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食道破裂/自虐道を極めよう

・疾病を鑑別する場合、まず①見逃したら重大な結果(死亡、障害を残す)を起こす疾患②よくある疾患を思い浮かべるようにしています。胸痛の場合、心筋梗塞、大動脈解離、肺塞栓、気胸、そして食道破裂は考えるようにしています。これは、まったく自分の経験で考えた鑑別診断ですが、なんと『ジェネラリストの内科医診断リファアレンス』という本の中に「致死的3大胸痛は心筋梗塞,大動脈解離,肺塞栓だが,他に加えるならば緊張性気胸と特発性食道破裂があげられる。」という記載をみつけ、我流ではなかったと安心した次第。それはさておき、前4者は経験がありますが、食道破裂の経験はありません。なので、具体的にどのような経過をとるのか間接的にけいけんしておかないといけません。ということで↓のような論文を読みました。


胸腔ドレナージにより診断された食道破裂の1例

三和健、他。


日本呼吸器外科学会雑誌 35巻(2021)2号




【抄録】食道破裂は胸痛を起こす代表的な疾患であるが,診断は難しく診断を誤ると致死的になりうる.症例は50歳,男性.朝からカツ丼を多量に摂取,夕に嘔吐し,その後の背部痛にて当院に救急搬送された.巣状糸球体硬化症で血液透析中であった.CTで左胸水と多量の胃内容物を認め入院した.第2病日早朝,著明な呼吸性アシドーシスにより急変し,ICU入室にて気管内挿管,CHDFを開始した.胸腔ドレナージを行うと濃緑色排液を約1 L認め,後方視的にCTを確認すると食道壁外の空気を認め,食道破裂と診断した.第3病日に消化器内科で内視鏡下に食道破裂部のクリップを施行した.第4病日に気管チューブを抜去,その後胸水は隔壁化し,CTガイド下ドレナージを試みるも無効となり当科に転科,第13病日に胸腔鏡下掻爬ドレナージを施行した.術後乳糜胸を発症し,脂肪制限食とオクトレオチドで治癒,術後13日目に胸腔ドレーンを抜去,14日目に退院した
・カツ丼を多量に摂取って、どれくらい食べたのでしょうね?さっき引用した『ジェネラリストの内科医診断リファアレンス』の特発性食道破裂の項には「①中年男性に,②飲酒後嘔吐で発症し,③縦隔気腫や皮下気腫を伴えば典型的だが,24時間以内に診断されているのは半数程度である」と書かれております。多食、飲酒後の嘔吐は要注意と言うことです。ところで、抄録の最初に「食道破裂は胸痛を起こす代表的な疾患」て書かれているけど、代表的どころかまれな疾患じゃないでしょうか?なんか読む人をミスリードするんじゃないでしょうか?書くなら「まれだが胸痛を起こし死亡するリスクの高い疾患」のような表現がよいのではないでしょうか?(知らんけど・・・大阪人風)
以下日記
・本日3/15(月)は、5時27分起床。まず↓の本で朝勉。比較的わかりやすいですが、むずかしい。(ナンジャ?)
岩波データサイエンス Vol.3

岩波データサイエンス Vol.3

  • 作者: 岩波データサイエンス刊行委員会
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2016/6/9
その後、朝食、燃えるゴミ出して午前中はZOOMで因果推論の学習("CAUSAL INFERENCE IN STATISTICS A Primer")。そして昼食摂って出勤。回診と夜間診療です。本日一気に新入院患者さん3名受け持って、なかなかしんどい。まあ、最近結構担当患者さんが少なくて楽させてもらっていたので仕方ないですね。ちなみに楽とは言いましたが、老体には今の仕事(夜間診療や宿直もある)がきついです。で、19時25分帰宅。入浴後夕食。配偶者が岡山の天満屋でやっている北海道物産展へいって買ってきたお弁当(海鮮たっぷり)をたべて苦しいです。これから一つ文献読んで寝ます。明日朝出勤して今日入院された患者さん達がおちついておられればいいんですが...
・ちなみにSNSで山頭火の句のパロディーをつぶやいてみました↓
・分け入って分け入って迷子
・曲がりくねった道で楽しい
・どうしようもない腰痛で歩いている
・ハゲにトンボをとまらせて歩く
・また1本毛が抜ける旅から旅
・すべってころんで腰がギックリ
・金がない時間が無い毛がない一人
これをみた高校時代の友人が「自虐道を究めようとしていますね」とコメントをくれました。今後「自虐道」使わせていただきます。・・・「ヒロシです」のパロディーで「タツヤです」という芸ができないか模索中。まずBGMをなににしようかね。

