外来での輸血/病院、サロン、蕎麦打ち、つどいと場面4転
たこつぼ型心筋症を合併した破傷風/カクテル自作復活宣言
1990年に急性心筋梗塞に類似した胸部症状および心電図変化を有し,それに伴う左室心筋収縮異常が冠状動脈1枝の支配領域を越えて広く存在し,それが数日から数週後にほぼ正常化した症例が報告され(佐藤),急性期の左室造影収縮末期像が蛸壺に似ていたことからこの病名がつけられた。①閉経後の女性に多く,②胸痛,息切れ,動悸を主訴に急性発症し,③急性期に左室心尖部を中心とした風船状収縮低下と心基部過収縮を呈し,④収縮異常は2~3週間の経過で正常化する疾患群と定義される。本症はampulla cardiomyopathyとして英文で2000年に報告されたが,外国ではtakotsubo cardiomyopathyと呼称されるようになった。本症にはくも膜下出血,褐色細胞腫,高齢者の非心臓手術後,急激なカテコールアミン投与,地震災害発生時,激しい精神的ショックなどの基礎疾患ないし誘引,病態がある(土手:循環器症候群Ⅲ,別冊日本臨牀,201,2008)。
ハショウフウ
[英]tetanus
[同義語]テタヌス
栄養型の破傷風菌が産生する強力な神経毒(テタノスパスミンtetanospasmin)によって起こる非伝染性の疾患である。土壌や塵など環境中に広く,またヒトや動物の消化管にも存在する破傷風菌の芽胞が,外傷,骨折,火傷,凍傷,褥瘡,咬傷などの各種創部,種々の感染症や各種術後の創部などから侵入し,発芽し,栄養型となる。トキソイド接種をしていないヒトに,ふつう3日から3週間の潜伏期で発症する。診断は臨床的に行う。治療の基本は,神経結合毒素が代謝されるまでの間の適切な支持療法,抗毒素による未結合毒素の中和,創部の適切な処置の3つである。感染後免疫は成立しない。
A 70-year-old woman was admitted to our hospital due to difficulty in moving her limbs. She had trismus and a necrotic and contaminated wound in her left lower leg. A diagnosis of tetanus was confirmed and intensive care was started. On the second day, her blood pressure fell and a ST segment elevation on electrocardiography (ECG) was detected. She was diagnosed with takotsubo cardiomyopathy by echocardiogram and improved undergoing conservative therapy.
・このレポートから学ぶことはいろいろあると思いますが、本文中に "We emphasize that abnormal blood pressure and pulse rate, and an elevation of the ST segments on ECG may be noticed not
only in acute coronary syndrome but also in TTC."と書かれているように、重症な患者さん、強いストレスを受けている患者さんの循環動態が悪化した場合、たこつぼ心筋症を思い浮かべないといけないと言うことですね。
以下日記
・おとつい7/24(水)は、午前外来、午後回診とカンファレンス、夜間診療でした。本来19時でdutyは終わるはずですが、20時に終了。19時から新しく来られた非常勤のDr.の歓迎会でしたが、思いっきり遅れて参加。会場について、次々でてくる料理をささっと食べました。アルコールはなんと最初生中と次にグラスワイン(赤)のみでした。で、22時頃帰宅。
・昨日7/25(木)は、午前外来、14時くらいまで。そして昼食抜きで倉敷市役所へダッシュ。15分遅れて公害健康被害認定審査会へ参加。早く終わったので、倉敷市立美術館でおこなわれている「クレパス展」(グループいろの旅人)をささっと観ました。これは、私の患者さんの奥さんが出展しているので。その後病院へ戻って仕事。19時過ぎに病院を出て、金光保健センターへ。そこで、「たまり場カフェ」の会議。今度8月にするイベントの打ち合わせ。大型紙芝居のお稽古です。帰宅は21時45分頃。さすがにお疲れモードです。
