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アカラシアと気管支喘息/教育者っていいな

昨日10/27(金)と本日10/28(土)は、岡山コンベンションセンターで民医連呼吸器疾患研究会というものがひらかれ、出席してきました↓




昨日は座長、本日はミニ講演をしてきたのですが、座長をしたセッションで、アカラシアと気管支喘息の合併した症例で、アカラシアの治療で喘息の症状が軽快した2例の症例報告がありました。胃食道逆流症と気管支喘息の関係は大分前から知っていましたが、アカラシアと気管支喘息の関係は知りませんでした。ディスカッションのなかで、小児に結構みられるということで「へーっ」と思いました。医中誌で「アカラシア×気管支喘息」といれて検索すると10件ヒットしました。残念ながら、freeでみることができるのは1件のみでした。↓に抄録がみることのできる論文を貼り付けときます。



治療反応性に乏しい喘鳴と慢性咳嗽の原因が食道アカラシアであった1例(原著論文/症例報告)

  • 平井邦朗、他。
  • 日本呼吸器学会誌 (2186-5876)5巻5号 Page279-283(2016.09)
  • 【Abstract】症例は17歳、男性。喘鳴と慢性咳嗽を主訴に近医を受診し喘息と診断された。約1年間吸入ステロイド薬/吸入長時間作用性β2刺激薬配合剤による治療が行われたが、反応性に乏しいため山梨赤十字病院に紹介受診した。胸部X線撮影とスパイロメトリーから器質的な気道狭窄が疑われ、精査の結果食道アカラシアと診断、外科的手術療法により喘鳴と咳嗽は消失した。食道アカラシアは呼吸器症状を引き起こしうる疾患であり、治療反応性に乏しい患者を診療した際には食道アカラシアを鑑別疾患として考える必要がある。(著者抄録)
気管支喘息として加療されていた7歳女児の食道アカラシアの1例(原著論文/症例報告)
三神美子, 他。 日本小児呼吸器学会雑誌 (2187-5731)26巻2号 Page177-183(2016.01)
【Abstract】食道アカラシアは小児では稀な疾患である。原因はいまだ不明とされているが一部では食道下部・噴門移行部のAuerbach神経叢の神経節細胞の変性または消失による機能的疾患と考えられている。食道アカラシアは消化器疾患であるにもかかわらず呼吸器症状を呈することがあり、慢性咳嗽や喘鳴は、決して少なくない頻度でみられる。その機序として中枢を介して反射性に下気道に刺激が伝わる機序(reflex theory)や、逆流内容が上部食道から咽喉頭に到達し下気道に誤嚥され直接の刺激となる機序(reflux theory)、その他、食道気管反射の機序により起こることが考えられている。そのため、治療抵抗性の慢性咳嗽や喘鳴に嘔吐などの消化器症状を伴った場合は食道アカラシアも鑑別に挙げ、詳細な問診、画像検査を行うことが重要である。約2年間にわたり咳嗽の増悪と改善を複数回繰り返した、7歳女児の食道アカラシアの1例を経験したのでここに報告する。(著者抄録)
食道アカラシアの臨床像 とくに呼吸器症状について 
田中隆、他。
日本胸部臨床 (0385-3667)47巻9号 Page733-739(1988.09)
 
・一番下の症例報告が1988年でした。結構昔から報告があったのですね。私の勉強不足でした。
あと、freeで全文読めるレポートを↓に貼り付けておきます。
手術後に食道アカラシアが判明 した患者の麻酔経験 
日 臨 麻 会 誌Vol.21 No.1, 49~52, 2001
[要旨]喘 息の既往をもつ交通外傷患者の下腿骨接合術および抜釘術に対 し,2回 の 全身麻酔を行った.初 回の麻酔導入のマスク換気中に換気不良を経験 したが,喘 息発 作 と判断し,ア ミノフィリンとステロイ ドの投与により改善した.さ らに,12ヵ 月 後の2回 目の麻酔導入後にも換気不能となり,17時 間の術前の絶飲絶食にもかかわ らず口腔内に吐物を認めたIた だちに気管挿管 し,酸 素 ・亜酸化窒素 ・セボフルラン で麻酔を行い換気可能となった.2回 目の手術後に,胸 部X線 写真を再検討 し,食 道内圧検査を行ったところ食道アカラシアの存在が判明 し,根 治術を行った.前 医で の喘息の診断は食道アカラシアによる誤嚥が原因と考え られた.食道アカラシアには, 喘息の既往に惑わされることなく正 しい術前診断が必要であると再認識させ られた. 
・気管支喘息、特に難治な方については、よく消化器症状をきいておかないといけませんね。
以下日記
・10/27(金)は、最初に書いたように民呼研に参加しました。夜は、懇親会。2次会に23時過ぎまで参加しましたが、次の日の発表にそなえ早めに引き上げました。
・本日10/28(土)は民呼研2日目。最初は、私の「お師匠さん」の佐藤功先生の胸部レントゲンに関する講演。その後、私の友人・元同級生(中国語や球遊びが好きで、卒業が遅れた)と私のミニ講演。友人の話は、大人の落ち着いた話。私は、早口で落ちつきない講演でしたが、何とかあまり時間をオーバーせずにすんだようです。(自分でiPhoneで時間を計っていたつもりが、タイマーが動いていなかった)講演が、数人の人がおもしろかったとか良かったとか言ってくれました。まあ、やっと講演がすんで、ほっとしました。
・12時半頃研究会が終わり、昼食は奉還町の「じくや」というそば屋へ。せいろ2人前たべました。うまいっ!その後イオン岡山へいってちょっと買い物して、14時から私が所属する疫学・衛生学教室の先々代の教授の青山英康先生を偲ぶ会。(青山先生は、8月になくなっておられました)参加者の挨拶・弔辞をきいていて、教育者って、「種蒔く人」でいいなと思いました。大学院卒業したら、どうしようかと現在悩んでいますが、教育者になるのもよいかなと思ったりして。
・16時ころ偲ぶ会の会場を出て帰宅。帰宅して、早めの夕食。そして、このブログを書いております。今週はとっても疲れたので、これからお風呂入って、軽くお酒を飲んで、早く寝ます。

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