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FYI:IOMレポート『人は誰でも間違える』の真実/今日も1日引きこもり

現在3月下旬の職員さん向け講義「医療安全とテクニカルスキル」を鋭意準備中。医療安全については院長時代によく勉強しましたが、日進月歩の医療なのでアップデートしないとね。↓のような本を購入して読んでおります。


これだけは身に付けたい 患者安全のためのノンテクニカルスキル超入門: WHO患者安全カリキュラムガイド多職種版をふまえて

これだけは身に付けたい 患者安全のためのノンテクニカルスキル超入門: WHO患者安全カリキュラムガイド多職種版をふまえて

  • 作者: 相馬 孝博
  • 出版社/メーカー: メディカ出版
  • 発売日: 2014/03/20
  • メディア: 単行本


・↑の本は、読みやすい。ピクトグラムも面白くてあっという間に読めます。まずは入門書として読むのが良いでしょう。ただ、叙述が簡単すぎて帰って分からないところがあるかも知れません。


患者安全: ヒューマンファクターズのアプローチによる

患者安全: ヒューマンファクターズのアプローチによる

  • 出版社/メーカー: 海文堂出版
  • 発売日: 2020/12/03
  • メディア: 単行本

・↑の本は現在飲んでいる最中ですが、大事なことは書かれています、何か読みにくい。訳者には申し訳ないですが訳がこなれていないと思いました。(ひょっとしたら元の本の英語がわかりにく?)根性があったら英語もよんでみようかしら。


医療安全ワークブック 第4版

医療安全ワークブック 第4版

  • 作者: 川村 治子
  • 出版社/メーカー: 医学書院
  • 発売日: 2018/11/26
  • メディア: 単行本
↑は若い看護師さん向けに書かれた本で、私はパラパラとしかみておりませんが、簡潔まとまっていてかなりよさげです。全てに新人看護師さんに配ってよんでもらったらよいのではと思いました。ただ、お値段が2800円とお高い。新人看護師さんが個人的に買ったり、病院が組織に買って配るのはかなり痛い。こんな本こそ厚労省がWebsiteにPDFでアップして誰でも見られるようにしてほしいですね。
・PDFといえばWHOが WHO Multi-professional Patient Safety Curriculum Guideというのを出しています。英語のみでなく日本語を含む何カ国版があります↓
・あと医療安全の「古典」のTo err is Humanは無料で↓のサイトで見ることができます。
To Err is Human: Building a Safer Health System
・さてこのレポートが出されたときかなり衝撃だったみたいです。アメリカで年間4万4000人から9万8000人が死亡してると推定したわけですから。これは、アメリカの銃所持者がその事故で死ぬ7500倍ということです。(2番目に紹介した本に書かれています)で、この推定が正しいかどうか欧米では議論が起こったわけですが、日本ではそう議論されたようではなかったと思います。かっこよく言うと寡聞にして知らずですかね。で、私と同じ(と言ったおおそれおおいか)感想をもった方の論文が本日の標題の論文↓
IOMレポート『人は誰でも間違える』の真実
齊尾武
Clin Eval 36(3)2009
・数の推定は、わたしもどんなものかと思いますが、医療システムへの問題提起はとて重要なことであったと思います。
以下日記
・本日3/14(日)は、6時半起床。朝食摂ってほとんど勉強をしておりました。腰が痛いので草抜き/草刈りを超時間しないのでその分勉強ができました。今日は、10時過ぎにCOOP鴨方店に行きましたが、結構人が多かったです。10時頃っていつもこんなんかな?本日は俗に言う(企業に踊らされている)ホワイトデーなので、何かおいしそうなお菓子が並んでいるかと思っていたら、全然そんなことなく普通でした。いいのがあったら自分用に買って食べようと思っていましたが、まあ、太らずに良かったです。
・まだ、19時前です。これからお風呂入って風呂上がりにはローデンバッハグランクリュを飲もうと思っております。(でも、実はノンアルだったりして)

