SSブログ

パラコート舌/帰宅は比較的早かったが濃密

パラコートと言えば、私は、自殺、青色、酸素投与禁忌ということが頭に浮かんできます。で、本日はパラコート舌というのを学びました。


Paraquat poisoning


Chandra A, et al. BMJ Case Rep 2021;14:e246585. doi:10.1136/bcr-2021-246585




・パラコートを飲むと粘膜が傷害されるのは知っておりましたが、舌の粘膜の障害をparaquat tongueというのは知りませんでした。医中誌で「パラコート」「舌」で検索しても「パラコート舌」とかいう「熟語」(?)はでてきませんでした。それはさておき、paraquat tongueの写真をのせている文献をどうぞ↓


paraquat tongue






Medical management of paraquat ingestion






Can kissing cause paraquat poisoning: A case report and review of literature




・ウーン、三つ目の文献は何かすごいな。


・ところでパラコート自体は無色ですが、自殺のために飲んだことが分かるように青緑色のいろがついています。なので、青色の吐物をみたらまずパラコートを考えるべきですが、何でも「決め打ちはいけません」。↓の論文は、パラコート中毒の3例ですが、その症例とはべつに「おもしろい」ことが書かれています。


自殺企図によるパラコート中毒 3 例の報告:行政介入への提言


野 口 裕 司    金 子 直 之


日救急医会関౦誌 40(3),2019年




↑の中で、「 PQ 中毒に特異的な初期症状はない。しかし,青緑色の液体を激しく嘔吐し,口腔粘膜,特に舌が着色されるため,この症状を見たら本症を強く疑い,現病歴を詳細にとることが肝要である。また必要に応じて警察に PQ 中毒が疑われることを伝え,迅速に現場調査をしてもらうことも必要であろう。筆者らは一度だけ,上記症状を認めたが PQ 中毒ではなかったことがあり,その症例は偶然にも直前に「ブルーハワイ」の着色料を舐めていたために類似の症状を呈していた。」ちなみにブルーハワイとは、青い色のラムベースのカクテルです。


・もう一つ青色の吐物をみたら考えるべき事は、フルニトラゼパムの服用です。↓をおよみください。


フルニトラゼパム製剤の着色錠の使用に当たっての留意事項について




↑については、私は、↓の様なレポートがあったので、認識しました。


青く着色した舌を呈したフルニトラゼパムを含めた向精神薬中毒の1例
  山本 基佳, 他、
 中毒研究 (0914-3777)33巻1号 Page53-55(2020.03)

    Abstract:症例は38歳女性で、自律神経失調症の既往があった。過量服薬後に意識障害となり、翌日退院して旅館に宿泊していたが、起きてこないのを不審に思った旅館員が部屋を開けたところ、倒れている患者を発見した。部屋には空の薬包が多数散在しており、同日16時に当院へ救急搬送された。自己申告では、前日23時にフルニトラゼパムを含む数種類の薬を過量服薬したとのことであった。来院時の状況、状態を総合的に判断し、意識障害の原因は過量服薬で、内服から半日以上経過していると判断した。推定服薬量は多量であるが、致死量に達する薬剤はなかった。特記事項として、舌や服が鮮やかな濃青色を呈していたためパラコート中毒を鑑別疾患にあげたが、農薬類の空き容器はなく、フルニトラゼパム由来の色と判断した。2回目の自殺企図であったため、全身状態の安定を確認後、精神科入院病棟をもつ他院へ転院し、応急入院した。転院から12日目時点で急性薬物中毒からは順調に離脱し、退院先を調整中という報告を受けた。


・いやー、世の中いろんなことがありますねぇ。診断するときは、必ず鑑別診断をかんがえることですね。


以下日記

・本日11/12(金)は、6時22分起床で、朝勉せず出勤です。午前外来。午後からインフルエンザワクチン接種、新入院対応、回診、カンファレンス、事務作業。会議がひとつあったのですが、さすがに出られず。夕方は患者のご家族と短時間面談。帰宅は18時52分。(途中COOPで買い物)ネコたちに餌やりに行って、お風呂入って夕食。で勉強してこのブログを書いております。あと、ちょっとだけ英語ニュースを聴いて寝にいきます。







nice!(0)  コメント(13)