チタンによるじん肺/社会的処方の本を読み終える
文庫 平気でうそをつく人たち 虚偽と邪悪の心理学 (草思社文庫)
- 出版社/メーカー: 草思社
- 発売日: 2011/08/05
- メディア: 文庫
こんな胸水の原因:胃胸腔瘻/早島いってミュシャとオルリク
症例は70代の男性で,頭頸部癌に対し化学療法中であった。化学療法開始10日目に胃内容排泄遅延あり経鼻胃管を留置していた。一旦軽快傾向にあったが,10日後,呼吸苦が出現し,CTにて左膿胸を認めたため,胸腔ドレナージを施行した。その2日後,ドレーンより食物残渣の流出を認めたため,緊急上部消化管内視鏡検査を施行すると,胃穹窿部を中心に多発潰瘍を認めた。造影すると胃内部から左胸腔への造影剤の流出を認めた。穿孔性胃潰瘍が胃胸腔瘻を形成し左胸腔へ穿破し膿胸をきたしたと診断し,同日緊急手術を施行した。左開胸開腹で術野を展開すると,左横隔膜に瘻孔の形成を認め,胃の潰瘍底が穿孔し胸腔内へ穿破していた。胃壁は横隔膜と強く癒着し,腹腔内の汚染は認めなかった。横隔膜と胃を剝離した後に,胃潰瘍穿孔部は縫合閉鎖し,大網で被覆した。横隔膜の瘻孔は縫合閉鎖し,左胸腔内を洗浄,ドレーンを留置し手術を終了した。
・上の例では、そうメチャクチャ診断は難しくは無かったでしょう。なぜなら、胸腔内へいれているチューブから食物残渣がでてきたのだから。でも、それがなかったらちょっと診断に難渋するかも。いずれにしろ、まれですが、胸腔とどこかが交通している病態も胸水の原因になるとおもっていないといけませんね。
以下日記
・本日2/6(木)は、「休業」中にもかかわらず「出勤」。7時半過ぎについて、書類と申し送りをかいて9時20分に病院をあとにしました。で、JRで早島まで行って、「ゆるびの舎」にいってきました↓
http://www.town.hayashima.lg.jp/yurubinoya/index.html
・これは、私の知人がこの施設は良いといっていたので、一度はみておこうと思ったからです。今日はこの中の図書館で読書をさせてもらいました。図書館と他の施設をつなぐ中間の所にはいっぱいテーブルと椅子がおいてあって、だれでもいて良いような感じでした。少なくとも3グループ以上の人がいて、お菓子食べたりお弁当食べておりました。外には子供が遊べる公園もありお母さんとお子さんで利用しやすいところだなと思いました。
・図書館に行くと、色んな本が展示されていて、先日書いたインターネット上のフィルターバブルは少しは緩和されると思いました。また、司書さんおすすめの本や新刊本が目立つようにおかれているので参考になります。
・あと、さすが早島、イグサ関係の資料が置かれていました。私は、大気汚染(イグサの先枯れ)と職業性疾患(イグサ染土じん肺)に興味があり、しっかりとした資料をみときたいと思っていたので、ラッキーでした。イグサ染土の組成が書かれている本があり、ちょっとだけ知識が増しました。資料はパラパラとみただけなので、次回は性根を入れて資料をよんでみたいと思います。
・図書館では↓を読み終えました。
- 作者: 〓, 竹内
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2019/06/21
- メディア: 新書
SSP:成年後見制度における診断書作成の手引き・本人情報シート作成の手引
片側声帯麻痺に対する手術/久々の大原美術館
喉頭枠組み手術は, 声帯に直接, 手術侵襲を与えるのではなく, 喉頭枠組軟骨の形態や位置を変えることにより, 間接的に声帯の緊張や, 長さ, 位置を変える音声外科手術であり, 局所麻酔下で行うときは手術中音声をモニターしながら音声の調整が可能という利点がある.
喉頭枠組み手術の適応疾患で多いものは片側声帯麻痺である. 術式として麻痺側声帯を正中移動させる甲状軟骨形成術Ⅰ型 (以下, Ⅰ型) と麻痺側声帯を発声時の位置へ内転させる披裂軟骨内転術 (以下, 内転術), あるいは両者の併用が行われることが多い.
Ⅰ型は, 患側甲状軟骨の声帯レベルに窓を作成し声帯を内方に押し込み固定する術式であり, 局所麻酔下で手術が可能なため音声改善を術中に確認できる.
内転術は, 発声時の声門後部間隙や声帯レベル差が大きい症例が適応となり, 麻痺側声帯を発声時の生理的な位置に内転させる術式であるが, 披裂軟骨筋突起に直接糸をかける必要があるため, 頸部郭清術などで頸部に瘢痕がある症例や甲状軟骨が大きい成人男性では難易度が高い.