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片側性の肺水腫/1日引きこもり

肺水腫とは『医学書院医学大辞典第2版』によると↓


肺水腫 pulmonary edema

肺血管外へ異常な水分貯留がある病的状態。肺の毛細血管とその周囲の間質との水分の移行は,血管内と血管外の水力学的圧差および血漿と間質の膠質浸透圧差さらに肺血管透過性係数によって規定される(スターリングの仮説)。その圧のバランスに異常が生じたり,透過性が亢進した時に過剰に水分が貯留する。病理学的には,毛細血管から肺胞間質への血清成分の漏出状態(間質性肺水腫)と,さらに進行して肺胞内腔へ漏出した状態(肺胞性肺水腫)とに分類される。病因的には,非透過型肺水腫(心不全,低蛋白血症,リンパ管系の異常),透過型肺水腫(いわゆる急性呼吸窮迫症候群;ARDSにみられるような肺血管内皮障害)に分かれる。

・レントゲンを撮ると多くの場合両側の肺に異常影が出るのですが、片側だけの場合があります。その場合診断が難しい。↓のようなレポートがありました。

Unilateral Left Pulmonary Edema Caused by Contained Rupture of the Ascending Aortic Dissection
Kazuhito Hirata, et al.
Internal Medicine Vol. 60(2021) No. 5
【Abstract】Unilateral pulmonary edema (UPE) is a rare entity and is usually associated with severe mitral regurgitation and more frequently occurs in the right lung. We herein report a case of unilateral left pulmonary edema caused by external compression of the right pulmonary artery and left pulmonary vein caused by the presence of hematoma due to type A acute aortic dissection (AAD), resulting in asymmetrically increased inflow and decreased outflow in the left pulmonary circulation. Physicians caring for patients with UPE should be aware that AAD leading to the external compression of the heart may be a possible underlying mechanism.
・この患者さんの場合、急性大動脈解離でできた血腫で肺の血管が圧迫されて片側性の肺水腫になったというもの。よう・ようこの患者さん助かったと思いますGood jobですね。ところで、本文中に片側性の肺水腫を起こす原因疾患が書かれています↓

UPE is usually associatedwith severe mitral regurgitation and more frequently occursin the right lung than in the left.

Other causes of UPE include acute pulmonary emboli, re-expansion pulmonary edema, and external compression ofthe pulmonary vein or artery by a mediastinal tumor, resulting in an asymmetric inflow to the pulmonary arteries oroutflow in the pulmonary vein.

・あと、肺炎とまちがえて抗生物質なんか投与しないようにとも書かれていますが、自分がその場に居合わせたら果たしてどうなるか...

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・本日3/13(土)5時44分起床。6時半までは、e-mailのチェックと整理をしておりました。そして朝食。夕方まで勉強と論文書いておりました。昼食は自分が大分前に打った蕎麦で冷凍していたもの・・・マズイッ。やっぱ蕎麦はうちたてやな。しかし腰が痛くて当面蕎麦打ちはできませんね。

・夕方市役所へ缶や段ボールの資源ゴミを出してきたのが唯一の外出。その後も勉強ちょっとだけしてこのブログを書いております。これからお風呂入って、また勉強します。きょうもアルコールは飲むでしょうね。


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ACPは、「人工呼吸をする/しない」や「胃瘻を造る/造らない」のチェックボックスを確認していく作業ではない/ハイドロ(筋膜)リリースで腰痛改善

・医療界では、診療概念がきちんと理解されていないと思うことが多々あります。一番は、インフォームドコンセント(IC)。未だ医療者側が何の疑問も持たずに「ICする」と言っています。また、DNAR:Do Not Attempt Resuscitation Orderについては、本来心臓がとまったら心肺蘇生術をしないという意味(患者さんの意向に沿って医者がだす指示)であって、他の治療は何もしないというわけではないのに、そうではない。そして、ACP:Advanced Care Planning。これについて注意を促したのは本日のブログの標題ですが、↓の論文から引用したものです。


