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終末期だって手術することはある/宿直明けのコロナビールは木を切った後と同じくらいヘロヘロになる

悲しいことに医療の大事な概念が医療従事者に誤解/誤用されていることをしばしば・・・本当にしばしば、全国規模で・・・見聞することがあります。その最たるものが「ICする」という言葉。大学で医学生・医師の教育に携わる教授先生や研修医を教育する指導医達、医者のSNSや医療専門のニュースでも誤用されています。それはさておきDNR、DNARも誤解されています。もう疾患の末期だから何も治療しないと...


cf. DNARについての日本救急医学会の説明





(↑の説明の中で、「患者ないし代理者へのinformed consent」という間違った言葉の使い方があるのでご注意を。)


・ターミナルケア/緩和医療は患者さんの症状・苦痛(身体的のみでなく精神的なものも)をとるための医療です。症状・苦痛をとるためなら死期がせまっていても手術をすることはあります。今回進行肺癌での話。

・一般的に転移がある肺癌(Ⅳ期肺癌)は、根治的な治療の対象にはなりません。しかし症状緩和のためには手術をすることがあります。その一例となるレポートが↓


IV期肺癌の難治性咳嗽に対して症状緩和目的で胸腔鏡下手術を施行した1例
清水奈保子、他。
日本呼吸器外科学会雑誌 34巻(2020年)7号
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jacsurg/34/7/34_678/_article/-char/ja
【抄録】

症例は71歳,女性.胸部CTで肺門縦隔リンパ節腫大を伴う左下葉の腫瘤影を指摘された.脳転移を含む多発全身転移を認め,肺腺癌(cT2aN3M1b,stage IV)と診断された.脳転移に対して定位放射線療法を施行後,全身化学療法が施行された.病勢はコントロールされたが,薬剤不応性の慢性咳嗽および血痰を伴う左下葉病変の増大を認め,胸部の緩和照射(30 Gy/10 Fr)に加えてNivolumabによる化学放射線療法が開始された.赤芽球癆を発症したためNivolumabは2コースで中止となった.血痰および咳嗽が増悪したため2-3語の会話にも難渋し,薬剤治療では制御不能となり,症状緩和目的の手術を希望され当院紹介となった.胸腔鏡下左下葉切除術が施行され,周術期合併症なく経過した.術直後より血痰や咳嗽等の症状が著明に改善し,肺癌治療の継続も可能となった.難治性咳嗽に対する症状緩和目的の手術により,症状は著明に改善し,意義のある手術と考えられた.

・くれぐれもDNARが何もしないと誤解が無いように。

 

以下日記

・昨日12/7(月)は、5時起床。朝勉して午前中はZOOMで因果推論の勉強会。何回かご紹介していますが↓のテキストを読んでおります。

Causal Inference in Statistics: A Primer (English Edition)

Causal Inference in Statistics: A Primer (English Edition)

  • 出版社/メーカー: Wiley
  • 発売日: 2016/01/25
・悲しいくらい難しい。この本を一人で読んで理解できる人がいるのか?まあ、みんなで議論しながらボチボチ進んでいます。ほんのちょっとずつ理解ができているような...
・午後から出勤し、回診、夜間診療、そして宿直。宿直中は自分の患者さんの状態があまり良くない以外は大きなことはありませんでした。
・本日12/8(火)は明け方1回起こされたのみで、6時41分起床。シャワー浴びて、朝食後病棟へ。私の患者さんの状態が悪かったですが、なんとか対応し改善。午前外来。午後病棟回診と患者さんの御家族と電話でのお話に件。15時半に帰宅し16時から17時までZOOMでCRITICAL APPRAISALに参加。今回のお題は↓
Individualized nutritional treatment for acute stroke patients with malnutrition risk improves functional independence measurement: A randomized controlled trial
Otsuki I, et al.
・その後入浴、夕食。そしてコロナビールをのんでやっぱりヘロヘロです。このブログ書いている時点で20時前。ちょっと事務作業して、21時には寝るとします。


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