備忘録:経験・流儀・理論/誰も褒めてくれないので自分で褒める
薬剤性冠攣縮性狭心症/念願の散髪と二度目の自宅蕎麦打ち
症例は30代女性.当院婦人科にて卵巣嚢腫摘出術を施行され,術後2日目より経口抗菌薬の投与が開始された.術後5日目(抗菌薬内服開始3日後)より便秘に対して漢方薬が追加処方された.漢方薬の開始日より連日3日間,夜間に断続的に数分間持続する胸背部痛を自覚したため,不安になり当科を受診した.受診時には無症状であり,諸検査では特記すべき異常を認めなかったため,同日ホルター心電図を施行した.ホルター心電図上,夜間の胸痛時にST上昇および非持続性心室頻拍を認めたため,ホルター心電図抜去時に精査加療目的に緊急入院となった.入院時にすべての内服を中止し,硝酸イソソルビドテープを開始したところ,症状および心電図変化は消失した.器質的な冠動脈疾患の除外目的に冠動脈造影検査を施行したところ,有意狭窄病変を認めず,アセチルコリン負荷試験にて右冠動脈入口部に高度の攣縮が誘発された.これまでにはKounis症候群などアレルギー反応に伴う冠攣縮性狭心症は報告されているが,漢方薬投与を契機に発症した冠攣縮性狭心症は我々の検索し得た範囲では報告がない.著明な心電図変化を示し,薬剤性が強く疑われた冠攣縮性狭心症の1例を経験したので文献的考察を加え報告する.
・基本的なメッセージは、薬物の副作用で冠攣縮性狭心症がおこりえるので注意しましょうということですね。上の報告では、漢方薬、具体的には桃核承気湯でした。もう一つ薬剤性のレポート↓
Although tacrolimus is widely used as an immunosuppressive drug after lung transplantations, there have been few reports on adverse cardiovascular events after lung transplantation. A 36-year-old female underwent a right single-lung transplantation for idiopathic interstitial pneumonia. Intravenous administration of cyclosporine was started just after the transplantation, and it was switched to oral tacrolimus on day 4. On day 10, she suffered from acute rejection and was treated with a dose of tacrolimus and an administration of methylprednisolone for 2 days. On day 12, after the ingestion of tacrolimus, she had chest pain, dyspnea and syncope. Electrocardiography showed ST elevation in the chest leads from V3 to V5 and troponin T rose to 0.114 ng/ml. Coronary angiography showed no stenosis, but it demonstrated a spastic change of coronary arteries after coronary injection of acetylcholine. The tacrolimus concentration on the day of the attack was 11.9 ng/ml, and 15.4 ng/ml and 19.6 ng/ml on the following 2 days, respectively, despite dose reduction: therefore it was suggested that tacrolimus was the factor of the angina attack. Since the next day, she has undergone mechanical ventilation to treat pulmonary edema caused by heart failure for 4 days. She has experienced no angina attacks thereafter and has been quite well for 2 years since the lung transplantation. In summary, we report a patient who suffered from vasospastic angina possibly caused by tacrolimus 10 days after lung transplantation. We should fully consider vasospastic angina a tacrolimus the side effect.
・余談ですが、上の二つの論文とも患者さんのプレゼンテーションに職業歴が書かれていませんね。職業歴を訊かないと絶対とは言わないまでも、職業性疾患はまず診断できないですね。この患者さん達が職業性とは言いませんが、職業性疾患を見落とす可能性があります。どのような症例報告も職業歴を書いてほしいものです。(二人目の患者さんは、ご家族の職業、居住環境も書いて欲しかったですね。「特発性間質性肺炎」と診断されていた人が実は石綿肺だったということは、クボタショック(もう、皆さん忘れた?)のあたりで、結構経験されましたから。
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・昨日8/17(月)は、6時50分と遅起き。午前中はお勉強。午後から出勤して、回診、夜間診療。そして宿直でした。前回の宿直が最悪でしたので、あれ以上のことはまず起こらないだろうと安心(?)、自信(?)をもって宿直。ちょこちょこあったものの、無事でした。
・本日8/18(火)は自然に5時34分に目が覚めました。シャワー浴びて、朝食後病棟回診。午前外来でした。14時前に病院を出て、念願の散髪、郵便局、コンビニよって16時帰宅。1時間くらい論文書いて、その後自宅2回目の蕎麦打ち。1回目よりは美味くできましたが、蕎麦の太さが冷や麦のよう。明日の朝はそれを食べようと思っていますが、はたして食べれるようなものでしょうか?その後シャワー浴びて、夕食。ビールを2本飲んでこのブログを書いております。疲労とアルコールでヨレヨレになっていますので、とっとと寝ます。明日は5時台におきられればよいですが...