具体的な地域医療活動 地域医療と高齢者診療(各論) 地域密着型アドバンス・ケア・プランニング
大蔵 暢
日本内科学会雑誌 109巻(2020)1号
https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/109/1/109_73/_article/-char/ja
【ワンフレーズメッセージ】患者本人や家族を含めたケアチームが多様な価値観を受容し,ケアゴールを定めていくチーム活動―「アドバンス・ケア・プランニング」.その活動を地域に広めていくことで,「その人らしい最期」を支えるコミュニティが創造される
・上のメッセージのコミュニティの創造というのが大事だと思います。単にACPが医療者と患者・家族という関係ではなく、地域も巻き込んで、ACPの地域の風土もしくは文化というのを形成していかないといけないと思います。
・ちなみに、私の勤める病院もACPやDNARの概念の理解が怪しいのではないかと思っていたのですが、ちょうど最近病棟師長からスタッフの理解が不十分だから学習会をしてくれと頼まれました。ただ、私が今腰痛で苦しんでいるので、ちょっと待ってとおはなししておりますが...本日のブログの標題は学習会で言おうと思っていることです。
cf. 日本救急医学会のDNARについての説明のページ↓
https://www.jaam.jp/dictionary/dictionary/word/0308.html
日本臨床倫理学会のDNARに関連するサイト↓
https://square.umin.ac.jp/j-ethics/workinggroup.htm
日本集中治療医学会のDo Not Attempt Resuscitation(DNAR)指示のあり方についての勧告↓
https://www.jsicm.org/news-detail.html?id=7
*上のサイトを見ているとPLOSTについて意見が分かれているのが分かります。
以下日記
・本日3/12(金)6時起床。ノンテクニカルスキルのテキストをちょっとだけ読んで出勤。午前外来、午後は私自身が患者になって腰のハイドロ(筋膜)リリースをしてもらいました。で、腰痛は非常に良くなりました。やってくれた先生は神様や。その後ちょっと病棟よって午後から部長の指示にしたがい有給休暇取って帰宅しました。かえってからは、一服後論文書いておりました。で、現在一服してこのブログを書いております。(一服がおおいかな)これからお風呂入ります。その後はノンテクニカルスキルの本を読んで、3月末にする職員さん向けの講義の準備をします。
・腰が痛くてビールを飲む気にも昨日はなりませんでしたが、今日はちょっとだけ飲みたいな。

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病気は一つとは限らない:肺胞微石症と肺結核/そうは問屋がおろしあえ・・・チガウカーッ!

・あまりにも当たり前のことですが、人間がかかる病気は一つとは限りません。腹痛で来られた患者さんが胃潰瘍だと分かってそれが原因と考えていたら、膵臓癌も合併したということもあります。非結核性抗酸菌症の患者さんが熱を出しても必ずそのせいではありません。また、最初は風邪だったのに風邪薬飲んだせいで薬剤性の肺炎になった人もおられました。(全て私が経験したこと)


で、NEJMのIMAGES IN CLINICAL MEDICINEに↓のようなレポートがありました。


Pulmonary Alveolar Microlithiasis Complicated by Tuberculosis


Gunar Günther, M.D., Chalese Einbeck, M.D.


N Engl J Med 2021; 384:e36 March 11, 2021




・まあ、標題の通りですね。何事も決めつけは良くなくて、ちょっと「余裕を持って」診断をしないといけませんね。


cf. 肺胞微石症についての『医学書院医学大辞典第2版』の説明


肺胞微石症 pulmonary alveolar microlithiasis
[同義語]肺〔結〕石症 pulmolithiasis

肺胞内に石灰化小球体(微石)が形成され,これが肺全体にびまん性に生ずる稀な遺伝性疾患。常染色体単純劣性遺伝による。小児期,若年期には愁訴は少ないが,病変の進展とともに中高年期以降に呼吸困難が出現,次第に増強して呼吸不全に陥り,予後不良の転帰をたどる。診断は,石灰化所見を主徴とする特徴的な胸部X線所見(写真)が認められるので比較的容易,肺生検を必要とすることは少ない。肺機能検査では,病変の進展とともに拘束性換気障害,拡散能低下が認められ,低酸素血症がみられるようになる。酸素療法などの対症療法以外に有効な治療法はない。

小児慢性特定疾病情報センターの説明↓





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・本日3/11(木)は5時48分起床。social epidemiologyを読んで出勤。午前外来でした。予約の患者さんが少なくて楽勝かなと思っていましたが、なかなかそうはいかず結構忙しかったですね。嗄声の患者さんでひょっとしてと思って胸部レントゲン撮ったらドンピシャで大きな病院へ紹介。糖尿病の患者さんで尿にケトンが出ている方が来て入院。在宅酸素療法していて気胸の方、胃の調子が悪くてすぐ胃カメラした患者さん、歯科から血圧高くて処置ができないと紹介された患者さん、エトセトラ・エトセトラ。午後は有給休暇で15時頃帰宅。social epidemiology読むのと机の上の整理。19時すぎ夕食摂って現在一服中です。(アルコールは摂取しておりません)これから来週大学院でcritical appraisalでつかう英語の論文一つ読んで21時台に寝たいと思います。