高度嗄声を伴う片側声帯麻痺に対して, 内転術単独や内転術に加えてⅠ型や脂肪注入術などの注入術を併用することが多い. しかしこれらの手術では術後音声の改善を認めるが, 正常声まで回復しないことがある. 正常声まで回復させるには, 麻痺側声帯を正中位に移動させるのみではなく, 神経再建による甲状披裂筋の筋緊張獲得と筋萎縮の回復が必要であり, 甲状披裂筋の神経再支配を目指した手術として神経筋弁移植術がある.
本稿ではⅠ型においては声帯のレベルの決め方, 窓のデザイン, 窓の切開さらに声帯正中移動と音声の調節について, 内転術においては筋突起の探し方と筋突起への糸のかけ方について, さらに神経筋弁移植術においては神経刺激装置を用いた最適な筋弁の作成方法と手術顕微鏡を用いた移植時のポイントを詳細に解説した.
・読んでみて思ったこと。全然治療成績が書かれていないじゃんということ。どれくらい改善するのかというのがまったくかかれておらず、手術の手技だけ。患者の立場からすると、あまり参考になりません。まあ、そもそも対象の読者が耳鼻咽喉科医ですから、難癖つけてはいけません。ひるがえって内科系の教科書をみても、「こういう処方」というのは書かれていても、あまり奏功率は書かれていないということに気がつきました。
・いったい私の嗄声はいつまで続くのでしょう。まあ、半年は経過観察なのでしょうが...大学院卒業したら教職になることも考えていたけど、こんな声(かつ、長くしゃべれない)では、なかなか講義も難しいですねぇ。せっかく、子供の頃になりたかった①医者②科学者③先生の全てになるチャンスがあったのに...
以下日記
・本日2/5(水)は、5時半起床。午前中は読書でした。昼から三女と倉敷美観地区へ。13時に配偶者と落ち合い「星のヒカリ」というイタリアンレストランでランチ。その後配偶者とは別れて三女と大原美術館へ。(私は岡山大学の学生なので、大原美術館は無料ではいれます)1時間半くらい観覧して、帰宅です。(帰りARIO倉敷の口福堂で甘いものと天満屋ハッピーズでビール購入)大原美術館は多分20年以上ぶり。過去2,3回入館していたと思いますが、まず思ったのは何か以前見たより全ての絵画が色あせている感じがしました。あとは、ああこの絵ここにあったんだと再確認と懐かしいなという感じ。今回芹沢銈介というひとのデザインが面白かった。特にイロハの字と絵がかかれた屏風が面白かったですね、ちっとナゾナゾぽくて。大体絵が何か分かったのですが、一部わからないのもあってちょっとストレス。ミュージアムショップで、その屏風の絵はがきかったので、これから謎解きにかかります。
・帰宅して、すぐ入浴、その後ビールをのんで、このブログを書いております。これからもうちょっとしたら夕食でしょう。(配偶者が作る気になったら)
・本日から↓の本を読み出しました。なかなか面白いですね。数日で読み切るつもりです。
こんな病気しらんかったで:腸間膜静脈硬化症(静脈硬化性大腸炎)/結構「仕事」しちゃいました
特発性腸間膜静脈硬化症は比較的まれな疾患であるが,現在ではひとつの疾患概念として定着している.平均年齢60歳代で,やや女性に多く,日本人を中心としたアジア人のみが罹患している.その病変は回盲部から横行結腸までが最も多いが,S状結腸・直腸へも広がっている症例もみられる.腹部単純X線写真では右側腹部に線状石灰化像あるいはCT検査にて腸管壁および腸間膜に一致して石灰化像を認めるのが典型的である.組織学的には静脈壁の著明な線維性肥厚と石灰化,粘膜下層の高度の線維化,粘膜固有層の著明な膠原線維の血管周囲性沈着などが特徴的所見であり,びらんや潰瘍部以外では炎症所見に乏しいことも重要なその特徴の一つである.無症状の場合は保存的に管理し,自覚症状の出現や潰瘍・狭窄を伴った場合は外科的切除されるのが一般的である.
その原因は不明であるが,漢方薬を含めた何らかのToxic agentが特発性腸間膜静脈硬化症の発症の要因の一つとして注目されている.今後,発症原因が解明され予防法が確立されることを期待したい.
