非反回下喉頭神経/有給とるのも楽じゃない
迷走神経の枝。迷走神経から分かれると,右では鎖骨下動脈,左では大動脈弓と動脈管索の下を後ろに回って上方へ反転する。気管と食道の両側に沿って上行しながら下頸心臓枝,食道枝,気管枝を出した後,下喉頭神経となり,輪状甲状筋以外の喉頭筋群と声帯ヒダより下方の喉頭粘膜に分布する。
【対象と方法】対象は2006年4月から2012年4月までにやましたクリニックで甲状腺手術を施行し, 術中に右下喉頭神経を確認した1,561例. 術前に頸胸部CTを1,086例に, 腕頭動脈分岐部確認目的の頸部USを140例に施行し, 右NRILNの診断におけるCTとUSの有用性について検討した.
【結果】1,561例中11例に右NRILNを認めた (0.71%). CT施行1,086例中10例に右鎖骨下動脈起始異常を認め, 右NRILNを術前に予測することができた. CTの右NRILNの検出能は, 感度100%, 特異度100%, 陽性的中率100%, 陰性的中率100%であった. 頸部US施行140例中116例 (82.9%) で腕頭動脈分岐部を確認することができ, 右NRILNではないことを術前に予測できたが, 24例では腕頭動脈分岐部を確認できず, その24例中1例のみが実際に右NRILNであった. USでの右NRILNの検出能は感度100%, 特異度83.5%, 陽性的中率4.2%, 陰性的中率100%であった.
【結語】CTは右NRILNの存在を正確に診断できていた. USは‘右下喉頭神経が正常な走行であること’ を82.9%という高い率で予測できる点で有用な検査であった.
甲状腺および副甲状腺の手術において反回神経の処理は重要であり,手術による神経損傷を防ぐためにも,その走行を熟知しておく必要がある。しかし,反回神経の走行にはいくつかの亜型があり,非反回下喉頭神経(non-recurrent inferior laryngeal nerve:NRILN)は必ず知っておかなければならない亜型である。症例は52歳男性。嗄声を主訴に受診し,左反回神経麻痺を認め,エコー・細胞診・CT検査にて甲状腺乳頭癌両側頸部リンパ節転移の診断にて手術を行った。術中に右下喉頭神経は迷走神経より直接分岐し喉頭に流入していたのを確認した。CT検査では右鎖骨下動脈起始異常を認め,NRILNが示唆された。血管分岐形態の異常がある際にはNRILNの存在を念頭に置き慎重に手術操作を行うべきである。
・前回も書きましたが、声帯麻痺=反回神経麻痺では必ずしもないということには気をつけておきましょう。
以下日記
・1/6(月)は、午前中大学で勉強。午後から、病院で仕事です。まず、病棟の回診、それから夜間診療、そして当直でした。結構当直は忙しかったです。
・1/7(火)は、6時前にcallでおこされそのまま起きておりました。シャワー浴びて、朝食、病棟回診。午前外来。外来後も回診して14時20分に病院出て、大学へ。ギリギリ16時からのCA(critical appraisal)に間に合いました。結構熱が入って、普通1時間で終わるところ1時間20分でした。19時前に帰宅。お風呂入って夕食の時アルコールをいただき、結構ぐだぐだになってねましあ。
・1/8(水)は、6時25分起床。朝勉せず出勤。病棟よって午前外来、午後回診、カンファレンス、16時から夜間診療。その後、明日有給休暇とってK中央病院に私の右声帯麻痺の精査にかかるため、やっておかない事務作業を20時50分まで行って帰宅。入浴後、夕食。で、ちょっと調べ物して、このブログを書いております。
・声帯麻痺と確定してから、ブルーになっておりますが、現在感情の起伏が小さくなっています。月曜日盗聴していて次から次へと患者さんが来ても、「ああ、また、こられたんか」という捉え方ですね。普段なら、「こんな時間に、いっぱい患者さん来て、なんでやねん」と憤るところです・・・今日のメタ認知でした。
・それにしても1日休むために、かなりの労力をさかないといけないないのと、休んだ後は仕事が山づみになっている。まあ、ずーーーっと前からそんなですが、なんとかならないもんですかね。ぱっと普通に休めて、休みから明けてきても、仕事がたまっていない状況というのはないものでしょうかね。
軽い運動でも横紋筋融解症/声帯麻痺になったことをメタ認知で楽しもう
