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不活化コロナワクチンで亜急性甲状腺炎/早々とインフルエンザワクチン接種

患者さんが喉/咽が痛いと訴えて来院した場合喉の中ばかりでは無く、頸部のリンパ節や甲状腺に異常が無いか触診をする必要があります。甲状腺が腫れて痛い場合も患者さんは喉が痛いと訴えます。頭に入れておかなければならないのは亜急性甲状腺炎です。『医学書院医学大辞典第2版』の説明は↓


亜急性甲状腺炎  subacute thyroiditis
[同義語]ドゥ・ケルヴァン甲状腺炎 de Quervain thyroiditis,偽結核性巨細胞性非化膿性甲状腺炎 pseudotuberculous giant cell and nonsuppurative thyroiditis,巨細胞性肉芽腫性甲状腺炎 giant cell granulomatous thyroiditis

[1]ドゥ・ケルヴァン(1902)によって報告された,非化膿性の甲状腺の炎症。中年の女性に好発し,上気道感染が先行することが多く,ウイルス感染が原因と考えられているが,特定のウイルスは同定されていない。組織学的には組織球性多核巨細胞の浸潤,多形核白血球および濾胞破壊がみられる甲状腺部の自発痛および圧痛が特徴的で,下顎から耳介後部に放散する。20~30%の症例で,痛みが対側の甲状腺に移動する。甲状腺はびまん性あるいは結節性に腫大し,甲状腺超音波検査で疼痛部に一致して低エコー部を認める。赤沈値とCRP(C反応性蛋白質)の高値を認め,甲状腺放射性ヨード摂取率はほとんど0%となる。通常,2~4か月の経過で自然治癒する予後良好な疾患だが,甲状腺濾胞の破壊により蓄積されたホルモンが流出すると,甲状腺中毒症が起こる。治療は,痛みや発熱などに対する対症療法が中心となり,サリチル酸,副腎皮質ホルモン薬,β遮断薬を使用する。 [2]初期には甲状腺機能亢進症を示すが,病態の進行による濾胞の破壊が進行するにつれ機能低下症となる。多くの症例では数か月で甲状腺機能は回復するが,機能低下が持続する症例もある。病理組織学的には,甲状腺組織に種々の程度の線維化と慢性炎症細胞浸潤,甲状腺濾胞の破壊,コロイドに対する異物巨細胞の出現,肉芽腫性病変の形成をみる。炎症の消長に伴って線維化が進行し,時に悪性腫瘍との鑑別が問題になる。しかし,線維化は甲状腺周囲には波及しないので,周囲との癒着が認められない点が,類縁疾患のリーデル甲状腺炎との鑑別点の1つとなる。



・で、不活化コロナウイルスワクチンで亜急性甲状腺炎がおこったというレポート↓


Subacute thyroiditis after inactive SARS-CoV-2 vaccine


Saygılı ES, Karakilic E. BMJ Case Rep 2021;14:e244711. doi:10.1136/bcr-2021-244711




この報告のLearning pointsは↓


・Subacute thyroiditis should be considered in a patient presenting with neck pain, fever and thyroid dysfunction.
・COVID-19 is a multisystemic disease, and even an inactive vaccine can cause inflammatory reactions in extrapulmonary tissues.
・Cases of subacute thyroiditis can occur after any vaccination.
・Besides viral proteins, adjuvant substances used in the vaccine to increase immunological reactions may also trigger autoimmune reactions.
・Clinicians should be aware of thyroid symptoms being potentially associated with the inactive SARS- CoV-2 vaccine


・ちなみに日本でも今のところこのタイプのワクチンは使用されていないはずです↓




・ただ、本文中にあるようにある種の不活化ワクチン(インフルエンザやB型肝炎)で亜急性甲状腺炎が起こりえると言うことは知っておいた方がよいですね。添付文書にはそういうことは書いていないようですが


cf. インフルエンザHAワクチン添付文書




cf. ビームゲン(組換え沈降B型肝炎ワクチン)添付文書





以下日記

・本日10/4(月)は自然と5時21分起床。朝勉して月曜日のルーチン=猫の餌やり、燃えるゴミだし。午前中はZOOMで因果推論の勉強会。練習問題がありまして期待値、分散の公式をつかって計算する問題でした。とっても懐かしかった。

・午後から出勤。回診後夜間診療、その後も事務作業で帰宅は20時5分。猫たちに餌やりに行ってから入浴、夕食。アルコールもいただきました。で、このブログを書いております。これをアップしたらサッサと寝にいきます。明日は、珍しく火曜日の宿直ですから。

・10月からインフルエンザワクチン接種が始まりました。まだ、打つ人は少ないでしょうし、お医者さんも現時点ではあまり勧めていないのではないでしょうか?(知らんけど)しかし、当院で今日接種をされた方がお一人いたみたいで、ワクチンが余っておりました。で、もったいないので少し早いと思いましたが、私が接種いたしました。吉となるか今日となるか。ひょっとしたらもう1回うたないといけなくなるかも知れませんね。





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