SSブログ

月経周期と一致する発熱から何を考える?/禁酒継続

本日の標題=クイズの答えは、家族性地中海熱


月経周期と一致する発熱から家族性地中海熱の診断に至った2例
奥山慎、他。
日本内科学会雑誌 108巻(2019)5号
https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/108/5/108_986/_article/-char/ja
【抄録】症例1:14歳,女性.初潮1年後より,月経のたびに38℃以上の発熱,腹痛を認め,月経終了とともに自然軽快していた.症例2:41歳,女性.2年前より,月経4日目から39℃の発熱,筋肉痛,頭痛を繰り返していた.いずれも家族性地中海熱の診断で,コルヒチン内服により発熱エピソードは消失した.女性の月経周期に一致する発熱には,家族性地中海熱が潜んでいる可能性がある
・そもそも地中海熱とは、『医学書院医学大辞典第2版』によると↓
地中海熱 Mediterranean fever [同義語]マルタ熱 Malta fever

グラム陰性短桿菌であるブルセラ属菌(Brucella)による感染症。人畜共通感染症の1つであり,地中海沿岸,アラビア半島,インド亜大陸,中央アメリカに比較的多く認められる。ヤギ,ウシなどが感染源となる。潜伏期間は2~8週間で,発熱,全身倦怠,頭痛,腰部痛などで発症する。リンパ節腫大,肝脾腫が時に認められる。治療にはテトラサイクリン系薬単独あるいはリファンピシンの併用投与が行われる。再発も少なくないので,比較的長期(6週間程度まで)投与継続する。
・で、『医学書院医学大辞典第2版』によると家族性地中海熱とは↓
「家族性地中海熱 familial Mediterranean fever」という項目から↓へ行くようになっておりました。

再発性多発漿膜炎 recurrent polyserositis;RP
[同義語]家族性地中海熱 familial Mediterranean fever,家族性発作性多発漿膜炎 familial paroxysmal polyserositis,良性発作性多発漿膜炎 benign paroxysmal polyserositis,アルメニア病 Armenian disease

反復して発作性に腹膜,胸膜,滑膜の炎症が現れ,腹痛,胸痛,関節痛,紅斑,高熱などが出現するが,2~3日で自然回復する一過性の良性の遺伝性疾患である。原因は不明である。アラブ,トルコ,アルメニア,ギリシア,イタリア,スペインなど,地中海民族の家系に多くみられる。約半数は10歳以下で発症する。発作は毎週現れることもあれば,10~20年も現れないこともある。患者の多くに過敏性状態がみられることから,アレルギー性の機序も疑われている。アミロイドーシスを合併する頻度が高いが,結果の1つと考えられている。

・ご紹介した論文に引用されている難病センターのサイト↓
家族性地中海熱(指定難病266)
↑がリンクを張っている自己炎症性疾患サイト↓
・↑の説明にあるように、普通の(?)地中海熱は感染症、家族性地中海熱は、感染症ではなくて自己炎症性疾患ですね。似たような名前をつけて欲しくないな。
・手元の教科書的な日本語の本をチャチャっとみましたが、月経と熱が一致するという記載はありませんでした。UpToDateには↓の様な記載がありましたが、見落としそう。
Usually, FMF patients cannot describe a consistent triggering event. Nevertheless, vigorous exercise, emotional stress, intercurrent infections, exposure to cold, surgery, and menstruation have been associated with an attack in some patients.
・この疾患の症状として胸痛もあるので、呼吸器の患者さんを診るときは注意しておかないといけませんな。
以下ちょっとだけ日記
・本日5/10(日)は、5時44分起床。朝勉して8時前に病院へ。重症の患者さん診て、事務作業して、10時半前に病院出て帰宅。昼食後勉強。夕方資源ゴミまとめて市役所に持って行って、その後庭の草刈り、草抜き19時過ぎまで。そして入浴、夕食=カレーでちょっと食べ過ぎ。その後このブログを書いております。あと、ちょっとだけ日本語の教科書を読んでから寝ましょう。
・ところで、あれだけ(どれだけ?)飲んでいたアルコールですが、多分1週間以上飲んでいないはず。欲しく欲しくてたまらないと言うことはありません。アルコールよりもアルコールを飲みながら人と話したい。

nice!(0)  コメント(0) 

SSP: 国際労働安全衛生統計の調べ方、見るべきポイント、 参考になる情報ソース等について/ズームの会議では眠れません

私は倉敷市にある小さいに病院に勤める一内科医でして、いろんな統計的な事項を調べようとしてもどこをどう調べたら良いのかようわからず、往生することが多々あります。で、本日の標題のような論文がありましたのでシェア↓


