマット

  論文を批判的に吟味する:うのみにしない、but 「ぶった切る」わけではない

    何を証明したいか(仮説は何か?)

    バイアスは?

    統計手法は?

内的妥当性と外的妥当性(一般化可能性)

   *必ず意識しないといけないのは、reverse causation(因果の逆転)とconfounding(交絡)

 ・費用や手間、時間、自分がやるとしたらどうか等考える

  最近は医学論文の書き方のお作法(ガイドライン)がいろいろでている

ex. 観察研究・・・STROBE、 RCT・・・CONSORT、 メタアナリシス・・・PRISMAそれらのportal siteEQUATOR: Enhancing the QUAlity and Transparency Of healthResearch

http://www.equator-network.org/

 

 

Title of the article

Author(s), Journal, etc.

I  Summary このセクションでは、論文に書かれている内容の要約をする。

1. Research hypothesis

・この論文は何を明らかにしたいのか?→仮説は何か?

*明確に仮説が書かれていない論文が少なくない。

 

2. Study design

・この研究のデザインは何か(デザインそれぞれに特徴、利点、欠点がある)

→デザインをまず勉強すること

・それそれのデザインに「お作法」がある

   ex. STROBE   CONSORT    PRISMA

PECO(観察研究), PICO(介入研究):

Patient, Exposure or Intervention, Comparison, Outcome

 

3. Study subjects

・対象者をどのように選択したのか。Response rateはどの程度か。Inclusion criteriaexclusion criteriaについても適宜まとめる。選択バイアスや外的妥当性の観点からまとめる。

 

4. Data collection

曝露指標 Exposure 

 

アウトカム指標 Outcome

 

共変量 Covariate

 

5. Data analysis

・統計手法

・p値に注意

 

 

6Results

TableFigureの説明

 

7. Conclusions

 

 

II  Strength of the paper

以下のセクションでは、論文に書かれていることだけにとどまらず、自分自身の考えをまとめる。可能な限り、箇条書きで整理して記載する。

 

 

III  Weakness of the paper (bias, chance, etc.)

・バイアスについては、交絡バイアス、選択バイアス、情報バイアスなどを中心に考察するとよいだろう。

limitation

 

 

IV  Balancing of the paper

     ex.. strength > weakness

 

 

V  Judgment

     good

 

 

VI  Suggestion for improving the paper

 

 

 

 

 


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