マイ手帳大賞:Absence of evidence is not evidence of absence/ 草抜き3時間
Tyler J. VanderWeele, PhD; Maya B. Mathur, PhD; Peng Ding, PhD
マムシ咬傷/コロナの勉強はしないといけないし診療報酬の勉強もしないといけないし...
マムシ咬傷の治療に関するガイドラインは存在せず,臨床現場においては治療方針に迷うことが少なくないと推測される。そこで,当院で2007年から2016年までの10年間に経験した67例を用いて治療内容や予後について検討した。男女比は35:32,年齢は16歳から86歳(平均68歳)で,60歳以上が79%を占めていた。受傷時期は7月から9月に56例(84%)が集中し,受傷場所は田畑が28例,自宅が26例と多く,受傷部位は全て四肢であった。49例にマムシの目撃があり,目撃のない症例では臨床症状から診断した。受傷直後から著明な血小板減少を呈し重症化した「血小板減少型」の1例を除いた66例について検討した。全例に入院加療が行なわれ,平均入院日数は6.8日であった。腫脹範囲が大きい症例ほど入院日数が有意に長かった。3例が腎機能障害を合併し,そのうち1例が死亡した。腫脹がピ―クに達するのは平均21.8時間後,CPK値が最大となるのは平均2.6日目であり,初診時に軽症であっても数日間の経過観察は必要であると考えられた。マムシ抗毒素は28例に投与されたが,投与の有無では入院日数に差を認めなかった。しかし,より重症の症例にマムシ抗毒素が投与されていること,腎機能障害を合併した3例の中,死亡した1例を含む2例にはマムシ抗毒素が投与されていなかったことから,重症例にはマムシ抗毒素の投与が必要であると考えている。また当院で経験した非常に稀な「血小板減少型」の1例についても報告する。
・ここで大事なことは(これは、昔から知っていたのですが)、最初はたいしたことないように見えても、急激にひどくなっていくことがあるので、原則入院が望ましいということです。ただ、患者さんは、あまり入院には乗り気にはならないと思いますが。あと、大分昔は「乱切」しておりましたが、それはしなくてもよい(しない方が良い)ということですね。
・最初に書きましたように、マムシ咬傷にたいする明確なガイドラインはありません。今日の治療指針2019年版をちょっと引用してみますと↓
ヘビ咬傷(マムシ,ハブ)
A)初期診療
気道,呼吸,循環動態の確認を行う.咬傷部の吸引,切開,緊縛,冷却は毒素の排出効果,吸収抑制効果が低く,組織損傷の危険性があるので行わない.咬傷部はやさしく洗浄しガーゼを当て,腫脹の広がりと周径を経時的に測定する.局所所見が乏しいにもかかわらず血小板減少や血液凝固能異常を示す症例があるので,受傷後24時間までは血液検査,尿検査を含め厳重な経過観察が必要である.
(B)抗毒素の投与
抗毒素の適応に統一された見解はない.咬傷部近位へ持続進展する腫脹と頭痛やめまい,嘔吐,複視などの全身症状,ヘマトクリット値や血小板数の低下など明らかな異常検査所見が認められた場合には抗毒素の投与を行う.抗毒素の効果は受傷後6時間以内とされ,遅くとも48時間以内に投与する.また,抗毒素は十分にアレルギー反応への対策を行ってから使用する.
・ところが同じ本の別の項では↓
マムシ咬症
主症状 一対の牙痕,発赤,疼痛,腫脹.壊死に進まなければ,自然に治癒する.DIC,腎不全.
治 療 軽く緊縛して安静保持,小切開,局所吸引,抗毒素血清6,000単位静注,腫脹が増強すれば1時間後3,000-6,000単位静注.破傷風トキソイド投与.腫脹がきわめて高度なら減張切開,対症治療.マムシ咬傷に対するセファランチンの使用(1回1-10 mg,1日1回静注)に関しては賛否意見が分かれる.重症化が予想される場合は,マムシ抗血清を使用することが望ましい,とされる.