国際労働安全衛生統計の調べ方、見るべきポイント、参考になる情報ソース等について


産業医学レビュー 33巻(2020)1号


唐沢正義




【要約】国際的な及び主要な国別の労働安全衛生統計を概観し、ILOSTAT(国際労働機関統計)におけるSafetyandHealthatWork(職場における労働安全衛生統計)及びEurostat(欧州連合統計)におけるHealthandsafetyatwork(hsw)(健康安全統計)の使い方、国際的な及び国別の労働安全衛生統計(その解説等を含む。)の調べ方のコツ及び見方(見るべきポイント)、これらの著作権(copyright)等に関して解説した。また、国際的な並びに主要な国別の労働安全衛生統計の代表的なものの例及びこれらの情報ソースを紹介した。



・↑の論文を読んでいて、おもしろいと思ったところ

ILOSTATの統計で、労働者1万に当たりの労働監督官数。(一人当たりの事業場数も「数字」が欲しいところです)

・ちょっと物足りなかったのは、国情を理解するための項目が列挙されておりましたが、その中で労働組合運動や市民団体のとりくみといったものがなかったこと。またISOが取り上げられていなかったことでしょうかね。あと、「EU 加盟28カ国の合計並びにドイツ、フランス、オランダ、ポーランド及び英国の休業4日以上の労働災害発生率は、日本よりもかなり高い。」といったようなことが書かれていますが、数字上はそうかもしれないけど、これがきちんと実態を反映しているのかと言うことです。他の国は知りませんが、日本では労災隠しが横行していますから。(私の経験および厚労省もそう考えていると思われます∵「労災隠しは犯罪です」というポスターをつくっていますからね)



・余談ですが、今のEUの前身であるEECが1958/1/1発足だったんですね。私の生まれた年です。これで自己紹介の時東京タワー、スバル360と同い年ですに加えEUの前身であるEEC(ECCじゃないよ)とも同じ年ですと自己紹介で使えます・・・って、まず若い人にはわからんな。


以下日記。

・本日5/9(土)はゆっくりと7時起床。朝食後病院へ。重症の患者さんみて、他の患者さんも診たりカルテのみチェックして、その後30分強3km弱をウォーキング。なんせ、外出「自粛」で病院内以外はほとんどある手おらず、サルコペニア、フレイル状態になっているので。明日もあるきたいけど天気が悪そうですね。

・帰り金光町の麦畑というパン屋さんで食パン買って、コーナンで猫の餌等買って11時18分帰宅。お昼は買って帰った食パン。ちょっと事務作業してお昼寝。その後も事務的なことと片付けして15時から17時まで社会医学会という小さな学会の理事会のズーム会議へ参加。私は理事ではなく監事ですが参加、というか監事の任務は単なる会計監査ではなく、理事会を監査しないと行けないので。って、そんな恐れ多いことできませんけど...理事の皆様の知識と問題意識、活動はとても勉強になります。そこで、思ったこと・・・ヘーゲルは、歴史の教訓は、人は歴史から学んでいないというのが唯一の教訓だという類い(元の言葉どおりではありません)と言っておりますが、私は歴史から学びたい、そして、少しでもその教訓をシェアしたいと言うことです。それはさておき社会医学会というのは↓のwebsiteでその概要が分かります。読者もあなたも参加してください。参加した特典は私と一緒に学会に参加できること、一緒にお食事ができることです、ナンチャッテ(死語)

・ズームは最近使い出して1時間くらいの勉強会は問題ないと感じていましたが、2時間の会議はちょっとしんどい感じです。で、分かったこと。居眠りできない、内職できない(私は基本的に会議で内職をすることはありませんが、居眠りは多々あり)。これから、もっとTV会議システムには慣れていかないといけないのでしょうね。私は、off lineで人と接したいけど...

・会議後、早い入浴。早い夕食。配偶者と二人でうどんを入れた鍋。食べ過ぎてとっても苦しい。

・さて、これからアマゾンプライムビデオで何か映画をみるか、さっさとねるか、一つ英語の論文を読むか。三択で悩みます。

nice!(0)  コメント(0) 

COVID-19では、心筋炎も考慮/久々の散髪

・SARS-Cov-2感染症では、肺炎のみでなく循環器疾患の合併もみられるという話は、SNSやネットニュースで観ておりましたが、きちんと医学雑誌に載った論文は見ておりませんでした。今日LANCETの↓のような論文を読みました。患者さんがしんどいのは、肺の問題のみでなく心臓かも知れないと考えないといけなということですね。



Myocarditis in a patient with COVID-19: a cause of raised troponin and ECG changes


Lancet 2020; 395: 1516 Published Online April 23, 2020 https://doi.org/10.1016/
S0140-6736(20)30912-0





・それにしてもこの病院のICUではいろんなウイルスの検査ができるんですね。日本もコンだけできるのかな?