乾癬・掌蹠膿疱症と 口蓋扁桃摘出術、おまけに胸痛/初めての自宅での蕎麦打ち
急性心膜炎の原因としての大動脈解離/引きこもってほぼ論文完成
We herein report 3 cases of acute aortic dissection (AAD) in which the initial 12-lead electrocardiogram showed typical ST elevation consistent with acute pericarditis. All patients exhibited small pericardial effusion but did not suffer from rupture into the pericardium or clinical tamponade. Slow leakage or exudate stemming from the dissecting hematoma appeared to have caused inflammation, resulting in pericarditis. Therefore, we highlight the fact that AAD may masquerade as acute pericarditis. Physicians should be aware of the possibility of type A AAD as an important underlying condition, since the early diagnosis and subsequent surgical treatment may save patients' lives.
・著者らが抄録にもかいているように急性心膜炎の基礎疾患として大動脈解離があるので気をつけてというお話です。ただ、標題だけみるとちょっとニュアンスが違うのではないでしょうか?私の英語能力がつたないので、Google先生にこの論文の表題を訳していただくと「急性心膜炎を装った急性大動脈解離」となっています。すなおに日本語を解すると「急性心膜炎と思ったが、大動脈解離やった」ということになると思います。でも、この報告をみると急性心膜炎の原因として大動脈解離だったと言うことだと思います。なので、ちょっとニュアンスがちがうと思うんですが...(まあ、標題としたら面白いんですが)それはさておき、教科書を見てみました。新臨床内科学第7版では、急性心膜炎という項目の中に心膜疾患の原因という表があります。その一番最後に大動脈解離というのがありました。朝倉書店の内科学の急性心膜炎という項では、心膜炎の原因疾患という表はありますが、大動脈解離は載っておりません。その代わり(?????)に鑑別診断として、急性大動脈解離とうのがありました。ちょっと、ミスリードと思いますが、ちっちゃいことは気にしない、ワカチワカチコ?UpToDateでは、Etiology of pericardial diseaseという項目があって、その中の表に大動脈解離がありました。別にAcute pericarditis: Clinical presentation, diagnostic evaluation, and diagnosisという項目があって、その中でEstablishing a definite etiologyというところがありましたが、大動脈解離は載っていませんでした。
・話変わってこの論文の最初の患者さんですが、30代後半とお若い。二人目の患者さんもお若いですが、マルファン症候群と診断されていました。最初の患者さんの症例提示でせめて、家族歴があるのか無いのか述べておいて欲しかったです。(細かすぎる?自分には甘いのに人には厳しい私?)
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・本日8/15(土)は、6時起床。昼前基本的に論文作成と講義の準備。途中資源ゴミの整理。13時半まえに家を出てまず市役所へ資源ゴミを出してから里庄町のラーメン屋さんで昼食。帰宅後食器洗いと米を洗って、真っ昼間からビール。(1本だけよ)その後、書類の整理をしておりました。18時半頃お風呂入って、論文を仕上げて夕食。今度はテキーラ、ジンをいただいております。で、現在酔っ払ってこのブログを書いております。論文は、99%しあがり、明日の朝チェックを入れて終了になるはず。もう、これからお布団に入ります。
SSP: WHO患者安全カリキュラムガイド/クルクルでよかった
- 作者: 神田 善伸
- 出版社/メーカー: 南江堂
- 発売日: 2016/10/17
日記の追加:文献整理しながら思い出にひたる
心肺蘇生により胃破裂/SBARは「進化」していた
心肺蘇生に起因した胃破裂の1例
益子 太郎, 矢澤 直樹, 増岡 義人, 中郡 聡夫
日本腹部救急医学会雑誌39 巻 (2019) 6 号
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jaem/39/6/39_1131/_article/-char/ja
【抄録】
症例は73歳女性。局所進行膵頭部癌で術前治療を予定されていた。突然の吐下血を認め,外来受診となった。来院時ショック状態を呈しており,血液検査所見で高度貧血を認めた。腹部造影CT検査で胃十二指腸動脈からの造影剤の漏出を認め,緊急塞栓術を行った。経過中無脈性心室頻拍を呈したため,1サイクルの心肺蘇生を行った。翌日抜管後の胸部X線検査で右横隔膜下に遊離ガス像を認め,腹部造影CT検査で多量の腹腔内遊離ガス像と腹腔内液体貯留を認め,胃壁途絶所見も認めたため,胃穿孔と診断,同日緊急開腹術を施行した。胃小弯に約7cmの裂創を認めたが,粘膜面に虚血性変化や潰瘍の所見はなく心肺蘇生に起因する胃破裂と診断し,破裂部を縫合閉鎖した。心肺蘇生後の胃破裂は0.1%とまれで不適切な人工呼吸による胃拡張が強く関与しているとされる。自験例のように消化管出血により著明な胃内容貯留がある場合もリスクになることを念頭に置き,迅速なスクリーニング検査を行うことが重要である。
・↑にも書かれていますが心肺蘇生していたら胃破裂も念頭においておかないといけませんね。しかし、この報告に書かれている患者さん、よう助かりましたね。著者達、素晴らしい。
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・本日8/13(木)は、6時13分起床。朝勉はせず、朝食後水島へ。午前中産業医学科外来。メッチャ予約が少なかったのですが、お一人ちょっと診療に時間がかかった患者さんがおられました。水島をでて玉島へ戻る途中8番ラーメンか玉島の地元のうどん屋さんによろうとおもっていたのですが、駐車場をみると結構「密」そうなのでやめて病院へ着いてからカップ麺の昼食。それから病棟の患者さんを診てから14時過ぎに有給休暇で帰宅。帰宅して30分dけ片付けしてあとはひたすら明日の研修医+α向けの講義の準備。講義は自分の勉強になるのですが、時間を結構とりますね。今日知識がアップデートできたことは、SBARが「進化」して、ISBAR、そしてISBARCに「進化」していたということ↓しかし、最後のやつなんて発音するんやろ。
看護roo!
