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CEAは季節変動する/配偶者の帰宅

ごまめの歯ぎしりですが、医学界でやめてほしいということが、いろいろあります。先日書いた「ICする」という言葉使いや「理学的所見」という言葉。今日は、人間ドックに腫瘍マーカーをいれるということ。ホンマやめてほしいと思います。


・先日別件で受診されたのですが、人間ドックのデータをみせていただいて「CEAが高いんですが、冬になったら下がるんです」と言われました。わたしも、「そういうことがあるみたいですよ、以前そんな文献読みました。」と答えたのですが、その文献が↓ 


 夏季に血清CEA値が高値を示した1症例


医学検査 Vol. 63(2014) No. 3


https://www.jstage.jst.go.jp/article/jamt/63/3/63_13-23/_pdf


癌胎児性抗原(Carcinoembryonic ntigen,CEA)は各種悪性腫瘍の診断および治療後の経過観察において重要な指標であり,臨床において測定される最も一般的且つ,汎用されている腫瘍マーカーである.今回我々は,乳癌の術後経過観察で腫瘍の再発が認められないにも関わらず,血清CEA値が夏季において一過性に5~10 g/ml以上の高値を示した症例を経験し,その原因について検討を行った.その結果,血清CEA値と週間平均気温,ALT,赤血球数,ヘマトクリット値との間に有意な負相関が認められた.また,週間平均気温が25℃を超えて急激に変化した場合においても,同様に血清CEA値が増加傾向を示すことが明らかとなった.以上より,血清CEA値が夏季,一過性に高値を示した原因として,気温上昇に伴う週間平均気温の上昇が,肝臓等の臓器機能に影響するとともに,CEAの産生・分泌,およびその後の代謝に影響を及ぼした可能性が示唆された.


 ・で、この文献読むと夏に上がるなかなとおもっていたら、冬にあがるという例もあるみたいで↓


肺癌術後経過観察中にCEAが季節変動した1例 (会議録)


肺癌 57巻6号(2017年11月)


【はじめに】CEAは多くの悪性腫瘍で高値を示し非小細胞肺癌においても重要な腫瘍マーカーの一つとなる.今回我々は,肺癌術後経過観察中,CEAが季節変動する症例を経験したので報告する.【症例】60代,女性.2007年3月,近医で胸部X線施行し右中肺野に結節影を指摘されCTで右S4に結節影を認めた.2008年11月,CTで結節影が増大しPET/CTでFDGの集積を認め2009年2月,胸腔鏡下右中葉切除術を施行した.病理診断は腺癌,pT2(pl2)N0M0-IBでUFTを開始し温熱化学療法を追加した.2010年2月,CEAが5.9と上昇しCTを施行,再発を認めなかった.その後,普段3~4台であったCEAが冬になると5~11台へ上昇し再度正常範囲内へ戻るという経過を毎年繰り返した.画像検査では再発を認めず2017年現在無再発生存中である.【まとめ】CEAは術後再発に先行して上昇する例をしばしば認める.毎年冬にCEAが上昇したが再発を認めず,値が季節により変動するという稀な症例を経験したので文献的考察を加え報告する. 


・最初の文献が引用してたのが↓


Surg Today. 2005;35(10):883-5.

 

Annual Periodic Increases in Serum Carcinoembryonic Antigen Concurrent with Ground-Glass Opacity in the Lung: Report of a Case

https://link.springer.com/article/10.1007%2Fs00595-005-3010-y

【Abstract】A 63-year-old woman underwent a video-assisted thoracoscopic lobectomy for cancer of the right lung in 1999. The following year, a lesion with ground-glass opacity was found in the left lung, and pathological examination after a partial lung resection revealed atypical adenomatous hyperplasia with expression of carcinoembryonic antigen (CEA). During postoperative screening tests for tumor recurrence, there were periodic increases in the serum CEA level by twofold above the normal levels in 2002 and 2003. Clinical evaluations, including laboratory tests, radiographic imaging, and endoscopy examinations, showed no evidence of a CEA-producing tumor, except for a new ground-glass opacity in the left lung. To our knowledge, this is the first report of periodic increases in serum CEA levels in a patient with ground-glass opacity in the lung, not reflecting recurrence of the lung tumor. 

・抄録だけでは、夏に上がっているのか冬に上がっているのかわかりませんよね。いずれにしろ季節性変動はあり得るということは念頭に入れておいた方がよいですね。

・さて、最初に健診に腫瘍マーカーをいれてほしくないとうことですが、↓のような記事もありますので、ご参考までに。

腫瘍マーカーの意味、誤解していませんか?

https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20131223-OYTEW62265/ 

 

以下日記

・本日は9時~12時前まで水島で自分の研究と労災書類の作成。お昼は近くの大衆食堂でとって帰宅し、ちょっと昼寝。その後は家の掃除、洗い物、資源ごみを出しに行ったり。実は先週水曜日から配偶者が「家出」をしており、今日帰ってくるのが分かったので、少しでもきれいにしておこうと。夕方かえってきても、きれいともありがとうともない。(まあ、掃除と言っても玄関ちょっとしたのみだから)かわりに、夕食は「お父さんが、お寿司たべについれていってくれたらうれしいな」と。で、夕食は寿司丸。配偶者がいない間に2kg痩せたが、腹いっぱいお寿司を食べてしまい、また太るか...配偶者にご飯は作り過ぎないようにいわねば。 ちなみに「家出」は松江にいる三女のところにいっておりました。

・さて、これから風呂入って早めに寝ます。明日は、午前中ちょっと仕事して午後から、ユマニチュードの医学生の実習に私もまぜていただきます。(オッサンが、混ざることに医学生たちは違和感を感じるでしょうね)それにしても、医学部の実習にユマニチュードをとりいれるなんて、我が母校、みなおしたよ。