あっという間に以下日記

・本日5/8(金)は、5時半起床。朝勉して出勤、病棟ちょっと寄って午前は外来でした。大きな問題なく終了。午後はひたすら回診、紹介状の作成等事務作業。そして17時半頃から誓うの散髪屋さんにいって散髪です。いったい何ヶ月ぶりでしょう。もう、頭頂部と前額部両外側を除いて髪の毛ボーボー。しかし、「密」を避けるため散髪屋さんに行くのを我慢していました。ちょっと岡山県で「自粛」が緩和(日本語として変ですが)されたので、もういいかなと思って散髪です。スポーツ刈りにしましたが、急な変化で風邪ひかんかな?

・帰りCOOPによってお買い物。レジはすいておりました。100鈞グッズとノンアルコールビール、バナナを買って19時36分帰宅です。お風呂入って、夕食。配偶者が酸っぱい料理作っていてとっても舌のアフタに応えました。(バナナを買ったのは、デザートとして柑橘系よりはアフタに応えないかなと思ってです。まだたべてないけど)で、夕食後↑でご紹介した論文読んでこのブログを書いております。これから歯磨きしてサッサと寝るか、アマゾンプライムビデオを観るか。・・・ああ、映画館で映画みたいっ!(岡山のシネマクレールが「再開」しております)でももうちょっと我慢。だって、お医者さんだもん。(自分が感染したら影響がかなり大きいので)

・明日は、お休みですが、午前中は重症の患者さんを診に病院に行くつもり。午後は某学会のズームを使った会議に参加します。

nice!(0)  コメント(0) 

じん肺になるのに何十年も暴露はいらない/アフタで舌がいたく、しゃべりにくいしよだれも出る

・じん肺という言葉は、長期間粉塵を吸入しておこる肺疾患の総称です。代表的な疾患に珪肺、石綿肺、炭鉱夫肺というのがあります。現在私は博士論文を作成中で、じん肺に合併する悪性疾患をテーマにしています。じん肺はとても古典的な職業性疾患であり、かつ、予防可能なものです。ILO/WHOは2030年までに珪肺を撲滅しようとプログラムを立ち上げています↓


グローバルな規模でのけい肺症の撲滅に向けたILO/WHO国際プログラム
(The ILO/WHO International Programme on Global Elimination of Silicosis)




・現実はなかなか厳しい。毎年珪肺は先進国と言われている国でも継続的に発生しているし、新しい職場環境での発症も報告されています。

・で、じん肺というものは、最初に書いたように長年・・・何十年も粉塵を吸ってなるものだと言われてきました。一部、急性、急速進行型珪肺というのがありますが...で、近年の問題は、若者に、10年も粉塵を吸入しないでもじん肺が発生していると言うことです。そのレポートがLANCETに載っていました↓



A new era of coal workers' pneumoconiosis: decades in mines may not be required


Lancet 2020; 395: e82




・ホンマにあと10年で根絶できるのだろうか...


以下日記

・本日5/7(木)は、6時30分起床。朝勉せずというかできず水島へ。午前中産業医学科外来。午後は玉島へ戻り主に病棟業務。1週間くらい前から喉の奥と舌が痛く(舌にはアフタができております)夜間診療のDr.にみてもらい薬を処方してもらいました。帰宅は18時40分前。お風呂入って夕食。その後調べ物をしてこのブログを書いております。

・昨日のブログは4/13に何したかしか書きませんでしたが、ちょっとだけ過去を振り返ってみます。

・4/14(火)は午前外来。午後は初めて大学院のCA(Critical Appraisal)をZOOMで行いました。それなりにできるものだと思いました。問題は、ウェブカメラにうつる自分の部屋の背景。この日は慌てて帰って掃除したのですが。まあ、同じような悩みの人が全世界にいるみたいで、背景をきれいにする画像がいっぱいあるみたいですね。ちょっとみてみましたが、何か不自然な感じもするので、まだ良い壁紙(と言うのか?)は見つかっておりません。

・4/15(水)1日仕事して当直。

・4/16(木)は当直「明け」で1日仕事。

・4/17(金)は、仕事と自分の下肢静脈血栓の検査(採血と静脈エコー)。d-ダイマーは正常化していましたが、エコーでは、血栓の名残のようなものがあったので抗凝固剤は継続することに。