種々の原因により骨格筋細胞が急激に破壊されて,筋肉の細胞成分が血液中に流入する病態。原因は外傷性と非外傷性に分けられ,外傷性では横紋筋の挫滅により発生する挫滅症候群(crush syndrome)や,過激な運動がある。非外傷性ではフィブラート系やスタチン系の高脂血症治療薬,向精神薬などの薬剤,アルコール過飲,糖尿病性ケトアシドーシスなどの代謝性疾患,感染症,炎症性筋疾患などがある。筋成分のうち,大量のミオグロビン(Mb)が血液中に流入すると腎尿細管を閉塞して高率に急性腎不全を惹起し,臨床上問題となる。血中・尿中Mbやクレアチンホスホキナーゼ(CPK)やアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST),アルドラーゼなどの筋逸脱酵素の上昇により診断する。尿は暗赤色を呈し,潜血反応は陽性だが,赤血球沈渣を認めない。治療の原則は原因の除去・是正で,急性腎不全に対しては早期から十分な輸液により脱水や電解質異常を回避する。乏尿あるいは高窒素血症が進行すれば血液浄化療法の適応となる。
反回神経麻痺と声帯麻痺/エンディングノート書かないと
迷走神経の分枝である反回神経は声帯の運動を支配する。核は延髄の疑核に存在し,左側は右側に比べ長く麻痺の頻度も高い。一側反回神経麻痺により嗄声〈させい〉を来し,両側麻痺では呼吸困難を起こす。反回神経麻痺の原因として,①腫瘍性疾患の圧迫,浸潤:甲状腺癌,食道癌,肺癌,縦隔腫瘍,大動脈瘤,②甲状腺手術のような頸部手術の操作によるもの,心臓手術,胸部手術,頸部外傷,気管挿管による神経損傷,頸部過伸展,③ウイルス性神経炎,多発性神経炎,重金属中毒,④原因不明の特発性麻痺がある。反回神経麻痺は,関節喉頭鏡や喉頭ファイバースコープで声帯の可動性が失われ固定していることで診断される。治療は原因疾患の治療が優先される。可逆性のものであればステロイドホルモン,ビタミンB剤の投与で回復しうる。一方,回復の可能性のないものはコラーゲンの声帯注入や甲状軟骨形成術などの処置が行われる。
[同義語]声帯ヒダ麻痺 vocal fold paralysis
声帯筋の運動麻痺。概して声帯の運動神経である反回神経が麻痺することにより生じるが,必ずしも反回神経麻痺によって筋麻痺が生じるわけではないので声帯麻痺と総称される。延髄の疑核に起始核のある迷走神経から分枝した反回神経が,頸部から胸郭に入り反回して喉頭に達する長い経路の種々の部位が障害されるが,原因は感冒,甲状腺腫,大動脈瘤,縦隔腫瘍,手術による損傷,気管挿管後,延髄疾患などさまざまである。筋線維は萎縮し嗄声を生じる。特に中枢の場合,脳卒中(脳血管障害),ワレンベルク症候群などの脳血管障害があり,この場合発声障害とともに嚥下障害,構音障害などを伴うことが多い。声帯麻痺を合併する病態に,ブラウン=セカール症候群,コレ-シカール症候群,ジャクソン症候群,ヴェルネ症候群,シュミット症候群,アヴェリス症候群,ヴィラレ症候群,タピア症候群などがある。治療にファイコン(シリコーン)注入術,声帯内転術,声門開大術,レーザー手術などがある
マイ手帳大賞:患者には、医師とは違って、患者になるためのトレーニングはない/自主的に病院へ行って心の安寧をえる
Diagnosis: Interpreting the Shadows (English Edition)
- 出版社/メーカー: CRC Press
- 発売日: 2017/09/19
Expert Patients Programme (EPP)
Expert Patient Programme Self-Management Course
慶應義塾大学信濃町キャンパスにおいて,筆者らは2014年10月より公開講座「患者学」を開講し,2018年末には第50回目を迎えた.対象は看護医療学部や医学部などの学生だけではなく,医師,看護師,保健師,薬剤師などの医療者,そして患者や一般市民を含んでいる.学生や医療者は患者から学び,患者や市民も対話の中で医療について学んでもらうという趣旨で「患者学」としている.患者と医療者が対話をできる場を提供し,両者が対話力を身につけ,両者の関係性を見直すことを目標としてきた.患者と医療者の対話の必要性やその技術や態度は理論だけ教わって身につくものではない.本講座のような医療における共通の目標をもち対話をするという関係性を体験することにより,医療者も患者も学ぶことができる.社会が大きく変革する時期を迎えて,これからの医療には患者と医療者の協働作業が求められる.その一助になることを願って活動を継続している.
