SSブログ

ウソをつかない患者に「だまされる」話/P(X=unagi)=0.5: 希望通りウナギでした

本日の標題は、患者さんが言ったことだけ、もしくは言わないことを「真に受ける」と誤診につながるという話。何故、そのような話を書こうかと思ったかというと、真面目に『弁膜症治療のガイドライン』


を読んでいて62ページに↓の様な記載があったからです。


なお自覚症状を聴取する場合は,階段を2階まで上った際に息切れを自覚するかなど,具体的に問いかけることが必要である.患者はしんどくならないように無意識に活動を制限していることが少なくない.その場合は「自覚症状無し」との返答になる可能性があり,有症候性の患者を無症候性と誤って判断することになるので注意を要する.


・私は、呼吸器の患者さんをたくさん診ていますので、同様な事をよく経験します。肺気腫や気管支喘息の患者さんに、息切れありますかときいても「ありません」という返事。それは、ほとんど動いていないからで、活動量がふえたら息切れがでるんですよね。なので上にあるように具体的に訊かないといけません。呼吸器の患者さんでよく訊くのは坂道あるくことと布団の上げ下ろしです。肺機能が一定悪くなると本当に重い物がもてなくなるんですよね。ということで、話をまとめると患者さんはウソはついていないわけですが、問診の仕方が悪いから「だまされて」しまうわけです。

・もう一つ「だまされる」例で、私の若かりし頃の苦い経験。気管支喘息の患者さんに「変わりありませんか」と問うといつも「かわりありません」。それで、喘息が落ち着いているのかなと思っていたら、ある時(多分それなりに勉強したのでしょうね)どうやって寝ていますかと訊いたらクッションを背中に当てて座って寝ていますと。ずっとそうやって寝ているから「かわりありません」ですよね。ウソではありません。その人にとっては、変わりありませんね。ただ他の人と比べると「かわっている」んですね。医者が「かわりありません」という返事を聞いたとき無意識に他の「正常な人」と同じと解釈しているのかもしれません。

・あと一つ、研修医に時々話すこと。喘息発作で時間外に外来を受診した患者さんの聴診について。患者さんが苦しいと受診したのに聴診は何らラ音=副雑音(呼吸するときヒューとかギューとかいう異常な音)が(あまり)聴こえないことがあります。一つはslilent chestと言って、非常に重篤な場合。これは、結構教科書に書いてありますね。もう一つは、受診直前に患者さんが発作止めの吸入をしてきた場合=一時的に発作が治まった状態です。(その時良くても、発作止めしか使っていなければまた悪くなる)私の経験ですが、受診前に発作止めの吸入をしたということをあまり患者さんは言われません。なので、私は患者さんに吸入をいつしましたかとお聴きします。吸入をしなかったと言うことを言わないだけで、ウソをついているわけではありません。で、時に経験の浅いお医者さんは「だまされる」のです。

・プロはどのような情報が必要か認識し、その情報が無ければ積極的に情報をとりにいかないといけません。ただし、積極的に情報をとりに行ってもセンシティブな事(例えば性に関すること)は正直に答えてくれるとは限らないということも認識しておかないといけません。



以下日記

・本日7/28(水)は、6時起床。朝勉して出勤です。ちょっと病棟よって午前外来、短時間通所リハビリ会議、午後回診と病棟カンファレンス、ショートの夜間診療で、帰宅は19時9分でした。朝、配偶者にお願いしていたとおり本日はうな丼でした。(「今日の夕食なにがよい?」とよく訊かれるのですが、リクエスト通りになる確率は50%ぐらいでしょうか)副菜もありお腹いっぱい。で、一服中で、このブログを書いております。これから"social epiemiology"をちょっと読んで早めに寝たいと思います。



nice!(0)  コメント(97)