・本日7/26金は5時半過ぎ起床。ちょっと勉強して、朝食とらず7時過ぎに出勤。今日は自分の健康診断だったので、まず尿を提出して看護師さんに採血してもらいました。その後、回診して、医局でサンドイッチの朝食。それから午前外来。午後回診と会議。夕方職員健診の胸部レントゲン読影。本日は35名分。目が疲れました。で、帰宅は18時40分過ぎ。お風呂入って、入浴。その後夕食。カレー。何時ものごとく3杯(最初は、そのまま、2杯目は生卵入れて、3杯目はウスターソースかけて)たべて、苦しくて動けない。アルコールも誘惑に負けて飲んでしまいました。最初ビール、その後ウイスキーの水割り、現在ジンリッキー飲んでおります。ギムレットもつくりたかったけどシェイカーをしまいこんでしまって探すのがめんどくさくて、作れず。一時、カクテルにこっていろんなリキュールをそろえていたけど、自分でつくってもうまくないのでやめていました。しかし、また、復活したい。これからちょこちょこいろいろリキュールを買ってこよう。
・それでは、もうちょっとしたら歯磨きしてねます。明日は1日研究しようと思っていますが、途中病院に行くべきか否か葛藤中(主に、職員健診の胸写の読影)。
粉塵と肺胞蛋白症とGM-CSF抗体/うれしかったことーっ!(「いつもここから」風に)
ハイホウタンパクショウ
[英]pulmonary alveolar proteinosis
エオシン好性,PAS染色陽性でリン脂質に富む蛋白様物質が肺胞腔内に充満する疾患。顆粒状物質を多数貪食し,破壊されかかった肺胞マクロファージが多数認められる。胸部X線所見上,両側性にびまん性に広がる淡い肺胞性陰影を呈する。特に陰影が肺門から両側中下肺野に広がる蝶形陰影がみられることが多い。30~50歳代の男性に多い。初期には無症状のことが多く,健康診断時に偶然発見されることも多い。肺胞内に充満している物質の脂質分析では,構成は正常の肺表面活性物質とほぼ類似しているところから,本症の病態は,肺胞マクロファージによる肺表面活性物質の処理能力の低下による肺表面活性物質の異常貯留と説明されているが,原因や機序は不明である。最近では,特発性症例の末梢血中に抗GM-CSF抗体が認められるとの報告があり,GM-CSF吸入療法が開始されている。治療としては気管支肺胞洗浄(BAL。写真左:気管支肺胞洗浄液,写真右:その光顕所見)が有効であるが,自然寛解することが多く,激しい呼吸困難,呼吸不全に陥る症例はきわめて稀である。Rosen SH et al: Pulmonary alveolar proteinosis. N Engl J Med 258:1123-1142, 1958
日本紅斑熱による関節炎/糖尿病の講義でおなか一杯
日本紅斑熱 Japanese spotted fever
1984年に馬原文彦によって最初の臨床例が報告され,病原リケッチアはRickettsia japonica(リケッチア・ジャポニカ)と命名された。高熱,発疹,刺し口を三徴候とする疾患で,野外での作業時に感染する例が多い。媒介動物としてはマダニが最も有力である。西日本を中心に太平洋沿いの温暖な地域に発生する例が多い。1週間の潜伏期間の後,発熱(弛張熱),発疹,頭痛,倦怠感,悪寒を伴い発症する。ダニによる刺し口を大半の例に認める。R. japonicaを抗原として,間接免疫ペルオキシダーゼ法(IP法)や免疫蛍光法(IF法)を用いて,特異的抗体価の上昇を証明する。ワイル-フェリックス反応ではプロテウスOX2に凝集反応を示す。テトラサイクリン系抗菌薬が有効で,ニューキノロン系薬の併用も効果を示す。
・もうちょっと詳しい説明は↓
フレイルの合併症としての上腸間膜動脈(SMA)症候群/東京面白い・・・求む’現地(?)妻
[英]arteriomesenteric duodenal occlusion
[同義語]上腸間膜動脈症候群 superior mesenteric artery syndrome
十二指腸第3部(あるいは第4部)が,前方から上腸間膜動脈(あるいは中結腸動脈),後方からは大動脈(あるいは脊椎や下大動脈)によって圧迫され閉塞し,上腹部痛,嘔吐,腹部膨満にて発症するとされている。上腸間膜動脈と大動脈の角度が小さい,上腸間膜動脈分岐部と十二指腸の距離が短い,十二指腸周囲の脂肪が減少しているという3つの解剖学的異常が本症発症の条件である。欧米では中年のやせた女性の慢性型が多く,わが国では若年男性の急性型が多い。治療は一般状態改善のためにまず内科的療法を試みるべきであるが,最近外科療法も改善され治癒率も向上している。
・で、フレイルの高齢者にSMA症候群が合併したというレポート↓
医療の現実、教えますから広めてください! ! ―検診や治療に疑問を感じている方!