以下日記
・本日1/2(木)は、6時19分に起きて、朝勉、朝蕎麦、その間布団のシーツを洗い、日が出てから布団を干して、9時半に病院へ。10時から12時回診し、患者さん達が落ち着いていることを確認し、帰りナフコ、コーナンで買い物をして帰宅。お昼ご飯は、配偶者と二人ですき焼き。親戚がお歳暮に肉を送ってきてくれたので。アルコールもちょっといただき、その後一服。夕方からひたすら掃除20時くらいまで。それから入浴し、このブログを書いております。お昼いっぱい食べたのでほとんど腹が減りません。1日で1kg太ったので、今日は夕食を抜いても良いかも。
・明日は岡山(市)へ映画観に行きたいですね。(配偶者が許してくれれば)
今年前半は診断についてかんがえる/寝正月ではありません。
面接・診察・検査などによって得られる所見に基づいてなされる疾病・病勢・予後などに関する医学的結論。診断で観察・判断するべき事柄は,病名ばかりではなく,病人の生活環境,病気の背景にある外面的・内面的要因,疾病の原因,経過や予後に影響しそうな要因,検査や治療に関係した事項など多種多様なものを含んでいる。実際には,一定の順序に従って現病歴,既往歴,家族歴などの病歴情報,視診,打診,触診,聴診などの身体診察ならびに必要に応じて各種の臨床検査や画像診断を十分に駆使して行われる。しかしそれらが全て揃わなくても,例えば病歴情報だけでもその時点での診断を下す必要がある場合もある。また疾病の経過に伴い診断の内容も変化していくのがふつうである。正確な診断を下しにくい時は暫定的な診断を下し,十分な情報が得られてから修正する。後者を最終診断として区別することがある。診断の資料によって,臨床診断,病理診断,手術診断,X線診断,剖検診断などと呼ばれることもある。場合によっては剖検診断が最も正確であるといえないこともある。また診断の根拠により,症候診断,外来診断,原因診断などと呼び分けられることもある。
われわれ医師に課せられた最大の使命は,目の前の患者の命を救い苦痛を取り除くこと(治療)と,予見される病的状態の発現を妨げること(予防)にある.
そのためには,第一に,患者が現にどのような病的状態にあるのか,またはどのような病的状態に向かいつつあるのかを知る必要がある.そうすることで初めて,病的状態ごとに有効性が証明されている治療方法や予防方法(マネージメント)を選択することができる.つまり,医療における診断とは,どのように患者をマネージメントしたらよいかを知るための病的状態の知的分類作業(カテゴリゼーション)と言い換えることができる.
診断名ごとに選択されるマネージメントは,病的状態の自然歴を変える(持続期間の短縮化,自覚症状の緩和・軽症化,治癒など)ものでなくてはならない.そうでなければ,診断に必要な面接や身体診察,検査に伴う苦痛やリスク,費用を患者に強いることは倫理にもとることになろう.
・診断と一言で言っても、色んな側面、意義、影響があるということです。で、自分なりに診断についてまとめてみたなと最近思ってたところたまたま↓のような本に巡り会いました。
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