SSブログ

比較的若い人の房室ブロックは筋強直性ジストロフィーも考えよ/昨日アウト、今日セーフ

筋強直性ジストロフィーとは『医学書院医学大辞典第2版』によると↓


筋強直性ジストロフィー myotonic dystrophy;MD
[同義語]シュタイネルト病 Steinert disease,萎縮性筋強直症


  筋が一度収縮した後,弛緩に時間を要する筋強直を主症状とする全身性の疾患。常染色体優性遺伝をとり,遺伝子座は第19染色体長腕(19q13)にある(DM1)。遺伝子産物は未知のプロテインキナーゼでミオトニンキナーゼ(myotonin kinase)と呼ばれている。この酵素と病気の発症との関係はまだ明らかでない。本遺伝子の3′側の非翻訳領域には3塩基CTGの繰り返し配列があり,正常ではその繰り返しは30以下である。本症では3塩基繰り返しが50以上あり,時に数千に及ぶ。この繰り返し配列の数と症状の重症度はある程度相関する。この繰り返し配列のメッセンジャーRNAが毒性をもち種々の蛋白のスプライシングを阻害し,多くの臓器に障害を来すと考えられている。また3塩基繰り返しの数は世代を経るに従い増加し,発症も早く,症状も重くなる(表現促進anticipation)。本症は筋強直や筋力低下の筋症状のほか,脱毛,白内障,内分泌異常(不妊,インポテンス),心伝導障害,消化器症状,知的能力低下などの中枢神経症状を伴う。稀に本症の母から生まれた子が,新生児期から人工呼吸器を必要とする重症な筋力低下,知的発達遅滞を示すことがあり,それは先天性筋強直性ジストロフィー(congenital myotonic dystrophy)と呼ばれる。3塩基繰り返し配列は数千以上に及ぶ。本症に対する根本治療はないが,筋強直が強い場合にはプロカインアミド,フェニトイン,カルバマゼピンなどが使用される。常染色体優性遺伝をとり,第3染色体(3q21)に遺伝子座があり近位筋が主に侵されるproximal myotonic myopathy(PROMM)(DM2)も筋強直を主症状とするが,症状はDM1より多彩である。

・そして、房室ブロックとは↓


房室ブロック  atrioventricular block;AVB
[同義語]AVブロック AV block

房室ブロックは心房から心室への伝導が途絶または伝導遅延している病態と定義される。したがって,房室伝導系(房室接合部,ヒス束,左脚と右脚の両者)の器質的障害によるものを意味するばかりでなく,副交感神経過緊張などによる機能的伝導遅延も含まれる。洞調律時の心電図でⅠ度,Ⅱ度,Ⅲ度房室ブロックに分類され,Ⅱ度房室ブロックはさらにウェンケバッハ型(モビッツⅠ型)とモビッツⅡ型に分けられる。心房と心室の伝導比が3:1以下のものを高度房室ブロックと呼ぶ。また障害部位で房室結節内ブロック(AHブロック),ヒス束内ブロック(HHブロック),ヒス束下ブロック(HVブロック)の3つに分類される。房室ブロックは発作時の心電図で診断される。正確なブロック障害部位の診断にはヒス束心電図の記録が必要である。

・で、標題のようなことを主張している論文が↓


A Young Patient Presenting with Atrioventricular Block Diagnosed as Myotonic Dystrophy
Hiroshi Onoda, et al.
【Abstract】

 

