研修医への外来診療講義メモ/地域で高齢化を体感する
外来の診療で大切なこと、コツ、私がやっていること
1.心得
・医療は共同の営み(Partnership)
古いPから新しいP:PaternalismからPartnership
・患者さんは、要望と不安をもってくる
要望がはっきりしないこともある・・・診療の中で明確にする
・誠実に・・・この対応は果たして誠実か?と自問する
・患者さんの受診目的と医師の診療の目的が食い違うことがある
目標の明確化・共有
・情報格差があるのが当たり前だが...
本やWebsiteでよく調べられている人もいる
中には、医師をテストしている人もいる
・録音されているつもりではなす
・こちらは、そういうつもりはなくても、「お医者様」:話ずらい・訊きづらい
・informed consent: ICは「する」ものではなく、もらうもの。また、丸投げでもない。
2.診療の最初
・立って挨拶、視線をあわせる(必要ならバニーガールのように膝を立ててしゃがむ)
・笑顔・・・口角をあげる練習、鏡を見る
・ピー子に挨拶しない。ピー子とばかりはなさない
・最初、話を途中で遮らない
3.診断
・よく3C(common, critical, curable)といわれるが...
私は、CCOもしくはCCEとしてほしい O: occupational E: Environmental
最近の流れではEがよいかも。SDH: Social Determinants of Healthが重視されてきている。
・最初にcriticalな疾患を考え、除外しておくと後の診療が楽
・鑑別診断は、必ず挙げる。その癖をつける。絶対決め打ちしない。それがたとえ風邪やインフルエンザだとしても。
・職業歴は「のど自慢的職業表現」はNG
・よく使われるのがVINDICATE!!!P
V:Vascular:血管系、I:Infection:感染症、N:Neoplasm:新生物(良性、悪性)、
D:Degeneration:変性疾患、I:Intoxication:薬物・毒物中毒、C:Congenital:先天性、
A:Autoimmune:自己免疫/膠原病、T:Trauma:外傷、E:Endocrine/Metabolic:内分泌代謝系、I:Iatrogenic:医原性、I:Inheritance:遺伝性、I:Idiopathic:特発性(原因不明)、P:Psychogenic:精神・心因性
・わたしは、MEDIC TO VAN, 最近では V DOT CINEMA SPとしています。
VIDICATEでは、Occupational, Environmentalがない
SはSystemicで、全身性疾患の部分症ではないかと考える
・鑑別診断のみでなく合併症も考える。
・見通しや今後起こることを患者さんに伝えておく。(特にどれくらいで症状が改善するか)薬の副作用も。あらかじめ言っておくのと言わないのは雲泥の差。
4.検査
・定期検査はあらかじめ「次、採血しましょうね」とお知らせしておく
・検査の費用も説明できればベター
・検査するとき、その検査結果で自分の行動が変わるかどうか考える
・データは必ず確認する。データがでるのが後日の場合、メモや電カルの活用。
・必要なデータは、自分からききに行く
・検体の間違い、人間違い、記載間違い等あることに気を付ける
・慢性疾患は、あらかじめ計画を立てておく。全身管理を心掛ける。
5.その他
・必要な能力:コミュニケーション アサーション
・自分一人で外来をしているわけではない。看護師、事務等スタッフに感謝。
・のど自慢的職業表現はNG
・自分の「身(メンタルも)」を守ることも大事(・ごく一部だが、ひどい人もいる)
・患者から学ぶ:患者さんの問題提起は、勉強のモチベーションになる。
・外来は、毎回いろいろ工夫ができて、楽しいよ。
参考文献
・研修医になったら必ず読んでください。〜診療の基本と必須手技、臨床的思考法からプレゼン術まで 2014/2/25
岸本 暢将 (著), 岡田 正人 (著), 徳田 安春 (著)
・白衣のポケットの中―医師のプロフェッショナリズムを考える 2009/4/1
宮崎 仁 (著), 尾藤 誠司 (著), 大生 定義 (著)
・患者は何でも知っている (EBMライブラリー) – 2004/7/23
J.A.ミュア・グレイ (著), 斉尾 武郎 (翻訳), 丁 元鎮 栗原 千絵子 平田 智子
外来でのコミュニケーション技法―診療に生かしたい問診・面接のコツ 1995/7
飯島 克巳
(外来でのコミュニケーション技法―診療に生かしたい問診・面接のコツ (junior新書) 新書 – 2006/3)
以下超短小日記
・本日は、8時前に起床。昨日、一昨日の研究会がおわり、ほっと一息です。10月は、それ以外でもいろいろあって、本当に忙しかったです。まだ、複数原稿をかかないといけない状況にありますが...
・今日はズーーーっ、と部屋にこもって自分の勉強と講義の準備でした。本当に時間がたつのが早い。19時から20時15分くらいまで、地域の寄り合い(とっても、古い言い方)。話を聞いていると、私の周辺でも高齢化が激しくなってきて、いろんな役を決めるときも役員さんが、「任期が切れるまでは、生きとってちょうだいよ」というような、ブラックなジョークが出るくらいです。私は、その中では「若手」となります。高齢社会おそるべし。
・寄り合いから帰ってお風呂に入って、これから夕食です。さすがに今日はアルコールはやめて、ノンアルにして、早めに寝ることにします。明日は、午前中大学で勉強、午後から病院で外来です。