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医療安全管理/しっかりでうっかり

・今月の末に職員さん向けに「ノンテクニカルスキルと医療安全」というテーマで講義をする予定です。医療安全については①To err is human.②スイスチーズモデル③水平展開というのをキーワード/キーフレーズにしようと思っています。また、「ジョーカーをひいた(ひかされた)」というフレーズも強調しようと思っております。で、その講義の参考にと↓の論文を読みました。


医療安全管理の全体像


長尾能雅


日本内科学会雑誌 109巻(2020)3号




短い文章なので、物足りないところはありますが、概要をみるのはよいでしょう。それに参考文献が大切。

わたしがちょっと不満なのは、図1.ループでは、院内のインシデントやアクシデントしか分析されないと言うことです。他の院所や社会での問題がここでは取り上げられないと言うことです。自分の院所で事故が起こって無くても新聞報道された医療事故を観たらそれを分析して自分の所で同じことが起こらないようにするというシステムが欠落しております。私が2000年に院長になったときは、ちょうど医療安全元年みたいな感じの時でした。私は、インターネットで朝日、読売、毎日、産経といった新聞を毎日チェックして医療事故がないか、あったら自分の院所でどうなのかを検討しておりました。たとえば、カリウム製剤。静脈注射したら心臓が止まってしまうので点滴しなければいけないのに静注で事故がおこったとよく報道されておりました。私は、カリウム製剤は詰め所の普通の薬剤の棚から離して置くようにしました。それから数年後全国的に↓のような声明がでました


緊急通告




・もう一つだけやったことを書きますと、色んな病院の薬局から薬剤が盗難されていたというニュースも時々ありました。それを見て薬局の天井に監視カメラを置くようにしました。

・最近でも報道があるのが、画像や病理の「癌」という結果を主治医がみておらず手遅れになったというもの。大きな病院がそのようなミスをやっております。私が勤める玉島協同病院および水島協同病院では、病理で悪い結果が出たら直接主治医に電話連絡入れてくれます。(実は、今日もありました)また、水島では、所見を確認したという電子カルテのボタンを押さないと医局事務さんから確認してくださいというメモを渡されます。玉島ではそれはないですが、電子カルテですがCTの所見は紙で各主治医の書類トレイに配られます。また、小さい病院なのでお互いFACE TO FACEでこんな所見があったよと連絡し合います。私は個人的に生検したり画像検査をしたら、その所見の確認を忘れないため大体1週間から2週間後に電子カルテの患者予約欄に予約を入れて所見を見るようにしています。

・長々と書きましたが他の組織の失敗を水平展開することがとても大切と思うのですが、上記論文の図1ではそれが欠落していると思います。



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・本日3/10(水)は、5時35分起床。朝勉して出勤し午前外来、午後回診とカンファレンス、夜間診療でした。今日の夜間診療で定期的に診察している高齢一人暮らしの患者さんで、失敗したなとおもったこと。その患者さんしっかりされているので、全然介護保険のことを考えていませんでした。大体診療するときは病気のみでなく生活のことも考えるように心がけているのですが、患者さんがしっかりされているとついそういうことを忘れてしまいます。今日、だんだん足のチカラが弱ってきたという訴えを聞いて、そういえば通所サービスなんかりようしていたかな?ということから質問してみるとケアマネジャーもきまっておらず全然介護保険を利用していなかったとのこと。うっかりしておりました。なので、(患者さんが)しっかりしていると(こちら側が)うっかりしてしまうという本日の標題の後半でいした。

・帰宅は18時半ころで、早く帰ってこれました。お風呂入って、夕食。ちょっとだけビールをいただきました。で、ちょっとお勉強してこのブログを書いております。腰痛は右の方に限局しつつあります。ちょっと何かでチカラをいれると痛みがきますが、ましになっているような気がします。これからちょこっとだけ勉強して21時台には寝たいと思っております。


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大阪弁じゃなかったのね、ナルメフェン/座って挨拶を受ける違和感

本日外来でアルコール依存症の患者さんを診て入院してもらいました。本日はそれに関連してのお題。

・もう2年以上前の話ですが、アルコール依存症の飲酒量減量を補助する薬が発売されております。私の認識は、なんか新しい薬が発売されたみたいだけど、自分が使うことはないやろなといったところです。