We encountered a 42-year-old woman with a history of diabetes mellitus and cataracts presenting with repeated syncope whose electrocardiogram showed advanced atrioventricular block. On admission, we excluded major potential differential diagnoses as causes of an atrioventricular block but did not suspect myotonic dystrophy, which was eventually diagnosed by chance based on a suspected weakness of the respiratory muscles followed by a detailed neurological physical examination. Myotonic dystrophy should be suspected as a differential diagnosis when relatively young patients present with conductance disorder
・↑の論文の表題がYoung patientとありますが、わたしゃ20代くらいの人かと思ったら42歳でした。高齢化の進んだ日本では、40代は若いかも知れませんが、何かダマされた気分...
・何はともあれ、房室ブロックをみたら、何らかの全身性疾患の部分症ではないかという発想が必要ですね。
以下日記
・昨日6/24(水)は、6時半起床。朝勉せず出勤して、午前外来、午後回診、カンファレンス、夜間診療でした。この日は入院患者一気に3名でけっこう気ぜわしかったです。しかし外来は18時には終わり、帰宅は19時前でした。朝外来する前に財布がないことに気がつけました。外来前に病棟でおとしたのか、病棟の事務の人に電話して財布があったらそれは私のですと伝言し、また、配偶者に家に財布忘れていないかどうかチェックしてくださいとラインしました。幸いなことに配偶者から家にあったと返信。ホッとしました。基本的には毎日私は持ち物のチェックリストを確認して出勤するのですが、この日は遅く起きて慌てていたのでチェックリストは見ず。やはり基本動作は大切。
・帰宅後は、ひたすら日曜日におこなう講義の準備。PCにずっとむかっていたので、神経が高ぶりなかなか寝付けませんでした。
・本日6/25(木)は、5時39分起床。6時半まで日曜日にする講義の準備。なんとか配付資料はできたのでe-mailで送付。ホッとしました。その後出勤。外来前に病棟寄ってから、午前外来。そこで、ちょっとしたドラマがあり、心臓ドキドキ。(詳細後述)無事に外来終わり、午後から倉敷市役所で公害健康被害認定審査会。今までに無くメッチャはやく終了し15時30分ころ病院に戻れました。回診し16時30分から17時過ぎ産業医面談。その後外来で事務作業して18時50分帰宅です。お風呂入って夕食。そしてアルコールを飲みながらこのを書いております。
・私の勤める108床の小さな病院は、電子カルテですが、外来での患者さんの動きは「順路案内表」という「紙」で患者さんの検査やリハビリ、診察の移動・順番が決まります。昨日8時30分に受付をされた新患さんの順路案内表が私の診察室にまわってきたのが、10時過ぎ。なんでやねん。当院では外来診療がおわってからみんなであつまってまとめをします。わたしはこのことを問題提起。緊急性のある疾患でなかったので、よかったのですが患者さんをお待たせしたのは大問題。原因は、その患者さんの対応をしていた看護師さんが、他の急患で手を取られ順路案内表をスタンドに立てて新患さんの対応からはずれました。その看護師さんは、誰か他の看護師さんが対応してくれると思っていたのですが、他の看護師さんは、後でその看護師さんが対応するのであろうと思っていたのか、気がつかなかったのかそのまま放置、ということでした。
・私が外来する場合、予約外の患者さんの順路案内表がまわってきたら、まず目を通して緊急性があるかどうか、診察前にしておく検査があるかどうか判断します。しかし、順路案内表が回ってこなければどうしようもありません。
・本日全くの新患さんの順路案内表が回ってきました。その患者さんの問診を診て、「こりゃーひょっとして」とおもって、すぐ心電図と胸部レントゲンを撮るように指示しました。で、心電図がST上昇・・・まず、心筋梗塞でしょう。しかし、私も外来中で対応できないので、外来をしていない他のDr.に連絡して対応していただきました。心エコーをして、前壁が動いていいと言うことで心筋梗塞確定。(後から結果が出てきた血液検査も矛盾せず)倉敷市で心筋梗塞と言えば、K中央病院。Dr.カーで迎えに来ていただきました。この患者さんが昨日のように1時間半も放置していたらどうなったか、脂汗がでます。
・本来、外来は、新患・救急(・健診)対応のDr.と予約外来のDr.がそれぞれ外来をするのが理想的と思うのですが、小さい医師数の少ない病院はなかなかそういうことはできません。慢性疾患の患者さんをみている外来に、今日のような心筋梗塞とか腸閉塞、消化管出血というような患者さんが来られます。こりゃー、なかな大変ですぜ、ダンナ。(って、誰に話しかけているのかな?)
・酔っ払ってこのブログ書いているので、誤字、脱字、非論理的なところがあると思いますが、ご指摘いただければ幸いです。これからもう寝ます。明日は、午前外来、午後会議と回診。明日は17時には病院をでたいものです。

nice!(0)  コメント(0)