・英語の論文↓(これは抄録のみ。本文読むのはお金がいるみたいです)
Involvement of herbal medicine as a cause of mesenteric phlebosclerosis: results from a large-scale nationwide survey
J Gastroenterol. 2017 Mar;52(3):308-314
Abstract
BACKGROUND:
Mesenteric phlebosclerosis (MP) is a rare disease characterized by venous calcification extending from the colonic wall to the mesentery, with chronic ischemic changes from venous return impairment in the intestine. It is an idiopathic disease, but increasing attention has been paid to the potential involvement of herbal medicine, or Kampo, in its etiology. Until now, there were scattered case reports, but no large-scale studies have been conducted to unravel the clinical characteristics and etiology of the disease.
METHODS:
A nationwide survey was conducted using questionnaires to assess possible etiology (particularly the involvement of herbal medicine), clinical manifestations, disease course, and treatment of MP.
RESULTS:
Data from 222 patients were collected. Among the 169 patients (76.1 %), whose history of herbal medicine was obtained, 147 (87.0 %) used herbal medicines. The use of herbal medicines containing sanshishi (gardenia fruit, Gardenia jasminoides Ellis) was reported in 119 out of 147 patients (81.0 %). Therefore, the use of herbal medicine containing sanshishi was confirmed in 70.4 % of 169 patients whose history of herbal medicine was obtained. The duration of sanshishi use ranged from 3 to 51 years (mean 13.6 years). Patients who discontinued sanshishi showed a better outcome compared with those who continued it.
CONCLUSIONS:
The use of herbal medicine containing sanshishi is associated with the etiology of MP. Although it may not be the causative factor, it is necessary for gastroenterologists to be aware of the potential risk of herbal medicine containing sanshishi for the development of MP.
・無症状の便潜血陽性の原因にもなるという論文↓
Idiopathic mesenteric phlebosclerosis associated with herbal drugs presenting with asymptomatic fecal occult blood
J Gen Fam Med. 2017 Dec; 18(6): 475–476.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5729353/
Abstract
A 77-year-old man who had been taking Chinese herbal drugs containing gardenia fruit for a long time visited our hospital following a positive fecal occult blood test. A computed tomography scan showed multiple linear calcifications distributed on the right-side mesenteric veins, which is a typical finding of idiopathic mesenteric phlebosclerosis (IMP).
・とくに無症状なヒトでも漢方薬の服用歴は確認しておかないといけないということです。かつ、長期に飲んでいても大丈夫とはいえないとうことですね。
・緊急手術をした例↓
症例は75歳女性,右下腹部痛を主訴に当院を受診した。腹部CT検査において盲腸から横行結腸にかけて腸管壁の造影効果が低下した壁肥厚を認めた。腸管壊死を伴う急性虚血性大腸炎と診断し緊急手術を行った。術中所見では盲腸から横行結腸脾弯曲部にかけて暗赤色の色調変化を認め虚血性変化と判断し結腸亜全摘術を施行した。病理組織結果では静脈壁に石灰化と粘膜固有層から粘膜下層の間質に膠原線維性沈着がみられ特発性腸間膜静脈硬化症と診断された。
・医中誌なんかでチラチラみていると、漢方薬服用していても「特発性」と書いている症例報告もあるみたいですね。