国内初のアルコール依存症における飲酒量低減薬
「セリンクロ錠10mg」が製造販売承認を取得




一般名ナルメフェンですが、その添付文書が↓





この薬により肝硬変の患者さんが断種できて肝機能も改善したという報告↓


ナルメフェン投与により飲酒量低減から断酒が得られたアルコール性肝硬変の1例
玉木 克佳
肝臓 61巻(2020)6号
【抄録】症例は61歳,男性.2年前に他院でアルコール性肝硬変と診断されていたが専門医療機関は受診せず.その後,難治性腹水が生じ,腹水コントロール目的で当院を紹介.入院管理での保存的治療により腹水は消失,さらに退院後も断酒の状態を維持できたため肝機能は改善した.しかし,断酒4カ月頃より飲酒を再開,徐々に肝予備能の低下と腹水が増加した.断酒目的で専門医療機関の受診を勧めたが本人は拒否,代案として飲酒量低減薬を提案したところ同意が得られナルメフェンによる治療を開始した.開始後,徐々に飲酒量は減少,治療開始2カ月後には断酒の状態となり腹水の消失と肝予備能の改善が得られた.アルコール依存症の治療は断酒の達成とその継続を目標にするが,すぐに断酒できない場合は飲酒量を減らすことから始めることの一つの手段である.本症例ではナルメフェンを開始したことで飲酒量低減から断酒へと繋ぐことができた.
・上の論文で私個人は勉強になりましたが、論文の体裁としてはちょっと「?」な印象も持ちました。症例報告なのですが、考察の所はほとんど症例に関する考察がなくて、一般論が総説のように述べられております。こんな論文の形式で良いのかな?(もう1回書きますが、私自身はこれを読ませてもらって勉強になりましたが)
・ところで、ナルメフェンって、何か大阪弁に思えるのは私だけ?
以下日記
・本日3/9(火)は、5時半起床。腰痛は続いております。昨晩は寝返り打っても腰がいたかったです。しかし痛みに負けず朝勉して出勤。午前外来でしたが、幸いなことに患者さんの予約が少なくあまり動かなくて良かったです。標題に後半ですが、いつも外来で患者さんが診察室に入られたら立って挨拶するのですが、腰が痛いので座ったままで挨拶。(なんせ、現在立ったり座ったりするのが痛いし、歩くのは前傾姿勢)患者さんは立って礼してくれるのに私が座っているのは何か違和感を感じました。つい「私は、何様?」と思ってしまいます。診察室の外に何年か前に作った張り紙「腰が痛くて立って挨拶できません」といったものを張り出してもらいましたが。よう、昔のがのこってたな。また、当分患者さんに「お大事に」と言われるでしょう。
・午後ちょっと病棟へよって帰宅。16時からZOOMで大学院のcritical appraisal。その後早めにお風呂入って18時から17時までZOOMで大学の「臨床研究講習会」。お題は「研究プロセス、変更管理」と「論文作成の意味と書き方」。結構面白かったですね。後半のお話の冒頭で野口英世の黄熱の論文がJAMAに載っているという紹介があって、ヘーッと思ってしまいました。
・その後夕食、そしてちょっと勉強してこのブログ書いております。そろそろ座っているのが限界なので寝にいきます。明日は少しはよくなっているかしら?

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シリコンとリンパ節腫脹/あまりに腰が痛くて受診

・唐突ですが、豊胸術とは日本形成外科学会のサイトによると↓




・豊胸術にシリコンが使われる場合があるわけですが、それによって頸部リンパ節が腫れたという報告↓


Silicone granuloma: a cause of cervical lymphadenopathy following breast implantation

Rajgor AD, et al. BMJ Case Rep 2021;14:e239395. doi:10.1136/bcr-2020-239395

https://casereports.bmj.com/content/14/3/e239395

【Abstract】We report a case of a 54-year-old woman with saline-based breast implants who presented to the ear, nose and throat neck lump clinic with a 2-week history of bilateral neck lumps. She was found to have multiple palpable cervical lymph nodes bilaterally in levels IV and Vb. The ultrasonography demonstrated multiple lymph nodes with the snowstorm sign and a core biopsy confirmed a silicone granuloma (siliconoma). This granuloma was likely caused by bleeding gel from the silicone shell of her saline-based implants. This case demonstrates the importance of bleeding gel from saline-based implants, in the absence of implant rupture. Thus, head and neck specialists should consider siliconomas as a cause for cervical lymphadenopathy in patients with saline-based breast implants

・シリコンがもれてリンパ節が腫れるというもの。豊胸術の病歴をとっていないと鑑別診断には上がってきませんね。

・ちなみに本日の夜間診療で頸部に腫瘤がある若い女性の患者さんが来られました。それがリンパ節かどうかも分かりませんでしたが、頸部のリンパ節腫脹の診断はいつも難しいなと思っております。上の論文の本文中に

With regard to the enlarged lymph nodes, the dilemma lies in whether to opt for excision or monitor. This is a decision that should be made alongside the patient highlighting the benefits and risks of removal.