https://www.kango-roo.com/learning/3561/
・18時に一応講義用のパワポが仕上がり、入浴、夕食。昨日届いた京都のウッドミルブルワリーというところのPale AleとLEMON ALEをいただきました。どちらも変な癖が無く飲みやすかったですね。その後は、テキーラとオレンジジュースでテキーラサンライズもどきを作って飲んでおります。このカクテルはのみやすいですね、つい3杯も飲んでしまいました。明日起きれるやろか?
・ちょっと部屋の片付けをして22時頃には寝たいと思います。明日は何時に起きられるかな?
COVID-19の凝固線溶系異常/ああ、バッド・タイミング
重症新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の凝固線溶系異常の特徴―Case series―
石倉 宏恭, 丸山 隼一, 入江 悠平, 泉谷 義人, 内藤 麻巳子, 鯉江 めぐみ, 星野 耕大, 仲村 佳彦
日本血栓止血学会誌31 巻 (2020) 4 号
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsth/31/4/31_2020_JJTH_31_4_398-408/_html/-char/ja
今回,重症新型コロナウィルス2019(Coronavirus disease 2019: COVID-19)患者の凝固線溶異常について,若干の知見を得たので報告する.症例は6症例で,ICU入室から8日間の経過で血小板数が10×104/mm3未満に低下したのは1例のみであった.prothrombin time-international normalized ratio(PT-INR)は経過を通じて概ね正常で,activated partial thromboplastin time(APTT)は経過中5例で正常上限を上回ったが,1例を除き大きく延長する事は無かった.一方,FDPとD-dimerは経過中,正常上限を超えて推移し,2例は第7病日以降に著明な再上昇を来した.以上より,重症COVID-19患者は感染症にも関わらず,凝固線溶異常は「線溶抑制型」でなく,あたかも「線溶亢進型」の様相を呈していた.6例中4例がJapanese Association for Acute Medicine criteria(JAAM)disseminated intravascular coagulation(DIC)診断基準でDICと診断され,遺伝子組換え型ヒト可溶性トロンモジュリン(rhsTM)が投与され,3例が投与終了時点でDICから離脱した.
・トロンボモジュリンが治療に貢献しそうな内容ですね。この論文では、抄録、本文とも遺伝子組換え型ヒト可溶性「トロンモジュリン」(recombinant human soluble thrombomodulin: rhsTM)と標記されています。普通、トロンボモジュリンだと思うのですがトロンモジュリンという言い方もするんでしょうか?Yahooでそういれても、少なくとも上位にはヒットせず、かわりにトロンボモジュリンがでてきましたが...ちなみに、トロンボモジュリンとは、日本血栓止血学会のwebsiteの説明では↓
トロンボモジュリン
https://www.jsth.org/glossary_detail/?id=391
リコモジュリンの説明(PDFですが皆さん、みれるでしょうか?)
https://www.jsth.org/publications/pdf/tokusyu/20_1.009.2009.pdf
・最初の論文に書かれていた重症の患者さんを私が診ることはまずは無いでしょう。でも、一応知識としてはもっていないと新しい論文が読みづらいし、何かあったとき患者さんやご家族への説明もできないですね。
以下日記
・本日8/12(水)は、6時29分起床。朝勉せず朝食摂って出勤。ちょっと病棟へよって、午前外来。大きな事無く無事終了。お昼頃なんか両上腕がだるいなと思っていたら、そういえば心臓マッサージをしたからだと思い当たりました。案外筋肉へのダメージはそう大きくなかったみたいですが、明日以降に症状ひどくなる???
・午後回診、カンファレンス、夜間診療でした。なんとビックリ、夜間診療が17時で終わりました。多分こんなことは初めて。で、帰宅は18時前。家の前も道を通っていたら、義父の桃畑の木の枝が道にはみ出していたので、帰宅が鋸を持っていって何本か切断。たったそれだけで汗が出ました。で、入浴、録画「激レアさんをつれてきた」を観ながら夕食。この時点でウッドミルブルワリーという処に注文していた麦酒のセットが届けば良かったのですが、残念ながら夕食後に届きました。宅配は18時から20時の間で頼んでいたので、仕方ありません。夕食時早くこないかなと頸を丹頂鶴のように長くして待っていましたが、満腹状態になってから到着。もうビールをのむ余地がありません。甘いものは別腹でも、少なくとも私はビールは別腹にはなりません。なので、楽しみは明日にとっておきます。で、今はシラフでこのブログを書いています。(寝袋の中でかいていたら、「シェラフで書いています」ナンチャッテ。
・さて、これから金曜日に行う講義の準備してから寝ることにします。