・さて、いつもちょっと知らない疾患については、「本当に知らないもしくは習ったけど忘れたのかも」とよく「注釈」を書いておりましたが、この疾患の場合は1991年に最初に報告されており、私は1983年卒業ですので、確かに習っていないので忘れてはいなかったわけです。でも、勉強不足ということは否めませんね。
・私は時々清肺湯を使うので、注意しておかないといけませんね。清肺湯の添付文書は↓ですが、2018年2月に腸間膜静脈硬化症の副作用が追加されていますね。
https://www.info.pmda.go.jp/go/pack/5200087D1020_1_14/?view=frame&style=SGML&lang=ja
以下日記
・本日2/4(火)は、5時半起床。「休業」なのですが、書類がたまっているはずなので、7時15分に病院へ。そこでささっと書類をしあげて、外来の申し送りを書いて、遅くても10時には帰宅しようと思っていたのですが、現実はそう甘くない。作業が終わったのは11時30分で、12時過ぎに帰宅です。いったん帰宅し、来ていた回覧板を回して丸亀製麺へ。「明太玉子あんかけうどん」というのを食べました。熱くて、辛かった。帰宅して一服、読書。小一時間義父の家に行って切れた蛍光灯4カ所交換。その後は片付けと読書です。昨日書いたように現在図書館について勉強中。現在↓を読んでいるところで、3分の1ばかり読めました。明日、おそくてもあさってまでには読み切りたいものです。
時間差でショック/図書館勉強はじめました
42歳男性。知人と口論し,暴行され受傷。その後,帰宅していた。翌日仕事中に腹痛,嘔吐が出現し近医を受診。CT検査で腹腔内出血を指摘され,受傷18時間後に当院救急搬送。来院時,橈骨動脈血圧測定不能,心拍数97回/分,GCS E3V4M6,体温35.7℃。前医単純CT検査所見:十二指腸外側,横行結腸間膜内に大量の血腫と腹腔内出血を認めた。外傷性腹腔内出血の診断で到着1時間半後,緊急開腹を施行。腹腔内に新鮮出血を認め,小網を開放し大動脈を圧迫遮断。横行結腸間膜に10×15cmの損傷,中結腸動静脈より活動性出血を認め,止血を行った。他臓器損傷は認めず,外傷性横行結腸間膜損傷(type Ⅱb),中結腸動静脈損傷と診断した。術後経過良好で術後12日目に自宅退院となった。受傷後3ヵ月,後遺症なく社会復帰している。今回,遅発性ショックをきたした鈍的腹部外傷による中結腸動静脈損傷の1例を経験したので報告する。
・最低医療者は、患者さんへの説明で「現時点では大きな問題はなさそうですが、時間がたってから異常があることもあるので、その時は休日時間外でもすぐ受診してください」というような説明がいりますね。
以下日記
・本日2/3は、私の頭部MRI撮像の日。朝一で倉中へ行って検査してもらいました。結果は1週間後。どうか、脳腫瘍がみつかりませんように。また、小さな血管が詰まっていたり脳が萎縮していませんように...まあ、インシャラーですが。
・その後岡山県立美術館へ行って『ミュシャと日本、日本とオルリク』展観ようと岡山市へ向かったのですが、電車の中でハタと気がついて、月曜日は休肝日じゃなくて、休館日ではないかと思い出しネットで確認してみるとやはり休みでした。予定変更して、映画の『キャッツ』を観ました。まあ、歌、踊りはよかった。しかしストリーのディテールはよく分からない。結構、私は話の整合性、ディテイルにこだわるタチなので、その辺は不満。
・その後昼食摂って医学部へ。オンサヤでコーヒー飲みながら読書。その後16時から大学院の後輩(と、いっても追い越されるので、入学後輩、卒業先輩)の先生の博士論文の審査を聴講してきました。とても堂々としていてビックリ。その自信の裏にはしっかり勉強されたのだなと感心いたしました。
・その後帰宅し、手巻き寿司の夕食。食べ過ぎてくるしい。
・ところで3月に金光図書館の館長さんと対談をしないと行けないかもしれないので、図書館についての勉強を開始しました。もともと何時の頃からか、「図書館って本を借りるだけじゃないよね、どのような機能か勉強しないと」という問題意識はあったのですが、血に火がつかないと勉強しないタチなのでずっと「保留」していましたが、今回対談(になるかどうかまだ確定してないけど)の話が合ったので良い機会なので、勉強始めました。で、本日1日で読み終えた本が↓
・私の問題意識に合致した良い本でした。
cf. 図書館法
https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=325AC0000000118
これからの図書館像(文部科学省)
https://www.mext.go.jp/a_menu/shougai/tosho/giron/05080301/001/002.htm
孫引き注意/ナイブズ・アウト観てきました。
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2020/02/02
- メディア: 文庫
SSP:デジタルネイティブとESCAPE Junk News
フェイクニュースを科学する 拡散するデマ、陰謀論、プロパガンダのしくみ (DOJIN選書)
- 作者: 笹原 和俊
- 出版社/メーカー: 化学同人
- 発売日: 2018/11/29
- メディア: 単行本
転移性血管肉腫によるびまん性肺囊胞/配偶者、三女とお買い物
[同義語]管形成肉腫,血管肉腫 angiosarcoma
通常,血管内皮細胞に由来する悪性腫瘍を意味する。すなわち悪性血管内皮細胞腫とカポシ肉腫が含まれる。前者は,成人の皮膚(殊に高齢者の頭皮),軟部組織,乳腺,骨,肝,脾が好発部位と考えられている。肉眼的には出血が目立ち,病理組織学的には異型血管内皮細胞によって内腔を被包された小型血管の不規則な吻合がみられる。予後は悪く,長い経過のうちに肺あるいは頸部リンパ節への遠隔転移がしばしば認められる。カポシ肉腫は,腫瘍細胞の起源については定かではないが,現在では免疫が関与し,ウイルス感染も関係した血管内皮細胞を発生母体と考える方向にある。病理組織学的には,紡錘形細胞の増殖,スリット状の血管腔および豊富な吻合と,出血・ヘモジデリンの沈着が特徴とされている。
those caused by metastasizing neoplasms, lymphoproliferative disorders, infections, interstitial lung diseases, smoking, and congenital or developmental defects.