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アニサキスでアナフィラキシー/やっぱCAはエエワ、でも症例対照研究は難しい
[同義語]アナフィラキシー反応 anaphylactic reaction
特定の物質によって惹起されるIgE抗体を介したⅠ型アレルギー反応(即時型アレルギー反応)で生じる重篤な病態をいう。全身性に発症するので全身アナフィラキシーと呼ばれるが,同じ反応でも局所に限局している場合は局所アナフィラキシーという。抗生物質,造影剤,異種抗血清,ホルモン,非ステロイド性抗炎症薬,吸入アレルゲンワクチン,ハチ毒,蛇毒,エビやカニなどの食物,運動,ラテックス(天然ゴム)などが原因となる。抗原に対するIgE抗体が産生され抗原の再侵入によって活性化された肥満細胞,好塩基球が,ヒスタミン,ロイコトリエンなどのケミカル・メディエーターを遊離し生じる。アナフィラキシーに類似するがIgE抗体を介さない反応にアナフィラキシー様反応(anaphylactoid reaction)がある。症状は口内異常感,喉頭部狭窄感,悪心,耳鳴り,尿意,便意などに続き全身性蕁麻疹,循環不全,気道狭窄が起こる。さらに血圧低下,チアノーゼ,意識障害に陥ればアナフィラキシー・ショック(anaphylactic shock)となる。ショック状態には気道・血管確保とともにエピネフリン1000倍液0.1~0.3mLを皮下注射し,ヒドロコルチゾンを静注する。最近では携帯用エピネフリン自己注射キットが使用できる。
アニサキスによる遅発性アナフィラキシーの1例(A case of late–onset anaphylaxis caused by Anisakis)
要旨
41歳の女性が受診4日前の夕食にしめサバを摂取し,受診当日の朝に呼吸困難感を自覚し全身に皮疹を認めたため救急外来を受診した。来院時,頻脈と頻呼吸に加え,喘鳴と全身の膨疹を認めたことからアナフィラキシーと診断した。薬剤投与で症状は軽快したが,入院当初の病歴からはアレルゲンが同定できず,経過観察目的に入院とした。入院後は症状の再燃はなく経過していたが,入院当日の夕食摂取後に膨疹と湿性咳漱を認め,再度アドレナリンの投与を要した。その後,一旦症状は消退したものの,同日深夜に誘因なく全身の膨疹が再増悪したため,抗ヒスタミン薬の内服を開始し軽快した。しかし,その後も膨疹は誘因なく増悪と緩解を繰り返しながら,やがて消退傾向となった。第6病日に血清アニサキス特異的IgE高値が判明し,第7病日に上部消化管内視鏡にて胃壁に虫体を確認した。以上から,一連の症状は,来院4日前に摂取したサバが原因となったアニサキスによるアレルギー反応と診断した。過去の報告と比較して,本症例ではアナフィラキシーを起こすまでの期間が,アレルゲン摂取後4日と長時間経過していた点が特徴的だった。原因不明のアナフィラキシーでは,詳細な病歴を遡って聴取することが大切である。また,アレルギー症状を繰り返す場合には,アニサキスアレルギーを念頭に置き検査を行うことと,適切な患者指導をする必要がある。
・この本文を読んでみますと、なかなかアニサキスによるアナフィラキシーの診断は難しいみたいですね。食事の内容は少なくても4,5日は問診しないといけないみたいですね。
以下日記
・昨日7/15(月)は、仕事はお休み朝から昼まで、ずっと論文作成。合間に掃除。次第に掃除の時間が長くなり午後は汗だくになりながら掃除がメインとなりました。シャワー浴びて短時間昼寝。16時半頃に家出て、資源ゴミさして病院へ。17時30分から当直でした。幸い病棟は落ち着いておりましたが、外来にちょくちょく受診。22時に寝たかったのが、0時過ぎに就寝でした。
・7/16(火)は、夜中、明け方とコールあり、睡眠が断片化されました。起きたのは6時前。シャワーあびえて、朝食とって、病棟の回診。そして午前回診。午後一で今日入院された患者さんの輸血を開始、あとは診療部長に頼んで14時ころ病院出て大学へ。(途中市役所によって期日前投票)16時から15時過ぎCA:critical appraisalでした。本日とりあげられた参考文献に↓の様なものがあり、参考になしました。
What Do Case-Control Studies Estimate? Survey of Methods and Assumptions in Published Case-Control Research
Abstract
To evaluate strategies used to select cases and controls and how reported odds ratios are interpreted, the authors examined 150 case-control studies published in leading general medicine, epidemiology, and clinical specialist journals from 2001 to 2007. Most of the studies (125/150; 83%) were based on incident cases; among these, the source population was mostly dynamic (102/125; 82%). A minority (23/125; 18%) sampled from a fixed cohort. Among studies with incident cases, 105 (84%) could interpret the odds ratio as a rate ratio. Fifty-seven (46% of 125) required the source population to be stable for such interpretation, while the remaining 48 (38% of 125) did not need any assumptions because of matching on time or concurrent sampling. Another 17 (14% of 125) studies with incident cases could interpret the odds ratio as a risk ratio, with 16 of them requiring the rare disease assumption for this interpretation. The rare disease assumption was discussed in 4 studies but was not relevant to any of them. No investigators mentioned the need for a stable population. The authors conclude that in current case-control research, a stable exposure distribution is much more frequently needed to interpret odds ratios than the rare disease assumption. At present, investigators conducting case-control studies rarely discuss what their odds ratios estimate.
