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腹痛、貧血、鉛中毒/悪夢、フィーバー、オオボケ

多くの臨床医は、腹痛でこられた患者さんが血液検査で貧血だったら、まず消化管出血を疑うでしょうね.いや、そんなことない、いっぱい鑑別診断をあげるよというアナタ、それでは鉛中毒を鑑別診断にあげることができますか?まずは、最新のinternal medicineのcase reportをお読みください。


Occupational Lead Poisoning in a Patient with Acute Abdomen and Normocytic Anemia

Masahiko Kaneko, Takurou Kazatani and Hisaharu Shikata

Intern Med 59: 1565-1570, 2020


Abstract: We herein report a 24-year-old male construction worker with occupational lead poisoning who presented with acute abdomen and normocytic anemia. The levels of urinary delta-aminolevulinic acid and free erythrocyte protoporphyrin were elevated without any increase in the level of urine porphobilinogen. Detection of an elevated blood lead level of 100 μg/dL confirmed a diagnosis of lead poisoning. Chelation therapy with calcium disodium ethylenediaminetetraacetate resulted in prompt improvement of the clinical symptoms and the blood lead level. Clinicians should be aware that lead poisoning caused by occupational exposure can still occur sporadically in construction workers in Japan.


・上記論文はいろいろ示唆に富んでいます。いつも私がうったえている(かな???)職業とその労働環境をちゃんと聴くことの重要性を述べています。この論文では、最初なかなか診断がつかなかったのですね。診断がつかないときは、職業環境を考えてみることと言うのを診断学の一つのルールに入れて欲しいと思います。

・で、鉛中毒が以下に誤診されるか。その論文論文その1↓(以前ブログでとりあげたかも、もう忘れました)これは職業性ではないですけどね。

Lead poisoning – a differential diagnosis for abdominal pain


Lancet. 2005 Dec 17;366(9503):2146.doi: 10.1016/S0140-6736(05)67893-2.




・もう一つ、鉛中毒の診断がむずかしいという論文その2↓(これも職業性に限った話ではないです)



Lead Poisoning; A Neglected Potential Diagnosis in Abdominal Pain

BMJ Gastroenterol. 2020 May 6;20(1):134.doi: 10.1186/s12876-020-01284-1.




上の論文の(抄録ではなく)大事なところ抜粋。鉛中毒のおこる職業、その他の状況↓


Lead poisoning may occur from many situations, including occupational exposure (e.g., battery manufacturing workers, lead solder workers, automobile radiator repair, etc.) , tile workers , and potters or paint chips. Lead-based paints before 1950, old pipes, house dusts, imported toys, and herbal and Ayurvedic medications are among the possible sources for lead poisoning . Lead poisoning is generally asymptomatic; however, it can present with abdominal pain, constipation, anemia, hearing loss, fatigue, neuropathy and neurotoxicity, encephalopathy, renal diseases, abortions, osteopenia, and even death.


この論文の抄録でアヘンのことが出てきます。大分昔にブログに書きましたが、非合法の薬物(ex.アヘン)は重さで「取引」されるので、重さをますために鉛を混ぜた粗悪な(?)アヘンが流通し、それによって腹痛患者がいっぱい出たということがあった(今もある?)のです。



・まず、鉛中毒を疑うこと、で疑ったら職業を聴くこと。逆に職業を聴いたら鉛中毒をうたがうことでしょうね。・・・偉そうにかいていますが、希な疾患なので、自分もきちんと診断する自信は無いのですが...


・ちなみに、最初に紹介したinternal medicineの論文の引用文献の1は、私がよく知っている先生方がかかれていたもので、当時わたしもこういう事例があるんだということを直接教えていただきました。鉛中毒もアスベストとおなじストック型公害(ストック)汚染ならぬストック型職業病ですね。ちなみにストック汚染とは↓


環境用語 ストック汚染



以下日記

・昨日6/15(月)は、5時18分に自然に目が覚めました。朝勉して、朝食摂って燃えるゴミを出しましたが、それだけで汗。その後ZOOMで因果推論の学習。昼食摂って出勤なのですが、あまりにも自分が汗臭いのでシャワーを浴びました。午後から仕事。回診して、夜間診療。そのまま当直。お一人様入院。で、23時くらいには寝たでしょうか?

・本日6/16(火)は自然にというか、いやな夢で5時15分起床。図書館で何冊か本を借りてそれをどこか大きな建物の前の階段で読んでいたら、借りた本がなくなりました。それを探していたら自分の鞄が盗まれて、盗んだと思われるに人間の集団に近づいていってなにか口論?それで目が覚めました。ホント、いやな夢。それからシャワー、事務作業、朝食、早朝回診。そして午前中外来です。そして、今日もお一人様入院。本日外来についてくれていたなじみに看護師さんが私と同じ10月17日生まれ。で、今日来られた患者さんのおひとりが10月17日生まれ。一つの診察室内に10月17日生まれが3人、パチンコで言えば777のフィーバーでした。

・当直中もっていた当直者用のPHSの呼び出し音がならず、震えているだけ。マナーモードと思いマナーモードのボタンを押しても改善せず。こりゃー壊れているとお昼に医局で音が鳴らないからこれ壊れているんじゃないというと、そこにいたみんなが、そりゃーマナーモージャローと岡山弁で反論。しかし、私はマナーモードをおしたりいろいろ操作したのに治らないと。ところが、PHSをわたすとすぐに音が鳴り出しました。マナーモードのボタンは長押ししないとだめだったのね・・・ああ、数年後はプラグがぬけてTVが写らないのに電気屋さんをよんでしまいそう...

・無事外来も終わり昼食後ちょっと病棟よってから14時過ぎに病院を出ました。銀行、郵便局等によって帰宅。一服後ZOOMで大学院のCA(Critical appraisal, not cabin attendant)。お題の論文は↓で感染症数理疫学。数理統計なんて全然近づけないものと思っていましたが前々回のCAでも数理統計の話が出て、ちょっとは勉強したので、ほんの少しだけ理解。でも、何か前提というか仮定が多すぎて私にはまだしっくりきません。


Prediction of the Epidemic Peak of Coronavirus Disease in Japan, 2020




・CA後は今日ご紹介した鉛中毒の論文をよんで、19時頃入浴。そのご焼きそばの夕食。例によって配偶者が多量に作りすぎてお互い苦しく動けません。で、このブログを書いております。これから手話通訳者さんの健康問題の勉強をしてから早めに寝ます。

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