と書かれています。やっぱ、そうだよね。・・・本日の患者さんは大きな病院の総合内科へ紹介いたしました。

以下日記

・本日3/8(月)は、5時39分起床。昨日に引き続き腰痛あり。なんとか鎮痛薬と湿布で乗り切ろうと朝勉しておりましたが、あまりにも痛い。なので午前中のZOOMでの学習会は欠席して配偶者に整形外科のある病院まで送ってもらいました。結論は、変形性脊椎症と椎間板ヘルニアでしょうということでした。痛み止めの座薬と内服薬、腰部固定帯(いわゆる腰痛ベルト)を処方してもらいました。で、その足で自分の病院へ出勤し夜までお仕事でした。ベルト巻いていると結構痛みが取れますが、なんせ立ち上がるときが痛い、歩くのも前傾姿勢。完全におじいちゃんになってしまいました。以前書いた気持ちは20代、体は80代というキャッチフレーズばぴったり・・・いや、痛みで気分も落ち込んでいるので気持ちも60代くらいになってきて併せて140歳になってしまいました。

・18時半前に帰宅。お風呂入って夕食とってこのブログを書いております。早めに体が水平になるように21時には寝にいきます。明日は痛みがどうなっているやら...

 



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FYI:緩和ケアWeb県民公開講座/かなり激しい腰痛に苦しむ

緩和医療研究会というものがあります↓




私は会員ではないのですが、代表世話人が医学部の同級生のためか(もしくは記憶にはないですが研究会に参加したためか)研究会への案内が届きます。つい先日届いたものが、本日の標題にある公開講座です。詳しくは、岡山大学病院緩和支持医療科のwebsiteをご覧ください。




これは無料でWebで視聴でき、その期間も3/20から28日まで、講師は柏木哲夫先生ですから、絶好のチャンスです。是非ご覧ください。病院でみんながあつまって視聴するのも良いのではないでしょうか。(最初自分の病院でその提案をしようと思ったのですが、残念ながら私の時間と他の職員さん達の時間を合わせるのが難しそう。ただ、送ってきてもらったチラシは病院に貼ってもらおうと思います)


・ついでに、上記緩和支持医療科のwebsiteの中にACP(人生会議)で使用できる冊子がダウンロードできるようになっていますので、そちらもお役にたつのではないかと思います↓




・緩和医療研究会や緩和支持医療科とは、COIはありません、ナンチャッテ。



以下日記

・本日3/7(日)は、6時半起床。起きる前、自分が映画館のようなところでメッチャ下手ッピーなプレゼンしている悪夢を観ていました。プレゼンの腕をみがかないと...

・本日は1日庭に出ただけでどこにも行きませんでした。午前中は因果推論の勉強と論文の作成。午後からも因果推論の勉強。それから確定申告の書類作成。3/14までにしないといけないとメッチャ慌てていましたが、私の知らぬ間に何と4/15まで締め切りが延長されておりました。これで、安心するといつまで経ってもできないので、今週中に仕上げたいと思います。


・本日は19時頃夕食食べて、その時ビール1本。現在あまりうまくないジントニック飲んでおります。これから睡眠薬代わりに↓の論文を読みたいと思っています。シンプソンのパラドックスに関するヘルナンの論考です。(無料で読めますよ)どうも、シンプソンのパラドックスの説明を拾い読みしても何かしっくりこないもので...



The Simpson's paradox unraveled
International Journal of Epidemiology, Volume 40, Issue 3, June 2011, Pages 780–785, 

Abstract

Background In a famous article, Simpson described a hypothetical data example that led to apparently paradoxical results.

Methods We make the causal structure of Simpson's example explicit.

Results We show how the paradox disappears when the statistical analysis is appropriately guided by subject-matter knowledge. We also review previous explanations of Simpson's paradox that attributed it to two distinct phenomena: confounding and non-collapsibility.