・なかなかcase-control studyは難しい。もっと性根入れて勉強しないといけないと思った次第。
・その後はおとなしく帰宅(後輩とカレーの店に行く約束していましたが、急にこれなくなって、会食はお流れ)。お風呂入って、夕食とって寝ました。
カモミールでアナフィラキシー/一畳分の紙芝居運んで、あとは論文
胃癌の原因もいろいろ/飲み会したい
Airborne exposures and risk of gastric cancer: A prospective cohort study
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1002/ijc.22566
Abstract
There is an unexplained male predominance among patients with gastric cancer, and many carcinogens are found in male-dominated dusty occupations. However, the relation between occupational exposures and risk of gastric cancer remains unclear. To investigate whether airborne occupational exposures might influence the risk of noncardia gastric cancer, we used a large, prospective cohort study of male Swedish construction workers. These workers were, during the period 1971-1993, regularly invited to health examinations by a nationwide occupational health service organization. Data on job titles and other variables were collected through self-administered questionnaires and forms completed by the health organization's staff. Industrial hygienists assessed 12 specific airborne occupational exposures for 200 job titles. Gastric cancer, death or emigration occurring during follow-up in 1971-2002 were identified by linkage to the Swedish registers of Cancer, Causes of Death and Total Population, respectively. Incidence rate ratios (IRR) and 95% confidence intervals (CI), adjusted for attained age, tobacco smoking, calendar period and body mass, were derived from Cox regression. Among 256,357 cohort members, contributing 5,378,012 person-years at risk, 948 noncardia gastric cancers were identified. Increased risk of this tumor was found among workers exposed to cement dust (IRR 1.5 [95% CI 1.1-2.1]), quartz dust (IRR 1.3 [95% CI 1.0-1.7]) and diesel exhaust (IRR 1.4 [95% CI 1.1-1.9]). Dose-response relations were observed for these exposures. No consistent positive associations were found regarding exposure to asbestos, asphalt fumes, concrete dust, epoxy resins, isocyanates, metal fumes, mineral fibers, organic solvents or wood dust. In conclusion, this study provides some support to the hypothesis that specific airborne exposures increase the risk of noncardia gastric cancer.
・医療機関で、除菌、除菌というのみでなく、職場環境もよくしてもらわないといけませんね。
以下あっという間に日記、かつ、あっという間に読める量
・本日7/13(土)はduty freeじゃなかったoff dutyでした。6時半頃起床です。1日論文の作成と事務作業をしておりました。夕方晴れたら草刈りしようと思っておりましたが、雨なので断念。これからお風呂入ります。で、アルコールを飲もうか否か悩んでいるところ。
・何か最近ストレスがたまっているので、数人の友達と飲み会がしたい気分であります。
私はどうして医師になったのか
NEJMお墨付き?二枚舌ってほんとうにあった/山は越した(と思う)
“Double Tongue” Appearance in Ludwig’s Angina
[同義語]口底炎 inflammation of mouth floor
口腔底蜂巣炎が咽頭部の広い範囲に及んで咽頭狭窄を伴った炎症をいう。急性歯槽骨炎,顎下腺管内唾石,外傷創の感染など,主として連鎖球菌性の感染が,口底部の顎下,舌下,オトガイ下隙などの組織の間隙までに及び,咽頭後膿瘍を形成することにより起こる。口底部は著しく腫脹し,疼痛や発熱,強い開口障害を伴うため,時に呼吸困難を生じることもある。(Wilhelm Friedrich von Ludwig,1790-1865,外科,独)