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ネクタイやスカーフで首を絞めて症状を軽快させる病気/会話が楽しめた外来

耳管開放症という疾患があります。最近患者さんから「耳管開放症と診断されました」とお聞きし、「耳管閉塞症ではないですか?」と問い直しても、「いえ、耳管開放症です」と応えられました。耳管開放症って、聞いたことないな・・・いや、習ったけど忘れただけか?『医学書院医学大辞典第2版』の説明が↓


耳管開放症

open tube, patulous eustachian tube



耳管が平常状態でも開放している状態。急激な体重減少などで耳管周辺の軟部組織や筋群の萎縮により生ずる。耳閉塞感や自声強聴などの症状が出現する。臥位で症状が軽減。耳管カテーテル通気音が低圧でも聴取可能で,耳鏡下に鼓膜の呼吸性移動や,ティンパノグラムで深呼吸に同期した変化がみられる。耳管咽頭口へのプロタルゴールの塗布やコラーゲンなどの薬剤の注入,耳管内腔への起炎性薬剤注入で内腔の狭窄を図るなどの治療法がある。近年耳管開放症を有するものの鼻すすりと,滲出性中耳炎や中耳真珠腫症との因果関係が指摘されている。


・もう少し詳しく解説した論文が↓


耳管開放症の診断と治療



日本耳鼻咽喉科学会報 120巻(2017年)7号



・本文中に次のような記述があります。これから今回のブログの標題をとりました:

仕事で会話中の時に突然症状が出た時は自声強聴 により会話ができなくなる.頭を下げると症状は消失す るが仕事中ではそれもできない.突然に症状が出現した 時,首に巻いているスカーフ,男性であればネクタイで あるが,これを自然な動作で少し締めると頭部からの静 脈還流が頸部で阻害され耳管内腔を狭窄する(スカーフ 療法)


・中尾彬がこの病気ではないかと思いWikipediaをみましたが、どうも違うようですね。

・冗談はさておき、耳鼻科医でないものの診断というかこの疾患を疑うポイントは、↓でしょうね


耳管開放症の最大の特徴は症状が体位により変化する ことである.つまり,立位や坐位の状態で出現していた 症状が臥位・前屈位になると速やかに軽快,消失する. 問診では日常生活でこのような現象がみられるか聴取 し,さらに外来診察時では患者を診察用椅子に座らせた まま軽く背中を押し前屈位を取らせ症状の変化をたずね る.体位を変えてからおおむね10秒以内に変化が現れ る.耳管近傍の翼突筋静脈叢が体位変化により容量を速 やかに変化させ,臥位または前屈位になると耳管壁を圧 迫し内腔を狭窄させることによる.このように耳管閉塞 により症状が軽快・消失することが診断上重要なポイン ト・・・


・自声強聴で困っている患者さんは、時間閉塞症の身でなく、耳管開放症も考えないといけませんね。


自声強聴についての『医学書院医学大辞典第2版』の説明は↓


耳管炎や耳管狭窄症など耳管が狭窄した状態では,骨導を通して聴く自分の声の成分が気導のそれより優位になるために,自分の話す声が患耳に不自然に強く響いて聞こえる現象。逆に耳管開放症においても,自分の声や呼吸音が耳管を通して中耳に伝わるために,同様の症状が認められる。

以下日記
・本日5/18(金)は、6時14分起床。ごくごくわずかだけ勉強して、朝食摂って出勤。午前中外来。金曜日は3診体制なので予約外の患者さんが少なく、楽しく(患者さんや看護師さんとの会話を楽しむ)外来ができました。午後は病棟の呼吸器回診。それから労働安全衛生委員会、その後産業医面談関係で職場管理職とお話。その後書類をかいて18時15分ごろ帰宅できました。配偶者が本日より、また「家出」したので、夕食はレトルトのカレー。録画の「マツコの知らない世界」で、ディズニーランドの話をみましたが、まあ、こんなものですかという感じでした。その後このブログを書いております。これからお風呂入って、明日の用意をして、さっさと寝たいと思います。明日は、8時40分から17時50分まで(と、一応シラバスではなっている)基礎統計学の集中講義。毎回しょっぱなにテストがありますが、今回もあるかしら?

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