・4/18(土)は、14時までひたすら論文作成。その後配偶者を歯科受診に水島まで連れて行く。

・4/19(日)は、ずっと論文作成。合間に草抜き。脳みそつかれました。

あとは、また後日。(書くかな?)

nice!(0)  コメント(0) 

生きております/肝に星

・皆様、超お久しぶりです。4/12にブログをアップして以来です。皆様方には私が、甲状腺癌もしくは肺塞栓で死亡したのではないかと心配してくださったかたもおられるでしょうが、一応元気です。今回は、日記的な記事を最初に、あとの方に医学関係の記事を書いております。お勉強のみしたいかたは、最初の方はスキップしてください。

・4/13(月)は、午前中大学に行って、勉強会。ZOOMの設定・試用です。これなら行けそうと言うことで、その次からは毎週ZOOMで勉強会しておりました。そもそもCOVID19のため、現在大学の構内には入るなというおふれが出ているので、長い間電車にも乗らず、大学にも行っておりません。ZOOMの使い勝手はまずまずですが、ちょっと不便なところもありますね。

・さて、この間我が家では大変なことが起こっていたのですが、そのことについてはまた日を改めて書きます。5月の連休までは粛々と仕事と博士論文(略して博論)を書いておりました。こんだけ短期間に頭使ったのは、多分生まれて初めて。以前私の勤める生協でISO9000を導入するときもかなり頭を使いましたが、それは一定期間があったので「集中」して頭を使うことはありませんでした。いや、そういえば過労死の意見書を書くときはメッチャ頭を使いましたね。

・博論最後の方は、Excelの表をWordにするのにとっても大変でした。(論文投稿規定でExcel表をWordに貼り付けてはダメとあったので)。で、なんとかできたのですが、数日後基本の戻ってと思い統計学に入門書読んでいたら、Excelの表をWordに貼り付けて、列なんか挿入したら、大惨事になるとかかれており、やっぱあ世界的に苦労する問題だと「安心」しました。雑誌の投稿来てもExcel貼り付けでOKだったらよいのにね。

・世の中連休というのをいつからいつまでと言うのか知りませんが、4/29と5/3は休みました。あと5/6の今日までは病院へでていました。(半日から3/4日くらい)∵重症の患者さんを診るのとたまっている書類の処理。あれだけ飲んでいたアルコールも飲んでおりません。(一つは論文書くため、一つはいつ呼び出されてもたいおうできるため)

・現在の問題は舌にアフタができて痛いのと、なにかしゃべりにくい。声帯麻痺のつぎは舌の麻痺か?ちょっと、怖いです。

・さて、明日、あさっては普通に仕事。土曜日は某学会のZOOMでの会議。日曜日はお休みです。1日病院行かずにずっと家で休んでいたいものです。



以下医学の話

・starry skyって、星空のこと。starry nightは星月夜・・・ゴッホの絵ですね。(ムンクにも同名の絵あり、ゴッホへのオマージュかどうかは不明)。で、それから私は宮澤賢治を連想しますが、それはおいといて・・・「地上の星」は、中島みゆき↓




そして肝臓の中の星はというと、胆管過誤腫。NEJMに下のようなレポートがありました。


“Starry Sky” Appearance from Multiple Biliary Hamartomas


N Engl J Med 2020; 382:e33 April 16,2020




・確かに星空のように見えます。胆管過誤腫とは『医学書院医学大辞典第2版』によると↓


胆管過誤腫 biliary hamartoma

肝全葉に及ぶ白色の多発性小結節として発生することが多く,肉眼的に転移性肝癌と誤認されることもしばしばある。フォン・マイエンバーグ複合体(von Meyenburg complex),モシュコウィッツ複合体(Moschcowitz complex)としても知られている。組織学的には,周囲を豊富な線維性間質に取り囲まれた,大小胆管の限局性異常増生を認め,それぞれの胆管の増生は不規則であるが,病変全体としての境界は明瞭で細胞異型は認められない。病因としては肝虚血との関連がこれまで示唆されているが,時として胆管癌への悪性変化例も報告されている。一般的な形態を呈するものの中で直径の大きなものは,胆管腺線維腫(biliary adenofibroma)と呼ばれている。


・NEJMのレポートでは鑑別疾患が書かれていませんが、それなりに鑑別疾患があるみたいですね。あと、ここでは、臨床画像のStarry sky像ですが、病理像では、Burkittリンパ腫の所見をstarry sky像というみたいなので、病理の話か臨床画像の話かでちがってくるので間違いが起こるかも知れませんね。


cf. Burkittリンパ腫の病理象


nice!(0)  コメント(0)