Conclusion Analytical errors may occur when the problem is stripped of its causal context and analyzed merely in statistical terms
・それにしても腰が痛い。じっとすわっていると良いのですが、動き出すと非常にいたくて、伝い歩きがしたくなるような。朝ちょっと腰痛ましなので草を抜こうとおもって庭に出たのですが、しゃがんだら次痛くてなかなか立てなくて草抜きは挫折です。明日は、座薬を含む痛み止めを同僚に処方してもらいましょう。もう、患者の立場に立つ医者じゃなくて、患者になった医者です。また外来診察室前に「腰痛のため立ってご挨拶ができません」と張り紙貼ってもらわないといけないかな...

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DADAという病気/じ、持病の癪が...

私は、呼吸器疾患の患者さんをよく見てきたのでADA:アデノシンデアミナーゼという物質は、胸水で患者さんで結核を診断するために大切な物質という認識でした。昔、ADAを調べたら、遺伝的な疾患で遺伝子治療が試みられているというADA欠損症という疾患も目につきました。しかし、かなり希な疾患なのでまあ一生巡り会わないだろうと思っておりますが、逆にそういう患者さんが来られても診断できないのではないかと心配いたします。で、Lancetに↓のようなレポートがありました。



Deficiency of adenosine deaminase 2 diagnosed at 65 years of age


Gaëlle Bourgeois

The LANCET Vol. 397, Issue 10277, P913, March 06, 2021
・この患者さん、若いときから発症してなかなか診断されなかったと言うことです。こちらの病院受診されて、病歴を洗い直してこの疾患を疑ったとのこと。やっぱり、難しい病気ですね。『医学書院医学大辞典第2版』の説明↓
アデノシンデアミナーゼ欠損症
[英]adenosine deaminase deficiency
[同義語]ADA欠損症 ADA deficiency

アデノシンデアミナーゼはプリン代謝のサルベージ経路に関わる酵素であり,リンパ球に比較的多く存在するが,その先天的な欠損はde novo経路が働かず,5′-ヌクレオチダーゼの少ないリンパ球において細胞毒性をもつデオキシアデノシンおよびそのリン酸化されたdATPの細胞内蓄積をもたらし,リンパ球の発生が著しく障害される疾患。その結果,T細胞もB細胞も欠損し,重症複合免疫不全症の病像を呈する。常染色体劣性の遺伝形式をもつ。アデノシンデアミナーゼ遺伝子は20番染色体長腕(20q13-ter)に局在し,本症では点突然変異などにより正常な酵素が生成できない。生後早期から症状を発来するが,成人に発症する軽症例もみられ,そのような場合は酵素活性が部分的に検出される。治療として,ポリエチレングリコール結合アデノシンデアミナーゼや輸血による酵素補充療法もある程度有効であるが,抜本的治療は骨髄移植や臍帯血幹細胞移植あるいは遺伝子治療による。世界で最初に遺伝子治療が試みられた疾患であり,日本でも成功している。
・国立成育医療センターのページ↓
・上の二つの説明みていると免疫不全のようですが、LANCETのレポートを読んだら自己免疫疾患みたいですね。レポートにかいているように多彩な病像を示すみたいですね。
・余談ですが、VIDEOのプレゼン聴いてみましたが、すっごいフランス語なまりの英語だなと思って聴いていましたが、そもそもフランス語だったのね...どうりで、全然聴きとれんかったわ。それにしても女医さんきれかったな。
以下日記
・昨日0時前に病院から電話がかかってきて「出勤」し、今日の1時20分頃帰宅しました。それから7時まで寝て起床。午前中はお勉強しておりました。昼食は里庄町の丸亀製麺でぶっかけうどん+天ぷら。帰宅して論文書いておりました。気がつくと夕方。気分転換に草取りをはじめましたが、腰が痛くて動けなくなりました。ここ数週間ちょっと腰が痛いなと思っていたのですが、今日は激烈。両下肢が麻痺するのではないかと不安になりました。ナイキサンの内服しました。そして入浴。その後ロキソプロフェンテープも貼付。で、夕食。久々にビールをいただきました。で、現在グデン・スクウェアド。これから、もう寝るか、プライムビデオ観るか、勉強するか、葛藤中。(←たいした葛藤じゃない)
・最近はTVの時代劇がめっきり減ったので、「持病の癪が」というフレーズを理解する若者はめっきり減っているでしょうね。
・あと、今日のブログの標題の最初。純粋にダダイズムを連想したのは、文人、三面怪人を連想したらオタクっぽいです。(三面怪人ダダもダダイズムから名前を拝借しているそうですが)ちなみに私は両方連想しますので、「ブンタク」かな。もっと良い言葉ないかな。

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