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研修医への外来講義詳解:診断/気持ちよく診療

・過去何回か、研修医に講義したレジュメを公開して、その説明をやっとりますが、本日も引き続き書いてみます。大きな字がレジュメの内容。*印が今回付け加えた注釈です。




3.診断

・患者さんの訴えは、その通り書く・・・患者さんの「健康問題物語」(患者側の解釈モデル)を知る

*患者さんが、「風邪をひきました」と外来に来た場合、「風邪かどうかは医者が診断する」とおこるDr.がいます。患者さんが診断名をいうと不愉快になるお医者さんはいるみたいですね。確かに全然的外れなことを言ってはる患者さんもいます。ただ、それは、なんと非科学的、医学に反したことをいっている患者だと決めつけるのではなく、「ああ、この患者さんは自分の病気をこうとらえているのだな」と受け止めるべきです。難しい言葉で言うと疾病の解釈モデルとなります。それを簡単な言葉で言うと「健康問題物語」・・・この言葉は、↓の本からの引用です。

外来でのコミュニケーション技法―診療に生かしたい問診・面接のコツ (junior新書)

外来でのコミュニケーション技法―診療に生かしたい問診・面接のコツ (junior新書)

  • 作者: 飯島 克巳
  • 出版社/メーカー: 日本医事新報社
  • 発売日: 2006/03
  • メディア: 新書
・実は、私が読んだのは、↑の本の古いバージョンですが↓

外来でのコミュニケーション技法―診療に生かしたい問診・面接のコツ

外来でのコミュニケーション技法―診療に生かしたい問診・面接のコツ

  • 作者: 飯島 克巳
  • 出版社/メーカー: 日本医事新報社
  • 発売日: 1995/07
  • メディア: 単行本
・患者さんの訴えをカルテに書く場合、患者さんの言ったままを書きなさいと言っている本/指導者と医学用語に「翻訳して」書きなさいと言っている本・指導者があります。(「翻訳」とは、「胃が痛い」を「心窩部痛」、「頭が悪いんじゃ(岡山弁」を「頭痛」ということです)私は、患者さんの言っていることをそのまま書きましょうと勧めています。何故ならば、前述のように患者さんの解釈モデルがわかるからです

 

・よく3Ccommon, critical, curable)といわれるが...

*診断学のに本に上記のように疾患の鑑別診断をする場合、common=一般的によくある疾患、critical=見逃したら大変な結果となる疾患(ex. 心筋梗塞とか癌)、curable=治せる疾患を考えよとよくと書かれています。私は最初の二つは良いのですが、最後のcurableというのがどうも納得がいきません。治せなくても「緩和」はできるはずですから。ただ、最初に3Cを提唱した人がだれかわからず、元文献にあたっていないので、どういうつもりでcurableと書かれたかわかりません。そのうち、それをみつけて読んでみたいと思っています。

 私は、CCOもしくはCCEとしてほしい O: occupational E: Environmental

*3Cがだめならどうする?私は、3Cの最後のcurableをかえて、CCOもしくはCCEとしてほしいと思っています。Oはoccupational、Eはenvirnmentalです。日常診療では、どうしても職業性疾患が見逃されやすいからです。別にこれは私が行っているのではなくアメリカのIOMという研究機関が言っているし、ハリソンの内科学書にもかいているし、アメリカの国会でも取り上げられています。

 最近の流れではEがよいかも。SDH: Social Determinants of Healthが重視されてきている。

*上記のように最近では、SDHとかSES:socioeconomic statusが疾病に深く関係しているという認識が広まりつつあるので、Environmental・・・ここでは自然環境のみでなく社会環境も考える(当然職業も)を疾病の鑑別診断にいれるのがよろしいのではないでしょうか。

・最初にcriticalな疾患を考え、除外しておくと後の診療が楽

*上記は書いた通り。最初に見落としたら重大な疾患を頭に浮かべ、それを除外して、ゆっくりと他の疾患を考えていくという外来の流れがよろしいでしょう。(重篤な疾患を除外するために、何でも検査いっぱいせよと言っているわけではございません)

・鑑別診断は、必ず挙げる。その癖をつける。絶対決め打ちしない。それがたとえ風邪だとしても。

*これもそのとおりで、ありふれた疾患と思っても必ず鑑別診断、もしくは合併症をひねりだして考えましょうということです。教科書にも書いていますが、風邪だとおもっていたら肝炎だったり、胃炎と思っていたら心筋梗塞だったり...

・よく使われるのがVINDICATE!!!P

VVascular:血管系、IInfection:感染症、NNeoplasm:新生物(良性、悪性)、

DDegeneration:変性疾患、IIntoxication:薬物・毒物中毒、CCongenital:先天性、

AAutoimmune:自己免疫/膠原病、TTrauma:外傷、EEndocrineMetabolic:内分泌代謝系、IIatrogenic:医原性、IInheritance:遺伝性、IIdiopathic:特発性(原因不明)、PPsychogenic:精神・心因性

*上記は教科書によく引用されている鑑別診断の挙げ方ですが、私は、これには不満です。前述のように職業性や環境性疾患が考慮されていません。故に、↓のような鑑別診断の「リスト」(?)を作っています。

 

・わたしは、MEDIC TO VAN, 最近では V DOT CINEMA SPとしています。

 VIDICATEでは、Occupational, Environmentalがない

 SSystemicで、全身性疾患の部分症ではないかと考える

・鑑別診断のみでなく合併症も考える。

・見通しや今後起こることを患者さんに伝えておく。(特にどれくらいで症状が改善するか)薬の副作用も。あらかじめ言っておくのと言わないのは雲泥の差。

*できるだけ、疾患の目途というものを患者さんに話しておかないと、患者さんは、勝手に薬飲んだらすぐ治るものと思ってしまいます。例えば、嗄声なんかは、薬飲んで1,2日でなおることはめったにないことを言っておかないと。また、インフルエンザも抗ウイルス剤飲んでもそんなにすぐは熱は下がらない。肺炎は治療期間は、これくらい等々見通しをお話ししておくことが大切です。(なかなか、わたしもできておりません)

また、副作用は当然すべてを説明できませんが、よくあるものと重篤なものは説明しておくべきです。最近は、院外処方なので、薬剤師さんがよく説明してくれますが、逆にそれをきいて(もしくは薬の説明書きを読んで)不安になって薬飲まないということもあります。やはり、処方する医師が対面で説明するのが「いまのところ」は一番よいみたいに思います。(異論があるかもしれませんが)

 

以下日記

・本日11/11(土)は5時半前に起床。朝勉ができました。朝一で二つの訃報のメールをみて、気分がどんより。誰かにこの胸のモヤモヤをはなしたい気分になりました。そこで、ふと思ったのは、胸のモヤモヤを話したいなと思った人が、「友達」なんだなと。

・朝勉後福山へ。午前中城北診療所で外来。今日来られた患者さん達の雰囲気(とでもひょうげんすべきでしょうか?)がよくて、気持ちよく診療ができました。診療後歩いて福山駅へ。買い物して、ラーメンの昼食とって帰宅です。すでに、15時半。眠気が異常にあったので、遅めの昼寝。目が覚めてから来週の講義の準備をひたすら。それからお風呂入って夕食とって、このブログを書いております。これが書き終わったら、もうちょっとだけ勉強して、机の上を片付けて、寝ます。

・明日は午前中一気にある原稿を書き上げ、午後はそば打ちクラブ。帰ってきて、また講義の準備をするでしょう。ああ、映画観に行きたい。とくにブレードランナー。しかしこれは、上映時間がながい。おしっこ我慢できないぞ。


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