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肝疾患はなくてもアンモニアは上がる/不健康祭りで男も良いと思う

・肝疾患がある人が意識障害で受診(搬入)されたら、まず高アンモニア血症を鑑別診断の上位にあげるでしょうが、肝疾患がない人が意識障害で来た時、果たして高アンモニア血症を鑑別にあげるでしょうか?私は、まず思いつきません。ということで、自分の記憶力強化のためログ↓



閉塞性尿路感染症にて高アンモニア血症を呈した1例


日内会誌 102:976~978,2013





症例は88歳,女性.基礎疾患として肝機能障害はなく,神経因性膀胱とAlzheimer型認知症がある.高 アンモニア血症による意識障害で当院に入院した.尿閉があり導尿したところ,速やかに意識障害は消失 し高アンモニア血症も改善した.尿培養からウレアーゼ試験陽性のCorynebacterium urealyticumが検出され, ウレアーゼ産生菌が原因の閉塞性尿路感染症による高アンモニア血症と診断した.高齢者の高アンモニア 血症の鑑別疾患として,排尿障害,特にウレアーゼ産生菌による尿路感染症を考える必要がある


Staphylococcus intermediusによる尿路感染症により 高アンモニア血症を来した1例


日救急医会誌. 2012; 23: 205-10




要旨 症例は80歳の女性。自宅内で意識障害を認めたため家人が救急要請した。1週間前の転倒 で骨盤骨折を受傷し寝たきりの状態であった。来院時,意識レベルJCS 200であったが,呼吸循 環動態は安定していた。頭部CTおよびMRIでは異常所見を認めなかったが,検査所見で血中ア ンモニア値が500µg/dl以上と異常高値であった。尿道バルーン挿入により大量の血尿を認めた。 尿のグラム染色で赤血球とともに無数のグラム陽性球菌とグラム陰性桿菌を認めたことから尿路 感染症による敗血症ならびに高アンモニア血症と診断しICUへ入院となった。ICU入室後は,気 道閉塞の危険性があったため人工呼吸を行った。来院後6時間経過した段階で血中アンモニア値 は91µg/dlまで低下した。この時点で十分な輸液負荷にもかかわらず無尿状態は継続していたこ とから,持続血液濾過透析(以下,CHDF)を開始した。20時間後,尿量が十分得られるように なり,CHDFを中止した。意識状態は徐々に改善し,第5病日に人工呼吸器から離脱抜管した。 尿培養検査でウレアーゼ産生菌のStaphylococcus intermediusが検出され,血中アンモニア高値の 原因と考えられた。意識障害を呈する尿路感染症では,起因菌により高アンモニア血症を認める ことがあり注意しなければならない。




尿路感染症により意識障害を呈した一症例


日集中医誌 2010;17:315~320




要約:症例は69歳,男性。Ⅱ型糖尿病等のため他院で入院加療中に意識障害を認め,紹介転 院となった。重篤な肝障害の既往はなかった。来院時,意識レベルはGlasgow coma scale(GCS) 6,頭部CTで陳旧性脳梗塞を認めた。腹部CTで左尿管結石による左腎盂の拡張を伴う腎盂腎 炎を認めた。第2病日も意識レベルはGCS 6のままで,血中アンモニア値が241μg・dl-1と 高値だった。頭部MRIでは,両側視床・両側島に左右対称性の浮腫状の変化を認め,高アン モニア血症の所見と矛盾しなかった。左尿管にステント留置後より十分な尿量が確保でき, 徐々に血中アンモニア値は正常化し,意識レベルも改善した。なお,血液培養・左腎盂尿培 養よりProteus mirabilisを検出した。本症例の意識障害の原因は,尿路感染症による高アン モニア血症と考えられ,その機序はurea-splitting organismであるProteus mirabilisが尿中尿 素を分解し,生成したアンモニアが周囲の静脈へ移行したためと推測された。



・上記は、『総合病院 鹿児島今日病院 医局宇術詩 医報 voi. 18 2018.10』に載っていた「肝疾患が無く腸管由来の高アンモニア血症で意識障害を来した一例」で引用されていた文献です。


・おまけ:呼吸器疾患でも同様なことがおこるのですね↓(かなり稀みたいですけど)


肝疾患が無く腸管由来の高アンモニア血症で意識障害を来した一例


日呼吸会誌 38(2),2000




要旨:症例は 50 歳男性.意識障害のため当院に救急搬送された.胸部単純 X 線写真及び胸部 CT で,ニボー を伴う右側の大量胸水及び縦隔の左方偏位を認めた.著明な高アンモニア血症を認めたが,頭蓋内病変や他 の代謝性異常などは認めなかった.胸水は膿性を呈し培養にて複数の嫌気性菌が検出され膿胸と診断した. 胸腔ドレナージと抗菌剤投与によって高アンモニア血症が改善するとともに意識障害も消失したため,高ア ンモニア血症が意識障害の原因と考えられた.高アンモニア血症の原因となりうる肝疾患,先天性の酵素欠 損症などは認められず,膿胸の起炎菌によるアンモニア産生が原因となった可能性が示唆された.このよう な機序による意識障害を伴う高アンモニア血症の報告は尿路感染症においては散見されるものの,呼吸器感 染症においてはこれまで殆どみられない.


・おまけのおまけ:バルプロ酸の副作用でも高アンモニア血症になるのですね↓





確かに添付文書にもかかれておりました。(各自チェックしてね)




以下日記

・本日3/17(日)は当直明けで、7時22分起床。幸いなことに真夜中に起こされることはありませんでした。そして9時に日直のDr.と交代。30分くらい事務的なことをして9時半から13時前まで「健康祭り」です。これは医療生協の組合員さんと職員が共同で行うお祭り。中央ステージでの出し物と出店、健康チェック、医療講話等あります。毎年ここでは、いろんなものを購入して食べ過ぎになります。(なので、私にとっては「不健康祭り」)本日もまずは「良寛うどん」を食べ、牛串、焼き鳥、カレー等食べおなかいっぱい。中央舞台では、私の好きな太鼓や合唱がありました。合唱は5年前当院にできた「白衣の音楽隊」が出演ですが、以前は女性ばかりでしたが、今回は男性3名も参加。歌に広がりが出てきて男声もいいなと思いました。(基本的に私は女性、いや、女声が好きです:ヘイリー・ウエステンラ、サラ・ブライトマン、白鳥英美子、山本潤子、等々。)この音楽隊がさらなる発展を遂げる頃を期待いたします。

・14時前に帰宅。ビールのんで、お昼寝。16時過ぎに目が覚めて眠気覚ましにこのブログを書いております。これからお片付け。で、明日から大学院でイチロー・カワチの集中講義3日間。それに備えて早く寝ようと思いますが、お昼寝しすぎたので眠れるかな?

・余談ですが、社会疫学を勉強していると健康祭りのような、一見まり健康と関係なさそうな出店や中央舞台等そういう取り組みに参加すること自体が健康に良いという研究はいっぱいありますね。私が若かりし頃は、なんでこれが健康祭りや?!と思っていたけど...





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