・↑では、かるく緊縛とか、小切開とか書かれております。同じ本でも統一した「見解」がないことがうかがえますね。
・私は田舎に住んでおり、よく草刈りをするのでいつマムシにかまれるかもしれないので、人ごとではありません。自分が治療される場合、マムシ抗血清をつかってもらうかどうかは、きっと悩むでしょうね。
以下短小日記
・本日3/5(金)は、6時32分起床(アラームかけ忘れ)。朝食摂って朝勉せず出勤。病棟よってから午前外来。午後回診、レントゲン読影、夕方診療報酬改定にかんするビデオを50分くらい観る。その後健診判定等事務作業して18時16分帰宅。お風呂入って夕食。その後勉強(E-Valueについて)、そしてこのブログを書いております。これから歯磨きしてさっさとねます。
肝肺症候群/願わくば全国の仲間がCOVID対策会議で疲弊しませんように
・で、今週のNEJMのIMAGES IN CLINICAL MEDICINEに↓のようなレポートがありました。
N Engl J Med 2020; 382:e14 Mar 5 ,2020
アカラシアで呼吸困難/半端ない全身倦怠感、でも食欲は大あり
[同義語]噴門無弛緩症,噴門痙攣症,食道アカラシア esophageal achalasia,巨大食道症 megaesophagus
食道噴門部壁内アウエルバッハ神経叢の減少による括約筋の弛緩不全と,異常拡張により通過障害を来す機能的疾患。発症は稀で男女ほぼ同頻度,年齢は20~50歳代である。嚥下障害,逆流,悪心,嘔吐,前胸部痛,体重減少,誤嚥(呼吸器症状)などの症状を呈し慢性に進行する。紡錘型,フラスコ型,S状型の3型があり,拡張度で最大横径3.5cm(Ⅰ度),3.5~6.0cm(Ⅱ度),6.0cm以上(Ⅲ度)に区分される。診断は,食道内圧で噴門陰性波消失,嚥下時に陽性波消失,メコリール試験で食道静止圧上昇などによる。治療は,ニフェジピンの内服,バルーン拡張術,ヘラー法(Heller method:粘膜外筋切開法),ウェンデル法(Wendel method:下部食道・噴門部全層切開縫合法),ジラール変法(Girard method:噴門形成法)による手術など。
SSP: COVID-19肺炎初期~中期にシクレソニド吸入を使用し改善した3例/防弾少年団を爆誕といってしまう私
SSP: COVID-19の画像所見/夜診はつらいよ
In this retrospective case series, chest CT scans of 21 symptomatic patients from China infected with the 2019 novel coronavirus (2019-nCoV) were reviewed, with emphasis on identifying and characterizing the most common findings. Typical CT findings included bilateral pulmonary parenchymal ground-glass and consolidative pulmonary opacities, sometimes with a rounded morphology and a peripheral lung distribution. Notably, lung cavitation, discrete pulmonary nodules, pleural effusions, and lymphadenopathy were absent. Follow-up imaging in a subset of patients during the study time window often demonstrated mild or moderate progression of disease, as manifested by increasing extent and density of lung opacities.
以下日記
・本日3/2(月)は5時14分起床。朝風呂入って、ちょっとだけ朝勉して、大学へ。午前中は、疫学中級テキスト勉強会。午後は病院へ出勤して仕事。回診後16時前から夜間診療初めて19時過ぎ終了。(予約の患者さんよりも予約外の患者さんが多かった。)夜間診療は、わざわざ呼吸器の専門医に見てもらいたいということでお二人受診。わたしゃ、呼吸器学会の専門医はもっておりませんが...お二人とも呼吸器の症状が改善してくれればよろしいのですが。
・帰宅は20時くらい。お風呂入って夕食。そしてすこしだけ、論文書いてから、このブログを書いております。時々つぶやいておりますが、夜間診療はつらい、体にこたえる。来年度からやめさせて欲しい。
・明日は、午前外来、午後から大学へ行ってcritical appraisal.今日よりは早く帰宅できるかな。